銀は鍵となりて(ぎんはかぎとなりて)
このシナリオは「クトゥルフ神話TRPG(第6版)」に対応したシナリオです。
推奨人数 | 3~4人 |
---|---|
推奨技能 | 目星、図書館、英語(あるいは英語圏出身探索者) |
準推奨技能 | 聞き耳、医学、博物学、天文学、ラテン語 |
戦闘有無 | なし |
所要時間 | 約12時間(オンラインによるテキストセッション) |
複数回使用する機会がある、または生還やある程度の情報取得に必要な技能を「推奨技能」、1回は使用する機会がある、またはさらなる情報を得るために必要な技能を「準推奨技能」と区分しています。
〈英語〉が必要な個所は、英語圏出身の探索者であれば技能ロールなしで情報を取得できます。
若干有利ではありますが、全員が英語圏出身である必要はありません。
なお、所用時間はテストプレイを行った際にかかった時間です。
KPもPLも茶番好きかつ慎重なプレイスタイルのため、進行の仕方によっては所用時間が前後します。あくまで目安程度でどうぞ。
記法
シナリオの見方をご確認ください。
Copyright
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION
01.あらすじ
ある日の昼下がり、探索者はざわざわと木々がささめく音を聞く。
どこから音がするのだろうと辺りを見回しているとぐにゃりと視界が歪み――
――気が付けば見知らぬ部屋の中にいた。
(よくある突然のクローズド系。持ち物は「普段持ち歩いているもの」のみ持ちこみ可。
探索者の居住地によっては時差に応じて時間描写をずらしても良い)
02.索引
概要
01.あらすじ
02.索引
03.背景
04.ロビー
05.屋外
06.混沌の介入
07.居間
08.書斎
09.礼拝堂
10.牢獄
11.混沌の顕現
12.崩壊する館
13.エンディング
14.報酬
15.その他背景情報
16.利用規約・更新履歴
03.背景
シナリオ概要
見知らぬ館を舞台にしたクローズドシナリオ。
終盤は基本的に「大きな正気度喪失が発生」か「ロスト(またはロスト率が非常に高いルート)」のどちらかに行くことになる。
どちらのルートを取るかはPLの神話生物に対する価値観に影響されやすく、神話生物がこの場にいても何とかなる、死にはしないだろう、派手な展開が良い、などの価値観を持っているとロストに向かいやすい。
このシナリオにおいて神話生物は「人間など歯牙にもかけない対話不能の存在」である。
死体描写、恐怖、1D100級の正気度喪失、成り代わり、理不尽な死、災害
このシナリオには上記の要素が含まれているが、事前にPLに知らせるかどうかはKPの任意。
要素としての度合いが薄いもの、行動によっては発生しないものも存在するため、PLから相談があった場合はシナリオ本文を見て適宜対応すること。
また、これはシナリオ作者の主観で要素をリストアップしたものだ。ここにはないがPLに知らせたい要素があれば自由に付け加えて良い。
背景情報
アメリカ、ウィスコンシン州北部のリック湖周辺には深い森が広がっていた。
その森――ンガイの森は、かつては邪神「ニャルラトテップ」が地球に降り立つための拠点であったが、1940年に邪神「クトゥグア」とその眷属である「炎の精」によって焼き払われた。
それから70年以上の月日が経ち、木々は成長し、ンガイの森は再生しつつあった。
森の再生を受け、ニャルラトテップは拠点を再び我が物にしようと動き出す。
しかしンガイの森の中央部にはクトゥグアの狂信者達が神殿を建てており、ニャルラトテップが侵攻した日には即座にクトゥグアを召還するよう手筈を整えていた。
ニャルラトテップがンガイの森を手中に収める為には、自身の侵攻を狂信者達に悟られる前にクトゥグアの召喚に必要な祭器を破壊せねばならない。
しかし祭器には厳重な守りが施されており、一筋縄ではいかない。
「ならば、自分以外の無知なる者に破壊させれば良いのではないか?」
そう考えたニャルラトテップは、ある日の深夜に神殿の守り人を殺害して口を封じ、探索者達を呼び寄せた。
そして暗闇に乗じて探索者達のうちの一人と入れ替わり、祭器の破壊へ誘導しようとするのだった。
補足
舞台はアメリカ北西部の森の中に位置する狂信者の館。
故に得られる資料の大半は英語で書かれている。
英語圏出身であれば特に問題なく理解できるレベルである為、該当探索者は技能ロールが免除される。
本シナリオにおける敵は「ニャルラトテップ」と「クトゥグアの狂信者」の二者である。
この二者は対立関係にあり、探索者達はニャルラトテップに呼ばれた第三者。
中立の立場ではあるが、生還する為にはニャルラトテップに有利な行動を取らざるを得ない。
ニャルラトテップを退散させるルートもあるが、かなりリスクが高い。
注意点
あるギミックにより探索者のうち一人に確実に【1D10/1D100】の正気度喪失が発生する。
他の探索者もルート次第で同様の正気度喪失が発生する為、PLの傾向によっては事前に警告しておくこと。
また、このシナリオはテストプレイを3回行い、1回目は4人中3人死亡、2回目は全滅、3回目は4人中2人が正気度0、という結果に終わった死亡率の高いものである。
ある程度の緩和策は取っているものの、それでも死亡率は高いと思われる為、こちらもPLの傾向によっては事前に警告しておくこと。
04.ロビー
ひんやりとした硬い感触に、探索者達は目を覚ます。
辺りを見ると大理石で造られた吹き抜けの広間のようだった。
広間の左右から延びる階段は二階部分の扉に繋がり、その真下、一階部分にはもう一枚扉があった。
背後には出口と思しき大きな両開きの扉があり、天井からはシャンデリアがぶら下がっている。
そして何もない大理石の床の上には――男がうつぶせに倒れていた。
探索者達が最初に目覚める場所。
広いが何の飾り気もない吹き抜けのロビー。中央には男の死体と銀の剣がある。
ロビーの奥には木製の質素な扉。左右から伸びる階段の先、二階部分には白い石材で出来た扉。
後ろの方には両開きの扉がある。
携帯は圏外であり、窓の外には森と夜空が広がっている。
開始時点での時間は深夜0時丁度だが、これはアメリカ北西部の時間である。
探索者が持つ時計に表示されている時間は時差を考慮して伝える必要がある。
ウィスコンシン州と日本の時差は-15時間(日本が15時の時、ウィスコンシン州は同日0時)、ウィスコンシン州とイギリスの時差は-6時間(イギリスが6時の時、ウィスコンシン州は同日0時)。
【01.あらすじ】の導入文は日本を想定しているが、探索者の居住地によって適宜変更する事。
時間制限について
制限時間は5時間。深夜0時開始で朝の5時になった時点で下記のイベントが発生する。
(制限時間はKPが行う時間経過処理に合わせて適宜調整のこと。
