贄の石牢(にえのいしろう)
このシナリオは「クトゥルフ神話TRPG(第6版)」に対応したシナリオです。
推奨人数 | 2~4人 |
---|---|
推奨技能 | 目星、回避、戦闘技能、医学 or 応急手当 |
準推奨技能 | 図書館、忍び歩き、鍵開け、聞き耳、芸術(絵画)、薬学 |
戦闘有無 | あり |
所要時間 | 約12時間(オンラインによるテキストセッション) |
複数回使用する機会がある、または生還やある程度の情報取得に必要な技能を「推奨技能」、1回は使用する機会がある、またはさらなる情報を得るために必要な技能を「準推奨技能」と区分しています。
なお、所用時間はテストプレイを行った際にかかった時間です。
KPもPLも茶番好きかつ慎重なプレイスタイルのため、進行の仕方によっては所用時間が前後します。あくまで目安程度でどうぞ。
記法
シナリオの見方をご確認ください。
Copyright
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION
01.あらすじ
目を覚ました時、探索者達は牢の中にいた。
石造りの壁。藁布団。松明。全てが非日常を物語っている。
元の世界へ帰るため、探索者達は行動を起こさなければならなかった……。
02.索引
概要
01.あらすじ
02.索引
03.背景
04.1F
05.2F/前半
06.2F/白の書斎
07.2F/黒の闘場
08.2F/後半
09.3F
10.目覚めの部屋
11.エンディング
12.報酬
13.利用規約・更新履歴
03.背景
シナリオ概要
目が覚めたら知らない場所にいた系クローズドシナリオ。
探索者は時間制限がある中で探索を行い、襲い来る脅威と戦うことになる。
戦闘の比重が高く、出目によっては危機的状況に陥るため注意すること。
出血描写、殺傷、恐怖、対戦格闘・ケンカ描写、謎解き、一時的な身体欠損、一時的な身体障害、NPCの死、PCの姿をした敵、集合体、狂信者化
このシナリオには上記の要素が含まれているが、事前にPLに知らせるかどうかはKPの任意。
要素としての度合いが薄いもの、行動によっては発生しないものも存在するため、PLから相談があった場合はシナリオ本文を見て適宜対応すること。
また、これはシナリオ作者の主観で要素をリストアップしたものだ。ここにはないがPLに知らせたい要素があれば自由に付け加えて良い。
背景情報
ある狂信者集団は彼らの神である「シュブ=ニグラス」を召喚する為の儀式を定期的に行っていた。
召喚には多数の生贄が必要だが、彼らには「恐怖に屈しない勇気あるものは生贄にふさわしくない」という美学があり、ランダムに選び拉致した生贄候補に「石牢の夢」を見せる事で選別を行っていた。
「石牢の夢」がもたらす恐怖を乗り越え、目覚めた者は生贄として不適格。
恐怖に敗れた者は祭壇に振りかける血として、あるいはシュブ=ニグラスへの生贄として利用されてしまう。
探索者が生きて帰る為には、恐怖を乗り越えて目覚め、「不適格者」となる必要があった。
NPCについて
探索中、NPCが常に行動を共にする。
NPCに技能を使用させるかどうか、どのようなスペックにするかはKPの好みで。
ただし、NPCは
「とある行方不明者を捜索し、その結果、狂信者集団と『石牢の夢』の存在を知る。
そして意図的に生贄候補になり『石牢の夢』へ潜入。
これを突破口にして、冒涜的な儀式が二度と行われないよう
狂信者集団に壊滅的な打撃を与える事を目的としている」
ため、これに沿う形でキャラクターを作成すること。
以下はテストプレイ時のNPC。
新しくNPC考えるのが面倒であればこちらをご利用ください。
「黒塚 忍(くろつか しのぶ)」
STR | 14 | CON | 10 | POW | 14 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 13 | APP | 18 | SIZ | 13 |
INT | 14 | EDU | 18 | 正気度 | 50 |
耐久 | 12 | MP | 14 | db | +1D4 |
武器 | |||||
ベレッタM92FS | 75% | 1D10のダメージ/攻撃回数3/弾数15/耐久8 | |||
タクティカル・バトン | 70% | 1D8+dbのダメージ/攻撃回数1/耐久25 | |||
装甲 | |||||
なし | |||||
呪文 | |||||
門の創造(ルールブックP289) ヴールの印(ルールブックP252) | |||||
技能 | |||||
アイデア(70) 幸運(70) 知識(90) クトゥルフ神話(10) 言いくるめ(70) 応急手当(70) 回避(61) 聞き耳(80) 拳銃(75) 心理学(70) 追跡(50) 杖(70) 図書館(70) 日本語(90) 目星(80) |
東京都内に事務所を構え、一人で活動している私立探偵の女性。25歳。
感情の起伏が少なく打算的な性格。基本的に単独主義。
行方不明者の捜索依頼から狂信者集団と「石牢の夢」の存在を知り、調査結果を依頼者に報告した際「同じような犠牲者を二度と出さないようにしてほしい」と新たに依頼され、莫大な報酬と引き換えにこれを受けた。
時間制限について
各階層ごとに時間制限あり。
どれだけ早く探索を終えても余剰分は持越しされず、次の階層に移った時点でリセットされる。
時間制限を示す指標は探索者達の首筋に浮かんだ「蹄の痕のような大きな痣」である。
