幸福な魔女
このシナリオは「クトゥルフ神話TRPG(第6版)」に対応したシナリオです。
推奨人数 | 3~4人 |
---|---|
推奨技能 | 目星、回避、医学 or 応急手当 |
準推奨技能 | 聞き耳、鍵明け、考古学、生物学、英語、図書館、投擲 |
戦闘有無 | あり(倒す必要はない) |
所要時間 | 約12~14時間(どどんとふを利用したオンラインテキストセッション) |
生還に必要、あるいはある程度の背景情報を得るために必要な技能を「推奨技能」、補足情報やさらなる選択肢を得る可能性がある技能を「準推奨技能」と区分しています。
なお、所用時間はテストプレイを行った際にかかった時間です。
KPもPLも茶番好きかつ慎重なプレイスタイルのため、進行の仕方によっては所用時間が前後します。あくまで目安程度でどうぞ。
記法
シナリオの見方をご確認ください。
Copyright
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION
01.あらすじ
それはある日の夜のこと。
探索者達は思い思いに平和な一時を過ごし、やがて眠りに就いた。
そして全員が一様に夢を見た。
ぱちぱちと何かが燃える音がする。
暗闇の中に青い炎がふっと現れ、探索者達を誘うように揺れる。
青い炎は探索者達をいざないながら、辺りの風景をかすかに照らす。
誰かの部屋、月夜の墓場、無数のランタン、南瓜畑、茨、そして――
――探索者達はレンガ造りの円形の部屋で目を覚ます。
そしてそれは、奇妙な舞台の幕開けの合図だった。
備考
探索者達はハロウィンにちなんだ仮装をした状態で目覚める。
仮装に応じて異なる修正を受けるため、何の仮装をするかは事前に決めておくことを推奨する。
デフォルトの仮装は「吸血鬼・人狼・ゾンビ・黒猫」の4種だが、必要に応じて新たに仮装を設定しても良い。
ただし、「魔女」の仮装は不可。
02.索引
概要
01.あらすじ
02.索引
03.背景
04.最初の部屋
05.茨の部屋
06.南瓜畑
07.ランタンの間
08.月夜の墓場
09.魔女の小屋
10.エンディング
11.報酬
12.より詳しい背景情報
13.利用規約・更新履歴
03.背景
概要
コスチューム、一時的な特殊能力、出血描写、身体の分離・欠損描写、殺傷、恐怖、対戦格闘・ケンカ描写、強制的な死亡、口論などの精神的PvP、自殺・自傷、昆虫、NPCの死
このシナリオには上記の要素が含まれているが、事前にPLに知らせるかどうかはKPの任意。
要素としての度合いが薄いもの、行動によっては発生しないものも存在するため、PLから相談があった場合はシナリオ本文を見て適宜対応すること。
また、これはシナリオ作者の主観で要素をリストアップしたものだ。ここにはないがPLに知らせたい要素があれば自由に付け加えて良い。
背景情報
とある国にアリア・スミシー(Aria Smithee)という絵本作家がいた。
彼女はハロウィンを愛し、ハロウィンを題材にした絵本を多数制作し、温かくもほんの少しの毒を含む作風は国内でそれなりに人気を博していた。
しかしある日のこと、彼女はシャッガイからの昆虫(以下シャン)に寄生されてしまう。
シャンは彼女が持つハロウィンの記憶、ハロウィンへの愛情に着目する。
娯楽に飢えていたシャンは、彼女の記憶を元にして「多くの人間が苦しみ絶望する様を見る為の舞台」を精神世界に作り上げた。
シャンはアリアを「魔女アリア」として操り、夢を通じて舞台に迷い込んできた者を絶望へと誘ってきた。
操られつつも意識は保っていたアリアは、愛するハロウィンが殺戮の舞台にされていること、そしてアリア自身の手で迷い込んできた者を殺している事実に徐々に精神を蝕まれていく。
……勿論、それもシャンの「娯楽」の一種であった。
幾度となく繰り返され、アリアの精神を蝕んできた冒涜的なショー。
不運にもこの舞台に迷い込んでしまった探索者達は、無事に生還することは出来るのだろうか。
NPC:魔女アリア
STR | 5 | CON | 8 | POW | 8 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 9 | APP | 18 | SIZ | 12 |
INT | 17 | EDU | 15 | 正気度 | 5 |
耐久 | 10 | MP | 8 | db | 0 |
武器 | |||||
なし | |||||
装甲 | |||||
なし | |||||
呪文 | |||||
スペクトラル・ハンターへの変身(ルールブックP265) | |||||
技能 | |||||
回避(18) |
褐色の肌に黒く長い髪、そして金色の瞳を持つ女性。
記憶喪失状態にあり、自分の名前以外のことは覚えていない。
しかしその事実や現状に動揺する素振りはなく、どこか飄々とした物言いで探索者と接する。
メタ的に言えば、彼女の外見と性格はニャルラトテップを連想させるためのブラフ。
その実態はシャンに寄生された人間で、ハロウィンを愛好する絵本作家。
長い寄生生活によって自分の意志はほぼ消失しており、シャンの意のままに動く。
記憶喪失もシャンの意向によるものなので、アリアが意図的に記憶喪失のふりをしているわけではない。
なので〈心理学〉を用いても核心に迫る情報は得られない。
