テセウスの園(てせうすのその)

このシナリオは「クトゥルフ神話TRPG(第6版)」に対応したシナリオです。

推奨人数2~4人
推奨技能目星、言いくるめ or 説得、精神分析
準推奨技能聞き耳、機械修理 or 電気修理、値切り、図書館、英語、心理学
戦闘有無行動によってはあり
所要時間約12~16時間(オンラインによるテキストセッション)

複数回使用する機会がある、または生還やある程度の情報取得に必要な技能を「推奨技能」、1回は使用する機会がある、またはさらなる情報を得るために必要な技能を「準推奨技能」と区分しています。

なお、所用時間はテストプレイを行った際にかかった時間です。
KPもPLも茶番好きかつ慎重なプレイスタイルのため、進行の仕方によっては所用時間が前後します。あくまで目安程度でどうぞ。

記法

シナリオの見方をご確認ください。

Copyright

本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION

01.あらすじ

街中を歩いていた探索者は、些末な出来事をきっかけに見覚えのない遊園地に迷いこんでしまう。
晴れ渡った空が広がり、辺りには誰もおらず、楽しげな音楽だけが流れている遊園地。
どこか日常とは異なる空間で、スピーカーからアナウンスが流れ出す。

<――迷子のお知らせをいたします――>

※これ以降はシナリオのネタバレが含まれます。ご注意ください。

02.索引

概要
01.あらすじ
02.索引
03.背景
04.NPC
05.導入
06.遊具探索
07.共通イベント
08.クライマックス
09.エンディング
10.報酬
11.利用規約・更新履歴

03.背景

シナリオ概要

遊園地を舞台にしてNPCと会話をしながら各アトラクションを巡って情報を収集し、時間経過によって新たなNPCが現れる等のイベントが発生してシナリオが進行して行く。
恐怖演出、シナリオの肝としては「着ぐるみの恐怖」「強制的に仕立て上げられた疑似家族」が挙げられる。

アトラクションを巡る順序は決まっておらず、情報収集が不十分でも生還は可能なため、巡ることができるアトラクションの個数や時間経過によるイベントはセッションの予定時間に合わせて調整を行っても良い。

シナリオに含まれる要素

殺傷、恐怖、遊園地、着ぐるみ、未成年が酷い目に遭う、NPCからの暴言、NPCの死、哲学的な問題、記憶喪失

このシナリオには上記の要素が含まれているが、事前にPLに知らせるかどうかはKPの任意。
要素としての度合いが薄いもの、行動によっては発生しないものも存在するため、PLから相談があった場合はシナリオ本文を見て適宜対応すること。
また、これはシナリオ作者の主観で要素をリストアップしたものだ。ここにはないがPLに知らせたい要素があれば自由に付け加えて良い。

背景情報

怪異のきっかけは今から数年前に起きた、遊園地「まほろばの国」での死亡事故。
ジェットコースターが脱線し、白樺礼司(しらかば れいじ)とその妻である和子(かずこ)が死亡した。
事故そのものには怪異に繋がる何かはなかったが、問題は礼司が超自然研究家という職業であったことだった。

白樺家には仁乃(にの)と充(みつる)という双子の子供がいた。
両親が死亡する瞬間を目撃し、精神的に不安定な状態になった双子は親戚の家に引き取られる。
しかし親戚の家に引っ越す前日、仁乃は父の書斎から「グラーキの黙示録第12巻の写本」を見つけ、それを読むことで邪神「イゴーロナク」を呼び寄せてしまう。

イゴーロナクは自身の名を知った者の元に現れ、それが悪意ある人間だった場合は体を乗っ取りイゴーロナクが人間に化ける際の姿の一つとなり、悪意に欠ける人間だった場合は貪り食って殺してしまう。
幼い仁乃には悪意というものがなかったが、イゴーロナクは仁乃の遊園地での事故の記憶に目を付け、彼女を食い殺すことはせずに「まほろばの国」を舞台にした異空間を作り上げた。

異空間はイゴーロナクが乗っ取るに値する体を量産するのにうってつけの環境だった。
この閉鎖空間に獲物を呼び寄せ、逃げ場のない状況で少しずつ精神を摩耗させ、仁乃が持つ「グラーキの黙示録第12巻の写本」を読むように仕向ける。
それだけで大抵の獲物は仁乃に対して悪意を抱き、イゴーロナクはその体を乗っ取っていった。

この異空間をより長期間利用する為には「悪意なき誘導者」として優秀な仁乃の精神を安定させる必要があった。
イゴーロナクは彼女の唯一無二の肉親である充を異空間に呼び寄せ、二人の情緒を安定させるために事故以降の記憶を曇らせた。

度重なる犠牲者の悪意に晒され、仁乃と充の精神が崩壊する、あるいは肉体が破壊されることもあった。
その度にイゴーロナクは健全だった頃の記憶を植えつけて彼らの精神状態を復元し、再生能力を持つ丈夫な肉体に作り替えた。
仁乃と充の精神は狂気に侵されていない健常なものだが、その精神と肉体は邪神によって作られたものだった。

こうして安定したサイクルで獲物を作り続けていた「まほろばの国」。
探索者達は不運にも獲物として選ばれてしまう。
イゴーロナクの狙い通りに体を乗っ取られてしまうのか、無事に生還を果たすのかは探索者次第であった。

備考:園内の文字

本シナリオで手に入る文字情報は特に明記されていない限り「探索者には到底読み解けない文字」であり、解読不能。
NPCは文字を読むことが出来るためNPCに読んでもらうか、【07.共通イベント/順応】を起こした探索者が読まない限り情報は入手できない。

04.NPC

白樺 仁乃(しらかば にの)

STR4CON5POW7
DEX7APP13SIZ8
INT10EDU3正気度5
耐久7MP7db-1D6

シナリオ上の役割は「怪異の根本」。
探索者が最初に出会う少女。8歳、小学3年生。
快活でおませな性格。人懐っこく探索者にもすぐ心を開くが、高圧的な態度・怖い顔には怯える。
家族で遊園地に遊びに来ている現状に満足しており、ずっとここで遊んでいたいと思っている。
藍色のバインダーを大事そうに抱えている。

彼女が常に抱えているのは、ぼろぼろだがしっかりとした造りのバインダー。
中には何枚ものルーズリーフが挟み込まれており、簡単な本のようにも見える。
エンディング分岐を決める重要なアイテムの為、KPは折に触れて仁乃がバインダーを抱えていることを描写すること。

ACTION

〈心理学〉
彼女の言葉や行動に基本的に嘘はない。
なので〈心理学〉に成功した場合は彼女の言動は嘘ではないこと、あるいは基本情報に則った現在の心境を答える。

ACTION

〈「神様の名前」について聞く〉
「神様」の名前は知っているが、あからさまにはぐらかす。
〈言いくるめ or 説得〉で「神様」の名を告げる……が、「神様」の名を知るとロスト率が跳ね上がるため注意。

INFO / EVENT

その他特徴
・園内の文字を解読できる
・1ラウンド(12秒)で2ポイントの耐久回復能力を持つ

バインダー

バインダーの表紙には英語でタイトルが書かれている。
〈英語〉に成功すると「グラーキの黙示録 第12巻」と書かれていることが分かる。

仁乃にこの本について聞くと、お父さんから貰った本で、大事に持っておくように言われたと話す。
仲良くなっていても探索者達に本を見せようとはせず、本を見るには〈言いくるめ or 説得〉に成功する必要がある。