時間経過とともに痣の色が黒く染まって行き、時間切れになると痣を突き破って触手が出現。
触手は探索者の首を折り、探索者の身体を石畳の僅かな隙間にねじ込んで消えて行く。
まず先行してNPCが時間切れで死亡し、【1D3/1D6】の正気度喪失が発生する。
続いて探索者が時間切れになった時点で上記の死亡イベントを発生させ、その後【11.エンディング/ED1】に移行する。
以下はテストプレイ時の仕様。
また、各階の解説部分に記載した制限時間もテストプレイ結果を勘案して調整したもの。
KPの好み、そして参加する探索者の能力に応じて適宜変更する事。
・技能使用毎に+5分。これは調査、思考、共有全て含めた時間とする
※複数人が同時に複数箇所を調査する場合は全てまとめて+10分
・戦闘は1R12秒と短いため、どれだけラウンド数がかかっても前後イベント含め一律5分
・制限時間の半分を経過した時点、15分前、5分前で痣情報を提示して警告する
・1F、2Fでは30分経過した時点で探索者の制限時間カウントを開始する(=NPCと比較して30分の余裕がある)
3Fでは10分経過した時点で探索者のカウント開始
死亡時の処理
正気度、あるいは耐久がゼロになった探索者はその時点で「石牢の夢」から消滅する。
死亡した探索者に対するその後の処理は【10.目覚めの部屋】を参照。
04.1F
石を積み重ねて作られた石牢は非常に頑丈そうな造りだが、出入り口にはめられた鉄格子はか細い上にあちこちに錆が浮いていた。
石牢の中には探索者達と床に敷き詰められた藁布団、そして――部屋の隅には寄りかかるように白骨死体が置かれていた。
導入場所は牢屋の中。テストプレイ時の制限時間は50分。
牢屋内には藁布団と白骨死体、そして松明がある。
NPCも探索者達と同様に気絶しており、この時点から探索者達と行動を共にする。
互いに自己紹介を終えた辺りで、全員の首筋に「蹄の痕のような大きな痣」がうっすらと浮かんでいる事を示す。
(NPCが気付く、〈目星〉を振らせる等して誰かに気付かせると良い)
牢屋内の探索が可能になった段階から時間制限のカウントダウンを開始する。
調査:牢屋
探索者達が目覚めた牢屋。マップに示された4つの牢屋のうち、右下部分に位置する。
牢屋内に対して〈目星〉
藁布団を払いのけてみると、そこに文章が書かれている事に気付く。
藁布団の下の文章
めくらの看守は耳が良い 騒ぎ立てるとすぐ来るぞ
めくらの看守は腕がいい 騒ぐとおててをちょん切るぞ
それでも騒ぐ悪い子は 首ちょんぱして黙らせる
牢屋外に対して〈目星〉
少し離れた場所に【鍵束】が落ちているのを発見する。
また、正面やはす向かいに同じような牢屋があり、ここは牢獄のようだと察する。
調査:白骨死体
紛う事なき人間の白骨死体。気休め程度のぼろきれがかけられているが、頭や腕は探索者の前に曝け出されている。
〈目星〉
右手には紙切れが握られている事に気付く。
紙切れを取ろうとすると【白骨死体の右腕】が軽い音を立てて外れる。これはアイテム扱い。
紙切れを開くとそこに書かれている文章を読む事が出来る。
紙切れの文章
勇気ある者のみ石牢の夢からの脱出が許される
勇気とは恐怖に屈しないこと
勇気とは恐怖に立ち向かうこと
恐怖に敗れた者、恐怖に従った者 は
調査:扉
扉には鍵がかけられているが、鉄格子そのものの老朽化が進んでいてあちこちに錆が浮いて脆くなっている。
解錠、あるいは破壊する事で牢屋から出られるようになる。
〈【白骨死体の右腕】を使用〉
牢屋の外にある【鍵束】を右腕に引っ掛けて回収することができる。
〈SIZ8との抵抗表ロール〉
牢屋の外にある【鍵束】を手を伸ばして掴みとることができる。
〈解錠〉〈【鍵束】を使用〉
扉を開く事に成功する。
この際〈幸運〉を同時に行い、失敗した場合は「音を立てて」しまう。(詳細は後述)
〈STR8との抵抗表ロール〉
派手な音を立てて扉の蝶番を破壊する。
これは「音を立てる行動」にカウントする。(詳細は後述)
イベント:看守
牢屋を出て通路を確認した時点で下記のイベントが発生。
通路の先には鉄格子の扉があり、その前には「人間のような何か」が立っていた。
腕を組み、仁王立ちで微動だにしない立ち姿は精巧な像のようだ。
肌の色は生々しい薄桃であり、頭部は黒い毛がまばらに生え、目の辺りには赤茶色で汚れた包帯が巻かれている。
首から下は赤黒くぶよぶよとした何かを衣服のように纏っており、両腰からは錆びの浮いた中華包丁がぶら下がっていた。
★正気度喪失【1/1D3】
看守はこの時点では無害だが、近付く or 音を立てて気付かれると戦闘に移行する。
音を立てて気付かれるかどうかの判定は、1D50<=(50-音を立てた回数*10)で判定する。
音を立てた回数が0回であれば1D50<=50、1回であれば1D50<=40...と回数を重ねる程発覚率が高まる。
判定タイミングは牢屋の外で移動、あるいは技能を使用した時(この辺りもKP裁量)。
移動の際に〈忍び歩き〉に成功した場合は判定ロールを行わない。
「看守(石牢の夢に住まう怪物)」
STR | 18 | CON | 50 | POW | 12 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 10 | APP | - | SIZ | 18 |