正気度は設定されているが、怪物の目撃などシナリオ中で探索者が遭遇する現象には慣れ切っている。
彼女の正気度が減少するのは「ここに迷い込んできた者を自らの手で殺した時」のみであるため、シナリオ中で彼女が正気度喪失を行うことはない。
それでも今まで多数の者を殺めてきたことにより廃人寸前の状態にある。
シャンにとっては「魔女が精神を蝕まれていく様」も娯楽のひとつのため、探索者達の中からアリアに代わる新たな魔女を仕立て上げようとしている。
なお、アリアは基本的に技能ロールを行わないが、探索者の技能値によっては補助NPCとして技能値を設定しても良い。
その際の職業は作家にすることを推奨する。
04.最初の部屋
――探索者達は堅く冷たい床の上で目を覚ます。
指先に凹凸の感触が伝わり、程なくしてレンガを並べて作られた床であると分かるだろう。
身を起こして周囲を伺うと、壁もレンガを積み立てて作られた円柱状の部屋のようだった。
部屋の中央には成人男性の背丈ほどはある【石碑】があり、壁には扉が一つだけあった。
そして見上げてみると天井には無数の蝙蝠がひしめいているが、眠っているのか鳴き声もなく、ただ静かにそこにいるだけだった。
レンガ造りの円形の部屋。
天井は非常に高いが、大量の蝙蝠が天井を埋め尽くしている。
部屋の中央には成人男性の背丈ほどはある石碑、壁面には扉が一つだけ備え付けられている。
探索者が目覚め、自分の格好に気付いた時点で【0/1】の正気度喪失。
その後自己紹介ロールなどを挟み、探索に移る。
なお、最初の部屋~茨の部屋の間で初めて死亡者が出た場合は生き残った探索者達に【1D3/1D6】の正気度喪失を行い、死亡探索者には【05.茨の部屋/イベント:死亡探索者が見たもの】を行うこと。
2人目以降の死亡者は特別なイベントは無く、死亡扱いとする。
調査:石碑
部屋の中央に建つ石碑。誰かがこれに注目した時点で全員の頭に以下の言葉が流れ込む。
ようこそ迷い人 ここはハロウィンの国
非力な迷い人の旅の一助になる力を貸し与えよう
探索者達は呪文「悪戯を施す」を習得し、【1/1D3】の正気度喪失。
なお、この呪文はシナリオ内限定呪文の為、生還後は忘却する。
〈目星〉
石碑の表には四つの怪物の姿(探索者が仮装した姿)、裏にはうっすらと魔女のようなシルエットが彫られている。
(これは魔女も探索者達と同じ存在であると示している)
表には探索者の知らない言語で文章が彫られているが、その意味は自然と理解できた。
Trick or Treat!
少しきもちを集中するだけで、君達は怪物の力の欠片が貰えるよ!
でも気を付けて。
怪物には弱点がある。そこを突かれちゃおしまいだ。
誰かに弱点を知られてもいけない。
例え仲のいいお友達であってもね!
その後、探索者それぞれの頭に呪文による効果と弱点が告げられる。これは個別に通達すること。
呪文の効果は共有して問題ないが、弱点を共有した場合は【呪文:弱点を突かれた場合】の処理を行う。
呪文:悪戯を施す
1D4ポイントのMPを消費することで、それぞれの仮装に見合った能力が短時間だが使えるようになる。
吸血鬼 | |
---|---|
効果 | 蝙蝠を自在に操る。蝙蝠をどう利用するかはPLの提案による |
弱点 | 杭による攻撃 |
人狼 | |
効果 | 次に行う〈聞き耳〉〈回避〉〈戦闘技能〉に+20の修正 |
弱点 | 銀製品による攻撃 |
ゾンビ | |
効果 | 次に受けるダメージを半減 (小数点以下は切り上げ。7のダメージを受けた場合、3.5→4のダメージとなる) |
弱点 | 〈医学〉〈応急手当〉等による耐久値の回復 |
黒猫 | |
効果 | 自身が直前に振ったダイスを振り直す |
弱点 | 累計3ポイント以上の耐久減少 |
新たに仮装を設定する場合は、その仮装に応じた能力を設定すること。
「使わなくても進めるけど、使った方がちょっと楽」程度に留め、弱点によっては罠の内容を変更、あるいは追加すると良い。
なおアリアの魔女としての能力は、
効果 | この世界のあらゆる事象を操る |
---|---|
弱点 | 儀式の最中に「魔女は駒に過ぎず、他に黒幕がいる」と指摘されること |
であり、能力の行使によるMP減少も発生しない。
(儀式については【08.月夜の墓場/イベント:儀式】参照)
探索者がアリアを置いて行く、アリアを盾にするなど「アリアが不利になる行動」を取った際は呪文を行使して瞬間移動する、探索者と位置を入れ替えるなどの行動を取る。
アリアのRP方針は「ニャルラトテップを連想させる怪しさ」が基本のため、呪文を用いて不利な状況を回避したり不可思議な現象を起こして怪しさを演出して良い。
呪文:弱点を突かれた場合
弱点を突かれた場合、以下のイベントが発動する。
○○の視界は暗転する。
方向感覚が狂いそうな暗闇の中、○○の指先を何かが這う。
「しんじゃった!」
かさかさ。腕が覆われる。
「かいぶつがしんじゃった!」
かさかさ。脚が覆われる。
「しんじゃったんだ!」
かさかさ。顔が覆われる。
無数の何かは○○の全身を覆いつくし――
「いただきまーす!」
――ふと気がつけば、○○は地面に倒れていた。
視界が暗転する前にいた場所。何ら変わりない風景。
今しがたの出来事は白昼夢の一種なのだろうか?