なお上記の制限時間5時間は〈何らかの技能〉は10分、〈図書館〉は30分、イベント類は5分でテストプレイを行った結果、丁度良いと思われる時間設定)
窓から日の光が差し込み、探索者達の頬を照らす。
夜が明けて朝になったのだ。
そう理解すると同時に、ロビーの扉がぎいいと音を立てて開かれる。
このイベント以降、ロビーに「3人の狂信者」が現れる。
彼らはロビーの状況を見てニャルラトテップの襲来を悟り、警戒しながら館を探索し始める。
これ以降、探索者が移動する、あるいはある程度の時間が経過すると狂信者は探索者がいる部屋に近付くように移動する。
探索者と狂信者が遭遇すると、以降戦闘処理を行う。
「クトゥグアの狂信者」
STR | 13 | CON | 12 | POW | 10 |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 16 | APP | 10 | SIZ | 12 |
INT | 15 | EDU | 8 | 正気度 | 0 |
耐久 | 12 | MP | 10 | db | +1D4 |
武器 | |||||
拳銃 | 90% | 1D10のダメージ。攻撃回数3回 | |||
こぶし | 70% | 1D3+dbのダメージ | |||
組み付き | 50% | 組み付き | |||
装甲 | |||||
なし | |||||
呪文 | |||||
クトゥグアの招来(ルールブックP262) 炎の精の召喚/従属(ルールブックP283) | |||||
技能 | |||||
回避(70) 拳銃(90) 組み付き(50) こぶし(70) 心理学(99) ラテン語(50) |
狂信者は探索者が全滅するまで〈拳銃〉による発砲しか行わない。
もしも銃を奪取された場合は〈組み付き〉や〈こぶし〉を行う。
米国人であるため日本語による説得は通じず、仮に英語で説得を行った場合も〈心理学〉で探索者の企みを看破し無効化する。
探索者達と話し合うつもりはなく、無言で探索者の言葉を聞き流し、攻撃する。
基本的に時間切れによる全滅イベントの扱いだが、
・戦闘前に〈隠れる〉で狂信者を回避
・戦闘時に〈狂信者のDEXとの抵抗表ロール〉に成功すると逃走可能
など、救済要素を入れて探索を続行させても良い。
調査:男の死体
うつぶせで外傷はなく、触ると冷たくて死んでいることが分かる。
仰向けにすると恐怖にひきつったおぞましい形相の死に顔を見てしまい【0/1】の正気度喪失。
また、死に顔を見た時点で「この男は白人である」と分かる。
彼はクトゥグアの神殿の管理人。狂信者達は定期的に男を1人選び、神殿の管理をさせていた。
この日彼はニャルラトテップの気配を感じ取り、銀の剣を手に礼拝堂へ向かったが、ロビーでニャルラトテップに殺害された。
〈医学〉
死後数時間も経っていない遺体で死因は不明と分かる。
追加で〈アイデア〉に成功すると、
「この形相で外傷や毒物反応等の痕跡もなく死んでいるのは、現実問題として有り得るのだろうか?」
と人間業ではないと察してしまう。
★正気度喪失【0/1】
調査:銀の剣
良く手入れされた銀色の剣。
1D8+db、耐久2(耐久値は〈博物学〉に成功するまでは秘匿)。
剣を攻撃手段として用いる場合、〈サーベル〉で使用可能。この技能の詳細についてはクトゥルフ2010参照。
面倒であれば〈杖〉で代用しても良い。
銀の剣はクトゥグア招来に必要な祭器の一つ。
招来の呪文を唱える為に必要なMPを開放する鍵であり、探索者の命運を左右するもの。
銀の剣には3体の「炎の精」が封じられており、加えて銀の剣に施されたまじないによりニャルラトテップには触れない祭器となっている。
〈目星〉
刀身に装飾のように薄く文字が刻まれている事に気付き、同時に以下の事実が自動的に頭に流れ込む。
・銀の剣を手にした探索者は条件を満たす事で〈ある神格の招来〉を唱えることができる。
「ある神格」とはクトゥグアのことだが、この時点では上記の内容だけ伝え、それ以上の情報は与えない。
詳しい仕様は【11.混沌の顕現】で特定の条件を満たした際に明言。
〈ラテン語〉
刀身に刻まれていた文字の解読に成功する。
刀身に刻まれていた文字
紅蓮の前で祝詞を唱え 使者が来たりて共に呼ぶ 我らが王を 共に呼ぶ
(〈クトゥグアの招来〉を唱える際に「炎の精」によるMP補佐が入る事を示すヒント。
MP補佐の詳細は【11.混沌の顕現】に明記。)
〈博物学〉
表面だけでなく全てが銀で出来た、紛れもない純銀製の剣であり、それ故に脆く「武器として使えるものではない」と分かる。
同時に、銀の剣の耐久値を公開する。
〈銀の剣を破壊する〉
【11.混沌の顕現】で特定の条件を満たす前にこの行動を取ると、ニャルラトテップが「闇に棲みつくもの」として姿を現し、探索者達を殺害する。
「銀の剣で特定の条件を満たすこと」がニャルラトテップが探索者達に求めていることであり、それが達成出来なくなった時点で探索者達の存在価値は無くなってしまうため。
闇に棲みつくもののステータスは【11.混沌の顕現】参照。
調査:木製の質素な扉(居間の扉)、白い石材で出来た扉(礼拝堂の扉)
両方とも鍵がかかっている。
居間の扉は【鉄の鍵】、礼拝堂の扉は【銀の鍵】で開く。
〈鍵開け〉
上記の鍵を使用せず扉が開く。
しかし扉を開けて移動しようとした時点で【06.混沌の介入】が発生する。
調査:シャンデリア
かなり古いシャンデリア。現時点では特に振れる技能はない。
調査:両開きの扉(出口の扉)
鍵はかかっていない。
扉を開くと【05.屋外】に移動。
05.屋外
辺りは深い森に覆われていた。
地面は一切舗装されておらず、見上げてみると満天の星空があった。
〈天文学〉に成功すると、星座の位置関係や時計に表示されている時間から現在地を類推し、「おそらくここは日本ではなくアメリカのどこかだ」と察する。
歩いての脱出を試みる場合、まず全員が〈ナビゲート〉を振る。
全員が失敗すると【13.エンディング/ED5】へ移行。
誰か1人でも成功すると続いて全員が〈幸運〉を振り、誰か1人でも失敗すると【13.エンディング/ED6】へ、全員が成功すると【13.エンディング/ED7】へ移行する。
06.混沌の介入
鉄の鍵を入手(あるいは〈鍵開け〉に成功)し、別の場所に移動しようとした時点で発生するイベント。
探索者達が扉を開けようとする――その寸前、唐突にロビーの明かりが消え、暗闇が辺りを覆い尽くした。
耳元で風が唸り、ぎいぎいと耳障りな金属音が響く。
ひときわ強い風が吹き探索者達が姿勢を崩した瞬間、部屋の中央から轟音が響き、そして……一斉に明かりが灯った。
明るくなったロビーの中央にはシャンデリアが落ちており、男の死体が下敷きになっていた。
辺りが一瞬にして暗闇に包まれ、シャンデリアが落ちる。
それと同時に、「銀の剣を持っていない探索者のうち誰か1人(以降被害者と表記)」がニャルラトテップにさらわれ、【09.礼拝堂】奥の【10.牢獄】に閉じ込められる。