INT | 9 | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 34 | MP | 12 | db | +1D6 |
武器 | |||||
腕落とし | 80% | 1D6のダメージ、状態異常「片腕欠損」「出血」付与(詳細は後述) | |||
首落とし | 30% | 1D6+dbのダメージ | |||
装甲 | |||||
肉の鎧(3ポイント) 再生(毎ラウンド1D6の耐久回復) | |||||
呪文 | |||||
なし | |||||
技能 | |||||
回避(20) |
基本的に戦わず逃走推奨の敵。
「頑張れば倒せるけどリスクも高い」程度になるよう耐久など適宜調整。
戦闘中は攻撃しながら「モドレ」「ナニオシテイル」「ダツゴクニハシヲ」と繰り返し叫ぶ。
看守を倒す、牢屋に戻る、2Fに移動する、のいずれかの条件を満たすまで戦闘は続く。
探索者全員を「片腕欠損」状態にするまで〈腕落とし〉を使用し続ける。
「片腕欠損」状態は探索者の利き腕ではない方の肘から先が切断された状態。
この状態になった際【1/1D4】の正気度喪失が発生し、石牢の夢から覚めるまで〈手を使う技能〉の技能値が半減する。
「出血」状態は傷口から絶えず血が流れ出ている状態。15分毎に耐久値が1減少する。
これは〈医学〉〈応急手当〉で治療可能。
全員を「片腕欠損」「出血」状態にした後は〈首落とし〉のみ使用する。
看守を倒し、その死体を探った場合は【山羊頭の鍵】が手に入る。
これは1階でのみ使用可能なマスターキー。
1階に存在するあらゆる扉を開けることが出来る。
調査:看守の背後にある扉
しっかりとした鉄格子の扉。鍵も掛けられている。
〈鍵開け〉〈【鍵束】を使用〉
技能が成功しても、鍵束のどの鍵を使っても開かない。
〈【山羊頭の鍵】を使用〉
開いて通行可能になる。
調査:裏手の扉
牢屋の裏側の通路の先、石造りの壁に埋もれるように設けられた、小さな木製の扉。
〈目星〉
古い扉だが、鍵がかかっている上に鉄枠で補強されている。力ずくでこじ開けるのは少し手こずるだろう。
〈鍵開け〉〈【鍵束】を使用〉
扉を開く事に成功する。
この際〈幸運〉を同時に行い、失敗した場合は「音を立てて」しまい、
次の看守戦で看守に先制攻撃を許してしまう。
〈STR13との抵抗表ロール〉
大きな音を響かせて扉の留め金を壊し、扉が倒れる。
この方法で扉を開けると次の看守戦で看守に先制攻撃を許してしまう。
扉を開いた時点で看守が現れ、強制的に看守戦に移行する。
これ以降看守を倒す、2Fに移動する、のいずれかの条件を満たすまで戦闘が続く。
裏手の扉の向こう側は奥の方に上り階段がある以外、特に何もない通路。
階段を上った時点で看守の攻撃は止み、【05.2F/前半】に移行する。
05.2F/前半
階段を上った先に広がっていたのは、小奇麗に整えられた長方形の小部屋だった。
石造りの壁や床は平らにならされており、等間隔に備え付けられた松明が静かに燃えている。
小部屋の奥には、二つの扉と一つの額縁があった。
テストプレイ時の制限時間は2F全域で100分。
この階では探索者が二手に分かれて探索を行う。
調査:額縁
黄土色の紙が入っている額縁。
これに近づいた時点で額縁が震え、以下の文字が浮かびだす。
白は彼らの神の色 黒は我らの神の色
扉守るは眠る騎士 無色透明無垢の騎士
黒にも染まらず 白にも染まらず
灰となりて道開く
〈目星〉
紙に浮き出した文字はまるで生きているかのようにてらてらと輝いている。
また、額縁自体は非常に質素なもので、簡単に持ち運びできそうだと気付く。
〈額縁を取る〉
以下のイベントが発生。
○○が額縁を手に取った瞬間、紙に浮き出ていた文字は溶けるように消えてしまう。
……そして、それと同時に○○の身体を虚脱感が襲い、紙には次々と新たな文字――○○の思考が現れては消えて行く。
文字が消える度、意思という意思が根こそぎ奪われる。自分自身が紙に吸収されて消えてしまう。
そう形容するに相応しい不可思議な感覚は、唐突に収まった。
○○の思考は正常に戻り、それと同時に額縁はどろりと溶け、どす黒い液体となって地面に染み込んで跡形もなく消えてしまった。
★正気度喪失【1/1D6】
額縁で隠されていた壁には<白と黒を捧げて灰に>という文字が刻まれている。
調査:白い扉
部屋の東側にある扉。
〈目星〉
つるつるとした材質の真っ白な扉。
探索者達の目線の高さほどの位置に「白の書斎」と書かれた金属板がはめ込まれている。
〈聞き耳〉
扉の向こうからは何の音も聞こえず、探索者は「静かすぎる」と感じる。
調査:黒い扉
部屋の西側にある扉。
〈目星〉
つるつるとした材質の真っ黒な扉。
探索者達の目線の高さほどの位置に「黒の闘場」と書かれた金属板がはめ込まれている。
〈聞き耳〉
扉の向こうからは、何かがさわさわと蠢く音がかすかに聞こえる。
白い扉と黒い扉は「探索者が二手に別れて同時に扉を押す」事で扉が開く。
よって、ここからは分断行動となる。
06.2F/白の書斎
扉の向こうに広がっていたのは、真っ白な世界だった。
つるりとした継ぎ目のない素材で出来た壁と床、整然と並ぶ本棚、その中に詰め込まれた書物。
全てが汚れ一つない白で、探索者達は自身がひどく場違いであると感じた。
〈目星〉を行うと入口傍に長机がある事、奥の方には少し開けた空間がある事に気付く。
〈聞き耳〉を行うと「部屋を照らす松明の音すらしない、完璧な無音空間である」という事に気付いてしまう。
★正気度喪失【0/1】