全身を襲う異様なけだるさが、「いや、あれは現実だ」と囁いているように思えた。
★正気度喪失【1/1D3】
以降、該当探索者は呪文「悪戯を施す」使用不可+全技能値半減(小数点以下切り捨て)。
体を這っているもの、喋っているものはシャン。
「怪物としての探索者」を喰らい弱体化させている。
調査:扉
扉に近づいた時点で天井の蝙蝠が騒ぎ出し、その中からシャンタク鳥が現れる。
探索者達が扉に近づいたその時、今まで沈黙を保っていた蝙蝠達がきいきいと騒ぎ出す。
天井から粘性のある液体がぼたり、ぼたりと垂れ落ちる。
蝙蝠の狂騒は一層大きくなり、彼らが飛び立つと同時にその奥に潜んでいたものが現れた。
霜と硝石にまみれた翼を羽ばたかせ、木の幹のように太い四肢が床を揺らし、石碑を壊し、地に降り立つ。
象を超える巨躯はこの部屋を窮屈に、逃げ場がないように感じさせ、馬に似た頭部が放つどろりとした無機質な眼差しが探索者を射すくめる。
その身体の大きさ。翼。四肢。貌。全てが「これはこの世界の生物ではない」と感じさせ――
背筋を震わせる咆哮が部屋を揺らした。
★正気度喪失【0/1D6】
正気度喪失処理後、戦闘へ移行。
攻撃や回避などの行動の代わりに技能を振ることも出来る。
また、扉はそのまま開くことも出来るが〈目星〉を振ることも出来るとPLに伝えること。
「シャンタク鳥」
STR | 34 | CON | 13 | POW | 10 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 10 | APP | - | SIZ | 50 |
INT | 3 | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 32 | MP | 10 | db | 0 |
武器 | |||||
噛みつき | 50% | 2D6+2のダメージ | |||
装甲 | |||||
皮膚(9ポイント) | |||||
呪文 | |||||
なし | |||||
技能 | |||||
回避(20) |
扉の向こう側へ逃げる、あるいはシャンタク鳥を倒すことで戦闘は終了する。
〈目星(扉)〉
扉に簡単な罠が仕掛けられていることに気付く。
以降、〈DEX*3〉あるいは〈鍵開け〉で罠を解除できるようになる。
行動:扉を開ける
罠を解除していない場合のみ、横から銀の矢が飛んできて【1D3】の耐久減少+腕を使う技能に-20の修正。
矢を受けたのが人狼の時は【呪文:弱点を突かれた場合】の処理を行う。
なお、飛んでくるものを「銀の杭」にすることで吸血鬼も弱点の対象になる。
難易度が上がる可能性があるため、銀の杭にするかどうかはKP裁量。
その後【05.茨の部屋】へ移動。
05.茨の部屋
部屋に入ってまず視界に飛び込んだのは緑。
先程の部屋と同じような円柱形の部屋に見えるが、壁も、床も、天井も、全てが【茨】で覆われていた。
部屋の中央を貫くように生えた巨大な柱もまた茨で覆われており、【一人の女性】が茨に囚われていた。
最初の部屋ではシャンタク鳥が暴れており、時間経過で扉を破って侵入する。
〈目星(部屋全体)〉
壁一面が茨で覆われていて、どこかに扉があったとしても分からないだろうと感じる。
〈生物学(茨)〉
茨を調べてみると「通常の茨とは何かが大きく異なる」と感じる。
行動:魔女との接触
魔女は深く眠り込んでおり、いくら呼びかけても揺さぶっても起きる気配はない。
トゲが刺さらないよう慎重に、あるいは力ずくで一気に魔女を捕らえる茨を取り除くことが出来る。
慎重に取り除く場合は無傷で魔女を救出できるが、【イベント:怪物の目覚め】直後にシャンタク鳥が現れる。
力ずくで取り除く場合は【1D2】の耐久減少ののち魔女を救出し、【イベント:怪物の目覚め】が発生する。
イベント:怪物の目覚め
茨を取り除き魔女を救出した時点で発生。
部屋中の茨がざわざわと蠢き始める。
柱を覆っていた茨が取り払われ、その奥に潜んでいた灰色の木肌があらわになる。
天井に届かんばかりの梢が震え、人一人は入れそうな穴が開いた楕円形の何かがぬるりと顔を出す。
太い根は床の茨を押しのけ、足のようにうねりだす。丸太を思わせる太い枝がしなり、床を打ち付け震わせる。
……そう、柱だと思っていたこの巨大な生物こそが、この部屋の茨を統べるものだったのだ。
★正気度喪失【0/1D6】
正気度喪失処理後、戦闘へ移行。
茨を慎重に取り除いた場合は1ラウンド目からシャンタク鳥が現れる。
力ずくで取り除いた場合は〈STR*5〉に成功すれば茨を引きちぎり、ザイクロトルからの怪物の技能値に-10の修正が入る。
また、こちらの場合は2ラウンド目からシャンタク鳥が現れる。
この時点では魔女は気絶しているが、〈医学〉〈応急手当〉に成功すると直ちに目を覚まし自力で移動する。
気絶した状態で運ぶ場合は〈探索者のSTRと魔女のSIZ(12)で抵抗表ロール〉が必要となる。
「ザイクロトルからの怪物」
STR | 51 | CON | 34 | POW | 10 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 14 | APP | - | SIZ | 44 |
INT | 7 | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 40 | MP | 10 | db | +5D6 |
武器 | |||||
触手 | 50% | 1/2dbのダメージ+組み付き | |||
丸のみ | 100% | 5D6のダメージ | |||
装甲 | |||||
皮膚(8ポイント) | |||||
呪文 | |||||
なし | |||||
技能 | |||||
回避(28) |
最初は〈触手〉を使用し、組み付きに成功した時点で組み付いた相手に対して毎ラウンド〈丸のみ〉を使用する。
ザイクロトルからの怪物が目覚めることで部屋の茨が動き、新たな扉が露わになる。
ただし探索者が扉の存在に気付くには〈目星〉に成功する必要がある。
〈目星〉成功後扉の向こう側へ逃げる、あるいはシャンタク鳥とザイクロトルからの怪物を倒すことで戦闘は終了する。
