廻る揺籃(めぐるようらん)
このシナリオは「新クトゥルフ神話TRPG」に対応したシナリオです。
推奨人数 | 3人 |
---|---|
推奨技能 | 対人関係技能(威圧、言いくるめ、説得、魅惑)、回避、何らかの戦闘技能、図書館、目星、聞き耳、心理学 |
所要時間 | 約20~24時間(オンラインによるテキストセッション) |
推奨技能は重要度が高い順に記載しています。対人関係技能を全種類揃える必要はありません。
また、心理学はシナリオ上で技能ロールが指定される場面はなく、PLの提案次第で活かせる技能という扱いになります。
所用時間はテストプレイを行った際にかかった時間です。
セッション形式やプレイスタイルによって所用時間が前後するので、あくまで目安程度でどうぞ。
特に今回のテストプレイはPL間での相談時間を多めに取っていたため、相談の頻度や決断までの時間次第で大きく変わります。
記法
シナリオの見方をご確認ください。
Copyright
本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright (C)1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION
01. あらすじ
探索者達は山中で見つけた不思議な少女を追い、ひとつの村に辿り着く。
世俗から離れた奇妙な村は、探索者達を新たな住人として迎え入れる。
村から脱出する術はあるのか? この村は一体何なのか?
――知るためには、動かなければならない。
02. 索引
概要
01. あらすじ
02. 索引
03. シナリオのコンセプト、背景情報
04. NPC
05. 導入
06. 村長の説明
07. 1日目の探索について
08. 探索情報まとめ
09. 探索 - 村長宅
10. 探索 - 養鶏場
11. 探索 - 鐘撞き場
12. 探索 - 食堂
13. 探索 - 酒蔵
14. 探索 - 書庫
15. 2日目早朝
16. 2日目の探索について
17. 2日目夕方~夜
18. 逃避行
19. エンディング
20. 報酬
21. 利用規約・更新履歴
03. シナリオのコンセプト、背景情報
シナリオのコンセプト
閉ざされた村を舞台とした高難度クローズドシナリオ。
情報収集はNPCとの交流がメイン。文章ベースの情報は非常に限られている。
探索の自由度は高く、何の情報を集めるかはPLが能動的に決めていく必要がある。
そのため、PLには能動的な行動が、KPにはそれに応じたアドリブでの対応が求められる。
シナリオの結末は探索者の性格、探索で得た情報、出目によって大きく異なるが、ほぼ確実に後味の悪い結末になる。
このシナリオにおいて、探索者もNPCも全員が救われる結末はなく、必ず誰かが死亡するか人生が大きく変わることになる。
ほぼ確実に後味の悪い結末になることは、事前にPLに伝えて了承を取っておくと良いだろう。
出血描写、死体描写、殺傷、恐怖、対戦格闘・ケンカ描写、虐待、後味の悪い結末、1D100級の正気度喪失、世界滅亡、NPCとの対立、NPCの死、犯罪ではないが倫理観のない行為、継続不能レベルの後遺症
このシナリオには上記の要素が含まれているが、事前にPLに知らせるかどうかはKPの任意。
要素としての度合いが薄いもの、行動によっては発生しないものも存在するため、PLから相談があった場合はシナリオ本文を見て適宜対応すること。
また、これはシナリオ作者の主観で要素をリストアップしたものだ。ここにはないがPLに知らせたい要素があれば自由に付け加えて良い。
背景情報
今回の舞台となる「天眼村(あまめむら)」は、かつては日本の山間に存在する小さな村だった。
多くの優秀な占い師を輩出する村だったが、その実態は外なる神「ダオロス」の信者達で構成されていた。
ダオロスの神官は過去と未来を見通し、その能力で各地の権力者に仕えていたのだ。
しかしある時、神官はダオロスとの交信を誤り、ダオロスの化身である「聖なる光」を村に呼び寄せてしまう。
「聖なる光」は触れた者に真実の贈り物――地球の幻想のベールで隠された恐ろしい真実、怪物、次元を見る力を授ける力を持っていた。
本来であれば真実の贈り物が最大限分け与えられたタイミングで「聖なる光」は消滅するのだが、天眼村に呼び寄せられた「聖なる光」は村民全員に贈り物を与えてもなお消滅することはなかった。