そしてニャルラトテップは被害者に成りすまし、自身の正体を秘匿したまま探索に参加する。
「ニャルラトテップが成りすましている探索者」は以降「ニャル探」と表記する。
被害者は牢獄の奥で意識を保っているが、五感はニャル探が感じているものをそのまま伝えられている。
ニャル探はそれらに対する被害者のリアクションを読み取り、それを忠実に反映する。
故に外見上は完全に被害者と同一であり、被害者のRPを阻害する要素は少ない。
被害者用イベント
被害者には個別で下記のイベントが発生する。
これは他のPLには分からない、KPと被害者PLの1対1の環境下で行う事。
ひときわ強い風が吹いた瞬間、○○の身体はぐいと強く持ち上げられた。
生暖かい、だが怖気の走る吐息が○○の顔にかかる。四肢は動かず、扉の開く音を耳にした。
暗闇の中、○○は確かに見た。見えてしまった。
○○の四肢に絡みつく触手。闇と同化するような黒い身体。温かいとも、冷たいとも取れる体温。
首から上に渦巻く漆黒の「なにか」が。にやりと。笑った。笑った。笑った。笑った。笑った。笑っ
……ふと気づけば、○○の目にシャンデリアが落ちたロビーの光景が映る。
そして強い風が吹いてからの事は○○の記憶からすっぽりと抜け落ちているのだが、○○自身がそれに気付くことはなかった。
被害者PLには以下の事実のみ伝える。
・個別イベントで起きた事は○○の記憶にない
・身体に異常はなく、技能に制限は入らない。普段通りに探索してよい。ただし行動には多少の制限が入る
・行動制限:館から逃げ出すなどの探索に消極的な行動は取れない
・行動制限:銀の剣には触れなくなっている。もし触れると火傷をしてしまう。また、銀の剣に触れることを無意識のうちに避けるようになる
・○○はこれらの制限に対して違和感を覚えない。自然とその制限に従った行動を取る
ニャルラトテップと入れ替わったという事実は被害者PLにも秘匿推奨。
また、銀の剣に触れないのはクトゥグアの狂信者が銀の剣にそのような細工を施している為。
ちなみにイベント直後に〈聞き耳〉に成功すると、「シャンデリアが落ちる音に紛れて上方の扉が開閉し、鍵がかけられる音」を聞く。
(※ニャルラトテップが礼拝堂奥から現れ、被害者を牢獄に閉じ込め入れ替わった際の音)
調査:落下したシャンデリア
落下の衝撃で形が歪んでしまい、修復は不可能。
また、男の死体がシャンデリアの下敷きになってしまっている。
〈目星〉
吊り下げ用の鎖はひとつ残らずねじ切られている。
「あの暗闇の一瞬で、何者かの手によって全ての鎖がねじ切られた」と理解するだろう。
基本仕様:ニャル探の目的
基本的に被害者と全く同じ言動を取る。技能値も全く同じ。
ニャルラトテップの目的は「クトゥグアの召喚に必要な祭器と魔力の集積装置を無力化する事」。
祭器とは【銀の剣】であり、集積装置は礼拝堂内に設置された【白水晶】。
銀の剣には対ニャルラトテップのまじないが施されており、ニャル探が触ると火傷してしまう。
白水晶は魔力が勝手に使われないよう封印されており、銀の剣によってのみ解放され、干渉が可能になる。
よって、ニャル探は「他の探索者に銀の剣で集積装置を開放させ、その後剣と装置を無力化する」という手順を踏む必要がある。
基本仕様:ニャル探の挙動
場所を問わず調査での技能ロールに成功する度、メモを取得する。
その際はドアに挟まっていた、巧妙に隠されていた、などそれらしい理由を添える。
なお、もう一度同じ場所を調査した場合は、本来の調査結果を出すこと。
メモは全て「探索者の過半数が母国語としている言語」で書かれている。
その言語が母国語の探索者なら技能ロール不要。それ以外の探索者はその言語の技能ロールが必要。
・1枚目
不運にも生贄に選ばれてしまった。
脱出は勿論だが、同じ犠牲者が二度と出ないように儀式に必要なものを破壊しなくては。
・2枚目
儀式の「鍵」は銀の剣のようだ。
脱出手段については「門」が裏口近くの石碑に刻まれているのを見つけた。
ただ特殊な封印が施されているのか、動く気配はない。
・3枚目
銀の剣で水晶に溜められた魔力を開放し、銀の剣と膨大な魔力をもって儀式を行うらしい。
ならば魔力を開放した後で銀の剣を折れば、行き場のない魔力で門の封印も解除されるのではないだろうか。試さなければ。
見つかるメモは最大3枚。
ニャル探が3回調査に成功する前に一通りの調査が終わりそうな場合は、一気に複数出す、あるいは内容を繋げて1枚のメモにしても良い。
これらのメモはニャルラトテップが用意したもの。
探索者の生還手段を部分的に示す情報だが、情報源が情報源だけに〈アイデア〉を織り交ぜて猜疑心を煽っても良い。
行動:銀の剣でニャル探を殺害する
【11.混沌の顕現】前にこの行動を取ると発生。
刃が○○の胸を貫くと同時に、銀の剣から凄まじい熱がほとばしる。
○○の身体はチョコレートのように溶け、漆黒の身体が再形成される。
探索者の眼前で「それ」は蠢いた。
「それ」に手足はない。「それ」に顔はない。
巨躯からは無数の歪な付属肢が生え、ひたひたと地面を舐めている。
首から上は絶えず渦を巻く三角錐が伸びているだけで、顔はない。
そのはずだが、「それ」が探索者を見据えている事は理解できた。
……理解できてしまった。
★正気度喪失【1D10/1D100】
闇に棲みつくものは探索者達に向けて触手を伸ばす――が、その眼前に火花が舞う。
銀の剣は××の手を離れ、意志を持つように浮き上がり、その刀身から熱と火花を撒き散らす。
その輝きと熱量に、闇に棲みつくものは次第に小さくなって行き……そして消えた。
闇に棲みつくものが消滅すると同時に、銀の剣は役目を終えたかのように地面に落ちた。
ニャルラトテップは即座に「闇に棲みつくもの」に変化するが、炎の精の追撃を受けて退散する。
(人間形態時に致命傷を受け、変化をしたところで大した力は残っていなかったため、複数体の炎の精であれば退散が可能になる。)
闇に棲みつくものが退散したところで生還にはならず、探索は続ける必要がある。
【09.礼拝堂】に入り、銀の剣で集積装置を開放し、その後石碑に刻まれた「門」に触れなければならない。
「門」に触れた時点で【13.エンディング/ED2】に移行する。
通常ルートと比べての主な差異は以下の通り。
・【10.牢獄】で被害者を救出するまでの流れは同じ
・被害者に闇に棲みつくもの目撃による正気度喪失は入らない
・救出前後の【11.混沌の顕現】は発生しない
・時間切れの対応は通常ルートと同様
07.居間
台所にテーブルにベッド。必要最低限の生活道具が揃っている部屋だった。
どれも古びているが壊れてはおらず、床に埃が積もっている様子もない。
そして部屋の奥と右側に一枚ずつ扉があった。
神殿の管理人の生活スペース。
台所や寝具があり、最低限の生活を送る為に必要なものが揃っている。