交渉に成功し、グラーキの黙示録を読む場合、その探索者は〈英語〉をロールする。

ACTION

〈英語に成功する〉
探索者は本の内容をすらすらと読み解く。

INFO / EVENT

本の内容(英語成功時)
それは誰かのメモのようだった。
書かれている内容は断片的で要領を得ず、見たこともない単語も多い。
……しかし、○○はその文章の意味を理解することが出来た。
記憶とは何か。神とは何か。
異なる二つの命題が入り乱れた文章は、○○の好奇心を刺激する。

ACTION

〈英語に失敗する〉
探索者は英語が読めないはずなのにその内容を理解してしまう。

INFO / EVENT

本の内容(英語失敗時)
筆記体で書かれた英文だということは分かる。
しかしどのような単語が書かれているのかすら読み解くことは出来ない。
……にもかかわらず、○○の脳裏にはその文章が意図するイメージが自然と浮かぶ。
記憶とは何か。神とは何か。
異なる二つの命題が入り乱れた文章は、○○の好奇心を刺激する。

〈英語〉の成否にかかわらず、ある程度本を読んだ探索者は【1D3/1D6】の正気度喪失、〈クトゥルフ神話〉に+3%、呪文「記憶を曇らせる」を修得する。呪文の詳細はルールブックP255参照。

COLUMN

本来の「グラーキの黙示録 第12巻」は1ページでも読めばイゴーロナクの名を知ってしまうのだが、この写本はどこぞの魔術師が書いた無関係のページが紛れ込んでしまっているため、最後まで読まないと名を知ることはない。「記憶を曇らせる」が修得できるのも無関係の記述による。
探索者が本を読むかどうか迷っている場合、「ページの抜き差しが容易なバインダーであること」をそれとなく強調しても良い。

呪文を修得した後もページを繰る手は止まらない。
探索者自身の意志で読み解きを中断するには〈POW*5〉に成功する必要がある。
先の正気度喪失で発狂した場合は〈POW*3〉。

他の探索者が本を叩き落とすなどで中断させる場合は、〈目星〉で探索者の異常に気付いた上で〈探索者のSTRとの抵抗表ロール〉に成功する必要がある。

これらの判定に失敗した場合、探索者は本を最後まで読み進んで「イゴーロナク」の名を知ってしまう。

INFO / EVENT

○○は取り憑かれたようにページを繰る。
見たこともない蠱惑的な世界の知識が次々と頭に流れ込む。
いつしか○○の目は最後のページの文章に目を通し……その瞬間、背後に何者かの気配を感じた。

振り向かずともわかる。
この本に書かれている「神」がここにいる。
「神」が○○の存在を認知した。
○○が本を閉じると、背後の気配はすぐに消える。
蠱惑的な世界の余韻が、神の名を理解した○○の心に残っていた。
あの 神の 名 は ――

――【イゴーロナク】――

(イゴーロナクの名前だけは該当探索者にのみ秘匿で伝える)

★正気度喪失【1D3/1D10】

「イゴーロナク」の名を知った探索者は、生還時までに名前を忘れることが出来なければロストする。
本を読むだけでなくRPによる共有も対象となるので、誰がイゴーロナクの名を知っているかには注意。

白樺 充(しらかば みつる)

STR6CON5POW12
DEX7APP13SIZ8
INT16EDU3正気度15
耐久7MP12db-1D4

シナリオ上の役割は「怪異の原因を知る者」。
後半で出会う少年。8歳、小学3年生。仁乃の双子の弟。
口数が少なく何かと斜に構えたがる。探索者に対して警戒心が強いが、餌付けや優しい口ぶりで簡単に懐柔できる。

充もまた仁乃と同じく家族で遊園地に遊びに来ているという認識だが、自分と仁乃が「化け物」であること、遊園地での家族生活を幾度となく繰り返していることを何となく察しており、この遊園地を出て元の生活に戻れるなら戻りたいと思っている。

シナリオが終盤に進むにつれこの遊園地で起こっている怪異の真相を思い出して行き、探索者にそれを伝えると同時に、自身が抱える問題に苦悩する。

ACTION

〈心理学〉
この怪異の根本を察しているが、【08.クライマックス】まではそれに関する詳しい記憶はない。
「何かを知っている」ことが明らかになる程度。

ACTION

〈何らかの情報を求めた上で言いくるめ or 説得〉
充は少しためらった後、探索者に日本語で書かれたメモを見せる。

INFO / EVENT

日本語で書かれたメモ
どうやら「神」は悪意を糧とするようだ。
悪意の程度は分からないが、「神」に捕捉されない限り問題ない。
好奇心を押さえつけるのも苦労する。これ以上この本を読み解くことはやめよう。

(本物の白樺礼司がグラーキの黙示録を途中まで読み解いた上でのメモ。
展開によってはグラーキの黙示録の中にこのメモを挟みこませても良い)

ACTION

〈「神様の名前」について聞く〉
「神様」の名前は知らないが、仁乃が名前を知っていることは察している。

INFO / EVENT

その他特徴
・園内の文字を解読できる
・1ラウンド(12秒)で2ポイントの耐久回復能力を持つ

白樺 礼司(しらかば れいじ)

STR10CON9POW8
DEX11APP10SIZ14
INT12EDU16正気度20
耐久12MP8db0

シナリオ上の役割は「転機を引き起こす者」。
序盤で出会う男性。28歳。仁乃と充の父親役。
保守的。石橋を叩いて渡るタイプ。
遊園地の狂気に晒され続けて精神が摩耗し、猜疑心と攻撃性が高まっている。
父親のふりをしつつも、探索者を「好ましくない外部要員」と見て敵意を抱く。

この遊園地に迷い込み「白樺礼司」役を押し付けられた一般人。
わけのわからない状況ながらも、自分が生き延びるには「白樺礼司」役を演じなければならないことは理解している。
……とはいえ最近は精神的に限界が近づいてきており、演技にもボロが多い。

ACTION

〈「白樺礼司」と別人であると指摘する〉
そっちが間違えていると怒り、何らかの証拠を持っている場合はそれを奪って破く

ACTION

〈「神様の名前」について聞く〉
「神様」の名前、それが元凶であることを知っている。
「名前を知りたいか?」と探索者に訊ね、頷くとイゴーロナクの名を告げる。

ACTION

〈何らかの情報を求めた上で言いくるめ or 説得〉
遊園地で拾ったという、日本語で書かれたメモを見せてくれる。

INFO / EVENT

日本語で書かれたメモ
この本に記されている「神」は、マイナーな宗教の神のようだ。
随分と変わった神のようで、「名前を知ること」が神と関わるきっかけになるらしい。
この本のどこかに神の名前は書かれているのだろうが……異様に好奇心をくすぐられてしまう。
深夜だからと片づけられるものではない。なんとなく薄気味悪いものを感じる。
この本の解読は慎重に進めた方が良いのかもしれない。

(本物の白樺礼司がグラーキの黙示録を途中まで読み解いた上でのメモ。
展開によってはグラーキの黙示録の中にこのメモを挟みこませても良い)

ACTION

〈園内の文字が解読できることに気付かせる〉
礼司は「探索者は読めない文字が礼司には読める」ことに気付くと自分の異常が進んでいることを知り、その場から逃げ出してしまう。
以降【07.共通イベント】を除いて礼司との接触は不可能になる。

白樺 和子(しらかば かずこ)