調査:長机
長机の上には<館内ではお静かに>と書かれた紙が置かれている。
〈目星〉
「館内ではお静かに、と書かれている事は理解できるが、その文章は探索者が知る言語で書かれたものではない」事に気付く。
★正気度喪失【0/1】
イベント:司書
書斎の奥へと進んだ時点で音もなくぬうっと「司書」が現れる。
探索者達より一回り背が高く、すらりとした体型で人間に近い姿をしていた。
……いや、真っ白で顔もないつるりとした身体は、人間というよりマネキンに近い。
眼も鼻も口もない顔面には「司書」の文字がうっすらと浮かんでいた。
白い生物は探索者に顔を近づけ、自身の顔面に「館内」「静」「騒」「黙」といった文字を次々と浮かび上がらせる。
「黙」「黙」「黙」「黙」「黙」「黙」と顔いっぱいに文字を浮かび上がらせながら、白い生物は探索者達から離れ、真っ白な世界に同化して消えて行く。
★正気度喪失【0/1】
「司書」はこの時点では探索者に危害を加えない。
【05.2F/前半】で額縁を手に取っていた場合は、外見情報を「該当PCに似ている」「完全に正気を失った目をしている」等の描写を交えたものに変更する事。
この場合も同様に【0/1】の正気度喪失。ただし、額縁を手に取った本人には【1/1D3】の正気度喪失が発生する。
「司書(石牢の夢に住まう怪物)」
STR | 8 | CON | 12 | POW | 15 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 16 | APP | - | SIZ | 18 |
INT | 13 | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 20 | MP | 15 | db | 0 |
武器 | |||||
かぎ爪 | 30% | 1D4のダメージ | |||
刺突 | 25% | 1D6のダメージ | |||
装甲 | |||||
再生(毎ラウンド1D6の耐久回復) | |||||
呪文 | |||||
なし | |||||
技能 | |||||
回避(32) |
書斎内で物音を立てる度に現れ、1ラウンドのみ行動して退散する。
攻撃対象は物音を立てた探索者。
物音を立てた探索者の首を貫き「発声不可」状態にする。ダメージはないが不意打ちのため回避不可能。
「発声不可」状態になると【1/1D3】の正気度喪失が発生し、石牢の夢から覚めるまで口頭での情報提供及び〈言いくるめ〉〈説得〉など、声を使った行動が全て不可能となる。
攻撃対象が既に「発声不可」状態にある場合のみ、攻撃を行う。
こちらは通常の戦闘ルールに則る為、回避も可能。
部屋の奥
部屋の奥は本棚がない開けた場所になっている。
右側にはとてもシンプルな台座があり、中央には出口と思しき扉。また、左側には大きな絵画が飾られている。
この時点では出口と思しき扉は開かない。
調査:本棚
天井まで届く大きな本棚には、白い本がぎっしりと詰まっている。
〈図書館〉
白紙の本ばかりだが、1ページだけ文章が書かれている本を見つける。
文章が書かれた本
無垢の騎士に灰の力を与え
灰の騎士に灰の光を与えた時
大いなる慈母の恵みが現れる
調査:絵画
「収穫」と名付けられた、農作業に勤しむ人々を描いた1メートル四方程度の大きさの油絵。
〈目星〉
壁との間に不自然な隙間がある事に気付く。
〈芸術(絵画)〉
構図や木々の形、色遣い等を子細に調べてみると「森の奥から浮かび上がった巨大な雲状の塊が、農作業に勤しむ人々を絡め取ろうとしている」という図が隠されている事に気付く。
★正気度喪失【1/1D3】
〈絵画を取る〉
裏からごとんと大きな音を立てて【白銀の盾】が落ちてくる。
その後「物音を立てた行動」として司書が現れ、攻撃を加える。
【白銀の盾】は純銀製の盾。装甲1。
それなりに重量があり、STR12以上でないと満足に使いこなせない。
STR12未満の場合は〈幸運〉に成功した場合のみ装甲が有効。
調査:台座
台座の上には両手に乗るほどの大きさの【白の宝珠】が置かれている。
〈目星〉
台座には小さなプレートがはめられており、そこには<静寂を司るもの>と書かれている。
また、白い宝珠の中には白い光が渦巻いているように見える。
〈宝珠を取る〉
宝珠を取った瞬間、真っ白な部屋は真っ赤な部屋に変わる。
壁も床も台座も、何もかもが何かに濡れているかのようにてらてらと輝き、白いものは宝珠だけ。
松明がぱちぱちと爆ぜる音と、背後からぺたぺたぺたぺたと何かが歩み寄ってくる音がする。
振り向くとそこには「司書」の姿がある。
真っ白だった身体は赤黒い筋肉が剥き出しになっており、手先や爪先、頭以外の部分は針金のように痩せ衰えている。
「司書」は突き刺さるような甲高い声で「カ、カエ、カエ、カカカ、カエセカエセカエセ、カエ、カエセ、カカ」と呟きながら、頭をぐらぐらと揺らして早足で探索者達に向かってくる。
★正気度喪失【1/1D4】
正気度喪失後、部屋の奥にある出口の扉が開くようになっている。
以降、白の書斎を出るまで司書は探索者を追い、攻撃を加える。
【白の宝珠】を台座に戻しても部屋は赤いままで司書の攻撃も止まらない。
また、本棚のレイアウトが変わっていて入り口側へ戻ることはできない。
白の書斎を出た後は【08.2F/後半】へ移行。
07.2F/黒の闘場
探索者達が扉を開けて足を踏み入れた瞬間、さわさわと何かがささめく音がした。