扉に鍵や罠の類はなく、問題なく開いて戦闘から離脱できる。
なお扉の上部には南瓜の飾りがあるが、技能ロールで出る情報はない。
行動:扉を開ける
この時点で死亡者がいない場合、最後に扉をくぐる探索者に対して下記のイベント。
○○が扉をくぐろうとした瞬間、扉の上部に備え付けられていた南瓜の飾りがぶるぶると震えだす。
それは一瞬のうちに膨れ上がり、口を開き、いびつな牙を剥けた。
人の頭などいともたやすく飲みこんでしまいそうだ、と考えているうちに○○の視界は暗転する。
先に扉をくぐった他の探索者達は見ただろう。
○○の頭が巨大な南瓜に食われ、無数の茨が○○の姿を覆い隠し部屋を埋め尽くす様を。
先に扉をくぐった他の探索者達は聞いただろう。
○○の頭が咀嚼され、茨によって全身がへし折れる音を。
……全ての情報が示唆する事実を理解するのに、そう時間はかからなかった。
★正気度喪失【1D3/1D6】
その後、部屋は茨に埋め尽くされ強制的に【06.南瓜畑】へ移動。
イベント:死亡探索者が見たもの
死亡探索者に対して個別で下記のイベントが発動する。
○○は暗闇の中で無数の虫の羽音を聞く。
全身をさわさわと何かが這いまわり、その音に紛れて笛の音が微かに聞こえ、視界が青い炎に包まれ――
そこで○○の意識はふっつりと途絶えた。
探索者はこの時点では死んでいない。
KPが指定するタイミングで復活するが、それに伴い下記の制限が入る。
・復活後、魔女に対して忠誠心を抱き、彼女の言葉を信頼し、彼女の行動を補佐するようになる。
・上記のイベントから復活するまでの間の記憶はない
これらの制限事項を他のPLと共有することは禁止。
死亡探索者は【07.ランタンの間】で探索者と合流する。
ただし彼・彼女はシャンに寄生され、魔女の命令に服従する存在となっているが、死亡探索者自身にその自覚はない。
上記イベントの光景を最後に記憶は途切れ、彼・彼女が次に知覚するのは【07.ランタンの間】で目覚める時。
06.南瓜畑
見渡す限りに南瓜畑が広がっていた。
濃緑の海を彩るように橙の【南瓜】が方々に転がり、点在する街灯がぼんやりと辺りを照らす。
数匹の蝙蝠が夜空を飛び回り、蔦がはびこる【古い井戸】の傍には同じように蔦で覆われた【古い石板】がひっそりと佇んでいる。
振り向いてみると探索者達が先程までいたレンガ造りの家屋があるが、その扉は固く閉ざされていた。
見渡す限りに広がる南瓜畑。時間帯は夜。
先程までいたレンガ造りの家屋は扉が閉ざされてしまっている。
無理矢理扉を開けると茨に襲われて【1D2】の耐久減少。
アリアがまだ目覚めていない場合、南瓜畑に到達した時点で目覚める。
なお、アリアを置いて茨の部屋から出ていた場合、閉ざされていた扉が開き、部屋を埋め尽くしていた茨が道を譲るように動き、アリアが南瓜畑までやってきて探索者と合流する。
その光景を目撃した探索者は【0/1】の正気度喪失。
調査:石版
暗闇に紛れて見失ってしまいそうなほど目立たない石版。
石版には何かが彫られているが、蔦が邪魔な上に街灯の光も届きづらく、〈目星〉に成功しない限り文面を読み取ることはできない。
〈目星〉
以下の文面を読み取る。
石板の文章
この世界を統べるはハロウィンの王
王はその身を緑の海に隠し その魂を硝子の小部屋に閉じ込めた
彼の身に血肉を捧げ 彼の魂を高く掲げる時
王は顕現し 最後の道が開かれる
〈アイデア〉に成功すると「ハロウィンの王とはジャックランタンでは?」と思い至る。
調査:南瓜
大小さまざまな南瓜が転がっており、その中でも人の頭ほどはありそうなひときわ大きな南瓜が異彩を放っている。
大きな南瓜に対して技能ロールが行える。
〈聞き耳〉
南瓜の中で無数の何かがさわさわと這うような音を捉える。
〈南瓜に何かをぶつける〉
遠くから何らかの道具を使って刺激を与えた場合、南瓜の皮を突き破って無数の虫が現れ飛んでいく。
〈南瓜に触れる〉
探索者が南瓜に触れた瞬間、南瓜の皮を突き破って無数の虫が現れる。
ぶぶぶぶぶぶぶと耳障りな羽音と共に探索者の顔にぶつかり、どこかへ飛んで行く。
★正気度喪失【1/1D2】
南瓜に何かをぶつける、あるいは南瓜に触れて中に潜んでいた虫を追い払うことにより、中身をきれいに食い尽くされ、ジャックランタンでよく見る顔の形に穴が空いた【くり抜かれた南瓜】が残される。
この【くり抜かれた南瓜】はジャック・オー・ランタンを召喚するのに必要な媒体。「その身」にあたる。
これを持って行かない場合はアリアが別の媒体を準備する為、【くり抜かれた南瓜】は入手必須というわけではない。
調査:井戸
内側までびっしりとツタの張った枯れ井戸。
底を覗くと橙色の明かりが見えるが、それと同時に底から銀の杭が射出される。
〈聞き耳〉に成功すると何かが射出される音を聞き取り〈回避〉に挑戦することが出来る。
〈聞き耳〉に失敗、あるいは〈回避〉に失敗すると銀の杭が突き刺さり【1D3】の耐久減少。
杭を受けたのが吸血鬼、あるいは人狼の時は【04.最初の部屋/呪文:弱点を突かれた場合】の処理を行う。
〈アイデア〉
枯れ井戸の底はどこかに繋がっているのではと気付く。
〈井戸を降りる〉
枯れ井戸の底には窓付きの木製の扉があり、すりガラスの窓の向こうから橙色の光が漏れている。
扉を開けると【07.ランタンの間】へ移動。
07.ランタンの間
暗闇に無数の橙が浮かんでいた。
目が慣れてくると、橙の正体は無数の【ランタン】であると気付くだろう。
先が見えないほど長い廊下を、それらがじわりと照らしていた。
無数のランタンが橙色の明かりを灯す、細長い廊下。
調査:ランタン
どのランタンも同じ形のもの。中では赤い炎がぼんやりと燃えている。
〈目星〉
火種も燃料もないのに燃え続けていることに気付く。
★正気度喪失【0/1】
〈考古学〉
このランタンはそれなりに価値のある骨董品で、ある手順を踏むと底の一部がスライドして小物を収納することができる造りだと思い出す。
中を確認すると新聞を見つける。日本語で書かれているが、切り抜きの為日付は分からない。
切り抜きの新聞記事
「絵本作家謎の昏睡 サイン会中止に
アメリカ在住の絵本作家、アリア・スミシー(25)が昏睡状態に陥り、今月末に東京で開催予定だったサイン会を中止することが明らかになった。