STR9CON7POW10
DEX8APP11SIZ11
INT15EDU16正気度10
耐久9MP10db0

シナリオ上の役割は「被害者」。
序盤で出会う女性。27歳。仁乃と充の母親役。
保守的というより臆病。礼司の後に続いて行動する。
遊園地の狂気に晒され続けて精神が摩耗し、猜疑心と恐怖心が高まっている。
母親のふりをしつつも、探索者を「自分たちの代わり」と見て恐怖を抱く。

この遊園地に迷い込み「白樺和子」役を押し付けられた一般人。
礼司と同様、母親役を演じなければならないことは理解している。仁乃と充に対しても努めて好意的な態度を取る。
ここ最近の礼司の態度の変化から彼が演技をやめ、自分もその巻き添えを食らうのではないかと感じている。
探索者が来たことに対しても、自分達は用済みになったのかと恐怖を抱く。

ACTION

〈「白樺和子」と別人であると指摘する〉
頑なにそれを認めず、自分は母だ、許してほしいと懇願する。

ACTION

〈「神様の名前」について聞く〉
「神様」の名前は知らないが、元凶であることは察しており、このままでは神様に殺されると思っている。

ACTION

〈精神分析〉
和子が強い恐怖心を抱いた時のみ有効。
和子の恐怖心を鎮めると、彼女は「自分と礼司は両親のふりをしている」と告げる

ACTION

〈園内の文字が解読できることに気付かせる〉
和子は「探索者は読めない文字が和子には読める」ことに気付くと
自分の異常が進んでいる事に気付き、恐怖に言葉を失ってしまう。
以降〈精神分析〉に成功するまで和子からの情報取得は不可能になる。

ローナくん

STR-CON-POW-
DEX7APP-SIZ-
INT-EDU-正気度-
耐久70MP28db+1D6
武器
こぶし50%1D3+dbのダメージ
へしおる25%1D6+dbのダメージ
なかまをよぶ70%ローナくんが新たに1体現れる
装甲
着ぐるみ(1ポイント)
呪文
なし
技能
回避(14)

シナリオ上の役割は「黒幕」。
まほろばの国のマスコットキャラクター。可愛らしい少年の声をした犬の着ぐるみ。大量に存在する。
遊園地の運営を一手に引き受け、迷子案内から遊具の整備まであらゆる仕事をこなす。
探索者に対して友好的な態度を取るが、暴力など野蛮な手段に訴えた場合はその限りではない。

その中身はイゴーロナクがこの遊園地で捕らえ、吸収した肉体。全員がイゴーロナクであると考えても良い。
礼司と和子を吸収し、探索者達を次の「白樺礼司」「白樺和子」にすべく要所要所で恐怖を煽る。

ACTION 〈心理学〉

底知れない深淵を垣間見る。

★正気度喪失【0/1】

ACTION

〈言いくるめ or 説得〉
どちらも無効。ローナくんが探索者達の言葉で考えや行動を変えることはない。

ACTION

〈何らかの敵対行動〉
ローナくんは敵意をあらわにし、戦闘が発生する。
場にいるローナくんを全滅させるか〈ローナくんのDEXとの抵抗表ロール〉に成功しない限り戦闘が続く。

以降、場所を移動する度に〈幸運〉ロールが発生し、
探索者の半数以上が失敗した場合はローナくんと遭遇し、戦闘が発生する。
幸運の代わりに〈隠れる〉〈忍び歩き〉に成功すると戦闘を回避できる。
これらのロールに失敗した場合、〈幸運〉が失敗した探索者としてカウントする。

05.導入

探索者達が見覚えのない遊園地に迷い込み、本格的に探索を始めるまでの流れ。
なお導入時点での時刻は15時とするが、この時刻はシナリオの改変具合によって適度に修正すること。

どの導入案も振ることが出来る技能は特にない。
【導入:遊園地への招待】では重要な情報は出ない為、【導入:広場】から開始しても構わない。

導入:遊園地への招待

探索者毎に遊園地に迷い込むまでの導入。
導入案をいくつか書いているが、その探索者に合った導入を自由に演出して問題ない。

INFO / EVENT

導入案1
街中で人通りがそこそこ多い場所。
犬の着ぐるみが風船を配っており、探索者にも渡される。
受け取る、受け取らないにかかわらず着ぐるみから離れた頃に視界が歪み、遊園地「まほろばの国」に迷いこむ。

導入案2
公園など、比較的自然が多く、木があっても不自然ではない場所。
探索者は木に風船が引っ掛かっているのを発見する。
風船を取るかどうかにかかわらず視界が歪み、遊園地に迷いこむ。

導入案3
場所不問。
探索者はどこからか女の子の泣き声を聞く。
声の元へ向かっても向かわなくても行動を起こした時点で遊園地に迷いこむ。

導入案4
大型商業施設など、迷子のアナウンスが入っても違和感のない場所。
どこからともなく迷子のアナウンスが響く。
直後に視界が歪み、気が付けば遊園地に立っている。

導入案5
探索者全員が知り合いであり、遊園地で遊んでも問題のないメンバーの時のみ可。
遊園地で楽しいひとときを過ごしてしていたら迷子のアナウンスが響く。
いつの間にか辺りからは人の姿が消えており、遊園地の様子が変わる。

導入:広場

INFO / EVENT

探索者達は石畳の広場の中心に立っていた。
パステルカラーに彩られた街灯が等間隔に並び、剪定された植木が街灯と街灯の間を埋める。
見上げると雲一つない青空が広がっており、民家やビルの類は一切見当たらない。
その代わりに視界に入るのは、ゆっくりと回る観覧車。ジェットコースターのコース。
それらは探索者達が「街中ではなく遊園地にいるのだ」と理解するのに十分な説得力を持っていた。

探索者が最初に迷い込む場所。
自己紹介を終えた辺りで周囲にアナウンスが鳴り響く。

INFO / EVENT

「お客様にお知らせいたします。
ただいま入口の迷子センターで『白樺仁乃(しらかば にの)』ちゃんをお預かりしております。
お連れ様は至急入口の迷子センターまでお越しくださいませ。繰り返しお知らせいたします――」

このアナウンスを無視して探索しても情報は手に入るが、こまめに同じ放送が入る。
この場を離れて移動するにしても、見たこともない場所でどこに何があるかも分からない。
〈目星〉を使用することで手掛かりが見つかる。

ACTION

〈目星〉
辺りを調べると地図が書かれた看板を見つけることができる。
書かれている文字は見たこともない言語で書かれており、解読は困難。
しかし広場から入口までの経路は単純なもので、迷うことなく【入口】に移動できる。

【入口】に向かわず探索を開始する場合は【備考:NPCを無視して探索を進める場合】参照。

導入:入口

遊園地の入り口。
出入り口である門の前では、遊園地のマスコットである「ローナくん」三体が見張り番をしている。
強行突破する場合は三体のローナくんとの戦闘が発生する。
戦闘の詳細は【04.NPC/ローナくん】参照。

迷子センターの前には白樺仁乃が佇んでいる。
話しかけるとここでずっと家族を待っていると言い、探索者に「家族を一緒に探して欲しい」と依頼する。

依頼を受けても断っても仁乃は探索者達について行こうとする。
少し走って振り切れば仁乃がいない状態での探索も可能だが、色々と探索には不便。

ACTION

〈目星〉
パンフレットを見つける。文字は読めないがどこに何があるかは絵で大体わかる。

探索ポイントとして【観覧車】【コーヒーカップ】【メリーゴーランド】【ジェットコースター】【城(お化け屋敷)】【お土産屋】【レストラン】の7カ所が判明する。
なお、仁乃に訊ねることでこの情報を開示しても良い。

