自室
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あの日から暫く経つ。二人は奇妙な出来事の末に訪れた穏やかな時間を過ごしていた。
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そんな心落ち着く日々の中、椛田宛に荷物が届く。
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家族や親戚などからかと思ったが、依頼者の住所の記載は無く、瀟洒な文字で「Canard」とだけ書かれていた。
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そして宛名には椛田だけではなく豊森の名前もあった。
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それならば、豊森も呼んで一緒に開けたほうがいいとあなたは判断するだろう。
椛田 奏也(ゆっけ)
「あら…」「えぇっ?なんや、住所とか言うたことあったっけ?」
椛田 奏也(ゆっけ)
2人分の宛名、ということで…写真をとって LINEに貼る。ラムちゃんを呼びます!
豊森 ラム(ミナカミ)
LINEに貼ってしばらく待つと、既読と共に謎のマスコットの得も言われぬスタンプが付く。
豊森 ラム(ミナカミ)
それから椛田くんの家のドアをガチャガチャする音と、その後インターホンが鳴ります。
椛田 奏也(ゆっけ)
「はいは~い」鍵をガチャ
豊森 ラム(ミナカミ)
「何かおもろいのが届いたと聞いて」 ふにゃっと敬礼っぽいポーズを取りました。ずかずか部屋にも入っちゃう
椛田 奏也(ゆっけ)
「カモちゃんからのお届け物やってん。」鍵を閉め直し
椛田 奏也(ゆっけ)
「なんか飲む?今…えー」冷蔵庫ガチャ 「麦茶しかないけど…。」用意して部屋のほうへ
豊森 ラム(ミナカミ)
「なんやろ。割引券とか? にしたら大層な箱やしなあ」
豊森 ラム(ミナカミ)
「麦茶」🌸
椛田 奏也(ゆっけ)
「案外そないなもんかもしらんで、あのマスターさんなんや…洒落てたし」ナハハ にしてはでかいんだよ はい、と麦茶を前に置いて
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麦茶をちびちび飲みつつ、届いた箱を見る。
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小物を送るときに使われる小さなダンボール箱には、側面に店舗のロゴがスタンプされている。まるで通販で荷物が届いたかのようだ。
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二人の表情に浮かぶのは戸惑いだろうか。
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なにしろ、あの店で家の住所まで言った記憶はないのだから。
豊森 ラム(ミナカミ)
「にしても……」 首を傾げる 「よう住所分かったなあ」
椛田 奏也(ゆっけ)
「おん…ほんまやね。」「・・・」「・・・もしかしてほんまに魔法使いやったんかな」
椛田 奏也(ゆっけ)
「中見てみよか…。」
豊森 ラム(ミナカミ)
「みよみよ」
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開けた箱の中は大半が緩衝材だった。
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埋もれるようにして5cm四方の小箱と封筒が一通入っている。
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封筒の表には達筆な文字で二人の名前が並んでいた。
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小箱の中身も気になるが封筒の中身が手紙ならば、きっと荷物を送ってきた理由なども書かれているだろう。
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ここからは手紙の内容となるため、各自で4ページ目以降を黙読してください。
豊森 ラム(ミナカミ)
「…………」 椛田くんにぴったりくっついて一緒に手紙を読む
椛田 奏也(ゆっけ)
「手紙かぁ…」どれどれ
(各自で手紙を黙読)
豊森 ラム(ミナカミ)
「波乱万丈やねえ……」 読み終えた
椛田 奏也(ゆっけ)
「どっこいどっこいて感じやったんやなぁ…。」
豊森 ラム(ミナカミ)
「で、追記で言うてるのって何なんやろ。一緒に入ってるやつ?」
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手紙を読み終えたあなた達は、そっと視線を荷物の中へと移すでしょう。
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そこにあるのは掌に余るサイズの小箱だ。
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厚紙で出来た簡素な箱。
それを開けると、今度は紙箱のサイズにぴったりだったビロード張りの小箱が出てきた。
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角張ったところのない柔らかなフォルムに、紫のビロードの手触りが柔らかい。
椛田 奏也(ゆっけ)
「ほーん…?」
豊森 ラム(ミナカミ)
「……えらい高そうなやつちゃう?」 サワサワした いい手触りだ
椛田 奏也(ゆっけ)
「・・・せやな、ぜったい高いなこれ」 サワワ
豊森 ラム(ミナカミ)
「えい」 何の気なしにパカッと開けちゃいます
椛田 奏也(ゆっけ)
「あ!ずっこい」パカ!