床も壁も真っ黒で松明の数も少なく、不自然なまでに暗い部屋だった。
壁一面にありとあらゆる武具が飾られており、そして部屋の奥の方には真っ黒で巨大な人影があった。
〈目星〉で壁に飾られた武具から探索者の好きな武器を取得できる。
しかし、それと同時に天井の辺りで無数の何かが蠢いている事に気付き、そこから得体の知れないおぞましさを感じる。
★正気度喪失【0/1】
部屋の奥の方に近づくと巨大な人影は立ち上がる。
イベント:王者
2メートルはゆうに超える巨体だった。真っ黒な鎧で全身を固め、その表情は見えない。
どこかぎこちない動きながらも探索者達との距離をじわじわと詰める。
右手に握られた黒金の槍がわずかな明かりに照らされてぎらりと輝いた。
それと同時に、おぞましいほどの殺意が発せられる。
★正気度喪失【1/1D3】
【05.2F/前半】で額縁を手に取っていた場合は、外見情報を「該当PCに似ている」「完全に正気を失った目をしている」等の描写を交えたものに変更する事。
この場合も同様に【1/1D3】の正気度喪失。ただし、額縁を手に取った本人には【1/1D6】の正気度喪失が発生する。
「王者(石牢の夢に住まう怪物)」
STR | 15 | CON | 34 | POW | 10 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 8 | APP | - | SIZ | 25 |
INT | 5 | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 30 | MP | 10 | db | +1D6 |
武器 | |||||
黒金の槍 | 25% | 1D6+1+dbのダメージ | |||
装甲 | |||||
黒金の鎧(2ポイント) | |||||
呪文 | |||||
なし | |||||
技能 | |||||
回避(16) |
逃走不可。勝利もしくは全滅するまで戦闘は続く。
特殊な挙動は無く、基本的に〈黒金の槍〉での攻撃を繰り返す。
〈目星〉に成功すると胸元に黒い宝珠が嵌められている事に気付く。
それ以降胸元を狙った攻撃が可能になるが、その場合は攻撃技能に-10の補正が入る。
胸元の耐久値は10。
王者の耐久、または胸元の耐久を0にすると戦闘終了。
王者は糸が切れた人形のようにその場にガラガラと崩れ落ち、さわさわさわさわと足元を無数の何かが通り過ぎていくのを感じる。
そして、崩れてばらばらになった鎧の傍には、【黒の宝珠】と【黒金の槍】が落ちている。
調査:黒金の槍
わずかな明かりの中でも、ぞっとするほど冷たい輝きを放つ巨大な槍。
【黒金の槍】
武器の一種。1D6+1+dbの近接武器。耐久値なし(決して壊れない)。
それなりに重量があり、STR12以上でないと満足に使いこなせない。
STR12未満の場合は攻撃ロールに1/2の補正が入る。
調査:黒の宝珠
「王者」の胸元に収まっていた宝珠。探索者の攻撃や落下の衝撃を受けても傷一つついていない。
〈目星〉
宝珠が嵌められていた鎧に<秘匿を司るもの>と刻まれている事に気付く。
また、黒の宝珠の中には黒い光が渦巻いているように見える。
〈宝珠を取る〉
宝珠を取った瞬間、辺りの暗闇がぐにゃりと歪み、暗闇が薄れる。
部屋の奥まで見通せるようになり、出口と思しき扉がひとつある事にも気付く。
それと同時にさわさわさわさわと何かが激しく蠢く音が天井からして、探索者の背後(入り口側)にぼとぼとと何かが落ちる音がする。
振り向くとそこにいたのは、手のひらほどの大きさの、小さな触手の塊。
短い触手をさわさわと動かしながら、身体の中央にある不自然なほどに大きな一つ目が探索者達を真っ直ぐに見つめている。
一体だけなら大した脅威ではないが、同じような生物が数え切れないほどひしめき、全ての瞳が探索者達を捉えている。
★正気度喪失【1/1D6】
「小さな触手(石牢の夢に住まう怪物)」
STR | 5 | CON | 1 | POW | 3 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 8 | APP | - | SIZ | 1 |
INT | 1 | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 1 | MP | 3 | db | -1D6 |
武器 | |||||
飛びつき | 50% | 1D2のダメージ、状態異常「視力低下」付与(詳細は後述) | |||
装甲 | |||||
なし | |||||
呪文 | |||||
なし | |||||
技能 | |||||
回避(16) |
「王者」が細かく分裂した姿。
ひとつひとつは非常に弱いが、無数に存在するため殲滅は不可能。
「視力低下」状態は視界がぼやけ、視覚情報の入手が非常に困難な状態。
この状態になった際【1/1D3】の正気度喪失が発生し、石牢の夢から覚めるまで〈目星〉をはじめとした視覚を必要とした技能ロールが不可能となる。
以降、黒の闘場を出るまで小さな触手は探索者を追い、攻撃を加える。
黒の闘場を出た後は【08.2F/後半】へ移行。
08.2F/後半
白の書斎、黒の闘場を抜けた先にある小部屋。
小部屋の奥には天井まで届きそうなほどの巨大な扉があり、その両脇には探索者達の背の高さほどの門柱が立っている。
二部屋のクリア時間に差がある場合、早くクリアした探索者で先行して部屋を調べても良い。
