逆行時計(ぎゃっこうどけい)
このシナリオは「クトゥルフ神話TRPG(第6版)」に対応したシナリオです。
推奨人数 | 1~2人 |
---|---|
推奨技能 | 目星 or 図書館 or 言いくるめ(左記3種のうちいずれか1つあればOK) |
準推奨技能 | なし |
戦闘有無 | なし |
所要時間 | 約6~8時間(オンラインによるテキストセッション) |
複数回使用する機会がある、または生還やある程度の情報取得に必要な技能を「推奨技能」、1回は使用する機会がある、またはさらなる情報を得るために必要な技能を「準推奨技能」と区分しています。
なお、所用時間はテストプレイを行った際にかかった時間です。
KPもPLも茶番好きかつ慎重なプレイスタイルのため、進行の仕方によっては所用時間が前後します。あくまで目安程度でどうぞ。
記法
シナリオの見方をご確認ください。
Copyright
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
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PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION
01.あらすじ
日常生活を送っていた探索者は、ある日知人である「小畑 涼(おばた りょう)」と久しぶりに会っていた。
小畑から不思議な懐中時計を受け取った探索者は、眩暈に襲われ視界が暗転し……
……ふと気がつけば、探索者は12歳頃の背格好になっていた。
02.索引
概要
01.あらすじ
02.索引
03.背景
04.導入
05.小畑の死
06.調査(街中)
07.調査(伊高出版)
08.イズンの恵み教団
09.魔導書処分
10.エンディング
11.報酬
12.補足
13.利用規約・更新履歴
03.背景
シナリオ概要
12歳頃の姿に若返ってしまった探索者が元の姿に戻るべく奔走するシティシナリオ。
時間経過とともに若返りは進行し、放っておくと胎児よりも小さくなり、やがて消滅するだろう。
とはいえシナリオそのものの難易度は低めであり、若返った探索者のドタバタを楽しむことがメインとなる。
子供化、一時的なステータス変動、死体描写、NPCの死
このシナリオには上記の要素が含まれているが、事前にPLに知らせるかどうかはKPの任意。
要素としての度合いが薄いもの、行動によっては発生しないものも存在するため、PLから相談があった場合はシナリオ本文を見て適宜対応すること。
また、これはシナリオ作者の主観で要素をリストアップしたものだ。ここにはないがPLに知らせたい要素があれば自由に付け加えて良い。
背景情報
探索者が住まう町には「イズンの恵み教団」と呼ばれるカルト教団が存在していた。
「神を信じれば不老不死の奇跡が与えられる」という教義の元に活動している小さな組織だが、彼らは「イスの偉大なる種族(以降イスと表記)」の研究に協力し、イスが作製したアーティファクト「逆行時計」の実験を行っていた。
逆行時計は所有者とその近くにいる者の「肉体の時間」を巻き戻す。
記憶はそのままに肉体だけが若返り、服装は当時着ていたものに変化する。
しかし一度作動してしまうと「肉体の時間」を巻き戻しきって所有者が消滅するまで若返りは止まらない。
それ故に逆行時計は未完成の代物であり、不具合を直すために日々実験を行っている。
次の実験に選ばれたのは、探索者の知人であり教団の信者でもある小畑 涼(おばた りょう)だった。
小畑は逆行時計が未完成であり、実験が始まれば死ぬことを知っていた。
それを恐れた小畑は逆行時計を盗み出し、たまたま連絡が付いた探索者に逆行時計を押し付ける。
そして逆行時計は探索者を所有者と見なして動き始め、探索者は刻々と若返りしていく肉体で原因を調べて行くこととなる。
イズンの恵み教団
イズンの恵み教団は「神を信じれば不老不死の奇跡が与えられる」という教義の元に活動しているが、それは表向きのものであり、真の目的は「大いなる邪神アザトースの招来」を目的とする邪教集団である。
信者の数は少なく危険性のない集団であったが、イスと出会うことにより状況は一変する。
イスの逆行時計がもたらす奇跡は教団の表向きの教義と合致し、信者は爆発的に増加する。
その結果、教団は大多数の「表向きの教義を信奉する信者」と少数の「邪教としての信者」が存在する形に変化した。
邪教としての教団はイスの逆行時計ではなく、イスの「肉体を移り変わる精神生命体」という特徴に着目していた。
「イスが用いる精神転移を活用し、この地球上の全生命体の精神をアザトースの元に向かわせれば良いのでは?」
という考えの下、イスの特徴を秘密裏に研究している。
NPC:イスの偉大なる種族
イスの偉大なる種族は、遥か昔、地球の生物にその精神を移した一族である。
一時は繁栄した彼らは、やがて天敵に滅ぼされる未来を感知し、優秀な者達の精神を遥かな未来、人類の滅亡後に繁栄する生物に移した。
優秀ではなかった者達は精神を移すことなく、天敵によりその数を減らしていった。
本シナリオで登場するイスはその「優秀ではなかった者達」の生き残り。
生殖が難しいほどに個体数が減少している事態を重く見ており、肉体を若返らせる装置として「逆行時計」を作製。時を超えてイズンの恵み教団と接触して実験を行う。