部屋の南部と東部に扉がある。
調査:台所
設備が非常に古い台所。何枚かの張り紙が貼られている。
台所自体は丁寧に手入れされており、今なお使えるものであると分かる。
〈目星〉
張り紙は大半がレシピのように見えるが、1枚だけ他とは雰囲気の違う紙を見つける。
文章は英語で書かれており、読み解くには技能ロールが必要。
張り紙に対して〈英語〉
「日の出、南中、日の入りに配給と礼拝。違和感に注意。余所者は排除」と書かれている。
追加で〈アイデア〉に成功すると、「日が昇る頃に誰かが来る。そして、自分達は『余所者』にあたるのではないか」と気付く。
調査:ベッド
薄汚れてくたびれたベッド。布団は丁寧に敷かれている。
〈目星〉
サイドボードの中から革表紙の小さな本を見つけるが、中は英語で書かれている。
小さな本に対して〈英語〉
守り人は以下の務めを欠かさぬよう
・朝、昼、夜に神器に祈りを捧げる
・炎は決して絶やさない。変化があれば適宜補給する
・月に一度の石碑点検時は機能有効化の為水晶の封印を解くが、無駄な魔力の使用は控える
・石碑点検時の移動先のイメージは村でよい
……など、生活様式について簡潔に記されている。
(ここで言われている「炎」は炎の精のこと。
剣と水晶の中に封じられている炎の精に異変があれば、適宜召喚して新しい炎の精を封じている。)
調査:テーブル
食事の痕跡があり、パンやスープ、野菜サラダなどが半端に残っている。
〈目星〉
傷んだ様子もなく、食事はほんの数時間前に行われたと分かる。
調査:二枚の扉
部屋の南部と東部に設けられた扉。
ここは一見して分かることなので、技能なしに情報を開示する。
部屋の南部の扉はこちら側から閂がかけられている。
閂を外すと扉は開き、外に出ることができる。
すぐ傍に木箱と白い石碑があり、調べることが可能。
なお【04.ロビー】から外に出て回り込んだ場合も木箱と白い石碑は調べることが可能。
ただし、閂を外していない場合は扉から中に入る事は出来ない。
部屋の東部の扉は鍵もかかっておらず、簡単に開く。
扉を開けると【08.書斎】に移動。
調査:木箱
鉄枠で補強された頑丈そうな木箱。
中には保存食が入った麻袋がぎっしりと詰められている。
〈目星〉
木箱の中の麻袋には日付のタグが付けられており、日付順に整理整頓されている。
古い日付だったり埃をかぶっている袋もなく、つい最近まで使われていたようだ。
調査:白い石碑
探索者の身長ほどはある大きな石碑。
〈目星〉
石碑には魔法陣のような図形が刻まれており、その細やかな模様から得体の知れない雰囲気が感じられる。
ベッドを調査して「小さな本」の解読に成功している場合のみ、追加で〈アイデア〉が振れる。
アイデアに成功すると、探索者は「これを上手く利用すれば元いた場所に帰ることができる」と察し、
メタ情報として「条件を満たした状態でMPを3ポイント消費すれば任意の場所へ移動できるのでは?」とPLに伝える。
08.書斎
部屋に入った途端、古い紙のにおいが鼻についた。
本棚が三列に並び、扉のすぐ隣には机と椅子があった。
神殿の管理法や神格について記された本が収められている書斎。
どこか埃臭い、年期を感じさせる本がずらりと並んでいる。
本棚の調査は手前・中央・奥の3列で別々に行う。
調査:本棚(手前)
紐で綴じられた紙束がぎっしりと詰まっている。
〈図書館〉
数百年前から続く日記のようで、おおよそ三十年毎に筆跡が変わっている。
中身は英語で書かれているが、同じような短文が続くばかりで大した情報はなさそうだ。
調査:本棚(中央)
革表紙のしっかりとした造りの本が並んでいる。どうやらアルファベット順に並んでいるようだ。
〈図書館〉
どの本も英語で書かれており、挿絵の雰囲気から宗教書のように見える。
神についてや信者の生活様式など、様々なことが書かれている。
調査:本棚(奥)
黒い背表紙の本が並んでおり、他の本棚のものよりかなり丈夫な造りをしている。
〈図書館〉
「Emergency Action」と書かれた一冊の本を見つける。
中身は英語だが、挿絵を見ていくと
「この神殿は邪神に狙われている」
「邪神は人間に化けて現れるだろう」
「万が一邪神が神殿に入り込み、水晶に近付くことがあれば、銀の剣と水晶を用いて神の助力を乞う事」
と書かれていることは推測できる。
本に対して〈英語〉
添えられた説明を読むと、
「邪神の名前は『Nyarlathotep』であり、助力を乞うべき神は『Cthugha』という名前である」
「Cthughaの助力で神殿と森は浄化され、Nyarlathotepは退散する」
と分かる。
この情報を得た後、アルファベット順に並んでいる中央本棚の本に対して「ニャルラトテップについて調べる」「クトゥグアについて調べる」ことが可能になる。
ただしこれについてはPLが思いつくまでKP側からは提示しない。
〈アイデア〉に成功すればヒントを出す程度に留めること。
〈ニャルラトテップについて調べる(英語)〉
その姿は千変万化。誰かに成りすます事など造作もなく、細心の注意を以て警戒する必要がある。
悪意に満ちた恐るべき邪神だが、人間に成りすましている時の膂力自体は脅威ではない。
警戒すべきは目的である。
〈クトゥグアについて調べる(英語)〉
その姿は巨大な生ける炎。
神器を通じた呼びかけによってこの世に顕現し、邪なるものを祓う。
調査:読書机
小さなランプと筆記具がある小さな机。ランプの傍には【銀の鍵】が落ちている。
【銀の鍵】はロビーから2階に上がり、礼拝堂に入る為に必要。
〈目星〉
引き出しの中に丸められた紙が入っており、広げてみると「1980 spell?」とだけ書かれている。
現在の管理人が過去の日記を振り返って「退散の呪文」に興味を持った際のメモ。
しかし同胞に「神を呼べば確実なのだから、呪文は知らなくてもいい事だ」と説得され、管理人は呪文を知ることなく、丸められたメモだけが残った。
この情報を得た後、手前の本棚に対して「1980年代の日記を調べる」ことが可能になる。
ただしこれについてはPLが思いつくまでKP側からは提示しない。
〈アイデア〉に成功すればヒントを出す程度に留めること。
1980/xx/xx
深夜、一夜の宿を求める行きずりの旅人を名乗る男が現れた。
彼を誘い入れ、最近手に入れた文献を解読して得た呪文を唱えると、無事成功した。
私一人では神器の助けが必要だが、神の手を煩わせる必要もなく使命を果たす事が出来た。
……しかし、あれが本当に現れる時が来るとは思わなかった。
私が守り人を務めている間はあれも警戒するだろうが、次の代はどうなるか分からない。
明日、同胞に報告しなければ。
1980/xx/xx
同胞に「その呪文は確実性に欠ける」と責められた。成功したのは運がよかったからだと。
何十年ものあいだ休んで頂いていた神を呼び起こすのは気が咎めるのも分かる。
だがもし失敗したらどうなっていた?