真実の贈り物を最大限分け与えたと判断する人数が桁違いに多かったのかもしれないし、長い間崇拝され続けてきたダオロスが地球の民に報酬を与えるため「聖なる光」として現れたのかもしれないし、それ以外の理由かもしれない。
ともあれ、このままでは天眼村を越えて日本中どころか世界中に甚大な被害がもたらされることは明らかだった。
真実の贈り物を受けた天眼村の村人達のうち、狂気を逃れた者は「聖なる光」を封じ込める手段を模索した。
そして日々襲い来る真実の恐ろしさに苛まれながらも、ダオロスから授かった力を応用して「聖なる光」を天眼村ごと異次元に放逐することに成功する。
メタ的に言えば、真実の贈り物を得た際に発生する【1D10/1D100】の正気度減少を耐えた者が封印手段を模索し、日々発生する【1D6】の正気度減少に摩耗しながら異次元放逐を成し遂げたことになる。
【1D6】の正気度減少は盲目になれば回避できるため、数人はそうすることでより長い期間正気を保っただろう。
なお、この時に「聖なる光の退散」の呪文を習得し実行できれば事態は解決していたのだが、彼らは日々与えられる冒涜的な知識の中からそれを掴み取ることは出来なかった。
最後に残った問題は、
「たとえ異次元であっても『聖なる光』が消えることなく顕現し続ければ何が起こるか分からない」
「天眼村の村民は最終的に『冒涜的な知識と魔術師として一流の技術を持つ狂人』となる」
という2点だった。
これらを解決するために村人達が取った策は「真実の贈り物を受けていない者に『聖なる光』の封印を継続させること」だった。
「聖なる光」の封印は、知識や経験を持たない無垢な存在……生まれて間もない幼子(以降ミコと記載)の魂の内に閉じ込めることで成し遂げられた。
数年間は封印が安定するが、成長したミコが意思と欲望を持つようになると、「聖なる光」はそれに応えるように知識を授けてその代償としてミコの魂を侵食し、次第にミコは「聖なる光」およびその大本である「ダオロス」の力の一端を行使するようになる。
そのまま侵食を放置すると「聖なる光」の封印が内から解かれてしまうため、外部の人間を村に呼び込めるほどの力を得た段階をリミットとし、ミコを殺害して新たな幼子の魂に「聖なる光」を再封印することで、封印を半永久的なものとした。
「聖なる光」が力を行使して外部の人間を呼び込むのは、この半永久的な封印から脱するには何も知らない第三者が必要だと判断しているからである。
例え力を行使せず潜伏していても、いずれミコは殺され再封印されてしまう。
その前に第三者を呼び込み彼らが再封印を阻止すれば、「聖なる光」は封印を解くことができてしまうのだ。
村人達は自分達の正気が残っているうちに、次元を超えて新たな村人達を連れ込んだ。
新たな村人達は天眼村の人々が成そうとしていることを正しく理解し、「聖なる光」の封印と天眼村の存続を粛々と成し続けていた。
しかし、年月が経つにつれて言い伝えは変質し、村の歴史や神の情報は忘れ去られて行く。
現在は「聖なる光」という名前も、自分達が行っている儀式の目的も忘れ去られ、ただの「約十年に一度行われる奇妙な祭り」と化している。
もし祭りが行われなかったら、「聖なる光」はさらなる力を得て己の封印を解き放ち、次元を超え、甚大な被害を与えるだろう。
この世界の平和は、惰性と習慣で行われている祭りの結果次第でたやすく崩壊するというということだ。
探索者達はそんな綱渡りの状況に第三者として巻き込まれる。
村や世界の行く末は探索者達の行動によって大きく変わるが、どのような結果になっても必ず誰かが不幸になり、探索者達の心には一抹の不安が残り続けるだろう。
天眼村について
森を切り開いて作られた小さな村。
木造家屋と田畑が並び、時代劇で見る農村のような佇まいをしている。
日本から切り離され異次元に放逐された後、この空間だけで生活が成り立つようにかつての村人たちの手で以下のような魔術が施されている。
これらの魔術は村民達のMPをリソースに稼働しており、村民達は知らず知らずのうちにMPを消費して魔術を維持している。
・天候や季節は一定の周期で巡る。日本と同様に四季があり、定期的に雨が降り干ばつを防ぐ
・廃棄用の大穴があり、そこに捨てた物資は分解され還元される。有機物は栄養源として木々や作物の成長を促進し、無機物は形を変えて発見されるようになる(例えば鉄製品は砂鉄や鉄鉱石として村のどこかに現れる)