調査:扉
天井まで届きそうなほどの巨大な扉。石造りで重厚な雰囲気がある。
〈目星〉
扉の前にある「透明な何か」に手が当たる。
よく調べてみると、探索者達よりも一回り大きい「鎧をまとった何か」が立っていると分かる。
また、触っている間、それは微動だにしない。
調査:門柱
扉の両脇に立つ門柱。
〈目星〉
門柱の天辺には何か丸いものを乗せるような台座がある。
行動:門柱に【白の宝珠】、【黒の宝珠】を載せる
二つの宝珠を載せた瞬間、かちりと音がしてそれぞれが淡い光を放ち始めた。
そしてそれらの光に照らされるように扉の前に立つ巨大な騎士の姿が浮かび上がり、頭の先からさらさらと灰になって崩れて行く。
それに呼応するように、【黒金の槍】と【白銀の盾】も灰となって消えて行った。
やがて巨大な騎士はあっという間に灰の山となり、巨大な門はひとりでに開いた。
以降、階段を上ることが可能になる。
行動:鎧をまとった何かに【黒金の槍】、【白銀の盾】を持たせる
探索者達は鎧をまとった何かに黒金の槍、白銀の盾を持たせた。
その瞬間、黒金の槍からは黒色が、白銀の盾からは白色が透明の何かに染み渡り、扉の前に立つ巨大な騎士の姿を浮かび上がらせる。
全身に染み渡った黒と白は混ざり合い、騎士の全身が灰色に染まるとがちゃりと音を立てて動き出した。
騎士は2本の門柱を押し倒し、扉の脇へと移動すると、跪いて静かに俯いて動かなくなった。
そしてそれと同時に、巨大な門はひとりでに開いた。
以降、灰色の騎士の調査及び階段を上ることが可能になる。
調査:灰色の騎士
探索者より一回り大きな鎧姿の騎士。
その表情を見ることはできず、探索者の言葉や行動には一切反応しない。
〈目星〉
鎧の両肩にはそれぞれ丸い窪みがある。それは白の宝珠と黒の宝珠がぴったり入る大きさである。
〈窪みに二つの宝珠をはめる〉
騎士の頭がぶるぶると震え、ぽろりと落ちて粉々になって消えてしまう。
そして、残された胴体からは真っ赤な液体が流れ始め、首の辺り、切断面の真中に【黒い瓶】を見つける。
調査:黒い瓶
灰色の騎士の中に隠されていた、黒い液体が詰まった瓶。
〈目星〉
瓶そのものは透明で、中に詰まったどす黒い液体は松明の光に合わせてゆらゆらと七色の輝きを返す。
非常に量は少なく、飲めるのは一人。
〈薬学〉
飲み薬のように見えるが、これは現代の技術で作れる代物ではないと感じる。
〈瓶の中身を飲み干す〉
下記のイベントが発生。
すると、身体の内側から無限とも思える活力が溢れだし、思考は今までにない程に冴え渡った。
失われた感覚は再生し、全てが明瞭に理解でき、至上の万能感に包まれる。
……だが、その幸福もつかの間の事。○○の脳に膨大な量の知識が次々と流れ込む。
この世の定理。何十億年とかけて紡がれてきた歴史。外なる世界に住まう神々の姿。
ヒトという小さな器に収まるはずのない知識。それは、○○の精神を侵すには十分すぎるものだった。
薬を飲んだ探索者は【正気度・耐久値全回復、欠損個所・欠損感覚の再生(マイナス補正全解除)】が適用される。
それと同時に【1D10/1D20】の正気度喪失。これは正気度を全回復した後に行う。
また、該当探索者はこのセッション中に限り【全ての技能成功率+10、技能ロール毎に正気度-1】の修正が入る。
瓶の中身は黒山羊の乳。
このシナリオでは「服用者に絶大な力をもたらすが、大きすぎる力により精神を蝕まれる効果」を持つ。
「精神を侵すほどの知識」は服用者自身も理解できていない為、他の探索者との情報共有は不可。
セッション終了後、服用者は自己防衛のため「精神を侵すほどの知識」を自然と忘れてしまう。
行動:階段を上る
探索者達は長い階段をひたすらに上って行った。
石造りの壁や階段は徐々に暗く染まり、いつしか石ではない不思議な黒い物体に変わる。
こつこつ、こつこつ、と探索者達の足音がやけによく響いた。
深く暗い闇を思わせる世界の中で、壁や階段の中に宿る星のような小さな瞬きの数々が行く先を照らしていた。
そして、唐突に階段は終わる。
【09.3F】へ移行。
09.3F
満天の星空が広がっていた。
頭上も、足元も、背後も、星の瞬きに満ちており、色鮮やかな星雲がゆっくりと揺れている。
探索者達が一歩踏み出すとちゃぷちゃぷと水音がして、そこで初めて床には浅く水が溜められている事に気付いた。
どこまでも広がっていそうな空間の中で、2つの石像と1つの台座がぽつんと存在していた。
テストプレイ時の制限時間は30分。
調査:台座
部屋の中心部に位置する台座。
〈目星〉
とても繊細な意匠が施された、灰色の台座。中央には何かの差し込み口と思しき溝がある。
台座には<汝の勇気を無垢の剣に示せ>と刻まれている。
台座をさらに調べてみると、【透明の剣】が台座に刺さっている事に気付く。
透明の剣に対して〈目星〉
剣を水に濡らし、星の光に照らして観察してみると
刀身に<我が刃は汝にとっての邪悪を討つ為にあり>と刻まれている事に気付く。
調査:左側の像(女神像)
台座の隣、西側に建てられた石像。
〈目星〉
真っ白な石で出来た精巧な女性の像。
髪や服の質感、ふんわりとした穏やかな笑顔、曲線美に満ちた身体。
全ての要素からある種の神々しさが感じられる。
〈透明の剣で砕く〉
下記のイベントが発生。
○○は剣を振るい、女神像を打ち砕いた。
像からは血飛沫が舞い、女性の甲高い悲鳴が探索者達の脳内に響く。
女神像の血を吸った剣の刀身が黒に染まる。