豊森 ラム(ミナカミ)
「早いもん勝ちやし~」
椛田 奏也(ゆっけ)
「おれも開けたかったんに~~」ンモ~
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さて。一体何が入っているのかと開けてみれば、ちか とした反射光がまずあなた達をさした。
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そこには、電灯の光を反射した銀が二つ ちょこんと収まっている。
椛田 奏也(ゆっけ)
「へぇ、綺麗な指輪やな。」
豊森 ラム(ミナカミ)
「おそろの指輪?」
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きっとサイズはピッタリなのだろう。
対になったリングはどちらも飾り気の無いものだった。
豊森 ラム(ミナカミ)
「えーっと」
豊森 ラム(ミナカミ)
「これ付けたら、あの悪趣味なおじさんが来ぃひんなる?」
椛田 奏也(ゆっけ)
「おん、あの性格悪いおっさんは来ぉへんのやろなぁ。」
椛田 奏也(ゆっけ)
「つけたりつけたり。」しっかり根に持ってたのかも
豊森 ラム(ミナカミ)
「んー」 指輪をつまんでしげしげと眺めて、それから椛田くんの方をジッと見た
豊森 ラム(ミナカミ)
「気絶するから2人仲良く布団の上でって言うてるけど、椛田くん的にはええの?」
椛田 奏也(ゆっけ)
「… もうちょっと書き方があると…思うねんけどな。そこは」
椛田 奏也(ゆっけ)
「おれん事は気にせんでええよ。一緒にバタンして、怒るような彼女とかもおらんからなぁ……お恥ずかしい話やけど」うむ…
椛田 奏也(ゆっけ)
「というかラムちゃんこそやろ。ええんか?」
豊森 ラム(ミナカミ)
「彼女おるのにうちと2人で鍋パとか映画会とかしてたら図太すぎてびっくりするわ」
豊森 ラム(ミナカミ)
「うち?」 言われて首を傾げて、少し考えた
豊森 ラム(ミナカミ)
「うーんと」 「目の前に分かれ道があるとしてな」
椛田 奏也(ゆっけ)
「おん」
豊森 ラム(ミナカミ)
「どっちの道も同じくらいおもろそうやなと思ってて」
豊森 ラム(ミナカミ)
「なりゆきで選んでもええし、椛田くんがこっちの道のがおもろいって思うんやったら、それについてこかなって」
豊森 ラム(ミナカミ)
「そういう感じ」 うむ、と頷いた。
椛田 奏也(ゆっけ)
「えぇ?」息をつくみたいに笑って
椛田 奏也(ゆっけ)
「やったら…そうやなぁ。」
豊森 ラム(ミナカミ)
「うん」 じ……っと見る
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指輪をひとつ取り上げて 掌で転がす。こうしてみると、いよいよマリッジリングのようだと思い… 祖父の意図に気づいて笑いそうになる。
椛田 奏也(ゆっけ)
(家族ね …ほんま、じいちゃんらしいわ)
椛田 奏也(ゆっけ)
「いうてさ 人生の道って、レールとちゃうわけやから」
椛田 奏也(ゆっけ)
「そこんとこは歩きながら、考えたいな。どっちに行こうかって、のんびりと」
「これは…… そのための時間をくれるもんやって俺は思ったねん」
椛田 奏也(ゆっけ)
「… おれにもラムちゃんにも、いつか本当に心から大切や。こん人やないとあかん、って思える人ができると思うんや。」
「それがお互いになるかはまだ分からん。」なったら素敵やけどと言い
椛田 奏也(ゆっけ)
「せやからまぁ・・・なんやろ」頭を掻いて
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これは貴方と大切な人の物語である。
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これからの貴方達がどうなるかは誰も知らない。
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一を聞いて十を知る頭脳をもつ人間にも