ちなみに、人間に精神を移せば生き残ること自体は簡単である。
しかしイスが用いる道具の数々は現在の肉体に合わせて作られたものであり、人間に精神を移すということはそれらの道具を捨てることとなる。
また、現在の肉体は数千年を生きるのに対し、人間の寿命はあまりにも短く、「引っ越し先」には適さない。
現在の肉体のまま情報を収集して研究を行い、それを未来の地球に生きる優秀な同族に遺すことがイスの目的。
「イスの目的」と「イズンの恵み教団の邪教としての目的」は一致せず、邪教としての目的を知った時、イスは教団の野望を根絶するために動くことになる。
(全生命体の精神をアザトースの元に向かわせるということは、この地球の滅亡を意味し、それはつまり未来の地球に生きる同族に多大な被害が発生することとなる)
個体名は持っていないが、教団からは「イズン様」と呼ばれている。
探索者がイスの名前を求めた場合、そのことを伝え、必要であれば「イズン」と呼べばいいと答えるだろう。
NPC:小畑 涼(おばた りょう)
イズンの恵み教団の表向きの教義を信奉する信者。
勧誘は行わず、信者としての活動は定期的に教団に赴いて礼拝する程度。
逆行時計によって人が消滅する場面を目撃しており、教団の邪教としての面にうすうす勘付いている。
それを察知されたのか、はたまた偶然か、次の逆行時計による「奇跡」の対象に選ばれた。
小畑は「奇跡」が行われる前に逆行時計を盗み出し、探索者と連絡を取り、探索者はこの騒動に巻き込まれて行くこととなる。
小畑の性別や性格、職業、年齢、探索者との関係性は特に指定しない。
「導入で小畑が探索者に【懐中時計】を渡すこと」さえ出来れば良いので、KP・PLが望む方向性で自由に設定すること。
以下にいくつかの設定案と【懐中時計】を渡すまでの流れを挙げるが、勿論これら以外の設定にしても全く問題ない。
・探索者の友人であり、旅行の土産だと嘘をついて逆行時計を渡す(誕生日プレゼント等何らかの記念でも可)
・探索者の部下であり、仕事でミスをしたお詫びにと逆行時計を渡す
・探索者の上司であり、仕事に励む探索者への褒賞として逆行時計を渡す
・たまたま出会った赤の他人で、「これを預かってくれ」と半ば無理矢理逆行時計を渡す
・露天商をしており、目玉商品として逆行時計をアピールして探索者に売る
小畑の設定によってはシナリオ中の情報の出し方や言動に矛盾が生じる可能性があるが、その場合は小畑の設定に沿う形で演出を適宜修正すること。
04.導入
導入は探索者が小畑 涼から【懐中時計】こと逆行時計を受け取るシーンとなる。
【03.背景/NPC:小畑 涼(おばた りょう)】で記した通り、探索者と小畑の関係性によって演出が異なってくるため、この辺りは柔軟に対応する。
調査:懐中時計
手のひらに収まるサイズの懐中時計。
0時0分で針は止まっているが、竜頭(時計を動かす・針を回すためのネジ)も電池を入れるためのカバーもなく、動かし方は分からない。
技能で出てくる情報は特になし。
イベント:逆行時計の起動
【懐中時計】を渡した後、小畑の携帯に着信が入る。
小畑が通話を始めた直後、恫喝するような声が探索者の耳にも届く。
通話は即座に切られ、小畑は「急用ができた」と言いこの場を去る。
〈聞き耳〉
恫喝するような声の中から「時計」という単語を聞き取ることが出来る。
(通話は逆行時計の盗難に気付いた教団関係者が、逆行時計を返すよう小畑に脅しをかけたもの。
この通話により小畑は逃げ出し、逆行時計を探索者に完全に押し付けた。)
小畑が去った後、以下のイベントが発生して逆行時計は動き始める。
かち、かち、かち。
○○の手の平で時を刻む音がする。
懐中時計の秒針が回る。
反時計回りに。時に逆らうように。
かち、かちかち、かちかち、かちかちかちかち。
時の刻みが加速する。秒針だけでなく、短針と長針までもが回りだす。
その針の動きを見ているうちに、時を刻む音を聞いているうちに、
○○の視界は揺れ、世界は歪み――やがて、暗転した。
――がやがやとした街の喧騒が聞こえる。頬には硬いテーブルの天板の感触。
目を開けると、○○はその場で突っ伏して気絶していたようだと理解するだろう。
そして、自身が着ている服が変わってしまっていることにも。
服はよく見るまでもなく○○が子供の頃着用していたものであり、サイズは丁度良いものだった。
……それは、つまり。
○○は鏡を見る。
そこには、12歳前後の○○の姿があった。
★正気度喪失【1/1D6】
PLが2名だった場合は2人とも若返り、服は当時着ていたものと同じものを着ている。
また若返りにより、以下のステータス変化が発生する。
・SIZが8に変化
・1D3のSTR・CON・DEX減少(3を下限とする)
・技能値および探索者の記憶に変化はない(当時の記憶・性格に戻るわけではない)
若返り処理後、【05.小畑の死】に移行する。
備考:逆行時計を受け取らない場合
小畑は探索者に渡すことを諦めてその場を去る。
探索者は平穏な日常に戻るが、小畑はその後行方不明になってしまうだろう。
それ以外は何事も起きずシナリオクリアとなり、報酬は一切発生しない。
シナリオ放棄にあたるため非推奨ではあるが、PLがあまりにも進行に非協力的ならば、この時点でシナリオを終了させて良い。
備考:若返り処理について
【06.調査(街中)】以降、場所を移動する度に若返りが進行し、その度に以下のステータス変化が発生する。