「これだけでは閉鎖空間での生活は不可能だ」と感じた場合、それらしい魔術を追加で付け加えてよい。
これらの魔術は隔離された環境での生活を安定させる理由付けのため、深い理由を求める必要はない。
規模
後述する文明レベルを維持できるだけの人口はあるが、具体的な人数は設定しない。
村の大きさもその人数を養える程度の広さとする。
適切な人口で慎ましい生活を送れば衣食住に困ることはない。
つまり村の維持には適切な人口管理が必要であり、人口が増加すると老人や病人など労働力にならない者が殺害される。
村長の主な仕事は人口管理であり、用済みになった者の殺害は伝統的に「養鶏家」が行うこととなっている。
(※養鶏業そのものは複数の家が担当しているが、口減らしも担当しているのはそのうちの一軒のみ)
文明レベル
文明レベルは現代社会と比べると非常に低い。
電気は存在せず、大規模な施設を構築・運用するリソースもない。
製鉄技術や個人レベルで利用できる様々な道具はあるが、ほぼ全ての仕事が手作業で行われる。
家屋の大半は茅葺き屋根と土壁と木材で建てられた平屋になる。
食事は米、野菜、鶏肉が主。野生動物を狩った場合はその肉も食卓に上がる。
調味料の生産は少ないため味付けは非常にシンプル。
現代社会に生きる探索者にとっては味気なく、お世辞にも美味しいとは言えない。
仕事
衣食住を維持するための仕事が大半。娯楽や嗜好品に関する仕事は少ない。
特殊な仕事としては以下が挙げられる。
村長 | 人口管理。村民の体調や動向を常に気にかけ、必要に応じて用済みになった者の殺害依頼を行う。 |
---|---|
養鶏家 | 複数の家が養鶏を行っているが、そのうち一軒だけ村長からの依頼を請けて村民の殺害を行う。 |
書庫番 | 天眼村の歴史書を管理する。村長よりも村の歴史には詳しいが、それを語ることはない。 |
鐘撞き | 村の鐘を鳴らし、手入れを行う。ミコを村に留めるための重要な役職だが、その真意は知らされない。 |
世話係 | 常にミコに寄り添い、世話を行う。ミコが死亡した後は別の仕事に就く。 |
ミコがもたらす影響
ミコは成長に伴い時空に関する力を増してゆき、天眼村と現代社会を繋ぐようになる。
それにより現代の物資が流れ着き、野生動物が迷い込む。
ミコが幼いうちは物資も野生動物も小さなものだが、十歳になる頃には生活に有用なものがもたらされる。
現代の物資は用途を調査した後に丁重に保管され、使用には村長の許可が必要になる。
野生動物は狩猟され、食料や素材として重宝される。
「聖なる光」に対する認識
かつての村人はダオロスを「恩光様(おんこうさま)」と呼び信仰していたが、現在は神に関する知識は失われ「オンコ様という知恵を授ける神様がいる」という認識に変わっている。
ミコという不可思議な存在からオンコ様の存在を疑う者はいないが、これといった教義もないため日常生活でオンコ様に対する信仰を見せることはない。
唯一の信仰の場として、1年に一度行われる「小祭」と10年に一度行われる「大祭」があり、大祭では「籠替えの儀(かごかえのぎ)」が行われる。
小祭は籠替えの儀の手順を忘れないために行われるもの。祭の参加者が集って歌や踊りで楽しく過ごし、少し豪勢な食事を済ませたのち、現在のミコと新たなミコを模した人形を使って籠替えの儀の予行演習を行い、現在のミコを模した人形は破壊される。
大祭も小祭と同じ流れで行われるが、籠替えの儀は人形ではなく現在のミコと最も若い新生児で儀式が行われ、現在のミコは村人達の手によって殺害される。
籠替えの儀(小祭で行われる予行演習含む)は加害性が高い村人達のストレス発散の場として機能しており、ミコは暴行の末に死亡することとなる。
そういった残酷な面もあるため、小祭および大祭の参加は義務ではなく任意となっている。
例外的に書庫番は「恩光様」のことや祭の意義も理解しているが、今の認識でも封印を維持することに問題はないため、正しい知識を村人に説くようなことはしていない。
神話生物:聖なる光
聖なる光はダオロスの化身である。
シナリオと関係のある要素のみ記載するが、その他の詳細は「マレウス・モンストロルム vol.2 神格編」P.146参照。
聖なる光は攻撃の類を行うことはないが、聖なる光の中に入るか何か別のやり方で聖なる光に触れられると、その者は真実の贈り物を体験し、この世の幻影や現実のヴェールを切り裂き、そして自らの精神を宇宙的な知識で満たすことができる。