遥か遠い世界から飛来した、超常生物にも
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あるいは、全なる神のしもべにすらも、予想することはできないのだ。
それでも一緒にいられるのならば、きっと泣きそうな夜も、悲しい結末も越えていけるかもしれない。
椛田 奏也(ゆっけ)
顔を上げ、口を開いて
「……これからも仲良うしてや?」かな?と指輪をさしだした。
豊森 ラム(ミナカミ)
ぱちぱちとまばたきをした。
豊森 ラム(ミナカミ)
「確かに、レールとちゃうもんなあ」
豊森 ラム(ミナカミ)
「レールがあったとしてもその斜め上に行ってまうのがあんたやって、お父さんとお母さんにも言われたし」 幼き日のサイレントヤンチャぶりを思い出していた
豊森 ラム(ミナカミ)
「うん、じゃあ」
豊森 ラム(ミナカミ)
「ようけ時間はあるんやし、行きたいとこ行ったろ」
豊森 ラム(ミナカミ)
椛田くんから指輪を受け取って、へにゃりと笑います。
椛田 奏也(ゆっけ)
受け取ってくれたのを見て、椛田も眉を下げて笑う。
椛田 奏也(ゆっけ)
「うん 楽しみやんな。」
豊森 ラム(ミナカミ)
「とりあえず指輪つけてみて、どっちが先に起きるか勝負する?」
椛田 奏也(ゆっけ)
「ええやん。負けへんで」フン 「負けた方が勝った方にご飯作るとかどやろか。」
豊森 ラム(ミナカミ)
「よしきた」 フンス 特に必要のない腕まくりをした
椛田 奏也(ゆっけ)
「おれ久しぶりに本場のたこ焼き食べたいねんなあ。」
豊森 ラム(ミナカミ)
「うちが作ったらもんじゃ焼きになるけどええ?」
椛田 奏也(ゆっけ)
「もんじゃ…やと」「……」
椛田 奏也(ゆっけ)
「ええで…もんじゃも好きやさかい」フンス こちらも袖をまくり
豊森 ラム(ミナカミ)
強敵だ…… 「うちは手作りのコロッケとか食べたいんよなあ」 ここぞとばかりに手間のかかるやつをリクエストしちゃう
椛田 奏也(ゆっけ)
「こ、コロッケ!?」「……材料あったかなぁ」
椛田 奏也(ゆっけ)
ちょっと間が空いて フハ 笑い
「ほんだら具しこたま買うて、ドカ寝やな。」
豊森 ラム(ミナカミ)
「言うてたこ焼き粉もタコもあらへんし……両方買いに行こか」
椛田 奏也(ゆっけ)
「おっしゃ、そうしよそうしよ。」ついでに色々買ってこう トイペももうそろそろ切れる
豊森 ラム(ミナカミ)
普通のコロッケには入れない具材も買っちゃおう 何だってできる、そう手作りならね
椛田 奏也(ゆっけ)
そう コロッケの可能性もまた無限大なのだ
椛田 奏也(ゆっけ)
「ほな、これ(指輪)は帰ってからのお楽しみちゅうことで。」
こと、と机に丁寧に置き
椛田 奏也(ゆっけ)
「行こか。」
豊森 ラム(ミナカミ)
「ん」
豊森 ラム(ミナカミ)
小さく頷いて立ち上がり、椛田くんについて行きます。
頷き合って貴方達は、部屋を出て行く。
始まりは、不思議な夢だった。
再会は、奇妙な悪夢だった。
なら──その続きは?
先の事は誰にも分からない。
けれど、代わる代わる演奏した、永い夜想曲《ノクターン》は…
きっと、いつまでも2人の胸に残るのでしょう。
────────いってらっしゃい!
call of cthulhu Nocturne in the dream
第一夜 RED LINK
第二夜 Canard
第三夜 天上楽曲
第四夜 おもいで迷宮
第五夜 メメント・モリをささぐ
最終夜 後日談
HO1:椛田 奏也
HO2:豊森 ラム
KP:ミナカミ&ゆっけ
───────────Fin ,
See you Next Time!
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■ 生還報酬
アーティファクト:曇る指輪
この指輪は身に着けた際、探索者のサイズと同じだけの MP が消費される。
ただし、身につけ続けている間の MP 消費は起きないものとする。