また若返りの進行は初回のような気絶は起きず、立ち眩みがして視界が元に戻ったら若返りしていた形になる。
・1D2の年齢減少
・SIZ・STR・CON・DEXが1減少(STR・CON・DEXは3を下限とする)
若返りが発生してからは【懐中時計】の短針は探索者の現在の年齢を指し示す。
探索者が2人の場合はそれぞれ長針・短針で探索者の現在の年齢を示すようになる。
例を挙げると以下のように表示される。
探索者A | 探索者B | 表示時刻 |
---|---|---|
12歳 | 12歳 | 12時00分 |
10歳 | 10歳 | 10時50分(短針は10時台、長針は10を指す) |
10歳 | 8歳 | 10時40分(短針は10時台、長針は8を指す) |
6歳 | 5歳 | 6時25分(短針は6時台、長針は5を指す) |
どちらかの探索者が1歳以下になる、あるいはSIZが2以下になった時点で【10.エンディング/ED2】に移行する。
0歳ではなく1歳以下なのは、1歳時点での運動能力がつかまり立ちや伝い歩きにまで低下し、まともな移動が不可能となるため。
若返り回数や出目によっては年齢やSIZに余裕があるため、ファンブル処理で若返りを進行させても良い。
ただしその場合、その後の展開上確実に発生する若返りで【10.エンディング/ED2】への移行が確定することのないよう若返り回数の猶予には気を付けておくこと。
なお、若返る瞬間を通行人などの他者が目撃した場合、探索者のことは一瞬で子供がやや幼くなり服が変わったように見えるだろう。
彼らは怪訝に思うかもしれないが、探索者から働きかけない限り手品の一種とでも捉えていく。
もし探索者からこの事態を訴えれば、警察や消防への通報という形で対応するだろう。
……しかしそうしている間にも時間は過ぎ、若返りが進行してしまうため推奨しない。
05.小畑の死
【04.導入/イベント:逆行時計の起動】後、小畑から連絡が入る。あるいは探索者から小畑に連絡を取っても良い。
小畑との関係性によっては、通行人などの赤の他人からの伝言という形で伝えて良い。
小畑は「まずいことになった。時計を返してほしい」と探索者に告げ、最寄りのコンビニ前での待ち合わせを提案する。
探索者が別の待ち合わせ場所を指定した場合、少し考える素振りを見せるものの承諾するだろう。
逆行時計を探索者に渡した後、小畑はとあるジャーナリストに教団の邪教としての面をリークして逃げる予定だったが、探索者の元から離れてすぐに教団の信者に捕まり、拷問を受けた。
小畑は拷問に屈し、逆行時計の現在の持ち主である探索者をおびき寄せるために待ち合わせを提案した。
イベント:待ち合わせ場所にて
待ち合わせ場所に行っても小畑の姿はなく、代わりに「小畑の代理」を名乗る五十代ほどの男性が探索者に話しかける。
男性は「小畑は『今回の件で迷惑をかけた、詳しい話は別所でしたい』と言っている」と告げ、探索者を車に乗せて小畑がいる場所まで連れて行くことを提案する。
この男性に関しては「大丈夫、何もしない」など、不信感を煽り怪しい誘拐犯を思わせるRPを推奨する。
男性は教団の信者であり、逆行時計の持ち主である探索者を保護して教団まで連れて行き、今回の「奇跡」の経過を見守ることを目的としている。
その為探索者に危害を加えるつもりはなく、どこに連れて行くのか問われた場合は教団本部であることを正直に告げる。
ただしこの時点で小畑は拷問で死亡しており、「小畑が話をしたいと言っている」ことは探索者の気を引くための嘘。
男性の言葉に従い車に乗る場合は【イベント:車中にて】に移行。
従わない場合、男性は無理やり探索者を車に乗せようとする。
コンビニ前など人目のある場所の場合、通行人や店員が男性を食い止めて探索者はその場から逃走することができる。
人目のない場所を待ち合わせ場所に指定していた場合は〈DEX5との抵抗表ロール〉を行う。
ロールに成功すると逃走できるが、失敗すると男性に捕まり【イベント:車中にて】に移行する。
逃走に成功した場合は【イベント:路地裏の再会】に移行する。
イベント:路地裏の再会
男性から逃げるうちに、探索者は巡り巡ってコンビニ(あるいは待ち合わせに指定した場所)の裏手まで戻ってくる。
そこにはエアコンの室外機にもたれかかって動かない小畑の姿がある。
小畑に触れると彼が死んでいることが判明し、【1/1D4】の正気度喪失が発生する。
遺体の傍には手帳と名刺が落ちている。
名刺には「伊高(いたか)出版 増田 久美子(ますだ くみこ)」とあり、電話番号や住所も小さく書かれている。
住所はここからそう遠くないことも分かるだろう。
また、手帳には今日の予定の欄に「16:00 伊高出版」と書かれていることは技能なしでも判明する。
これ以上の情報は技能を用いて調査を行う必要がある。
調査:小畑の遺体
遺体を調べる場合は〈目星〉、手帳を調べる場合は〈図書館〉。
また路地裏の民家の玄関から老人がこちらの様子を伺っており、〈言いくるめ〉で情報を得ることも可能。
ただし、探索者が〈言いくるめ〉を持たない場合は老人の存在は省略しても構わない。
遺体に〈目星〉
小畑の手には黄金のリンゴと女性をモチーフにしたブローチが握られている。
また、小畑はシャツの下に隠すようにネックレスをしており、そこにも同じ意匠の飾りがついている。
体中に酷い暴行を受けた跡があり、ブローチは暴行の最中に小畑がもぎ取ったものであると予測できるだろう。