真実の贈り物を体験した者は【1D10/1D100】正気度ポイントを失い、それ以降は毎日【1D6】正気度ポイントを失うことになる。
この体験で正気度がゼロにまで減少すると、その者は60%の確率でダオロスの分体になってしまう。
真実の贈り物を体験した者が正気度ポイントの減少から逃れるには、自らの目を切り裂き盲目となる必要がある。
そうすることで、毎日の【1D6】の正気度ポイント減少は回避される。
神話生物:ダオロスの分体
ダオロスの分体は、ダオロスのかけらに取りつかれた人間の成れの果てである。
シナリオと関係のある要素のみ記載するが、その他の詳細は「マレウス・モンストロルム vol.2 神格編」P.147参照。
ダオロスの分体は言葉を発することはなく、比較的ゆっくりとしか動かず、長時間に渡って身動きしないことも多い。
宇宙的な知識を他の者に伝えるために活動し、活動時は手で対象の額に触れることで真実の贈り物を対象に与える。
これにより対象は1ラウンドに【1D10/1D100】の正気度ポイントを失い、〈クトゥルフ神話〉を1D10ポイント増やす。
この効果は分体が振り払われるか正気度がゼロに減少するまで続き、その後の処理は「神話生物:聖なる光」を参照すること。
難易度調整について
このシナリオ上で探索者に直接立ちふさがる敵は神話生物ではなく村人達である。
探索者達の戦闘手段は比較的持ち運びやすい武器での〈近接戦闘〉レベルを想定しており、高い殺傷力を持つ武器による〈近接戦闘〉や一方的な攻撃が可能である〈射撃〉を用いた場合、シナリオの難易度は著しく低下する。
そのため、KPは以下のような対応を取ることを推奨する。
・探索者の戦闘手段の殺傷力が高い場合、NPCに装甲を付与する
・〈射撃〉技能持ちが来る場合、NPCの〈近接戦闘(格闘)〉を〈射撃〉に置き換えて同等の武器を持たせる(天眼村の文明レベルで作れない武器であっても、ミコの能力で漂着させれば使用可能だ)
・シナリオで想定している火力のレベルを事前に伝えてその範囲で探索者を用意してもらう
04. NPC
本シナリオに登場するNPCは8人。
メインNPCである「ミコ」は探索者と深く関わることになるが、それ以外の7人の誰と関わるかは探索者の選択による。
NPCはそれぞれが「天眼村への感情」「ミコへの感情」「探索者への感情」を持っており、誰と関わり何を聞くかで得られる情報や印象が異なってくるだろう。
また、これ以降NPCの名前はフルネームではなく名字のみ、名字が同じである「護守 恵美子」と「護守 悠」は名前のみで記載する。
ミコ
ステータス | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
STR | 30 | CON | 25 | SIZ | 40 | DEX | 50 |
APP | 80 | INT | 80 | POW | 90 | EDU | 5 |
正気度 | 0 | 耐久力 | 6 | MP | 18 | 幸運 | 15 |
db | -1 | ビルド | 0 | MOV | 8 |
(年齢:10歳/性別:女性/人称:なし)
探索者達を天眼村に招き入れた張本人。
無表情で言葉を発することはなく、問いかけに対してうっすらとした反応を返す程度。
探索者達や村人達の命令には素直に従い、意思が極端に薄いという印象を与える。
背景情報の通り、ミコの中には「聖なる光」が封じられており、その影響で身も心もボロボロの状態にある。
探索者達のことは自分をこの村から連れ出して助けてくれるかもしれない人として期待を抱いているが、ミコの意思と「聖なる光」の意思は混ざり合った状態にある。
この願いも、ミコの生きたいという想いと「聖なる光」の数ある脱出試行の1つとしての期待が混在している。
意思が極端に薄い振る舞いをするのは、「聖なる光」の侵食を少しでも遅らせるため。ミコ自身にはきちんと感情が残されており、彼女が言葉や文字で何かを伝えた場合、それは極めて切実な願いとなる。
RP指針
天眼村への感情 | 中立。ミコと「聖なる光」の意思が混ざり、極めて不安定な状態。 |
---|---|
探索者への感情 | 好意的。この状況から救い出してくれるかもしれないという期待がある。 |
ミコから探索者やNPCに関わりに行くことは最低限にし、言葉や行動を投げかけられたらちょっとした仕草だけ返す。
手を差し伸べられたら手を重ねるが握りはしない、何かを渡されたら受け取るが使おうとはしない、など。