甲高い悲鳴が収まると同時に星の瞬きは消え、探索者達の視界は暗闇に覆われた。
首筋の痣が燃えるように熱く、刺し貫かれたかのように痛む。
『神に仇名す同胞よ、今こそ目覚めの時』
地の底から響くような声が探索者達に語りかけ……そこで意識が途切れた。
【11.エンディング/ED2】に移行。
調査:右側の像(邪神像)
台座の隣、東側に建てられた石像。
〈目星〉
真っ黒な石で出来た精巧な怪物の像。
うねる触手、山羊を思わせる脚のようなもの、堂々とした立ち姿。
全ての要素からある種の神々しさが感じられる。
〈透明の剣で砕く〉
下記のイベントが発生。
○○は剣を振るい、邪神像を打ち砕いた。
像からはどろりとしたどす黒い液体が溢れ出し、みるみるうちに探索者達の足元を黒く染め上げる。
とめどなく溢れる液体は探索者達の全身を飲み込み、満天の星空をも覆い尽くす。
不思議と息苦しさはなく、暗闇に覆われた世界の中で剣の刀身だけが白く輝いていた。
白い輝きはより一層強くなる。
それと同時に首筋の痣が燃えるように熱く、刺し貫かれたかのように痛む。
『我らが神に仇名す勇気ある者達よ。その勇気を表して緩慢なる死を与えよう』
地の底から響くような声が探索者達に語りかけ……そこで意識が途切れた。
【10.目覚めの部屋】へ移行。
選択肢が意味するものについて
<汝の勇気を無垢の剣に示せ>…探索者が透明の剣で「何か」を行わなければならない。
<我が刃は汝にとっての邪悪を討つ為にあり>…「何か」とは探索者にとって邪悪であるものを打ち砕く事である。
女神像を砕くとは、世間一般の神を敵視し、邪神の味方であるという意思表示になる。
邪神像を砕くとは、【石牢の夢】を作り出した人々が崇める邪神が敵であるという意思表示になる。
この状況下で邪神に媚びずに自身の意志を貫く事は勇気であるとみなされる。
10.目覚めの部屋
探索者達が目を覚ますと、そこは殺風景なコンクリート造りの小部屋だった。
窓はなく、裸電球がぶら下がり、鉄の扉は固く門扉を閉ざしている。
「石牢の夢」から脱出し、目覚めた場所。
夢の中の出来事である為、耐久値は全回復し「片腕欠損」「出血」「発声不可」「視力低下」のペナルティは解除。
NPCや死亡探索者がいる場合、それぞれが着ていた服がくしゃくしゃに丸められているのを発見する。
丸められた服を開いてみるとNPC(あるいは死亡探索者)の生首がそこにある。
★正気度喪失【1/1D6】
そして、NPCの服からはさらに【手帳】と【黒い箱】が見つかる。
調査:鉄の扉
非常に分厚い鉄の扉。
鍵穴は無く、閂で向こう側から閉じられている。
〈目星〉
無数のひっかき傷を発見する。
〈アイデア〉に成功すると「ここから脱出する事は出来ない。このまま飢えて死ぬしかない」という事に気付く。
★正気度喪失【1/1D3】
調査:手帳(NPCが死亡している場合のみ)
探索者の誰もが見覚えのない手帳。
〈図書館〉
黒い箱を開けば強く想った場所へ帰る事が出来る、といった旨が書かれている。
それ以上の補足情報(石牢の夢とは何か、等の背景情報)はNPCの性格に合わせて適宜調整。
調査:黒い箱(NPCが死亡している場合のみ)
傷一つない、真っ黒で小さな箱。
〈目星〉
箱をよく触って調べてみると、小さな窪みが一つある。そこに爪をひっかければ開ける事が出来ると気付く。
箱を開くと【11.エンディング/ED3】へ移行。
NPCが生存している場合、部屋の探索を一通り済ませた後で【黒い箱】を差し出してその内容を説明すること。
それ以上の補足情報(石牢の夢とは何か、等の背景情報)はNPCの性格に合わせて適宜調整。
その後、箱を開くと【11.エンディング/ED3】へ移行。
11.エンディング
ED1/時間切れ or 全員耐久0となり全滅
探索者達が眼を覚ますと、そこは深い森の中だった。
ふと横を見ると虚ろな眼をした人がずらりと並んで座っている。
誰も彼もが一糸纏わぬ姿であり、ふと己の体を見てみると、探索者達もまた同じような姿になっていた。
ローブを被った人物がこちらに背を向けて立ち、石造りの祭壇に向けてぶつぶつと何かを呟いていた。
月のない暗闇の中、ぽつりぽつりと備え付けられた松明が、深紅の血に染まった祭壇を照らし出す。
探索者が祭壇を見上げると同時に、ローブの人物が両手を高く挙げ、叫ぶ。
「イア! イア! シュブ=ニグラス!」
何もない宙に、じわりと黒い染みが生まれる。
黒い染みは見る間に膨らみ、泡立ち、ただれて行く。巨大な雲状の塊が形成されて行く。
雲状の塊から生えた黒い触手が蠢き、暗闇を孕んだ無数の口からは粘液がだらだらと垂れ、下部からは黒い蹄を持つ短い足がいくつもいくつも突き出していた。
祭壇の周りにはローブを着た人々がいつの間にか現れ、「それ」を囲むように地に跪いて「イア! イア! シュブ=ニグラス!」と恍惚の表情で叫んでいる。
彼らの歓声に応えるように、雲状の塊――【千の仔を孕みし森の黒山羊】シュブ=ニグラスがずるりと彼らの前に降り立った。
★正気度喪失【1D20/1D100】
シュブ=ニグラスの身体から伸びた触手が探索者達を絡め取る。
抵抗は出来なかった。彼らは、恐怖、狂気、絶望……どんな言葉も生ぬるい感情に支配されていた。
間近に慈母を見た。口から垂れた粘液を浴びた。黒い脈動に包まれた。
一切の光を通さない闇の中、探索者は全身に鋭い痛みを感じた。
無数の牙に全身を貫かれ、急速に力が、生命が、失われて行く。
上げた悲鳴は慈母の体内で反響し、叫んだ口に太い牙が突き刺さる。