ハロウィンを題材にした絵本は少し毒を含んだ温かみのある画風で人気を博しており、日本でも何作かが翻訳、出版されていた。」
一緒に小さな顔写真が載せられており、少し画質は荒いがアリアであると分かる。
なお、この記事をアリアに見せても忘れているため大した反応は得られない。
これはアリアが現実に存在する人間だと示す情報。
他のランタンにも同じ記事が入っている。
〈クトゥルフ神話〉
ランタンの炎をじっと観察していた探索者は、炎が大きく揺らめくのを見る。
そしてその瞬間、探索者の目は全く異なる風景を映し出す。
灰色の金属で出来た神殿が建っている。
等間隔で灯された青いかがり火が辺りを照らし、焚き木が爆ぜる音は無数の羽音がかき消した。
無数の鳩ほどの大きさの虫がどこか興奮した様子で神殿の方を向いていた。
やがて無数の羽音に応えるように神殿の扉がゆっくりと開き、そこから触手のようなものが這い出し――
そこで視界は暗転し、次の瞬間には○○の目はランタンの炎を再び捉えた。
★正気度喪失【1/1D3】
探索者が見たのはシャンが神殿でアザトースの化身であるザーダ=ホーグラを信仰している場面。
行動:奥へ進む
行き止まりに青く燃えるランタンと、それを抱えている全身をぼろきれで包んだ人間を発見する。
〈目星(ランタン)〉
ランタンそのものはこの部屋に溢れているものと同じであり、違うのは中の炎だけだと気付く。
〈目星(人物)〉
その人物が生きていると気付く。ただし、話しかけても反応はない。
〈ランタンを取る、または人物に触れる〉
その瞬間、ぼろきれが落ちる。その奥に隠されていた顔は死亡した探索者のもの。
死亡した探索者はこの時点で目覚め、死亡時に体験した内容で【1D3+1/1D6+1】の正気度喪失。
この後、死亡探索者は合流して探索に参加する。
死亡探索者の瞳は青色に変わっており(元から青い瞳の場合、同じ青でも色味が異なる)、死亡探索者以外の探索者が〈目星〉に成功すると、瞳の奥で青い炎のようなものが揺らいでいることが分かる。
【青い炎のランタン】は死亡探索者とアリア以外の者が触れると非常に熱く感じてしまう。
無理に持つと【1D2】の耐久減少。
【青い炎のランタン】を持てるのはシャンと近しい存在である死亡探索者とアリアのみ。
「王の魂」にあたるこれは代替がきかない為、アリアは死亡探索者に対してランタンを大事にするよう告げる。
(死亡探索者の体にはこの時点でシャンが潜んでいる。青い瞳、その奥で揺らぐ青い炎がそのしるしとなる)
イベント:暗闇の追跡者
死亡探索者との再会が終わった時点で【青い炎のランタン】以外の全てのランタンが一斉に消える。
この時〈聞き耳〉で死亡探索者のすぐ近く、座っていたところから重い何かがずりずりと動きだす気配を感じ取る。
すぐに共有して逃げた場合は何もないが、それ以外の行動をとる、あるいは全員が〈聞き耳〉に失敗した場合、死亡探索者以外のうちでランダムに選ばれた探索者が何かに拘束される。
〈探索者のSTRとSTR21の抵抗表ロール〉で引きはがしに成功(多人数での協力可)。
失敗した場合は拘束された探索者に【2D6】のダメージ。
上記の処理後、戦闘へ移行する。
敵の正体は一体のスペクトラル・ハンター。死亡探索者が座っていた石棺の中に入っていた。
「スペクトラル・ハンター」
STR | 50 | CON | 8 | POW | 17 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 11 | APP | - | SIZ | 18 |
INT | 13 | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 13 | MP | 17 | db | +1D6 |
武器 | |||||
はさみ | 50% | 1D6+dbのダメージ 不可視状態時は技能値+20% | |||
噛みつき | 30% | 3D6のダメージ 不可視状態時は技能値+20% | |||
装甲 | |||||
皮膚(1ポイント) 不可視化(相手の技能ロールの目標値を自身のPOW*5(17*5=85)だけ減少させる) | |||||
呪文 | |||||
なし | |||||
技能 | |||||
回避(22) |
ランタンを守護する為の存在であり、元々はアリアの婚約者。アリアの命令には従順。
【07.ランタンの間】にいる限り、アリアと彼女の協力者である死亡探索者以外を襲い続ける。
戦闘開始時から常に不可視状態であり、それを解除することはない。
脱出した時点でアリアが待機を命じ、それ以上追ってくることはなくなる。
暗闇の中にいる間は敵味方を含めた全員の〈聞き耳〉以外の技能値が半減する。
スペクトラル・ハンターは不可視時の修正をかけた後半減。
(例:はさみで攻撃する場合、基本値50+修正値20=70を半減するため技能値は35となる)
なお〈聞き耳〉に成功すると〈回避〉は通常値で振ることが出来る。
〈DEX*5〉に成功する、あるいは3ラウンド経過すると脱出に成功。
来た道を戻り、入ってきた扉を開けると【08.月夜の墓場】へ移行。
08.月夜の墓場
扉を開けた先は井戸の底ではなく、広い墓地だった。
墓地の中央を起点として円形に【墓】が並び、月光が白や灰色の墓石を照らしている。
数匹の蝙蝠が夜空を舞う以外に、生物の気配はなかった。
無数の墓が円形に並んだ墓地。
満月が辺りを照らし、夜空には数匹の蝙蝠が飛んでいる。
振り向いて扉を確認した場合、そこには扉が埋め込まれた石造りの壁しかない。
それに気付いた探索者は【0/1】の正気度喪失。
調査:墓石
墓石の大半に人の名前が刻まれているが、ただ一つだけ「王は魔女の手で蘇る」と刻まれた墓石がある。
(墓石に刻まれた人名は今までこの夢の世界で殺された者の名前)
〈目星〉
地面にはその墓石を動かした形跡があることに気付く。
目星成功後は〈探索者のSTRとSTR10との抵抗表ロール〉が行える。
〈探索者のSTRとSTR10との抵抗表ロール〉
墓石を動かすことに成功し、その下に手帳が埋められていることに気付く。