どこまでミコの意思を見せるかはKPの裁量によるが、シナリオに記載がない限り、表情を崩したり言葉を発することは避ける。
長沼 清(ながぬま きよし)
ステータス | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
STR | 20 | CON | 35 | SIZ | 50 | DEX | 25 |
APP | 25 | INT | 55 | POW | 75 | EDU | 80 |
正気度 | 75 | 耐久力 | 8 | MP | 15 | 幸運 | 65 |
db | -1 | ビルド | 0 | MOV | 2 |
(年齢:80代/性別:男性/人称:わし、あなた、○○殿)
天眼村を取り仕切る村長。
ゆったりとした雰囲気の持ち主で、穏やかな口調で探索者達を歓迎する。
小祭と大祭は「村人達のストレス解消手段」と見ており、ミコのことはそのための装置としか見ていない。
RP指針
天眼村への感情 | 好意的。村の存続が何よりも大事で、そのためなら手段を選ばない。 |
---|---|
ミコへの感情 | 中立。祭のために必要な道具に過ぎず、道具としてのケアは行うが人間として扱わない。 |
探索者への感情 | 好意的。村の存続において若者は何より貴重。 |
穏やかな物腰ではあるが、基本的に「村の存続」にしか興味はなく探索者への気遣いはしない。
探索者の意思を無視してここに住むことを前提にした話をしたり、ミコをあからさまに道具扱いすると、天眼村の異様さを感じさせる手助けになるだろう。
鳥居塚 恵(とりいづか けい)
ステータス | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
STR | 70 | CON | 60 | SIZ | 75 | DEX | 80 |
APP | 60 | INT | 50 | POW | 35 | EDU | 40 |
正気度 | 35 | 耐久力 | 13 | MP | 7 | 幸運 | 80 |
db | +1D4 | ビルド | 1 | MOV | 8 | ||
技能 ※〈アイデア〉〈知識〉以外は50音順で記載 | |||||||
アイデア(50) 知識(40) 回避(60) 近接戦闘/格闘(80) 目星(50) ※近接戦闘/格闘の各種データは「大きい棍棒」を適用する |
(年齢:30代/性別:男性/人称:俺、お前、呼び捨て)
村の端に住む養鶏家。口減らしも請け負っており、平時の殺人を認められた唯一の存在。
口数が少ない上に表情が乏しく、内心を読みづらい。
しかし聞かれたことには端的に答え、探索者や村人に対する振る舞いのそのものは友好的。
元々は探索者達と同じく現代日本の生まれ。10年前に天眼村に迷い込みそのまま住みついた。
倫理観がなく潔癖な合理主義者。勤勉であることを良しとし、それを妨げる悪意や怠惰を嫌悪し根絶することを望んでいた。
しかし一人の人間にそれを成し遂げるだけの力はなく、このまま悩み苦しみ続けるより自死した方が合理的と判断。身辺整理の一環として両親ととある大学サークルのメンバーを皆殺しにし、醜い喧騒から離れた場所で死ぬために山を登り、天眼村に迷い込んだ。
全員が勤勉であり、口減らしという天職を与えてくれた天眼村は理想郷と認識しており、村の存続に高い意欲を持っている。
RP指針
天眼村への感情 | 好意的。自身の思想を認めそれに見合った仕事を与えてくれて感謝している。 |
---|---|
ミコへの感情 | 好意的。村の維持に必要不可欠な存在であり、不要なものをあぶりだす役にも立つ。 |
探索者への感情 | 好意的。かつて同じ立場だった者として親近感を持つ。 |
基本的には友好的だが、鳥居塚の最優先事項は「現状維持」。
もし探索者達が村の在り方を損なうような決断をした場合、邪魔者と判断して容赦なく排除にかかるだろう。
暁 大輔(あかつき だいすけ)
ステータス | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
STR | 75 | CON | 70 | SIZ | 80 | DEX | 65 |
APP | 40 | INT | 40 | POW | 40 | EDU | 50 |
正気度 | 40 | 耐久力 | 15 | MP | 8 | 幸運 | 20 |