(黄金のリンゴと女性をモチーフにした物品は教団の一員であることを示すもの。
これらのモチーフの意味は後述)
手帳に〈図書館〉
手帳に書かれているのは仕事に関するメモが大半。
毎週日曜日に黄金のリンゴと女性をモチーフにした小さなスタンプが押され、その横に「礼拝」と書かれているが、次の日曜日のスタンプには×印がつけられている。
また、今日の日付のところには◎印がついている。
(×印は小畑が逆行時計の「奇跡」を受ける日。小畑にとってのタイムリミット。
◎印は逆行時計を盗み出し探索者に押し付ける「実行日」を示している)
老人に〈言いくるめ〉
老人から以下の話を聞き出すことが出来る。
老人の話
「ガタイのいい兄ちゃんが2、3人がかりでそこの兄ちゃんを殴っててなあ……通報しようか迷ってたら五十代くらいのおっちゃんが殴られてた兄ちゃんに電話をかけさせてたんだ」
「時計を返してほしいとかなんとか言ってたかな……? そのあとおっちゃんはどこかに行って、ガタイのいい兄ちゃんはそこの兄ちゃんを……」
「……通報しようにも、あんなのを見せられたら仕返しされるんじゃないかって思っちゃってねえ……酷い怪我だし、早く救急車呼ばないとまずいよねえ」
「しかしこれ、宗教のいざこざなのかい? 『イズン様』『教団』『裏切り』とか聞こえたけど……」
小畑の死体調査を終えた後、【06.調査(街中)】に移行する。
イベント:車中にて
男性の言葉に従い車に乗ると、男性は探索者に危害を加えることなく車を運転する。
フロント部分には黄金のリンゴと女性をモチーフにした小さな像が置かれている。
〈図書館〉〈オカルト〉
〈図書館〉は情報を調べるための媒体(スマートフォンなど)を持っており、それを利用して調べると宣言した場合のみ技能ロール可能。
〈オカルト〉はその情報を知っているかどうかの判定になるためそういった制限は特にない。
技能ロールに成功した場合、
この女性は北欧神話に登場する、永遠の若さを約束する黄金のリンゴの管理人である女神イズンだと察しがつく。
また、運転している男性に対して問いかければ彼が分かる範囲で質問に答える。
彼は教団の邪教としての側面を知らず、若返りの奇跡を信奉している。
小畑による逆行時計の盗難には憤りを覚えており、彼の身柄を確保して逆行時計の所有者を呼び出した後は、用済みとして小畑の殺害を指示した。
決して善人ではないが、奇跡を受けている探索者に対しては誠実。
自分が「イズンの恵み教団」と呼ばれる教団の一員であること、「神を信じれば不老不死の奇跡が与えられる」という教義の元で活動していること、ここ最近は「若返りの奇跡」のおかげで信者が増加していることなど、探索者の問いかけ次第で様々な回答を返すだろう。
ある程度の情報収集が進んだ時点で若返りが発生する。
具体的な処理は【04.導入/備考:若返り処理について】を参照。
若返り処理後、【08.イズンの恵み教団/イベント:歓迎】へ移行する。
06.調査(街中)
小畑の遺体調査後、探索者は更なる調査に乗り出すことになる。
伊高出版に向かう場合は【07.調査(伊高出版)】へ、黄金のリンゴと女性の意匠について調べるなど他の行動をする場合は【調査:追加調査】となる。
伊高出版に向かう、追加調査を行う、追加調査後に伊高出版へ向かうタイミングでKPは以下のトラブル表を振る。
1 | いつの間にか歓楽街に迷い込み、不審に思った警察があなた達に声をかけてくる。 |
---|---|
2 | なんだか荷物が軽い……確認してみると、落し物をしてしまったようだ。 |
3 | 背丈が違うと見える景色も違う。そのためか、道に迷ってしまった。 |
4 | 子供になって体力も減ってしまったのだろうか……歩くのが辛くなってきた。 |
5 | 塀に穴が開いている。ここを通ることが出来れば目的地までスムーズに着きそうだ。 |
6 | 見覚えのある男性がこちらに向かってくる……コンビニ前であなた達を捕まえようとした男性だ! |
トラブル表の結果に応じて以下のように技能ロール、あるいは行動を決める。
1 | 〈言いくるめ〉に失敗すると経過時間大 |
---|---|
2 | 荷物を探す場合は経過時間大、探さない場合は持ち物の中からランダムに1つ喪失する |
3 | 〈ナビゲート〉に失敗すると経過時間大 |
4 | 〈CON*5〉に失敗すると経過時間大 |
5 | 〈SIZ*5〉に「成功」すると穴を通れず経過時間大(SIZが大きいほど判定に成功しやすくなるため) |
6 | 〈DEX5との抵抗表ロール〉に失敗すると男性に捕まり、【08.イズンの恵み教団/イベント:歓迎】に移行する |
この判定後、若返りが発生する。
具体的な処理は【04.導入/備考:若返り処理について】を参照。
基本的に1D2の年齢減少だが、「経過時間大」になった場合は1D3の年齢減少となる。
若返り処理の後、目的地に到着する。
調査:追加調査
伊高出版に向かう前に、小畑の遺体から得た情報を元に調査を行うこともできる。
この調査は必須ではなく、明確な調査ポイントも設定しない。
探索者の技能や行動に合わせて調査ポイントを設定し、対応すること。
この時の調査技能は〈目星〉〈図書館〉〈言いくるめ〉のいずれかが望ましいが、探索者の技能や提案からそれ以外の技能で調査を行ってもよい。
〈目星〉〈図書館〉〈言いくるめ〉
黄金のリンゴと女性のマークについて調べた場合、以下の内容が明らかになる。