開いてみると中身は全て英語で書かれている。解読には〈英語〉ロールが必要。
〈英語〉
大半が他愛もない内容だったが、手帳末尾のメモ欄に殴り書きのように下記の文言が記されていることに気付く。
手帳のメモ
ここは眠りの国。我々は迷い人。王は死への導き。
彼女は魔女 彼女は
(続きは土と血痕で汚されていて読むことが出来ない)
この手帳は以前にここに迷い込んだ人物が残したもの。
彼女が「魔女」であると同時に自分達と同じ「迷い人」であるのかどうか考えあぐねていた。
イベント:儀式
手帳調査終了時点で発生。
アリアが円形に並んだ墓の中央、少し開けた場所へ移動する。
【くり抜かれた南瓜】を持っている場合、それを所持する探索者の手から南瓜が弾かれるように飛び、アリアの元へ行く。
そして死亡探索者からランタンを受け取り、ランタンの中の炎を【くり抜かれた南瓜】の中に移してから呪文を唱え始める。
この時点で探索者達が何らかの行動を起こす場合、死亡探索者がその前に立ちはだかる。
〈言いくるめ〉あるいは〈説得〉に成功するとアリアは呪文の詠唱を中断して動きを止める。
だが、近付くと持っていた小刀で探索者を切り裂き【1D2】の耐久減少。
上記の説得を行った場合は探索者の血を、なければアリアが自身の手の平を切りその血を【くり抜かれた南瓜】に注ぐ。
これ以前に何らかの要因で【くり抜かれた南瓜】に血がかかっていた場合、説得及びアリアの自傷は発生しない。
【くり抜かれた南瓜】を取得しなかった場合はアリアがスペクトラル・ハンターを呼び出し、自分自身の首を刎ねてそれを媒体とする。
首を刎ねる瞬間を目撃した探索者は【1/1D6】の正気度喪失。
なお説得中に「魔女は駒に過ぎず、他に黒幕がいる」ということを何らかの確信を持って言われた場合は【イベント:魔女の弱点を突く】へ、それ以外の場合は【イベント:王の顕現】へ移行。
イベント:魔女の弱点を突く
「……あ、あああ……っ」「違う、私は、私は、魔女、皆を、幸せにする、魔女」
「違う、ちがう、まじょ、アリア は わたしは 」「わたし は アリア スミシー まじょ じゃ」
南瓜を地面に取り落とし、アリアは頭を抱えてその場にうずくまる。
そして、その頭から「それ」がずるりと這い出す。
鳩ほどの大きさの昆虫だった。
頭から生えている髭は複雑に曲がり絡み合い、十本の足は青白い下腹に沿うように折り曲げられている。
三角形の鱗で覆われた硬い翼は羽音を立てて夜の静寂を打ち壊し、瞼のない大きな瞳は探索者達を無機質に、そして真っ直ぐに捉えていた。
★正気度喪失【0/1D6】
正気度喪失処理後、戦闘へ移行。
これ以降アリアが完全に探索者の味方となり、積極的にヒントを与え、探索者を生還へ導く。
また、この時点でアリアは「魔女」ではなくなり、死亡探索者に対する行動制限は失われる。
「シャッガイからの昆虫」
STR | 2 | CON | 2 | POW | 18 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 31 | APP | - | SIZ | 1 |
INT | 16 | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 2 | MP | 18 | db | -1D6 |
武器 | |||||
融合 | 60% | 特殊イベント(詳細は後述) | |||
神経ムチ | 50% | 〈自身のMPと対象のMPの抵抗表ロール〉成功でそのラウンドの行動を封じる 抵抗表ロール失敗時は対象の次回の技能ロールに-20の修正を入れる | |||
装甲 | |||||
なし | |||||
呪文 | |||||
アザトースの招来(ルールブックP262) | |||||
技能 | |||||
回避(62) |
〈融合〉を受けた探索者は瞳の色が青色に変化し、〈融合〉を行ったシャンは消滅、新たなシャンが場に登場する。
その時点では何もないが、【09.魔女の小屋】にて取る行動によってはシャンの下僕として生きることになる(詳細は後述)。
なお、シャンを倒してもどこからともなく新たなシャンが1体現れる。
戦闘の終了条件は「この舞台から脱出すること」であり、それまで無限に湧いて出る。
イベント:王の顕現
青い炎を宿した南瓜がぶるぶると震え、大きな口を開いて魔女アリアの頭を一口で飲みこんだ。
魔女アリアの身体が大きく痙攣し、次の瞬間には青い炎に包まれた。
……そして、青い炎が彼女の指先に収束した時、そこに彼女の姿はなかった。
南瓜頭の長身の男がそこに立っていた。
骨と皮だけとも思える恐るべき痩身は上品な燕尾服を纏い、南瓜頭からは絶えず青い炎が漏れていた。
骨とも蔓ともつかない細い指先は、頭のそれと全く同じ表情を浮かべる南瓜の提灯を下げている。
全く同じ表情――そう、全ての倫理を蹂躙する冒涜的な笑みをもって、探索者達の前にハロウィンの王は現れたのだ。
★正気度喪失【1/1D8+1】
正気度喪失処理後、戦闘へ移行。
なお、このジャック・オー・ランタンはアリアがかつて見た「本物のジャック・オー・ランタン」を模したもの。
なので戦闘力は本物と比べるとかなり落ちる。
また、この時点で「魔女」はいなくなったため、死亡探索者に対する行動制限は失われる。
「ジャック・オー・ランタン」
STR | 21 | CON | 57 | POW | 35 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 18 | APP | - | SIZ | 19 |
INT | 17 | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 38 | MP | 35 | db | +1D6 |
武器 | |||||
締め付け | 75% | 1D6のダメージ&〈自身のSTRと対象のSTRの抵抗表ロール〉に成功するとさらに追加で1D6のダメージ | |||
飲み込み | 65% | 1D6+dbのダメージ&対象が〈幸運〉に失敗すると全技能-10 | |||
金切り声 | 100% | 全員に【0/1】の正気度喪失 | |||