db | +1D4 | ビルド | 1 | MOV | 8 | ||
技能 ※〈アイデア〉〈知識〉以外は50音順で記載 | |||||||
アイデア(40) 知識(50) 回避(40) 近接戦闘/格闘(60) 目星(50) ※近接戦闘/格闘の各種データは「小さい棍棒」を適用する |
(年齢:40代/性別:男性/人称:私、あなた、○○さん)
村にある3つの鐘を掃除して鳴らして回る鐘撞き。
猫背気味の大柄の男。暗く澱んだ目で陰鬱な雰囲気が漂っている。
人間嫌いで、村人や探索者と交わす言葉は最小限にしている。
元々は探索者達と同じく現代日本の生まれ。10年前に友人と2人で山を登っていたところ先代のミコを発見し、ミコを追う途中で鳥居塚と遭遇しそのまま天眼村に迷い込んだ。
友人は先代のミコを奪って無理矢理帰ろうとしたところを鳥居塚に殺され、暁は抵抗する気を失い天眼村に住み着くこととなった。
鳥居塚とは異なり、やや運が悪いだけの一般人。気が弱く傍観者に回りがち、長いものに巻かれてしまうタイプ。
子供を殺す祭を執り行い、殺人鬼である鳥居塚を迎え入れる村に不信感を抱きつつも、殺されることを恐れて何も言えずに鐘撞きとしての仕事を続けている。
RP指針
天眼村への感情 | 否定的。村の習慣も、殺人鬼を受け入れることも、信じがたい。 |
---|---|
ミコへの感情 | 好意的。救いたいが自分では救えないと感じ、せめて生きている間は幸せであってほしいと願う。 |
探索者への感情 | 否定的。彼らもまた鳥居塚のような異常者なのではないかと疑っている。 |
探索者との交流は非常に消極的。怯えるような様子すら見せる。
信頼を得ることができれば鳥居塚や村に関する警告を行うかもしれないが、それだけだ。
何があろうと村の決定には逆らえず、探索者の選択によっては敵対する。
飯田 つむぎ(いいだ -)
ステータス | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
STR | 50 | CON | 55 | SIZ | 55 | DEX | 60 |
APP | 65 | INT | 70 | POW | 50 | EDU | 65 |
正気度 | 20 | 耐久力 | 11 | MP | 10 | 幸運 | 30 |
db | ±0 | ビルド | 0 | MOV | 8 |
(年齢:20代/性別:女性/人称:私、あんた、○○さん)
食堂での調理を仕事としている女性。
夫は数か月前に病気をきっかけに死亡し、生まれて間もない息子がいる。
(※夫は病気により身体が不自由になり、不要と判断されて鳥居塚に殺害された)
息子が今回の祭りで新たな「ミコ」になることに絶望しており、村人にも探索者にも恐怖心を抱いている。
RP指針
天眼村への感情 | 否定的。何の罪悪感もなく息子を怪物にしようとしている。 |
---|---|
ミコへの感情 | 否定的。得体の知れない怪物。 |
探索者への感情 | 否定的。新たな子供が生まれる前に彼らが来たせいで息子が「ミコ」に選ばれてしまった。 |
暁以上に閉鎖的。あらゆる人々からの言葉を疑い、否定し、時にヒステリーを起こす。
彼女から詳しい話を聞くには他のNPCよりも難易度の高い判定に成功する必要がある。
しかし、判定に失敗したとしてもそのヒステリックな反応からこの村の異常性を感じさせるだろう。
酒本 健一(さかもと けんいち)
ステータス | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
STR | 60 | CON | 70 | SIZ | 60 | DEX | 50 |
APP | 50 | INT | 60 | POW | 60 | EDU | 50 |
正気度 | 60 | 耐久力 | 13 | MP | 12 | 幸運 | 60 |
db | ±0 | ビルド | 0 | MOV | 8 | ||
技能 ※〈アイデア〉〈知識〉以外は50音順で記載 | |||||||
アイデア(60) 知識(50) 回避(40) 近接戦闘/格闘(70) 目星(50) ※近接戦闘/格闘の各種データは「小さい棍棒」を適用する |
(年齢:50代/性別:男性/人称:俺、あんた、○○さん)
「アラガミ」と呼ばれる酒を造っている杜氏。