以降、仁乃と共に遊園地を探索する流れになる。
パンフレットを読み上げたり、道路上の看板で道を確認している様子を見せるなどして「仁乃はこの遊園地に書かれた文字が読める」ことを気付かせると良い。

これ以降の流れは【06.遊具探索】【07.共通イベント】参照。

備考:NPCを無視して探索を進める場合

NPCを無視して探索を進めることも可能。
06.遊具探索】における情報は技能に成功したら普通に得る事が出来るが、【07.共通イベント/順応】を起こすまでは文字が読めないことに注意。

また、文字が読めないでいる間はパンフレットや看板、案内標識の解読も出来ないため、目的の場所に辿り着くことすら困難となる。
今いる場所から別の場所へ移動する際〈ナビゲート〉を振り、誰か1人でも成功すれば目的の場所へ移動するが、全員失敗した場合はランダムに決めた場所へ移動する。
文字が読めるようになった時点で上記の技能ロールは不要になる。

探索中は時間も経過させ、探索者が探索を進める一方でNPC達も勝手に行動、合流して行く。
時間が経過して【07.共通イベント/礼司による仁乃の連れ去り】が発生すると、入口で見張り番をしていたローナくんが持ち場を離れ、門扉からの脱出が可能になる。

この辺りからエンディングまでの処理は【08.クライマックス/逃走】を参照。

06.遊具探索

探索はそれぞれの遊具に乗り、その過程で技能を用いて情報を集めていく流れになる。
それと合わせて経過時間に応じて【07.共通イベント】が随時発生していく。

遊具は【観覧車】【コーヒーカップ】【メリーゴーランド】【ジェットコースター】【城(お化け屋敷)】【お土産屋】【レストラン】の7種類。
ただしお化け屋敷だけは改装中であり、入ることが出来ない。
探索者がお化け屋敷に向かおうとした場合、仁乃がそれを伝えて引き留めること。

NPCとの会話、技能ロールのタイミングは任意。
遊具に乗る前でも乗った後でも移動中でも。

共通仕様:時間経過

開始時点での時刻は15時。
探索者の行動による時間経過は以下の通り。

他の遊具へ移動15分
〈何らかの技能〉10分
〈言いくるめ〉15分
〈説得〉30分
NPCとの会話が長引く5~10分
何らかのRPが長引く5~10分

07.共通イベント】は「時間経過」あるいは「所定の数の遊具を探索する」毎に発生する。

ただし【03.背景/大まかなシナリオ構造】で書いた通り、アトラクションに乗れる回数や共通イベントの内容はKP裁量で調整が入ることもあるだろう。
調整具合によっては上記の時間経過処理ではしっくりこないこともあると思われるため、時間経過処理もKP裁量で調整すること。

共通仕様:言いくるめと説得の違い

どちらも「自分が望む行動をNPCに取らせる」が主な効果で、以下の点で違いがある。

ACTION

〈言いくるめ〉
説得よりも短時間で結果が出る。
しかしその後、NPCは〈アイデア〉ロールを行い、それに成功した場合は自分が言いくるめられたことに気付く。
そうなるとその探索者に対し軽度の不信感を抱き、以降その探索者がそのNPCに〈言いくるめ〉〈説得〉を行う場合、技能ロールに-5の修正が入る。
〈アイデア〉は〈言いくるめ〉が成功する度に行い、マイナス修正は累積していく。

〈説得〉
言いくるめよりも時間がかかる。
しかしNPCは探索者の言葉に納得しているため、〈アイデア〉ロールやマイナス修正が発生しない。

〈説得〉の方がデメリットが少ないように思えるものの、本シナリオは時間経過でイベントが発生していくため、〈説得〉一辺倒だと事件の概要を把握できないままクライマックスに進む可能性がある。
(イベントの省略具合によっては時間経過を気にしなくて済む場合がある。
予定時間を見て〈説得〉のデメリットを考えなくても問題がなさそうなら、それをPLに伝えても良い。)

調査:観覧車

INFO / EVENT

鮮やかな赤で彩られた観覧車だ。
間近で見ると首が痛くなるほどに高く、ゆっくりと一定のペースで回転していた。

赤い観覧車。外から見たところで特に異常はない。
観覧車に乗ってみると、その内部はやや年期を感じさせる。
昇っていくにつれてゴンドラは風によって揺れ、きしんだ音を立てる。

観覧車が天辺に昇ってきた辺りで、遊園地の外は空も地面も真っ暗で「何もない」ことが分かる。
明らかに異常な空間に来たことを目の当たりにした探索者は【0/1】の正気度喪失

ACTION

〈目星〉
ゴンドラのシートの隙間にメモが挟まっているのを見つける。
メモは日本語で書かれている為、問題なく読むことが出来る。

INFO / EVENT

隙間に挟まっていたメモ

観覧車に逃げ込んだのが間違いだった。
暗闇の向こうに出口があったかもしれない。
馬鹿な選択をしたものだと自分でも思う。
眼下には化け物の群れ。見上げると馬鹿みたいに綺麗な満月。

誰がこれを読んでいるのか分からないけれど。
僕があなたに言えるのはこれだけだ。
逃げて。

(以前この遊園地に迷い込み、最終局面で遊園地から脱出せず観覧車に逃げ込んだ犠牲者のメモ。)

調査:コーヒーカップ

INFO / EVENT

円形の巨大な皿の中に、数人が入れる程度の大きなコーヒーカップが点在していた。
木製のベンチがカップの内周に取り付けられており、中央部には丸いテーブル状のハンドル。
スピーカーからは陽気な音楽が絶えず流れていたが、 誰も入っていないコーヒーカップは静かにその場に佇んでいた。

探索者が回さずにいても勝手に速度が上がってゆき、凄まじい速さになる。
〈CON*5〉に失敗すると酔ってしまい次の技能に-10の修正が入る。

〈CON*5〉判定の後、まだ回っているコーヒーカップの中で〈聞き耳〉を行う。

ACTION

〈聞き耳〉
自分達の隣のコーヒーカップから、ばさばさと紙が舞う音を聞きとる。
コーヒーカップが止まった後に確認すると、遊園地事故の記事が記された新聞を見つける。
(解読不可の文字の為、NPCに読ませる・条件を満たした探索者が読む等しない限りこの情報は開示されない)

INFO / EVENT

遊園地事故の記事
××新聞 朝刊 2010/9/20
まほろばの国 ジェットコースター脱輪事故

9月19日午後2時30分頃、○○県××市内の遊園地「まほろばの国」で、 走行中のジェットコースターの3両目が脱線し、地面に衝突、 白樺礼司さん(38)、白樺和子さん(35)が死亡し、他18名が重軽傷を負う事故が発生した。
車軸の破損が原因と見られ、警察は事故の経緯を詳しく調査する方針。

追加で〈アイデア〉 に成功すると、この事故を契機にまほろばの国は閉園したことを思い出す。

なお〈聞き耳〉に失敗しても「他のコーヒーカップを調べる」と宣言した上で〈目星〉に成功すると、この新聞記事を見つけたことにしても良い。

調査:メリーゴーランド

INFO / EVENT

豪奢な装飾が施された屋根は、暖かな色でライトアップされていた。
屋根の下では鮮やかに彩られた馬と馬車が並んでおり、乗り手の到来を待ちわびていた。

馬あるいは馬車に乗ると、回る景色や幻想的な灯火を見ているうちに次第に現実感が失われていく。
住み慣れた家、故郷、家族、親友、尊敬する人――探索者にとって大切な人、大切な光景が目の前を流れていく。
〈POW28との抵抗表ロール〉に失敗すると「この遊園地に滞在する限り、平穏な日々に帰ることが出来ない」と強く感じてしまい【0/1】の正気度喪失
(POW28=イゴーロナクのPOW)