蔦を操る | 75% | 〈STR10と対象のSTRの抵抗表ロール〉に成功すると移動、回避を封じる 蔓に1ポイント以上のダメージを加えると封じ状態解除(蔓に装甲はないものとする) | |||
装甲 | |||||
衣服と奇怪な肉(4ポイント&魔法を付与した武器、あるいは鉄による攻撃以外を無効化) | |||||
呪文 | |||||
ルーメン召喚(POWを1ポイント消費して1D10体のルーメンを召喚する) | |||||
技能 | |||||
回避(36) |
1ラウンド目はまだ体に慣れておらず、ぎこちなく手足を動かすだけに終わる。
もし【くり抜かれた南瓜】に注いだ血が探索者のものだった場合、魔女とは異なる意思を持つ者がジャック・オー・ランタンの一部を構成したため、ジャック・オー・ランタンの全ての技能に-20の修正が入る。
ジャック・オー・ランタンを倒した場合はその時点で世界が崩壊し、【10.エンディング/ED1】へ移行。
「ルーメン」
STR | 2 | CON | 4 | POW | 10 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 23 | APP | - | SIZ | 1 |
INT | 11 | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 2 | MP | 10 | db | -1D6 |
武器 | |||||
冷たい火傷 | 50% | 1D6のCONの永久的喪失 | |||
装甲 | |||||
魔術以外の攻撃は全て無効 | |||||
呪文 | |||||
なし | |||||
技能 | |||||
回避(46) |
いわゆる鬼火。ルーメン目撃による正気度喪失は【0/1D4】。
ルーメンの召喚は任意。
呪文〈ルーメン召喚〉以外に、ジャック・オー・ランタンが顕現した時点で2D10体のルーメンを連れている場合がある。
戦闘
戦闘開始後、〈目星〉で墓場から少し離れた所に小屋を発見する。
1ラウンド費やして小屋の近くまで移動し、その次のラウンドで【09.魔女の小屋】へ移動できる。
09.魔女の小屋
【暖炉】と【本棚】がある小さな部屋だった。
どこか温かみのある雰囲気を持っていたが、部屋には誰の姿もない。
暖炉と本棚がある小さな部屋。
各自1回技能ロールを振ると敵が追い付いてくる。
調査:本棚
〈目星〉
本の下から紙切れが少しはみ出しているのを発見する。
紙切れには「零下の炎は全てを侵食し、紅蓮の炎は全てを浄化する」と書かれている。
青い瞳に対しての〈目星〉情報を持つ探索者は追加で〈アイデア〉が可能。
(〈目星〉を行った本人だけでなく、情報共有された探索者も対象となる)
成功すると「零下の炎とは青い炎のことであり、このまま放置すると危険なのではないか」と気付く。
〈図書館〉
「幸福な魔女」というタイトルの絵本を発見する。作者は「アリア・スミシー」。
中身を流し読みすると、魔女とジャックが冒険する話と分かる。
〈目星〉で精査が可能。成功すると魔女はジャックと一緒に永遠にさまよう終わりであると分かる
絵本の結末
「ほんとうに いいのかい」 ジャックは いいました。
「いいの。ずっとひとりで さびしかったでしょう」 まじょは こたえます。
「わたしは しあわせを みんなに わけてあげる まじょだもの」
絵本の詳細については特に設定していないが、PLから内容を問われた場合は「幸福な王子」を連想させる自己犠牲の要素があり、その上読み込んでみると魔女は救われずに終わっていることに気付かされる内容であると伝えて良い。
調査:暖炉
〈目星〉
紅蓮の炎がぱちぱちと燃えており、その傍には薪があることに気付く。
追加で〈アイデア〉に成功すると、薪に火を付ければ簡単な武器代わりになるのではと気付く。
行動:暖炉の炎でジャックを燃やす
狭い小屋の中かつジャック・オー・ランタンのSIZは19であるため、技能ロール不要で暖炉の炎を灯した松明をぶつけることが出来る。
松明をぶつけるとジャック・オー・ランタンは悲鳴を上げて燃え尽き、空間そのものが崩壊して探索者達の視界は暗転し、【10.エンディング/ED1】へ移行。
死亡探索者が暖炉の炎で自分自身を燃やさない場合、死亡探索者は【10.エンディング/ED3】が追加される。
ただし、本棚の調査で〈アイデア〉に成功していない場合は、〈アイデア〉を振る条件を満たす探索者に対して〈アイデア〉を再度振り、行動するチャンスを与えること。
行動:暖炉の炎で自分自身を燃やす
窒息し、燃え尽きる痛みに苦しみながら、夢から覚める。
【10.エンディング/ED1】へ移行。
行動:シャンが襲ってきている場合
アリアがシャンにわざと融合され、シャンを道連れにして焼身自殺を図る。
融合の前にシャンに対して〈投擲〉で暖炉の炎を灯した松明をぶつけることでシャンのみ浄化できる。
アリアが焼身自殺を遂げた場合は【10.エンディング/ED1】へ、シャンのみ浄化した場合は【10.エンディング/ED2】へ移行。
こちらも死亡探索者が暖炉の炎で自分自身を燃やさない場合、死亡探索者は【10.エンディング/ED3】が追加される。
【行動:暖炉の炎でジャックを燃やす】と同様に〈アイデア〉の機会を与えること。
10.エンディング
ED1/舞台からの生還
紅蓮の炎が探索者達の視界を覆い尽くす。
暖炉が、本棚が、目の前に立つ誰かの姿が揺らぎ――そしてぶつりと視界は暗転した。
真っ暗な中で、探索者達は自身の身体がゆっくりと浮上していることに気付いた。
暗闇の奥底からは無数の虫の羽音が聞こえた気がしたが、すぐに辺りは静寂に包まれる。
探索者達の身体は暗闇の上方へ、光ある場所へ向かって行く。
「私は、皆に幸せを分けてあげる魔女だもの」
アリアの声が聞こえた気がした。
ふと目を覚ますと、探索者達は各々の寝室にいた。
仮装ではないいつもの服装。昇る朝日。鳥のさえずり。
探索者達は平和な世界にいることを実感するだろう。
調べてみれば「アリア・スミシー」という絵本作家が実在すること、その顔はあの魔女と瓜二つであること、彼女は長い間昏睡状態にあることなどが分かるだろう。
これらの事実を調べるかどうか、調べた上でどう行動するかは探索者達の自由である。