守り人の仕事はミスが許されない。確実性に欠ける呪文を使ったことを責めるのも納得できる。
呪文はあれが触れないようまじないを施し、銀の箱の中に封印した。
無用な気を回すのはもうやめよう。明日からは神器により一層祈りを捧げなければ。
補足:1980年代の日記について
テストプレイ時は以下の内容を提示しており、その結果「何回もクトゥグアを呼んだことがあるのだから、今回も呼んで平気だろう」という誤解をしばしば招いていた。
通常版はそのミスリードが発生しづらくなるよう修正を加えているが、より難易度を高めたければこちらの内容を用いても良い。
1980/xx/xx
深夜、一夜の宿を求める行きずりの旅人を名乗る男が現れた。
彼を誘い入れ、最近手に入れた文献を解読して得た呪文を唱えると、無事成功した。
私一人では神器の助けが必要だが、神の手を煩わせる必要もなく使命を果たす事が出来た。
明日、同胞に報告しなければ。
1980/xx/xx
同胞に「その呪文は確実性に欠ける」と責められた。成功したのは運がよかったからだと。
守り人の仕事はミスが許されない。呪文を使ったことを責めるのも納得できる。
呪文は銀の箱の中に封印した。明日からは神器により一層祈りを捧げなければ。
書斎の調査で【銀の鍵】を発見すれば、【04.ロビー】から2階に上って鍵を外し、【09.礼拝堂】へ移動が出来るようになる。
09.礼拝堂
教会のような空間だった。
長椅子が左右に並び、部屋の奥には一台の教壇。
そして教壇の後ろには、大きな白い水晶が鎮座していた。
どこか荘厳な雰囲気の礼拝堂。
神殿の管理人や狂信者たちが祈りを捧げる場所であり、ニャルラトテップがやってきた際にクトゥグアを呼ぶための場所でもある。
部屋全体に対して〈目星〉を振ると、奥の壁の一部の色が異なる事に気付く。
その部分を近くでよく見ると回転式のドアである事が判明し、奥へ進むと【10.牢獄】へ移動する。
調査:教壇
ずっしりとした木材で出来た重厚な教壇。
〈目星〉
天板は中が空洞になっており、裏側にスライド式の扉がある。
開けると【銀色の円盤】を見つける。表面にはラテン語で何か文章が刻まれているようだ。
銀色の円盤に対して〈ラテン語〉
「銀の剣を持つ者のみ使用を許可する」と書かれていると分かる。
調査:白い水晶
教壇の後ろにある、探索者の背丈ほどはある巨大な水晶。触るとほんのり温かい。
〈目星〉
水晶の奥に炎のような、理解しがたい無数のうねりを見る。
★正気度喪失【0/1D3】
(水晶の奥に存在する炎の精の姿。
本来は炎の精を目撃しても正気度喪失は発生しないが、「神話生物がいる」ということをほのめかす為に正気度喪失を設けている。
不要であればここの正気度喪失は削除しても良い。)
〈銀の剣で白い水晶に触れる〉
【11.混沌の顕現】に移行。
10.牢獄
研磨されていない石を重ねて作られた粗末な小部屋だった。
小部屋に入ってすぐに頑健な鉄格子が立ち塞がり、明かりは乏しく薄暗い。
鉄格子の向こう側には大量の藁がこんもりと積もっており、小さな山のようになっていた。
石造りの狭い独房。鉄格子は空いている。
藁の山以外は目につくものはない。
行動:藁の山を調べる
藁の山の中では被害者が中で気絶している。
気絶した被害者を発見した時点で以下のイベント。
藁の山の中で○○は目を覚ます……いや、正確に言えば視点が変わる。
○○は先程まで他の探索者達と一緒に鉄格子を開け、藁の山をかき分けていた。
そのはずが、藁の山の自分の姿を見た瞬間、○○の視点はそちら側に移り変わった。
探索者と一緒に行動していた方の○○は、藁の山の自分に対して静かに口角を釣り上げた。
その表情を見た瞬間、○○は思い出す。
あの生暖かさを。あの怖気を。あの冷たさを。あの渦を。あの漆黒を。あの笑みを。あの混沌の。あの知覚できない。あの見えないはずの。あれは あ れ は
被害者は、夢の中で見た化身(闇に棲みつくもの)を思い出して【1D10/1D100】の正気度喪失。
またこの時点でニャル探は不気味な笑顔を浮かべて姿を消す。
他の探索者は姿を消す瞬間を目撃し、【1/1D3】の正気度喪失が発生する。
調査:藁の山
藁の山を崩した後に調べることが可能になる。
〈目星〉
藁の山の中から【古びた銀の箱】を見つける。
蓋には円形の窪みが浅く彫られている。
調査:古びた銀の箱
鍵穴はなく、どれだけ力を込めても開きそうにない。
1980年代の日記に書かれていた「銀の箱」。
ニャルラトテップが触れないようまじないを施し、鍵である銀色の円盤も「銀の剣の所有者」しか使えないよう細工を施していた。
これらの細工はニャルラトテップが呪文を奪い、始末することを防ぐためである。
〈銀色の円盤をはめる〉
「銀の剣を持つ探索者」がはめた場合、問題なく開き、一枚の羊皮紙を見つける。
「銀の剣を持たない探索者」がはめた場合、円盤は熱を持って砕け散り、【1D2】の耐久減少。
円盤は喪失し、古びた銀の箱を開けるのは不可能になる。
〈羊皮紙に触れる〉
とても古い紙。ラテン語で文章が書かれている。
ラテン語が読めずとも、触れるだけで「ニャルラトテップの退散」を習得し、同時に【1/1D6】の正気度喪失が発生し〈クトゥルフ神話〉を5ポイント獲得する。
なお、「ニャルラトテップの退散」の習得は一時的なもの。
生還して数日も経てば呪文は忘れてしまうだろう。
羊皮紙の内容に対して〈ラテン語〉
「この呪文は不完全である。魔力を得た状態に効くかどうかは分からない」と書かれている。
牢獄から礼拝堂に戻った時点で【11.混沌の顕現】に移行する。
11.混沌の顕現
被害者に化けていたニャルラトテップが「闇に棲みつくもの」に変化し、水晶に蓄えられていた魔力を奪い、銀の剣を破壊する為に動き出す。
ここに至るには下記の2つのルートがあり、それによって途中までの対応が若干異なる。
・【10.牢獄】に移る前に銀の剣で白い水晶に触れた場合
・【10.牢獄】のイベントと調査を終えて礼拝堂に戻った場合
「闇に棲みつくもの」
STR | - | CON | - | POW | - |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 8 | APP | - | SIZ | - |
INT | - | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 54 | MP | 50 | db | +6d6 |
ニャルラトテップの化身の一つ。
ンガイの森を拠点としていたが、クトゥグアによって奪われてしまった。
本シナリオでは外見こそ本来の姿のままだが、身体能力は大幅に弱体化している。
探索者に対する敵意は薄く、探索者の周りを駆け、決断を急かすように音を立てたり吠えたりする。
銀の剣で白水晶に触れるまでは他の部屋への移動は許さないが、触れてからは探索者がロビーに逃げるよう促し始める。
基本的に闇に棲みつくものから探索者に攻撃を加えることはないが、相談や無関係な行動で時間がかかっている場合は〈咆哮〉や〈付属肢での威嚇〉で警告を発しても良い。各攻撃の詳細は「マレウス・モンストロルム(P.223)」参照。
【10.牢獄】に移る前に銀の剣で白い水晶に触れた場合
触れた時点で以下のイベントが発生。
その瞬間、礼拝堂の明かりは消え、窓の外も暗闇に覆い隠された。
水晶の白が紅に染まり、うすぼんやりと光る。紅水晶の周囲以外は完全な暗闇だった。
そして探索者達の周りで風が唸る。暗闇の中を「何か」が駆け巡る。