これらの処理が終わった後、〈聞き耳〉をロールする。

ACTION

〈聞き耳〉
一部のスピーカーから音楽が聞こえづらくなっている事に気付く。
調べてみるとスピーカーに週刊誌の1ページが丸められて突っ込まれている。

週刊誌を開いて読むと以下の記事が目に入る。
(解読不可文字につき注意)

INFO / EVENT

週刊誌の1ページ
2010年9月19日。家族の憩いの場は家族の別れの場となった。
まほろばの国で起きたジェットコースター脱輪事故。
犠牲者となった白樺 礼司さんとその妻、和子さんは、二人の子供と共に楽しいひと時を過ごしていた。
しかし、子供の目の前で、夫婦はあまりにも凄惨な結末を迎えてしまった。
子供が事故に巻き込まれなかったのは不幸中の幸いなのだろうか。
憩いの場である遊園地が忘れがたい傷となってしまったこと、事故が未然に防げた可能性が高いこと、それらを想うと運営者の怠慢は許されるべきではない。
我々はまほろばの国の暗部に迫る――

また、記事に掲載されている写真は目線入りだが仁乃と充、そして両親が映っている。
この両親は「本物」の両親であり、もし既に礼司・和子と合流している場合は「この写真に写っている両親と彼らは別人である」と気付くだろう。

調査:ジェットコースター

INFO / EVENT

鋼鉄のレールが蛇のようにうねり、空を駆けている。
受付の向こう側、階段を上った先には、数両の車両が静かに佇んでいた。

ジェットコースターは一般に知られているものの中でも特に激しい動きをする。
〈POW*5〉に失敗すると恐怖を感じてしまい次の技能に-10の修正が入る。

ジェットコースターに乗り終えて出口に向かうと、落ちる瞬間の写真が表示されるスペースに辿り着く。
しかし写真は表示されておらず画面は暗いままで、ローナくんが機械の前で困っている。

ACTION

〈機械修理〉〈電気修理〉
画面に写真が表示されるが、それは落ちる瞬間の写真ではなく白樺家の家族写真。
この両親は「本物」の両親であり、もし既に礼司・和子と合流している場合は「この写真に写っている両親と彼らは別人である」と気付くだろう。

調査:城(お化け屋敷)

INFO / EVENT

黒いレンガで造られた洋風の城がそびえ立っていた。
壁のあちこちには蔦が伸び、窓枠には蜘蛛の巣が張られている。
木製の扉は閉ざされており、開く気配はない。

ローナくんが扉の前で見張り番をしており、改装中で入れない。
無理矢理押し入ろうとするとローナくんが敵対化する。

調査:お土産屋

INFO / EVENT

お菓子にTシャツ、ぬいぐるみに文房具。
そのどれもがまほろばの園のロゴやローナくんをあしらったデザインになっており、色鮮やかで賑やかな空間を演出しているが、客の姿がないお土産屋はかえって殺風景でもあった。

何の変哲もないお土産屋。一般的なお土産屋に必要なものは一通り揃っている。
PLの提案次第では何か探索に使える道具を買えることにしても良い。

レジの方を見た場合、レジ後ろの棚にお土産屋にぼろぼろの日記帳が並べられていることに気付く。
仁乃か充がそれを見ると「あの日記は自分のものだ(仁乃のものだ)」と告げる。

店番のローナくんは、これは非売品だからと日記帳を渡そうとしない。
交渉には〈言いくるめ〉が必要。

ACTION

〈言いくるめ〉
1ページだけ日記帳の中身を見せてもらえる。
日記の中身は日本語で書かれている。

INFO / EVENT

日記の中身
9月18日 はれ
今日は、テストで100点をとった。
明日は、お父さんとお母さんとみつるでゆうえんち!
いっぱいあそんで、ぬいぐるみも買ってもらおう。

日記帳はどれだけ説得しても売ってくれないが、〈値切り〉に成功するとローナくんは【ジュース】と交換で日記をあげると交換条件を提示する。
探索者が条件を飲むと、ローナくんは鋏を取り出して交渉に応じた探索者の腕を傷つけ、流れ出る血をコップに溜める。
探索者は【1D3】の耐久を喪失し、ローナくんはコップに溜めた血を見て満足げな様子を見せ、【白樺仁乃の日記帳】を探索者達に渡す。

日記帳には他愛もない日々が延々と記されている。
この日記を読み取り、適切な情報を得るには〈図書館〉が必要。

ACTION

〈図書館〉
以下のページを発見する。

INFO / EVENT

日記の中身
8月25日 くもり
お父さんの部屋をたんけんしたら、ふしぎな本を見つけた。
読もうとしたらお父さんにみつかって怒られた。
みつるは本にはさまってたメモを、こっそりポケットに入れてた。
後でいっしょに読もうとしたけど、むずかしくて読めなかった。

がつ にち
なまえをよんだら かみさまが きました
かみさまは おとうさんと おかあさんを くれました

調査:レストラン

INFO / EVENT

持ち運びができる簡単なテーブルとイスが並べられた、フードコートのような空間だった。
カウンターの向こう側には調理場があり、鍋がことことと湯気を吐いているのが見える。
食欲を刺激する匂いが辺りに立ち込めており、探索者の腹はぐうと鳴った。

フードコート形式のレストラン。注文と料理の受け取りはカウンターで行う。
メニューはハンバーグやフライドポテトにパスタなど、ファストフード類が主。
遊園地のレストランという場に合うものであれば、探索者の好きなものを注文して構わない。

料理を注文すると、しばらくしてカウンター越しに注文された通りの料理が渡される。
出来たての料理は非常に美味しそうに見える。
食べると腹は満たされるものの【07.共通イベント/順応】が発生する。

ACTION

〈目星〉
レストランの片隅、レジ横の販売棚の中に他の商品とは雰囲気が異なる雑誌を見つける。
雑誌はオカルト誌で、見出しの一部に「白樺」の名前が書かれている。
該当のページを開くと白樺礼司についての記事を読むことができる。
刊行月は2010年8月。写真に写っている礼司は探索者が知る礼司とは別人。
(解読不可文字につき注意)

INFO / EVENT

白樺礼司についての記事

仕事場探訪 vol.47 白樺礼司(オカルト研究家)

記者「――今回はオカルト研究家の中堅、白樺礼司さんの仕事場にお伺いしました。よろしくお願いします」
白樺「よろしくお願いします。仕事場と言っても家の狭苦しい書斎なんですが(笑)」
記者「小さな図書館と言ったところでしょうか。珍しい本が沢山あって目移りしてしまいますね」
白樺「本が好きなものですから。この界隈はオーパーツやそれらしい不思議な物を集める人が多いですが、私は断然古書ですね。多くの人を渡り歩いてきた書物は実に興味深い」
記者「うーん、その気持ちも分かります。今日は仕事場についてだけでなく白樺さんのポリシーについてもお聞きしたく――(廊下から子供の声が響く)――あはは、元気なお子さんですね」
白樺「元気すぎるくらいですよ。最近は私があちこちに置いてる仕事のメモを勝手に隠してしまって妻に怒られる毎日でして」
記者「それはメモをあちこちに置いてしまう白樺さんも悪いのでは」
白樺「これは手厳しい(笑)」