豪快で面倒見がよい親分肌。探索者や今回の件で弱っている飯田を気にかけているが、祭のための酒造りが忙しくあまり行動に移せないでいる。
RP指針
天眼村への感情 | 好意的。自分が造った酒が村人達に評判なのは嬉しい。 |
---|---|
ミコへの感情 | 否定的。祭で行われる儀式とその産物であるミコに得体の知れない不気味さを感じている。 |
探索者への感情 | 好意的。探索者の置かれた状況に同情的で、安全のためにも「アラガミ」を飲ませたがる。 |
ミコを薄気味悪く思う一方で、飯田の憔悴ぶりや籠替えの儀の残酷さに複雑な心境を抱いているが、村が紡いできた歴史や酒蔵のメンバーを始めとした親しい者達を裏切るまでは至らない。
村と村に住む親しい人々を守るため、行動によっては探索者と敵対する。
護守 恵美子(ごもり えみこ)
ステータス | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
STR | 25 | CON | 40 | SIZ | 45 | DEX | 30 |
APP | 35 | INT | 65 | POW | 80 | EDU | 90 |
正気度 | 80 | 耐久力 | 8 | MP | 16 | 幸運 | 75 |
db | -1 | ビルド | 0 | MOV | 3 |
(年齢:70代/性別:女性/人称:あたし、あんた、呼び捨て)
天眼村の歴史書が納められた書庫の門番。ミコと悠の祖母。
口が悪く気難しい性格。村人にも探索者にも冷たい。
天眼村の歴史を正確に知っているが、「例え娯楽という扱いであっても結果として神の再封印が継続されているのなら、真実を伝えて義務化させるより娯楽としてあり続ける方が良い」と判断して何も言わずにいる。
RP指針
天眼村への感情 | 中立的。天眼村の使命と歴史を守る者としての責務を全うするのみ。 |
---|---|
ミコへの感情 | 中立的。封印の維持装置と見なし、恐れることも肩入れすることもしない。 |
探索者への感情 | 中立的。そもそもあまり関心がない。 |
村人に対しても探索者に対しても愛想は悪いが、書庫番としての領分を超えない範囲で対応する。
2日目早朝のイベント後は表面的な態度こそ変わらないものの、言葉や行動の端々で私情を優先するようになる。
護守 悠(ごもり ゆう)
ステータス | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
STR | 40 | CON | 40 | SIZ | 45 | DEX | 50 |
APP | 80 | INT | 65 | POW | 60 | EDU | 20 |
正気度 | 60 | 耐久力 | 8 | MP | 12 | 幸運 | 70 |
db | ±0 | ビルド | 0 | MOV | 8 |
(年齢:10歳/性別:男性/人称:僕、あなた、○○さん)
恵美子の孫であり弟子。双子の妹であるミコの世話係も請け負っている。
礼儀正しく素直な良い子。恵美子や村人の言うことを良く聞き、ミコの世話係としても良く働く。
天眼村の歴史は勉強中。恵美子の言いつけを守って口は堅い。
自分がミコと双子の関係であることは知らされていない。
RP指針
天眼村への感情 | 中立的。恵美子を見習って中立的であろうと努めている。 |
---|---|
ミコへの感情 | 好意的。「籠替えの儀」の詳細やミコの役割を知らないまま、なんとなく気にかけている。 |
探索者への感情 | 中立的。興味はあるが、恵美子を見習って中立的であろうと努めている。 |
恵美子と比べて人懐っこく探索者にも興味はあるが、可能な限り中立的な発言をしようと心掛ける。
この村で生まれ育ち、祭で行われることや人口管理のための殺人等はまだ知らず、悠の口から物騒な情報が出てくることはない。
05. 導入
導入について
【01. あらすじ】の通り、探索者は山中で不思議な少女を見かけて追いかけることが基本の流れとなる。
「探索者全員が山の中で同じ空間に居て、不思議な少女を追いかける理由がある」という条件を満たせばよいため、探索者達の関係性や性格に合わせて自由に設定して良い。全員が既知関係にあるかどうかも自由。
導入例
・探索者は登山に来ていて、たまたま同じ山小屋で休憩を取っていた
・探索者達はバーベキュー(または何らかのアクティビティ)をしに山に来ていた
・何らかの事情があって山に逃げ込んだ