その姿ははっきりとは見えない。しかし、それは人智を超えたものである事は肌に感じられた。
★正気度喪失【1/1D10】
ニャル探はここで姿を消し、被害者は牢獄で目覚めるが、礼拝堂に繋がる回転扉はどれだけ力を込めようと開かない。
礼拝堂側から牢獄に入ろうとしても「闇に棲みつくもの」が探索者を攻撃して阻止する。
……つまり、このルートに入った時点で、被害者の生還は不可能になる。
以降は【イベント:紅水晶に変化】参照。
【10.牢獄】のイベントと調査を終えて礼拝堂に戻る
礼拝堂に戻った時点で以下のイベントが発生。
その瞬間、礼拝堂の明かりは消え、窓の外も暗闇に覆い隠された。
うすぼんやりと光る白水晶だけが唯一の光源で、その周囲以外は完全な暗闇だった。
そして探索者達の周りで風が唸る。暗闇の中を「何か」が駆け巡る。
その姿ははっきりとは見えない。しかし、それは人智を超えたものである事は肌に感じられた。
★正気度喪失【1/1D10】
正気度喪失後は「暗闇の中で輝いているのは【白水晶】と○○が持っている【銀の剣】である」と状況を提示する。
また、ロビー及び牢獄へ繋がる扉は閉ざされており、扉に近付くと「闇に棲みつくもの」が攻撃する。
つまり銀の剣で白水晶に触れ、紅水晶に変化させるまで他のエリアへの移動は不可。
紅水晶に変化させてからは【イベント:紅水晶に変化】参照。
イベント:紅水晶に変化
白く光っていた水晶は紅色の光を放つようになる。
それと同時に窓の外、石碑があった場所から光の柱が立ち上り、礼拝堂からロビーに繋がる扉が開き、「クトゥグアの招来」の詠唱が解禁される。
「ニャルラトテップの退散」は修得している場合のみ詠唱可。
基本的にこのタイミングでの詠唱を想定しているが、紅水晶に変化する前から詠唱は出来る為、PLが望むのであれば退散の呪文の詠唱リスクは先行して提示して良い。
この段階で「礼拝堂から去り石碑を利用して帰る」「クトゥグアの招来を唱える」「ニャルラトテップの退散を唱える」といった行動が取れるが、探索者全員が何らかの行動を取った時点でニャルラトテップは紅水晶から魔力を吸収し、身体能力を強化する。
そうなった時点でクトゥグアの招来・ニャルラトテップの退散は無効化されてしまう。
何らかの行動には辺りを確認する、ロビーに繋がる扉を抑えて退路を確保するなど逃走や呪文の詠唱以外の行動も含まれるため、注意すること。
呪文の詠唱については、それぞれの詠唱にかかるリスクとして以下の内容を提示する。
〈クトゥグアの招来〉
・詠唱者は1D10の正気度を喪失する
・手を繋ぐことで複数人のMPを合算できる
・合算した場合も正気度喪失は詠唱者のみ
・消費したMPがそのまま目標値となる
・紅水晶を利用する場合、65ポイント分が補填される
(初期目標値65、そこからMP加算)
〈ニャルラトテップの退散〉
・詠唱者に正気度消失はない
・手を繋ぐことで複数人のMPを合算できる
・まず退散の道を開くのに20ポイントのMPが必要
・道を開いた時点での目標値は5であり、そこから追加で1ポイント消費する度に5ずつ目標値は加算される
・紅水晶を利用する場合、20ポイント分が補填される
(=初期目標値5、そこからMPを加算)
・ただし、それなりのリスクを伴う
〈クトゥグアの招来〉は銀の剣にいる3体、そして紅水晶の中の2体の炎の精から合計65ポイントのMPを借りる。
また詠唱時は炎の精が闇に棲みつくものを威嚇する為、闇に棲みつくものからの干渉も受けず、「呪文の詠唱は」安全に行える。
〈ニャルラトテップの退散〉は紅水晶の中の2体の炎の精から合計20ポイントのMPを借りる。
(※銀の剣にいる3体の炎の精はクトゥグア招来時のみMPを借りることができる)
こちらは「呪文の詠唱は」それなりにリスクがある。
行動:礼拝堂から去り石碑を利用して帰る
全員が礼拝堂から去った時点で扉は閉まり、礼拝堂に再び入ることは不可能になる。
それ以外は特にこれと言った脅威はなく、石碑に対して3ポイントのMPを消費することで日本に帰還できる。
【13.エンディング/ED1】に移行。
なお、全員が何らかの行動をしてニャルラトテップが身体能力を強化した場合もこの行動を取らざるを得なくなる。
行動:クトゥグアの招来を唱える
詠唱者(銀の剣の所持者)は1D10の正気度を喪失し、呪文を詠唱する。
この時点での発狂は基本的に考えない。
呪文の詠唱に成功した時点でクトゥグアが現れ【13.エンディング/ED3】に移行しロストとなる。
……が、【12.崩壊する館】を行っても良い。
ただしこちらも致死率が非常に高いため、クトゥグアの招来は基本的に全滅ルートである。
行動:ニャルラトテップの退散を唱える
呪文を唱えようとすると闇に棲みつくものが探索者に接近し、紅水晶に照らされた姿を直視する。
暗闇の中、探索者の眼前で「それ」は蠢いた。
「それ」に手足はない。「それ」に顔はない。
巨躯からは無数の歪な付属肢が生え、ひたひたと地面を舐めている。
首から上は絶えず渦を巻く三角錐が伸びているだけで、顔はない。
そのはずだが、「それ」が探索者を見据えている事は理解できた。
……理解できてしまった。
★正気度喪失【1D10/1D100】
これは詠唱者だけでなくMP提供者にも発生し、発狂したかどうか、および発狂症状が行動可能なものかどうかで以下のマイナス補正が入る。
詠唱者が発狂(行動可能な症状) | 目標値-20で詠唱可能 |
---|---|
詠唱者が発狂(行動不能な症状 or 正気度0) | 詠唱が不可能になる |
MP提供者が発狂(行動可能な症状) | 提供できるMPが半減(端数切捨て)する |
MP提供者が発狂(行動不能な症状 or 正気度0) | MPの提供が不可能になる |
これらのマイナス補正を加えた上で詠唱ロールを行い、成功すればニャルラトテップは退散する。
ニャルラトテップが去ると礼拝堂は明るくなり、石碑に対して3ポイントのMPを消費することで日本に帰還できる。
【13.エンディング/ED2】に移行。
詠唱ロールに失敗した場合は、ニャルラトテップは探索者を敵とみなして攻撃を開始する。
出口も閉ざされ、探索者が全滅するまで攻撃は続くだろう。
詠唱者が発狂し詠唱ロールそのものが不可能になった場合は、何も起きないまま詠唱者・MP提供者共に行動終了となる。
(詠唱ロールを行わない=ニャルラトテップは探索者が退散の呪文を修得していることに気付かず、敵と見なさない)
全員の行動が終了した後の処理は【イベント:紅水晶に変化】および【行動:礼拝堂から去り石碑を利用して帰る】を参照。
なお、全員がMPを失い気絶した場合、探索者達は時間切れまで気絶し続け、夜明けとともにやってきた狂信者達によって撃ち殺されてしまう。
また、帰還に必要な3ポイント分のMPを残していない場合も日本に帰ることができず、こちらも同様に狂信者達によって撃ち殺されてしまう。
12.崩壊する館
クトゥグアの招来に成功した場合、【13.エンディング/ED3】かこの【12.崩壊する館】のどちらかを行う。
どちらを行うかはKP裁量。
探索者達が呪文を唱え終わると、窓ガラスは一斉に砕け散り、外は白い光に照らされた。
閃光のような白い光が収まると、そこには巨大な炎の塊があった。
その輪郭は高温に揺らめき、意志を持つかのようにぐにゃりと歪む。
まるで呼吸するかのように絶えず炎を噴出し、そこからは光の小球が生み出されている。
人智を超えた光の津波。夜の闇は、炎の王によって祓われた。
★正気度喪失【1D3/1D20】