以降、どうでもいい雑談やオカルトトークが繰り広げられている。

その他:屋台

簡単な食事や飲み物を売っている屋台。
調査ポイントではなく、探索者の「適当にその辺で飲み物を買いたい」といったレストランに行くまでもない要求に応じるための補助的なもの。

ソフトドリンクやホットドッグ、チュロス、ポップコーンなど屋台で売っていそうなものが手に入る。
これらを飲み食いした場合、【07.共通イベント/順応】が発生する。

07.共通イベント

遊具探索やNPCとの交渉で時間が経過する度に発生するイベント。

イベント:和子と礼司の登場

「2時間経過」あるいは「遊具を2か所探索した」時点で発生。

探索者達の前に和子と礼司が姿を見せる。
仁乃は彼らを「お父さん」「お母さん」と呼んではしゃぐ。
和子はそんな仁乃の頭を撫でて探索者達に挨拶をする。
礼司は仁乃を適当にあしらい、探索者を睨みつけてぼそぼそと挨拶をする。

以降、和子と礼司も共に行動するようになる。

イベント:充の登場

「3時間経過」あるいは「遊具を3か所探索した」時点で発生。

探索者達の前に充が姿を見せる。
仁乃は充の元に駆け寄り、探索者達の元に連れてきて挨拶をする。
充は仁乃に促されても挨拶をせず、代わりに仁乃が充を紹介する。
この時充は探索者達を見て「…………。また……」と呟く。

以降、充も共に行動するようになる。
なお、この時仁乃と充は転んで怪我をするが、怪我はみるみるうちに治って行く。

ACTION

〈言いくるめ〉〈説得〉
充の呟きに対してこれらの技能ロールを行い真意を問うと、
「前にも同じような事があった気がするが、思い出せない」と答える。

イベント:順応

「3時間経過」あるいは「遊具を3か所探索した」時点で発生。
(=上記【イベント:充の登場】と同時に発生する)

探索者達の腹が鳴り、空腹感を覚える。
その時点では何も起こらないが、以降30分経過する度に全てのロールに対して-5の修正が累積していく。

この症状は【レストラン】あるいは手近な露店で何かを食べるまで続く。
持ち物に食べ物がありそれを食べた場合、マイナス修正の累積は次回1回分だけ免除される。

既に【レストラン】を調べる、あるいは【屋台】で何かを食べてこのイベントを発生させた場合、この一連のイベントは省略しても構わない。

ACTION

〈遊園地内の食べ物を口にする〉
以下のイベントが発生する。

INFO / EVENT

それを口にした瞬間、〇〇の視界が一瞬揺らぐ。
次の瞬間〇〇の目の前に広がっていたのは、小奇麗な遊園地などではなかった。
壁はひび割れ、あちこちに錆が浮き、植木は枯れ果て、風がびゅうびゅうと吹いている。
離れた所にローナくんの姿がある。いや、あれはローナくんなどではない。
あれは、〇〇に向けて手招きをする あれ は――

○○は思わず目を閉じる。
風の音は止み、先程まで食べていた料理の匂いがふわりと漂う。陽気な音楽が流れ出す。
目を開けてみると、先程の風景とは真逆とも言える、元通りの風景が広がっていた。
……いや、ただ一点だけ変化があることに、○○は気付くだろう。
――あちこちに書かれていた得体の知れない文字が、理解できるようになっていた。

★正気度喪失【1/1D6】

このイベントを発生させた探索者は、これ以降園内に書かれている文字が理解できるようになる。
また上記の累積修正も解除される。

食べた量や回数はこの現象に影響しない。このあといくら飲み食いをしても変化はない。

イベント:和子の言葉

「4時間経過」あるいは「遊具を4か所探索した」時点で発生。

和子が探索者達に「何故ここに来たのか、家族の邪魔をしないでほしい」などと耳打ちする。
詳しく追及しようとすると、和子は口を噤んで何も言わなくなる。

イベント:和子の死亡、母親の再設定

「5時間経過」あるいは「遊具を5か所探索した」時点で発生。

和子は積み重なる恐怖に耐えきれずヒステリーを起こして「白樺和子」の役を捨て、背後から現れたローナくんに首を折られ殺される。

INFO / EVENT

和子「……いつまで、いつまでこんなことを続けたらいいの?」
和子「ずっと我慢してきたけど、新しい人が来たのならもういいでしょう?」
和子「私は『白樺和子』なんかじゃない! 私は――」
ローナくん「おかあさんじゃないのなら あなたは だあれ?」
(ローナくんが和子の首を掴んでへし折る)

★正気度喪失【1/1D4】

ローナくんは和子の死体を持って「ゴミの始末をしてくるね」といずこかへ去っていく。
一連の流れを見ていた仁乃と充はさほど動揺した様子は見せず、探索者のうち誰か1人を「お母さん」と呼び慕い始める。
誰を「お母さん」とするかはKPが自由に決めてよい。

COLUMN

仁乃と充は和子が死んだその瞬間から、その探索者が「お母さん」に見えている。
探索者がどれだけ言葉を尽くそうと「お母さん」が変わった事実には気付かない。

イベント:礼司による仁乃の連れ去り

【イベント:和子の死亡、母親の再設定】後に発生。

和子の死を受けて動揺した礼司は、強引に仁乃を連れ去っていく。

それと同時に園内のローナくんが仕事をやめてゆっくりと【城(お化け屋敷)】に向かって歩き出す。
ローナくんに話しかけても反応はなく、探索者など見えていないかのように歩みを止めない。

城に向かうと【08.クライマックス】に移行。

08.クライマックス

イベント:充の独白

城の中を進んでいる時に発生。
充は先導して進むが、探索者をちらちらと見て落ち着かない様子を見せている。
探索者が充に話しかければ以下のイベントが発生し、特に行動を起こさなければ何事も無く城内を抜けてバルコニーに辿り着き、【イベント:礼司の死】へ移行する。

ACTION

〈充に話しかける〉
少し悩むが、意を決した様子で以下のことを告げる。

INFO / EVENT

「思い出してきたんだ。……オレらは、撒き餌なんだ」
「何度も何度も同じことを繰り返して、お父さんやお母さんに殺されることもあって、その度に『かみさま』がオレや仁乃の体を作り直して、頭がおかしくなったら、オレらの、なんていうんだろう……心? も、作り直して……」
「……オレは白樺充だ。でも、オレがそう思ってる心も『かみさま』の作り物で、体も怪我がすぐ治っちゃうような体だし、オレは、ほんとに『白樺充』なのかな。見ただろ? 膝の怪我がすぐに治ったの」
「……オレ、もうやだよ。仁乃と一緒に、家に帰りたいよ。でもどうしたらいいかわかんないんだよ」
「仁乃が『かみさま』の名前を知ったからこうなったんだ……仁乃のせいだって……そんな風に思ってしまう自分が、やだよ」

ACTION

〈心理学〉
充が独白する前は「探索者に対して何かを告げることをためらっている」ことが、
独白後は「彼の言葉と気持ちに嘘はない」ことが分かる。

イベント:礼司の死

城の最上部、バルコニーで礼司は仁乃を殺そうとする。
礼司は恐怖で錯乱状態にあり、探索者に対し「これ以上近付いたらこいつを投げ落とす」と脅してくる。

ACTION

〈精神分析〉
技能ロールに成功すると礼司はこの化け物(=仁乃)が怖くて憎くてたまらないと思いを吐露し、拘束が緩む。
仁乃が探索者に好意を抱いている場合、仁乃は礼司の元を離れ探索者の方に駆け寄る。奪い取っても可。