黄金のリンゴと女性をあしらったマークは「イズンの恵み教団」を示すもの。
イズンとは北欧神話に登場する女神の名前であり、永遠の若さを約束する黄金のリンゴの管理人。
イズンの恵み教団は「いつまでも若々しい姿で充実した人生を送る」ことを教義としている。
これ以外の情報について調べる場合、シナリオ背景などの情報から適宜抜き出して提示して良い。
もし教団の住所を調べた場合は教団への移動も可能とする。
教団に向かう場合は【08.イズンの恵み教団/イベント:歓迎】に移行する。
07.調査(伊高出版)
伊高出版は雑居ビルの1フロアを借りている小さな出版社。
受付の電話を鳴らせば増田久美子が現れ、探索者を応接間に案内する。
応接室といっても雑然としたもので、辺りには資料と思しきものが積まれている。
探索者を案内した直後、久美子の携帯に電話がかかる。
久美子は一旦席を外し、その間に〈目星〉〈図書館〉で辺りを探ることが出来る。
増田 久美子は30代前半の女性ジャーナリスト。教団の一員だが、そのことは秘密にしている。
小畑は彼女に教団の邪教としての面をリークする予定だったが、彼女もまた教団の一員だったため、結局真実は握り潰され小畑も捕まる運命にあった。
久美子が受けた電話は教団からのもので、この電話から探索者が逆行時計の所有者と知り、探索者を捕らえるために行動を開始する。
調査:応接間
〈目星〉〈図書館〉〈言いくるめ〉を振ることができる。
ただし〈言いくるめ〉は電話を終えた久美子が帰ってきてからのみロール可能。
〈目星〉〈図書館〉〈言いくるめ〉
イズンの恵み教団は「いつまでも若々しい姿で充実した人生を送る」ことを教義としているが、教団幹部が教義について語る時、さして強い熱意を持っているように感じられない。
信者から金を巻き上げる為の方便としても、金の流れはとてもささやかなものだ。
他に何か意図があるのだろうか……?
調査:増田久美子
〈目星〉〈図書館〉による調査を終えた時点で、電話を終えた久美子が帰ってくる。
久美子は探索者にジュースとお菓子を振る舞い、教団についての情報を語る。
(ジュースには探索者を捕らえるための睡眠薬が混入されている。
教団についての情報を語るのは、探索者を足止めするため)
「『イズンの恵み教団』はここからそう遠くないところにある宗教団体ね」
「若さと充実した人生を送るためにがんばりましょう、だったかな。そんなことを言ってるのよ」
「……最近は『若返りの奇跡』なんてものをするようになったみたいで、おじいちゃんおばあちゃんがどんどんその宗教にのめりこんでるみたい」
「あとは……その頃から、この町で行方不明になる人がちょっとだけ増えてるのよ」
「関連があるかもしれないし、ないかもしれない。キミみたいな小さい子にはオススメしないわ」
久美子の話が終わる辺りで探索者は強烈な眠気を覚える。
久美子のスーツの袖から「イズンの恵み教団」を示す飾りが用いられたブレスレットがちらりと見えて、探索者は意識を失い、【08.イズンの恵み教団/イベント:目覚め】に移行。
もしジュースを飲まなかった場合、久美子はジュースを飲むように勧めるだろう。
それすら拒否した場合、久美子はガタイのいい男を呼び「穏便に済ませたいからジュースを飲んでくれ」と再度の警告をする。
警告を無視した場合、ガタイのいい男は探索者を取り押さえ、無理矢理睡眠薬を飲ませるだろう。
その際に探索者は1の耐久減少となる。
08.イズンの恵み教団
教団は外から見ると3階建てのごく一般的な家。
表札には「イズンの恵み教団本部」と書かれており、これがなければ宗教団体の施設とは分からない。
伊高出版で久美子と会い、気を失って運ばれた場合は【イベント:目覚め】へ、それ以外の手段で教団に辿り着いた場合は【イベント:歓迎】に移行する。
イベント:歓迎
男性の車に乗ってきた場合は男性が、それ以外の場合は玄関にいる受付の女性が探索者を迎え入れる。
1階の礼拝堂に探索者を案内し、男性(あるいは受付女性)は「教団の幹部に報告するから、ここで少し待っていてほしい」と言ってこの場を後にする。
1階の礼拝堂には長椅子が並んでおり、一般人らしき人がちらほらと座って熱心に祈りを捧げている。
何らかの技能ロールで【06.調査(街中)/調査:追加調査】【07.調査(伊高出版)】に記載されている情報を提示して良い。
どの情報を提示するかは、探索者がどの情報を得ていないか、どの情報を得たら動きやすくなるかなどを元に適宜選択すること。
調査を終えた時点で男性(あるいは受付女性)が戻り、「幹部が君達と話をしたいそうだ」と告げて2階の客間に案内する。
その後、男性(あるいは受付女性)は探索者にここで待つように告げて客間を後にする。
これ以降【イベント:目覚め】に移行する。
この場合、序盤の目覚め描写は適宜改変して部屋の様子を伝えること。
イベント:目覚め
○○は見知らぬ部屋で目を覚ます。
天井の隅には一台の監視カメラがあり、ベッドの上で寝かされていた○○を撮っている。
本棚やテーブル、そして様々な玩具が部屋の中に並べられていた。
〈目星〉〈図書館〉で部屋の中を探ることが出来る。
なおここで開示する情報は、後々現れる幹部の男に〈言いくるめ〉を行うことでも開示される。
〈目星〉〈図書館〉〈言いくるめ〉
〈目星〉ならば監視カメラの死角となる場所に置いている玩具の中にメモが隠されている、〈図書館〉ならば本棚の一番下の段、絵本の中に書かれたメッセージを見つける。