真相を突き止められるのか、彼女が目覚めるかは誰にも分からない。
ただ一つだけ言えることは……探索者達は奇妙な舞台から無事に生還した。それだけだ。
ED2/舞台の終焉
魔女の小屋が、この奇妙な舞台が、足元から崩れ落ちて行く。
闇の底へ落ちていく――かと思えば、探索者達の身体は重力に反してゆっくりと浮上し始めた。
闇の底からは無数の虫の羽音が聞こえた気がしたが、すぐに辺りは静寂に包まれる。
探索者達の身体は暗闇の上方へ、光ある場所へ向かって行く。
すぐ傍にはアリアの姿があり、その瞳からは静かに涙がこぼれていた。
「ありがとう。本当に、ありがとう」
アリアの声が確かに聞こえた。
ふと目を覚ますと、探索者達は各々の寝室にいた。
仮装ではないいつもの服装。昇る朝日。鳥のさえずり。
探索者達は平和な世界にいることを実感するだろう。
調べてみれば「アリア・スミシー」という絵本作家が実在すること、その顔はあの魔女と瓜二つであること、彼女は長い間昏睡状態にあったが、探索者達があの夢から覚めた日に目を覚ましたことなどが分かるだろう。
これらの事実を調べるかどうか、調べた上でどう行動するかは探索者達の自由である。
ただ一つだけ言えることは……探索者達は奇妙な舞台から無事に生還した。それだけだ。
ED3/終わらない舞台
……ただ一人だけ、○○は異なる場所で目を覚ます。
全てが茨に覆われた部屋。
あの魔女と出会った部屋。
その場所で、○○は茨に拘束されていた。
眼下にはアリアの姿があった。
虚ろな表情で、○○がいくら呼びかけても反応を返さない。
まるで抜け殻のようだ――そう思っているうちに、茨が彼女の身体に絡み付き、彼女は茨の海の底へと消えて行く。
どこからともなく虫の羽音が響く。
無機質だが、確かな意思を持つ「それ」は○○に命令を下した。
――今度の「魔女」はお前だ。
抗いがたい強い眠気とともに、○○の意識は、身体の主導権は、羽音の主に奪われた。
……○○はこの夢の舞台にて、迷い人を導く魔女となる。
導く先で彼らが王に殺されるか、王を清めるか、自身を清めるか。その選択肢に大した差異はない。
全ては「それ」の暇潰しでしかなく、○○は夢の舞台を導く者として、その精神が擦り潰されるまで迷い人を導き続けるだろう。
(該当探索者ロスト)
11.報酬
シナリオ中で得た各種アイテムは、エンディングを迎えた時点で探索者の手元から失われる。
ただし、魔術的要素のないアイテム(新聞記事や絵本「幸福な魔女」など)であれば、〈幸運〉に成功すれば持ち帰っても良い。
舞台からの生還
条件 | ED1 or ED2到達 |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 1D10の正気度回復 |
アリアの生還
条件 | ED2到達 |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 1D6の正気度回復 |
浄化の炎
条件 | 紅蓮の炎に焼かれた上でED1 or ED2到達 |
---|---|
対象 | 該当探索者 |
内容 | 1D3の正気度回復 |
死を経験する
条件 | シナリオ中で死亡し、魔女の下僕として復活する |
---|---|
対象 | 該当探索者 |
内容 | 1D3の正気度回復 |
弱点の秘匿
条件 | 「弱点」を突かれることなく生還する |
---|---|
対象 | 該当探索者 |
内容 | 1D3の正気度回復 |
儀式の目撃者
条件 | ランタンに対する〈クトゥルフ神話〉を成功させる |
---|---|
対象 | 該当探索者 |
内容 | 1D4の〈クトゥルフ神話〉 |
12.より詳しい背景情報
苦しませることが目的なのに、なぜ生還出来たのか?
舞台を作った当初は出口が無く、最終的にジャック・オー・ランタンになぶり殺しにされる場だった。
しかしアリアが「不確定要素を盛り込んだ方が面白い」とシャンに交渉し、呪文と出口の設置に成功した。
ただしその代償として、迷い人が舞台から生還する時にジャック・オー・ランタン(=アリア自身)が燃やされる苦痛を背負うことになる。
呪文「悪戯を施す」とは?
上記の交渉によりアリアが設けたもの。
石碑を調べた時に聞こえる声もアリアのもの。
呪文名の「悪戯を施す」とはアリアが探索者達に悪戯(呪文)を施していることの暗喩。
ランタンに隠されていた新聞は?
新聞は呪文と出口の設置時に、どさくさに紛れてアリアが手掛かりとして隠したもの。
アリア生還難しくない?
背景情報はあれど基本は「ニャルラトテップと思わせる存在」のため、アリアの生還条件はかなり難しめに設定している。
ED1が基本で、ED2に辿り着くのは珍しい方だと考えておいた方が良い。
13.利用規約・更新履歴
利用規約
こちらをご確認ください。
参考書籍
サンディ・ピーターセンほか(2004).『クトゥルフ神話TRPG』.株式会社KADOKAWA.
スコット・アニオロフスキーほか(2008).『クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム』.株式会社KADOKAWA.
連絡先
製作 | ミナカミ |
---|---|
HP | https://dara.sakura.ne.jp/ |
minakamiryu■infoseek.jp |
報告・感想等ありましたらHPのメールフォームやSNS等で送って頂けると有難いです。
更新履歴
2023/12/28 | 「03.背景」にシナリオに含まれる要素を追加 |
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2023/10/16 | 再公開、他シナリオとレイアウト統一 |
2019/03/20 | シナリオ非公開 |
2017/12/23 | 報酬の項にアイテムの持ち帰りについて記載 |
2017/08/17 | HTML版に差し替え |
2017/01/09 | 一部の描写および死亡探索者に関係する情報修正。その他細々とした微修正 |
2015/05/03 | 体裁統一、HP移転によりアドレス変更 |
2014/10/25 | 公開 |