クトゥグアが招来された事により、ニャルラトテップは退散する。
部屋はたちまち異常なまでの熱を持ち、窓の外では森が火の手を上げている。
しかし役目を果たしたクトゥグアは元いた場所へ帰ることなく、1D100*10匹の炎の精と共に森と館を燃やし、破壊の限りを尽くそうとする。
探索者達が生還するには炎と破壊をかいくぐり、石碑から3ポイントのMPを消費することで日本に帰還しなければならない。
……しかし、探索者達にはもはや一刻の猶予も残されていない。
クトゥグア目撃による正気度喪失で発狂していた場合、その探索者は以降の技能ロールに-20の補正が入る。
ただし、行動不能な症状の場合は技能ロールすら行えない。
〈精神分析〉を含めた何らかの行動(手を引く、叱責するなど)は各自1回のみ可能。
残された時間は「全力疾走して間に合うかどうか」程度なので、他の探索者を担いだり何度も〈精神分析〉を試みるようなら【礼拝堂からの脱出】は自動で失敗する。
礼拝堂からの脱出
まずクトゥグアは礼拝堂に向けて巨大な炎を放つ。
ロビーに繋がる扉へ向かう場合は〈DEX*3〉、窓から飛び降りる場合は〈DEX*4〉をロールする。
(※扉より窓の方が距離は近いため、目標値はやや高めになる)
ロールに失敗すればその探索者は炎に焼かれ死亡する。
ロビーに繋がる扉へ向かった場合は【館からの脱出】へ、窓から飛び降りた場合は落下による【3D6】のダメージを受けた上で【石碑への接触】に移行する。
なお飛降りの際に〈跳躍〉に成功するとダメージは【2D6】に軽減される。
ダメージを受けてショックロールに失敗、あるいは耐久が2以下になり気絶した場合はそのまま焼かれ、あるいは瓦礫に押し潰されて死亡する。
他の探索者が気絶した者に対して〈医学〉〈応急手当〉を試みた場合、成否にかかわらずその探索者も炎や瓦礫に巻き込まれて死亡する。
館からの脱出
礼拝堂を出て階段を駆け下りると同時に、館の天井が崩れ落ち無数の瓦礫が降り注ぐ。
〈回避〉に成功すると瓦礫に当たることなく館から脱出するが、失敗した場合は【3D6】のダメージ。
ショックロールに失敗、耐久2以下になった場合の対応は【礼拝堂からの脱出】と同様。
石碑への接触
崩れ落ちる館から脱出し、石碑へと向かう探索者に無数の炎の精が降り注ぐ。
〈幸運/2〉に失敗した探索者は炎の精の〈タッチ〉を受けてしまう。
「炎の精」
STR | - | CON | - | POW | - |
---|---|---|---|---|---|
DEX | 16 | APP | - | SIZ | - |
INT | - | EDU | - | 正気度 | - |
耐久 | 4 | MP | 13 | db | - |
〈タッチ〉の技能値は85だが、今回は確定で成功する。
〈タッチ〉によって熱ショックのダメージとMP喪失が発生する。詳細は「マレウス・モンストロルム(P.106)」参照。
炎の精の攻撃を受け、それでもなお気絶する事なく、MPが3ポイント以上残っていれば石碑を利用して任意の場所に帰ることができる。
【13.エンディング/ED4】へ移行。
13.エンディング
ED1/生還(退散失敗)
淡く輝く石碑に触れると、探索者達の視界はたちまち白く染まる。
光の中で探索者達の身体はふわりと浮き上がり――
――ふと気づけば、広い公園の片隅に探索者達は立っていた。
子供のはしゃぐ声。犬を連れて立ち話をしている婦人達。晴れ渡った青空。
先程までの暗闇とは程遠い、平和そのものの光景だ。
その光景を見ているうちに、探索者達は日常に戻れた事を実感するだろう。
……その一方。
紅水晶に蓄えられていた魔力を奪い取った邪神は、迅速に次の行動を起こした。
策を弄し、祭器を持つ人間は少し鬱陶しいものだが、紅水晶という祭器を奪ってしまえば塵にも等しい。
自身が苦手とする神を信仰する者達。牢獄に一人置いて行かれた探索者。
彼らの精神を蹂躙し、宗旨替えさせる事などたやすい事だった。
かくして邪神はかつて奪われた拠点「ンガイの森」を奪還する事に成功した。
邪神を快く思わない者達が退散に向けて動き出すのかもしれないが、生還した探索者達は、この事実を知る由もなかった。
(探索者達は無事に生還するが、ンガイの森は再びニャルラトテップの手に落ちる。
退散の術を失ったクトゥグアの信仰者達、そして牢獄から探索者を助けなかった場合は彼(彼女)も徹底的に精神を蹂躙され、あの神殿でニャルラトテップの為に働く冒涜的な狂人となるだろう。
他の地方に住むクトゥグアの信者達がニャルラトテップ退散の為に動き出すのかもしれないが、探索者達にとっては知る由もないことである。)
ED2/生還(退散成功)
淡く輝く石碑に触れると、探索者達の視界はたちまち白く染まる。
光の中で探索者達の身体はふわりと浮き上がり――
――ふと気づけば、広い公園の片隅に探索者達は立っていた。
子供のはしゃぐ声。犬を連れて立ち話をしている婦人達。晴れ渡った青空。
先程までの暗闇とは程遠い、平和そのものの光景だ。
その光景を見ているうちに、探索者達は日常に戻れた事を実感するだろう。
探索者達は邪神を退散させ、その企みを食い止めた。
邪神があの神殿を再び襲う事もあるかもしれないが、その頃にはあの神殿と縁のある者達の手で、より堅牢な仕掛けが施されているだろう。
……そう。探索者達の働きはあの神殿の、ひいては世界に這い寄る脅威を見事に遠ざけたのだ。
(探索者達は無事に生還し、ニャルラトテップの企みも阻止する。
銀の剣も無事であれば、クトゥグアの信者達によってンガイの森は守られ続けるだろう。)
ED3/クトゥグアを招来
探索者達が呪文を唱え終わると、窓ガラスは一斉に砕け散り、外は白い光に照らされた。
閃光のような白い光が収まると、そこには巨大な炎の塊があった。
その輪郭は高温に揺らめき、意志を持つかのようにぐにゃりと歪む。
まるで呼吸するかのように絶えず炎を噴出し、そこからは光の小球が生み出されている。
人智を超えた光の津波。夜の闇は、炎の王によって祓われた。
窓の外から凄まじい熱気が流れ込んでくる。
無数の光の小球が森に降り注ぎ、方々から火の手が上がる。
礼拝堂も例外ではなく、椅子も、教壇も、探索者達も、全てが高温に包まれ――
――その大規模な火災が収まった後には、何も残されていなかった。
もっともそれは、邪神を確実に退散せしめる手段であり、あの神殿に関係する者達にとっては最善の一手だった。
(クトゥグアは数多の炎の精を引き連れて現れ、神殿ごとンガイの森を焼き尽くす。
ニャルラトテップが確実に退散する為、クトゥグアの信仰者達にとっては最善の一手。
邪神に信仰を捧げる彼らにとっては、自らの命を燃やし尽くされる事など恐ろしくもなんともない。)
ED4/クトゥグアを招来した上で生還
光を放つ石碑に触れると、探索者の視界はたちまち白く染まる。
光の中で探索者の身体はふわりと浮き上がり――
――ふと気づけば、広い公園の片隅に探索者は立っていた。
子供のはしゃぐ声。犬を連れて立ち話をしている婦人達。晴れ渡った青空。
先程までいた空間とは程遠い、平和そのものの光景だ。
その光景を見ているうちに、探索者は日常に戻れた事を実感するだろう。
翌日、アメリカ、ウィスコンシン州で大規模な火災が起きたとの報道があった。
辺り一帯の森を焼き尽くす大火災は数日間報道を賑わせた。
炎は全てを灰に帰し、死者がいたのかどうかすら分からなかったと言う。
闇を纏う邪神は炎の邪神によって退散された。
それは、広いスケールで見れば喜ばしい事なのだろう。