〈言いくるめ〉ならば幹部の男が監視カメラからは見えないように探索者にメモを渡すだろう。
(この場合、幹部の男は邪教としての教団に抵抗感を抱いているとする)
技能成功で明かされる情報
「若返りの奇跡」は「逆行時計」がもたらすものであり、それは未知の金属、未知の加工法で出来ている。
逆行時計の製作者は教団外部の者で、教団の幹部は逆行時計ではなくその者が持つ未知の技術を狙っている。
教団幹部は未知の技術を利用して全人類を「神」の元へ連れて行くことを計画しているようだ。
部屋の調査が終わった時点で若返りが進行し、その後カソック姿の壮年の男(幹部の男)が部屋に入ってくる。
男はプロジェクターに似た奇妙な装置を両手に抱えており、それを床に降ろしてから「自分はこの教団の幹部の一員である」と告げ、以下の内容を口にする。
「我々は『イズンの恵み教団』。この度は我々の『奇跡』に巻き込んでしまって申し訳ない」
「君達を巻き込んでしまったことを受け、今回の実験は中止することとなった」
「逆行時計の製作者が君達と話をしたいと言っているから、この装置で今から通信を開始する」
男はそう言って奇妙な装置を操作し、装置は壁を照らして製作者の姿を映し出す。
イベント:イスの偉大なる一族
円錐体が壁いっぱいに映る。
ピントが合わずにぼんやりとしていたその影は、次第に明確になって行く。
蛇を思わせる鱗は七色にてらてらと輝き、円錐体の頂部から延びる四本の触手もまた同様の鱗に覆われていた。
一本の触手は先端部が腐った卵のような色と形状をしており、三つの黒い目が○○をじっとりと見据えている。
この頭と思しき器官から垂れ下がる触角は一定のリズムで収縮を繰り返す。
作り物とは到底思えなかった。
例え映像越しであっても、○○の目に映る「それ」は紛れもなく異形の怪物であった。
★正気度喪失【0/1D6】
もしこの正気度喪失で発狂した場合、いくらかの発狂RPをした時点でイスが事態を察知し、発狂した探索者を指差してその精神を強制的に正常化させる。
イスは幹部の男を指差して気絶させ、その後、探索者に以下のことを伝える。
(幹部の男を気絶させたのは探索者と集中して話をしたいため)
「私が逆行時計の製作者です。この度は実験に巻き込んでしまって、あなたには申し訳ないことをしました」
「本来なら進んで協力してくれる教団の信者にしか実験を行わないはずが、何かの手違いであなたの元に逆行時計が渡ったようです」
「実験は中止します。今回の件で教団の管理体制にも疑問が出てきましたので、教団との共同実験は今回限りで打ち切りにしましょう」
「この教団とは『若さを手に入れる』という点で思想が一致していただけに実験もスムーズに行えましたが、仕方ないですね……」
行動:教団の真意を伝えた場合
この部屋の調査で得た情報(教団は逆行時計ではなくイスの技術を狙っていること)を伝えると、イスは探索者に頼みごとをする。
「……それが本当のことならば、度し難いことです」
「巻き込んでおいて申し訳ありませんが、あなたに一つ頼みごとをしてもよろしいでしょうか」
「私はこの通り、あなたとは違う時代に生きています」
「映像を通じて幹部の方々と話し合うことはできても、教団の方々がその思想に至った原因を破壊することはできません」
「どうか、原因――おそらく書物の形をしたものでしょう。それを見つけ出し、処分してくれませんか」
「もちろん書物の処分は強制ではありません。あなたを解放した後でも、書物を処分する手段はありますから。……私にかかるリスクはありますが、あなた方には関係のないことですし」
イスの依頼を受けるか受けないかは探索者の判断による。
(イスが言うリスクは、書籍の処分の為に教団の一員と精神交換を行い、自分が教団の一員の体を得る代わりに自分の体を教団の一員に明け渡してしまうこと。
書籍を処分するまでの間とはいえ、何をされるか分からない点がイスにとってのリスクである)
一通りの会話が終了した後、イスは奇妙な装置を利用して電撃銃を転送する。
外見は拳銃そのものだが弾は電気そのものであり、事前に込められた分を消費すると再装填はできない代物。
(ルールブックのイスの項に記載されている電撃銃と形状が異なるが、基本的なスペックはルールブック記載物と同様。
また、シナリオ終了時点で弾が残っていた場合、イスが通信切断前に残弾を消去し電撃銃を使用不可能にする)
イスは電撃銃で逆行時計を撃てば時計は破壊され、探索者は元の年齢に戻ると告げる。
もし魔導書の処分を請け負った場合、それならばもう少しの間小さいままの方が都合がいいかもしれないと助言をするだろう。
行動:逆行時計を破壊する
電撃銃で逆行時計を撃つと、逆行時計は完全に壊れてしまう。
それと同時に探索者は強いめまいに襲われ、ふと気がつけば元の姿に戻るだろう。
イスは探索者に迷惑をかけたことを詫び、教団の幹部達に実験を終了して手を切ることを告げるために通信を切断する。
教団のメンバーはイスの突然の実験打ち切りに慌てふためいており、探索者が部屋を出て施設を抜け出しても咎める者はおらず【10.エンディング/ED1】に移行する。
行動:魔導書処分を決行する
イスは教団の幹部達を集めて気を引き、その間に魔導書を見つけて電撃銃で処分するよう提案する。
「では、私は教団の幹部の方を集めて『話し合い』をしましょう。いくらかやりやすくなるはずです」