技能ロールに失敗すると礼司は仁乃を投げ落として殺害。
悪意に満ちた笑い声をあげる。

技能ロールの成功失敗問わず、その後「悪意を芽吹かせた」礼司の背後にイゴーロナクが現れ、彼に憑依する。

INFO / EVENT

礼司の背後から白い手が伸びる。
不自然なまでに大きな手の平は、ひたりと礼司の顔を覆い、そして――礼司の顔も、頭も、一瞬にして消滅した。

首から血が吹き上がったのはほんの数秒。
残された礼司の肉体は立ったまま痙攣し、その度に不自然なまでに体が膨れ上がって行く。
彼が纏っていた服は体の膨張に耐えきれずに張り裂け、その下の裸体は白く輝いていた。
まるで体の調子を確かめるかのように開閉する手の平には大きな口が開いており、赤い血が滴っていた。
滴る血は「白樺礼司」のものだ。しかし、目の前に立つ「それ」は……もはや、彼ではなかった。

★正気度喪失【1/1D20】

仁乃と充にも正気度喪失を行うかどうかはKP裁量。
正気度喪失後、【イベント:逃走】に移行。

「イゴーロナク」

ステータスおよび戦闘時の行動は「クトゥルフ神話TRPG(P.207)」に準拠する。
基本的に探索者に対しては何もしないが、あまりにも行動に移すのが遅ければ探索者を攻撃しても良い。

イベント:逃走

バルコニーの出口側には無数のローナくんが佇んでおり、探索者達を捕らえようと近づいてくる。
〈STR*5〉で突き飛ばす、あるいは〈回避〉でローナくんの包囲網を突破できる。
この辺りは探索者の行動によって適当なロールを振らせても良い。

技能ロールに失敗した場合はローナくんに捕まる。これは〈ローナくんのSTRとの抵抗表ロール〉で振り払い可。

全員がローナくんに捕まった時点で【09.エンディング/ED5】に移行。
全員がバルコニーから逃走したら次の段階に移行。
誰かを見捨てて逃走した場合も次の段階に移行するが、逃走した探索者達のエンディング後、取り残された探索者に対して【09.エンディング/ED5またはED6】を行う。

バルコニーから脱出し城内を駆け抜ける探索者に対してあちこちの通路からローナくんの手が伸びてくるが、判定無しで回避・脱出可能。

城からの脱出後、出口に向かうのが正解だが特に情報提示はしない。
〈アイデア〉で「もうこの遊園地に安全な場所はない」と分かる程度。
充がいるなら充に誘導させても良い。
仁乃がいる場合彼女も特に抵抗なく探索者達について行くが、この異常事態を把握できていない。
その為仁乃は特に誘導を行わず、何かするとしてもノイズにしかならない。

なお、仁乃が礼司に投げ落とされている場合、城の裏手(バルコニーの真下)に回ると傷を癒しきった仁乃がいる。
仁乃の異常性を目の当たりにした探索者は【0/1】の正気度喪失
仁乃は何食わぬ様子で探索者や充に話しかけ、後をついて行こうとする。
そのまま連れて行っても良いし、置いて行ってもいい。
少なくとも充は仁乃を連れて行こうとするだろう。

出口の門扉は閉ざされている。
〈登攀〉あるいは〈(SIZとDEXの平均)*5〉で門を乗り越えられる。
先に登った人がいて、手を伸ばして助ける場合は判定に+10の修正。

1回判定に失敗すると、背後から大量のローナくんが追ってきていることに気付き【0/1D3】の正気度喪失

3回技能ロールに失敗すると首なしのローナくんに追いつかれ、捕まってしまう。
捕まった探索者は【09.エンディング/ED5またはED6】に移行。

脱出に成功した探索者は【イベント:大穴にて】へ。
捕まった探索者を助けるために遊園地に戻っても出来ることはなく、ただ捕まるだけ。

イベント:大穴にて

門扉を乗り越えた先はひたすら暗闇が続くだけだが、真っ直ぐ進んだ先に何かが光っている事は分かる。
そこまで進んでみると光る大穴が広がっていると分かる。

大穴に飛び込むと【イベント:現実の遊園地】に移行する。
だが仁乃を連れていない場合、充は彼女を見捨てられず脱出を拒み、遊園地に残ろうとする。
彼の意思を尊重してもいいし、無理に手を引いて連れ出しても良い。

また仁乃を連れていて、なおかつ仁乃に対して〈記憶を曇らせる〉を使用していない場合、以下のイベントが発生。

仁乃は「家族一緒にこの遊園地で楽しいひとときを過ごし続けること」が何よりの願いであり、探索者がその願いを壊そうとしていることに気付くと探索者達に対して悪意を露わにする。
そしてそれがトリガーとなり、仁乃の元にイゴーロナクが現れて彼女の体を乗っ取るだろう。

INFO / EVENT

仁乃の背後から白い手が伸びる。
不自然なまでに大きな手の平は、ひたりと仁乃の顔を覆い、そして――仁乃の顔も、頭も、一瞬にして消滅した。

その後に何が起こるか、探索者達はよく知っていた。
「礼司だったもの」の姿が脳裏をよぎる。
自然と目を背け、足は「それ」との距離を取る。
だが、探索者達の後ろは光る大穴。
足は宙を踏み抜き、体が大穴の中に落ちて行く――

探索者はこのまま大穴に落ちるが、その寸前に充は仁乃を助けるべく手を伸ばす。
充の腕をつかんで一緒に大穴に落ちても良いし、何もせず充を残して脱出しても良い。

大穴に落ちた後は【イベント:現実の遊園地】に移行。

イベント:現実の遊園地

INFO / EVENT

真っ白に染まった視界の中で、探索者はひたすら落ち続ける。
互いの姿は見えず、風の音も聞こえない。
次第に「落下している」という感覚すら失われてゆき――

――ふと気が付けば、探索者は硬い地面の上に寝転がっていた。
身を起こして辺りを見ると、共に遊園地を脱出した者達の姿が見えるだろう。
それと同時に、周りの風景は最初に「まほろばの国」に迷いこんだ時の風景と酷似していることに気付く。
ただし、植木は枯れ、街灯には錆が浮き、観覧車は回っていない。
不可思議な気配も何もない、誰もいない寂れた遊園地。
探索者達は現実の世界に帰還した。

仁乃を遊園地から連れている場合、探索者の足元に仁乃が持ち歩いていた本が落ちている。
仁乃と充は本を持ち帰ろうとするだろう。
本を取り上げるかどうか、取り上げた本をどうするかで結末は分岐する。

仁乃を遊園地に残している場合は本は落ちておらず、「本を処分する」と同様の処理を行う。

姉弟(充のみでも可)生還+本を処分するED1
姉弟死亡+本を処分するED2
姉弟(充のみでも可)生還+本を持ち帰らせるED3
エンディング時点で神の名を知っているED4

09.エンディング

ED1/姉弟(充のみでも可)生還+魔道書を処分する

INFO / EVENT

魔道書を処分した探索者達は、日常生活に戻る。
十年近く行方不明となっていた姉弟の生還は、彼らの外見が当時のままであることも加えて大きな話題となった。
マスコミが落ち着き、姉弟が平穏な人生を送り出すには、長い時間がかかるだろう。
それでも姉弟は現代に舞い戻り、再び人生を歩みだせるようになったのだ。