肉という肉が抉られ、生命という生命が奪われ、魂という魂が蹂躙され――
――そして、探索者の意識は闇に消えた。
(探索者全員ロスト)
ED2/女神像を破壊
――ふと、目を開けると、探索者達は深い森の中にいた。
ローブを被った人物がこちらに背を向けて立ち、石造りの祭壇に向けてぶつぶつと何かを呟いていた。
月のない暗闇の中、ぽつりぽつりと備え付けられた松明が、深紅の血に染まった祭壇を照らし出す。
探索者が祭壇を見上げると同時に、ローブの人物が両手を高く挙げ、叫ぶ。
「イア! イア! シュブ=ニグラス!」
何もない宙に、じわりと黒い染みが生まれる。
黒い染みは見る間に膨らみ、泡立ち、ただれて行く。巨大な雲状の塊が形成されて行く。
雲状の塊から生えた黒い触手が蠢き、暗闇を孕んだ無数の口からは粘液がだらだらと垂れ、下部からは黒い蹄を持つ短い足がいくつもいくつも突き出していた。
祭壇の周りにはローブを着た人々がいつの間にか現れ、「それ」を囲むように地に跪いて「イア! イア! シュブ=ニグラス!」と恍惚の表情で叫んでいる。
彼らの歓声に応えるように、雲状の塊――【千の仔を孕みし森の黒山羊】シュブ=ニグラスがずるりと彼らの前に降り立った。
★正気度喪失【1D20/1D100】
探索者達は、恐怖や絶望といった陳腐な言葉では収まりきらない混沌とした感情に支配される。
叫びだしたいのに口は動かない。逃げ出したいのに足は棒のようだ。
目を逸らそうにも縫い付けられたかのように『彼女』の姿をじっと見つめてしまう。
あまりにも強大な、混沌とした感情は、探索者達の理性を解きほぐし、瓦解させていく。
崩れ去った既存の理性の代わりに、混沌とした感情を元に、新たな理性が形成される。
目の前にいる彼女に尽くす事こそ至上の幸福である。
この体は、この魂は、彼女の為にある。
人生の全てを捧げて彼女の手足とならなければならない。
探索者達は自然と跪き、その美しく神々しい姿を見上げていると自然と言葉が漏れた。
「イア! イア! シュブ=ニグラス!」
――そこにかつての探索者達の面影は、なかった。
(探索者全員ロスト)
ED3/石牢の夢から生還
黒い箱をゆっくりと開くと、探索者達の視界は白に染まった。
何も見えない世界の中で、次第に自分が立っている感覚も分からなくなり――
――そして、気がつくと探索者達は各々の寝床の中にいた。
それは何の変哲もない朝の光景に見える。
あれは悪い夢だったのだと思いたい。
しかし、夢にしては鮮明すぎる記憶と全身を襲う疲労感が、あれは現実だと主張している。
正確に言えば、石牢からの脱出は夢の中の出来事だ。
だが、その夢は恐らく何者かに仕組まれていたもので、目覚めてからの事は紛れもなく現実だった。
わずかな手掛かりを元に真相を探ってもいい。
平和な日常に戻っておぞましい体験を記憶の底に沈めるのもいい。
石牢の夢とどのように付き合っていくかは、探索者達の自由だ。
おめでとう。探索者達は恐怖を乗り越え、平穏な日常へと帰ってきた。
12.報酬
夢の中で得た各種アイテムは【10.目覚めの部屋】に移行した時点で喪失し、【手帳】と【黒い箱】はエンディングを迎えた時点で探索者の手元から失われる。
石牢の夢からの生還
条件 | ED3到達 |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 1D10の正気度回復 |
NPCの生存
条件 | NPCが生存した状態でED3到達 |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 1D6の正気度回復 |
神々の叡智に触れる
条件 | 【黒い瓶】の中身を飲む |
---|---|
対象 | 該当探索者 |
内容 | 呪文習得(下記の呪文のうち1つ。いずれも〈クトゥルフ神話〉+5%、習得期間は2D6+10週間) ・門の創造(ルールブックP289) ・ヴールの印(ルールブックP252) ・アザトースの呪詛(ルールブックP250) |
13.利用規約・更新履歴
利用規約
こちらをご確認ください。
参考書籍
サンディ・ピーターセンほか(2004).『クトゥルフ神話TRPG』.株式会社KADOKAWA.
スコット・アニオロフスキーほか(2008).『クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム』.株式会社KADOKAWA.
連絡先
製作 | ミナカミ |
---|---|
HP | https://dara.sakura.ne.jp/ |
minakamiryu■infoseek.jp |
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更新履歴
2023/12/28 | 「03.背景」にシナリオに含まれる要素を追加 |
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2023/10/16 | 他シナリオとレイアウト統一 |
2021/10/16 | 著作権表記、参考書籍を記載 |
2020/07/12 | 利用規約を修正 |
2017/12/23 | 報酬の項にアイテムの持ち帰りについて記載 |
2017/08/17 | HTML版に差し替え |
2015/05/03 | 体裁統一、敵ステータス微調整、HP移転によりアドレス変更 |
2014/05/16 | 公開 |