「その間に書物を見つけ、その銃で処分してください。そこまで大きな建物ではないですし、少し探せば見つかるのではないかと」
探索者が了承した時点で通信は途切れ、部屋を出ると【09.魔導書処分】に移行する。
09.魔導書処分
教団は3階建て。
探索者がいたのは2階の客間であり、他に調査が可能なのは1階の「礼拝堂」と3階の「会議室」「開発室」の3か所。
これら以外にも部屋はいくつか存在するが、調査を行っても特に何も見つからない。
2階から1階など、他の階層に向かう度に「信者に見つからずに移動できるか」の判定(以下隠密判定とする)を〈隠れる〉+〈(18-SIZ)*5〉で行う。
(他の階層に向かう度なので、1階から3階に向かう場合は1階→2階、2階→3階で隠密判定を計2回行う)
隠密判定に失敗すると教団の信者に発見され、追いかけられることとなる。
〈DEX10との抵抗表ロール〉に成功すると現在地から同階層の空き部屋に移動し、〈隠密判定〉に成功すると追っ手を撒くことに成功する。
これらの判定に失敗すると教団の信者に捕まって客間に戻され、【イベント:処分失敗】へ移行する。
調査:礼拝堂(1階)
礼拝堂の長椅子には一般人らしき人がちらほらと座って祈りを捧げているが、教団の関係者と思しき者は見当たらない。
教壇には革表紙の本が置かれており、中身は読めない言語で埋め尽くされている。
本を電撃銃で処分すると辺りは騒ぎとなり、それを聞きつけた教団の関係者が現れる。
〈隠密判定〉に失敗した場合の判定を行うこと。
なおここに置かれている本は表向きの教義用の聖書であり、処分したところで何も起こらない。
調査:会議室(3階左側)
部屋に入る前に〈聞き耳〉に成功すると、イスと男達の話し声が聞こえる。
「……が第三者に……不届き……わけには……せん」
「ですがそれは……小畑が突如……であり……適切に……」
「……即座に……なかった……小畑を……非が……」
部屋に入ると教団幹部たちに見つかり、判定もなく確定で捕まり【イベント:処分失敗】に移行する。
なお〈聞き耳〉で断片的に聞こえる話の内容は以下の通り。
「逆行時計が第三者に渡るなどという管理不届き、見過ごすわけにはまいりません」
「ですがそれは実験に協力的だった小畑が突如逃げ出したからであり、我々は逆行時計を適切に管理していた」
「いいえ、小畑を即座に捕らえられなかった、あるいは小畑を選出したあなた方にも非があります」
イスが教団の管理不届きを咎め、実験の打ち切りを申し出ている場面である。
調査:開発室(3階右側)
開発室はPCや監視カメラのモニターが並んでいる。人の姿はない。
机の上には書類とタブレット端末が置かれている。
タブレット端末を起動すると、中には電子書籍リーダーのアプリのみ入っている。
アプリを起動してみると無題の書籍1冊しか入っておらず、自分でスキャンして取り込んだものだと察することができるだろう。
書籍の中身を確認すると、表紙に書かれている文字も本文も、探索者が見たこともない言語で書かれている。
その内容は到底理解できるものではないが、異様な雰囲気を感じるだろう。
【0/1】の正気度喪失が発生する。
このタブレット端末こそが魔道書であり、探索者が壊すべきものである。
しかし部屋の中には「裁断された魔導書の原本」および「読み取ったデータを保存しているPC」があり、それらも破壊する必要がある。
いずれも宣言さえすれば見つかることにして良いが、探索者の技能値によっては〈目星〉〈図書館〉などを振らせても良い。
またタブレット端末以外に壊すべきものがあると気付いていない場合、〈アイデア〉でヒントを与えても良い。
もしネットへの魔導書のデータ流出を危惧しているなら、ここのPCは外部に繋がっておらずスキャナや裁断機もあることから、全ての作業がこの部屋で完結していることを伝えること。
イベント:処分完遂
タブレット端末、原本、PC全てを電撃銃で処分すると、教団幹部の男がイスとの通信装置を抱えて開発室に入ってくる。
男はどこかぼんやりとした様子で装置を操作し、イスの映像を投射する。
(この時点でイスは教団幹部全員に洗脳を施し、邪教としての教団の記憶を消し去っている)
イスは魔導書を処分したことを知り、探索者に感謝の言葉を述べて逆行時計を破壊し、元の生活に戻るよう勧めるだろう。
探索者が元の姿に戻った後は、感謝のしるしとして「逆様時計」を探索者の元に転送する。
イスは「これは人間でも扱えるよう出力を抑えたもので、いつかどこかで役に立つかもしれません」と述べ、通信を切断する。
その後、探索者が部屋を出て施設を抜け出しても咎める者はおらず【10.エンディング/ED1】に移行する。
なお、通信が切断された時点で電撃銃の残弾はイスによる遠隔操作で全て破棄され、使い物にならなくなる。
イベント:処分未遂
タブレット端末、原本、PCのいずれかを破壊しないまま開発室を出ようとすると発生。
大まかな流れは【イベント:処分完遂】と同じだが、イスは探索者にお礼の品物を渡さず、探索者の幸運を祈り通信は切断される。
その後、探索者が部屋を出て施設を抜け出しても咎める者はおらず【10.エンディング/ED1】に移行する。
イベント:処分失敗
魔導書を処分する前に教団の関係者に捕まり、客間に戻ると発生。
洗脳された教団幹部が現れてイスとの通信を繋ぐまでは【イベント:処分完遂】と同様。
イスは魔導書の処分に失敗したことを残念がるが、これ以上無理はしなくていいと探索者に告げ、逆行時計の破壊を勧める。