ED2/姉弟死亡+魔道書を処分する

INFO / EVENT

魔道書を処分した探索者達は、日常生活に戻る。
まほろばの国について調査を進めれば、あの遊園地は十年前のジェットコースター脱輪事故を機に閉園したこと、脱輪事故で死亡した夫婦の子供がほどなくして行方不明になっていること、夫婦の名前は白樺礼司と白樺和子、子供の名前は仁乃と充であること、仁乃と充の顔写真は、あの遊園地で会った子供たちと同じであることを知るだろう。

探索者達はあの遊園地から脱出し、平穏な生活に戻った。
……しかし、仁乃と充は恐らくもう戻ってこないことは、十分に察することが出来た。

ED3/姉弟(充のみでも可)生還+本を持ち帰らせる

INFO / EVENT

探索者達は魔道書を姉弟に預け、日常生活に戻る。
十年近く行方不明となっていた姉弟の生還は、彼らの外見が当時のままであることも加えて大きな話題となった。
マスコミが落ち着き、姉弟が平穏な人生を送り出すには、長い時間がかかるだろう。
それでも姉弟は現代に舞い戻り、再び人生を歩みだせるようになったのだ――

――そう思った矢先。
姉弟は再び姿を消した。
本だけを持ち、着の身着のままで何の痕跡も残さず消えた姉弟。
連日報道がなされる中、探索者達だけは彼女らに何が起きたのかを察していた。

ED4/神の名を知る者

INFO / EVENT

ある日の夜のこと。
○○は仕事による疲労感を抱えながら床に就こうとしていた。
明かりを消して目を閉じる。心地よい眠りの世界に落ちていく――

――それを引き留めるかのように、何者かの手が○○の肩をぽんぽんと叩いていた。
目を開けてみると、そこにはあの遊園地の着ぐるみの姿があった。

「○○くん、あーそびーましょ♪」

着ぐるみの首がぽろりと落ちる。
暗い部屋の中で着ぐるみの身体が白熱した輝きを放ち始める。
着ぐるみの手が、手の平に大きな口を持つ人間のものに変わる。
ひたり、と、○○の顔に手の平があてがわれる。

苦痛は、一瞬だった。

怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。
おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。

(探索者ロスト)

ED5/逃走に失敗してローナくんに捕まる+姉弟どちらかが現実への帰還に失敗

INFO / EVENT

ふと気が付くと、○○は遊園地の入り口に立っていた。
空は快晴。通り抜ける風は心地よく、太陽の光はじんわりと温かい。
植木もよく整えられており、ごみや汚れは一つも見当たらない。

「お父さん!」「お父さん」

双子の姉弟が○○に向かって駆けてくる。
もちろん、○○は双子の姉弟の父親ではない。
だが、父親になる必要があった。

「かぞくみんなで ずうっと たのしんでいってね♪」

背後からローナくんがぽんと肩を叩く。
家族という役割を放棄すればどうなるか、
それは前回の「白樺礼司」「白樺和子」を見ていれば嫌でもわかった。

家族である限り与え続けられる、穏やかで満ち足りたしがらみのないひととき。
○○は、いつ終わるとも知れない楽園の一員となった。

(探索者ロスト)

ED6/逃走に失敗してローナくんに捕まる+姉弟が現実へ帰還

INFO / EVENT

遊園地に残された○○は、大気の震えを感じた。
○○を捕らえていたローナくんは次々とその場に倒れ、観覧車がどろりと溶けて消え失せる。
夜空から星々は消え、満月は闇の中に溶けてゆく。
仁乃と充という「主」を失った世界はみるみるうちに崩壊して行く。
バルコニーも崩れ落ち、地面に叩きつけられようとする○○に「神様」は手を伸ばし――

――気が付けば、○○は見慣れた場所に立っていた。
○○が最も心安らかに過ごせる場所。隣を見れば大切な人がそこにいる。
あれはおかしな夢だったのだろう。
今までもこれからも、○○はこの楽園で平和なひと時を過ごし続けるのだ。

自分が何故藍色のバインダーを大事に抱えているのか、
「大切な人」がふとした瞬間に怯えたような表情を見せるのは何故か。
そんな疑問を抱く余地は、なかった。

(探索者ロスト)

ED7/NPCと関わる事なく生還する

INFO / EVENT

得体の知れない遊園地から脱出した探索者達は、日常生活に戻る。
まほろばの国について調査を進めれば、あの遊園地は十年前のジェットコースター脱輪事故を機に閉園したこと、脱輪事故で死亡した夫婦の子供がほどなくして行方不明になっていること、夫婦の名前は白樺礼司と白樺和子、子供の名前は仁乃と充であることを知るだろう。

あの遊園地で彼らの姿を見かけたかもしれない。
彼らがどのような経緯であの遊園地にいたのか、彼らはどうなったのか。
深く関わることの無かった探索者達に、それを知るすべはなかった。

10.報酬

仁乃が持っていた本を処分せず、探索者が所有することも可能だが、本を読もうとするとシナリオ中に行った処理が発生し、解読に成功したところでイゴーロナクが現れるだけのため、単なるコレクター要素にしかならない。
〈記憶を曇らせる〉の習得も不可とする。

まほろばの園でお土産などを購入した場合、そのまま持ち帰ることが可能。
飲食物の持ち帰りも可能だが、現実に生還した時点で何の効果もない普通の飲食物となる。

生還

条件ED1・2・3到達
対象全員
内容1D10の正気度回復

仁乃の生還

条件ED1到達&仁乃が生還する
対象全員
内容1D6の正気度回復

充の生還

条件ED1到達&充が生還する
対象全員
内容1D3の正気度回復

触らぬ神にたたりなし

条件ED7到達
対象全員
内容1D3の正気度回復

順応回避

条件ED1・2・3・7到達&遊園地で飲み食いをしない
対象該当探索者
内容1D3の正気度回復

異界の残滓

条件ED1・2・3・7到達&遊園地で飲み食いをした
対象該当探索者
内容1D10日間、識字障害(ディスレクシア)に陥り、
文章の読解に多大な時間がかかり、書く文字は「遊園地で見かけた奇妙な文字」になる。
識字障害に陥っている間は他のシナリオに参加することは出来ない。
その制限を除けばフレーバー的なもの。

黙示録の断片

条件ED1・2・3到達&セッション内で〈記憶を曇らせる〉を修得する
対象該当探索者
内容呪文習得時の〈英語〉に失敗した場合、呪文は1週間程度で忘れる。
〈英語〉に成功した場合、該当探索者は〈INT*3〉をロールする。
これに成功すると、2D6週間の研究の末に呪文〈記憶を曇らせる〉を完全に習得する。

11.利用規約・更新履歴

利用規約

こちらをご確認ください。

参考書籍

サンディ・ピーターセンほか(2004).『クトゥルフ神話TRPG』.株式会社KADOKAWA.
スコット・アニオロフスキーほか(2008).『クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム』.株式会社KADOKAWA.

連絡先

製作ミナカミ
HPhttps://dara.sakura.ne.jp/
Mailminakamiryu■infoseek.jp

報告・感想等ありましたらHPのメールフォームやSNS等で送って頂けると有難いです。

更新履歴

2023/12/28「03.背景」にシナリオに含まれる要素を追加
2023/10/16他シナリオとレイアウト統一
2021/10/16著作権表記、参考書籍を記載
2020/07/12利用規約を修正
2017/12/23報酬の項にアイテムの持ち帰りについて記載
2017/08/17HTML版に差し替え
2016/04/11時間経過および共通イベントの発生条件修正
06.遊具探索】に補助ポイントとして屋台追加
その他細々とした修正
2016/02/2205.導入/NPCを無視して探索を進める場合】に記載追加
2016/02/11公開