……しかし探索者にとって、その代償はあまりにも重いものだった。
(探索者は生還し、ニャルラトテップの企みも阻止する。
しかしこのルートで全員が生還する事は難しく、ベストエンドとは言えない結末。)
ED5/歩いて脱出+〈ナビゲート〉全員失敗
探索者達はあてもなく森の中を歩いた。
夜が明け、日が高く上り、やがて沈む。
いくら歩いても、森は終わる気配を見せない。
己の無謀を嘆いても遅かった。
自分たちがどこにいるのか、どこへ向かえばいいのか、指標はとうに失われたのだから。
ED6/歩いて脱出+〈ナビゲート〉最低1人成功+〈幸運〉最低1人失敗
探索者達は星明りから導き出した方角を頼りに森の中を歩き出す。
やがて、森の中にひっそりと佇む小道を見つけた。
小道を辿って進んで行くと、いくつもの民家の明かりが探索者達の視界を彩る。
森の中の小さな村に歩み寄ると、夜警と思しき数人の男が近づいてきて――
――探索者達に向けて発砲した。
探索者達の胸から血が流れ出し、足からがくりと力が抜ける。
夜警の男は探索者達を囲んで見下ろし、小声で何かを話し合っていた。
「ただの人間のようだ。申し訳ない事をした」
「余所者は殺せ。それが我々の掟だ。気に病むことはない」
「おい、気を抜くなよ。死んだふりをしているだけかもしれん。もう一発いくぞ」
朦朧とする意識の中、探索者達がその会話を理解できたのかどうか定かではない。
額に当てられた金属の冷たさ。
ただそれだけが、探索者が最期に感じた事であった。
ED7/歩いて脱出+〈ナビゲート〉最低1人成功+〈幸運〉全員成功
探索者達は星明りから導き出した方角を頼りに森の中を歩き出す。
やがて夜が明ける頃、森を抜けて広い平地に辿り着く。
目を凝らしてみればはるか遠くに民家が見える。
民家に辿り着く頃、探索者達はここがアメリカであるという事を知るだろう。
旅荷物はなく移動経路も証明できない状態では、元の生活に戻るのも苦労するだろう。
だがそれは、神話的脅威とは無縁の、ある意味平穏な苦労であった。
(脱出に成功。多くの苦労を伴うものの、神話的脅威に晒される事なく生還できる。
消極的な選択かつ運が必要だが、ニャルラトテップがンガイの森を奪還する事は不可能になり、今回の事件を受けてクトゥグアの信仰者達はより強固に神殿の守りを固めることになるだろう。
……ただし、脱出前に探索者の入れ替わりが発生していた場合、その探索者だけはロストする。)
14.報酬
シナリオ中で得た各種アイテムは、エンディングを迎えた時点で探索者の手元から失われる。
館からの生還
条件 | ED1・2・4・7到達 |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 2D6の正気度回復 |
混沌の退散
条件 | ED2・4到達 |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 1D3の正気度回復 |
見初められし者
条件 | ニャルラトテップに攫われたが救出され、生還 |
---|---|
対象 | 該当探索者 |
内容 | 1D3の正気度回復、〈クトゥルフ神話〉+5 |
剛運
条件 | ED7到達 |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 1D6の正気度回復 |
補足:永久的狂気の処理
正気度0で生還した探索者が存在する場合、永久的狂気に陥る。
永久的狂気の処理はKPの任意だが、参考までにテストプレイで行った処理は以下の通りである。
永久的狂気の期間についてはまず〈POW*5〉をロールする。
成功した場合は2D6年間、失敗した場合は3D10年間、不定症状に苛まれる。
なお、例えその年数が経過して症状を克服したからといって、PCが探索者として復活する事はない。
(※不定症状はダイス、あるいは不定症状の一覧から選択。この辺りはPLの任意)
15.その他背景情報
セッション上では直接関係のない背景情報。
クトゥグアの狂信者について
遥か昔から存在し、転々と住処を変え、目立たずひっそりと過ごしていた集団。
1920年にクトゥグアが現れ、ンガイの森を焼き尽くした事件が起きると「この森はクトゥグアが悪しき邪神から取り返した聖地である」と解釈し、ンガイの森を永住の地と決めた。
永住してからも他者との交流は必要最低限にとどめ、狂信者たちの存在は一般には認知されていない。
館はあくまで信仰の為の施設であり、狂信者の大半は館からほど近い距離に作り上げた村に住んでいる。
館に住まうのは選ばれた守り人だけであり、守り人はおよそ30年毎に交代している。
銀の剣と水晶について
水晶はクトゥグアを招来する為の魔力、銀の剣は水晶を邪神に悪用されないための制御装置。
銀製品であれば何でも良いというわけではなく、それなりの装飾とまじないを施さなければならない。
そうした加工を施した銀製品は「不完全な状態の邪神」は触れることすらできなくなる。
逆に言えば、邪神がそれなりに力を得てしまえばこれらの対策は無意味。
探索者が水晶の魔力を利用しても最大で65ポイント分の恩恵しか得られなかったが、水晶の仕組みを熟知した狂信者であれば、一人で確実にクトゥグアを招来出来る程度の魔力を引き出すことが出来た。
クトゥグアの招来について
招来の呪文は遥か昔に書物を紐解いて実際に唱えたことがあり、それ以来連綿と受け継がれてきたもの。
その実績と前述の設備もあり、狂信者たちは招来の呪文に絶対の信頼を抱いている。
……が、ンガイの森に移住してから現在まで、招来の呪文が唱えられたことはない。
ニャルラトテップがンガイの森を奪還すべくこの地を訪ねたのは1980年代が初めてだが、その時は守り人がクトゥグアを案じて「ニャルラトテップの退散」を唱えた。
以降ニャルラトテップがこの地を再訪する事はなく、今に至る。
なお、ルールブック上ではクトゥグアの招来は恒星フォーマルハウトが観測できる時期(6月~11月頃)のみ有効。
これに合わせてセッションの開催時期を調整しても良いし、面倒であれば省略してしまっても構わない。
15.利用規約・更新履歴
利用規約
こちらをご確認ください。
参考書籍
サンディ・ピーターセンほか(2004).『クトゥルフ神話TRPG』.株式会社KADOKAWA.
スコット・アニオロフスキーほか(2008).『クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム』.株式会社KADOKAWA.
連絡先
製作 | ミナカミ |
---|---|
HP | https://dara.sakura.ne.jp/ |
minakamiryu■infoseek.jp |
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更新履歴
2023/12/28 | 「03.背景」にシナリオに含まれる要素を追加 |
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2023/10/16 | 他シナリオとレイアウト統一 |
2021/10/16 | 著作権表記、参考書籍を記載 |
2020/07/12 | 利用規約を修正 |
2017/12/23 | 報酬の項にアイテムの持ち帰りについて記載 |
2017/08/17 | HTML版に差し替え |
2015/09/15 | 【11.混沌の顕現】に説明追加 |
2015/07/25 | 公開 |