逆行時計を破壊した後、時計のパーツである歯車ならば人間に害のない程度に不思議な力があること、興味があるのならば持っておくと良いと告げて通信は切断される。
その後、探索者が部屋を出て施設を抜け出しても咎める者はおらず【10.エンディング/ED1】に移行する。
10.エンディング
ED1/逆行時計を破壊する
探索者は元の姿に戻り、何事もない日常生活を送ることとなる。
ED2/どちらかの探索者が1歳以下、あるいはSIZが2以下になる
若返りが進行しすぎて動けなくなった探索者は懐中時計を見る。
ぐるぐると秒針が逆回転し、赤子へ、胎児へと戻っていく。
やがてその場には、0時0分を示す懐中時計だけが残された。
11.報酬
逆行時計を持ち帰ることはできるが、完全に壊れており修復は不可能。
魔道書の持ち帰りも不可。持ち帰ろうとしたところでイスがそれに気付き、魔道書を処分するよう警告する。
それでも警告を無視する場合、イスは探索者と短時間の精神交換を行い魔道書を処分する。
生還
条件 | ED1到達 |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 1D10の正気度回復 |
魔導書の根絶
条件 | ED1到達+魔導書を全て処分する |
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対象 | 全員 |
内容 | アーティファクト「逆様時計(さかさまどけい)」 手の平に収まるサイズの懐中時計。反時計回りに時を刻んでおり、時計としての使い方は出来ない。 わずかながら「遡る」力を秘めており、このアーティファクトの所有者の持ち物が破壊された場合、1つだけ元通りに修復することが出来る。 (※シナリオ内で入手したアイテムに対しての使用の可否はKP判断とする) 発動のタイミング、修復対象は任意。 このアーティファクトは使い捨てであり、1度使用するとただの奇妙な懐中時計となる。 |
魔導書の根絶?
条件 | ED1到達+魔導書を1つは処分したが、全てを処分することはしなかった |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 「ささやかな幸運」 〈年収*5ロール〉に「失敗」すると仕事が舞い込む、昇進するなどの良いことが起こり年収+1。 なお、年収が既に18の場合は仕事に関連する技能1つに経験チェックをつける。 |
ミッション失敗
条件 | ED1到達+魔導書の処分に乗り出したが教団に捕まって失敗した |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | アーティファクト「欠けた歯車」 逆行時計のパーツとして使われていた小さな歯車。歯が欠けており使い物にならない。 わずかながら「遡る」力を秘めており、このアーティファクトの所有者は技能成長ロールを1回だけ振り直すことが出来る。 発動のタイミングは任意。 このアーティファクトは使い捨てであり、1度使用すると何の変哲もない歯の欠けた歯車となる。 |
12.補足
シナリオの流れについて
探索者の行動により変わる部分は多々あるが、大まかな流れは以下の通り。
流れによっては提示する情報をアドリブで決めていく部分もあるため注意。
①導入~コンビニで小畑と待ち合わせ
②男の車に乗るかどうか?
乗る場合は⑤、乗らない場合は③
③小畑の遺体発見、街中調査
伊高出版に向かう場合は④、教団に向かう場合は⑤
④伊高出版にて情報収集後、睡眠薬を飲まされ⑥に
⑤礼拝堂の調査(ここでは主に③の情報が出ると思われる)後、⑥に
⑥客間にて調査後、イスと会話
②以降ばらばらになっていたルートは一旦ここで収束する
魔導書処分を請け負った場合は⑦、請け負わない場合はエンディングへ
⑦魔導書処分
処分の成否によって報酬は変わるが、いずれにしてもエンディングへ
13.利用規約・更新履歴
利用規約
こちらをご確認ください。
参考書籍
サンディ・ピーターセンほか(2004).『クトゥルフ神話TRPG』.株式会社KADOKAWA.
スコット・アニオロフスキーほか(2008).『クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム』.株式会社KADOKAWA.
連絡先
製作 | ミナカミ |
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HP | https://dara.sakura.ne.jp/ |
minakamiryu■infoseek.jp |
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更新履歴
2023/12/28 | 「03.背景」にシナリオに含まれる要素を追加 |
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2023/10/16 | 他シナリオとレイアウト統一 |
2021/10/16 | 著作権表記、参考書籍を記載 |
2020/07/12 | 利用規約を修正 |
2017/12/23 | 報酬の項にアイテムの持ち帰りについて記載 |
2017/08/17 | HTML版に差し替え |
2017/06/27 | 公開 |