・探索者達は別々の理由で山に来ていて、少女を追う中で合流して一緒に行動する
不思議な少女
探索者達が山中でのひと時を過ごしていると、探索者達から少し離れた場所に立つ、生成色のワンピースを着た少女を目撃する。
何の荷物も持たず裸足で立つその姿は、山中では特に異様なものに思える。
少女は探索者達をじっと見ており、探索者達が近づくと道を外れて山奥へと歩いて行ってしまう。
探索者達はそれを追うことになるだろう。
分断行動などで誰かが少女を追わないことを望んだ場合、全員が少女を追うことを前提にしたシーンであることを伝えてしまっても良い。
天眼村への来訪
探索者達は少女を追って道なき道を行き、藪の中をかき分け、人一人通るのがやっとの小さな洞窟を見つける。
洞窟の中は一本道で、スマートフォンなど手持ちの明かりを頼りに進むことになる。
しばらく進むと太陽の光が差し込んできて、洞窟の出口が見えてくる。
あなた達は三者三様の明かりを手に洞窟を進む。
じっとりと冷えた空気。それぞれの明かり以外は何も見えない暗闇。
岩壁に手をついてじりじりと進んでいく。幸いにも洞窟の中は一本道のようだ。
そうして洞窟を進むと、暗闇に慣れた目に柔らかな陽光が差し込み、思わず目を閉じた。
一陣の風が吹いて葉擦れの音が大きく響き、土の香りがふわりと漂う。
ゆっくりと目を開けると、眼下には緑の木々に囲まれた盆地が広がっていた。
自然の地形に沿って作られた田畑が広がり、合間を縫うように点在する茅葺き屋根の古い家屋。
時代劇で見るようなのどかな農村が、そこにあった。
来た道を確認する
洞窟が消えている。いくら探しても見つからず、帰り道が分からない。
★正気度喪失【0/1】
〈知識〉
地図上ではこの辺りに村はないはずだ。
ここは一体どこだ……?
★正気度喪失【0/1】
農村に向かって道なき道を進むと、途中で少女が倒れているのを発見する。
様子を見るとすうすうと寝息を立てており、熱や体調の異常はない。
探索者達は少女を保護するかそのまま放置して村に向かうことになる。
少女ことミコが倒れているのは、「聖なる光」の侵食で身も心も衰弱している中で無理をして外の世界に向かったため。
ミコには何があっても村に戻る仕掛けが施されており、脱走は出来ず戻ってきてしまうが、この行動により第三者である探索者達を天眼村に連れ込むことに成功する。
06. 村長の説明
最初の村人
村に辿り着くと、ミコを探すために歩き回っていた悠と遭遇する。
悠は探索者達がマレビトさん(=外部の人間)であるかを確認し、下記の対応を行う。
悠「えっと……(探索者達をじろじろと見る)」
悠「マレビトさんですよね? そろそろってのは分かってたんですけど、初めて見ました」
・少女を保護している場合
ミコを見つけてくれたことに礼を言い、「分からないことだらけだろうから説明する」と村長の家まで案内する。
村長の家での描写はこちらの場合を想定した記載をする。少女を保護していない場合は悠とミコを描写から省くこと。
悠「ミコちゃんを連れてきてくれたんですね。ありがとうございます!」
悠「分からないことだらけだと思いますので、村長さんの家までご案内します。ミコちゃんも村長さんの家まで連れて行ってもらえたら大丈夫です」
・少女を保護していない場合
少女の行方を聞き、少女の保護に向かう。
分からないことだらけだろうから村長の家に行くと良いとアドバイスをし、村長の家までのおおまかな道を教える。
悠「教えてくれてありがとうございます。探してきます!」
悠「分からないことだらけですよね? 村長さんの家の場所をお伝えしますので、行ってみてください。いろいろ教えてくれると思います」
村長の家
村長の家は村の中心にあり、道中で見かけた他の家より一回り大きい。
家の隣には土蔵が建っており、玄関前の広場では木材やロープがいくつか積まれている。
悠は村長である長沼を呼び、長沼は探索者達、ミコ、悠を応接間まで案内する。
悠「長沼さーん! マレビトさんが来たよー!」
長沼「おや……これはこれは。ようこそいらっしゃいました」
長沼「お疲れになったでしょう。どうぞ上がって行ってください」
玄関前の広場に置かれている建材は大祭で使うやぐらの材料。ミコの代替わりが近いため、あらかじめ建材を準備している。
村長の説明
長沼は探索者達を歓迎し、天眼村についての説明を行う。
悠もこの場に同席し、ミコは悠の隣に寝かされている。布団などはかけられておらず、そのままの状態だ。
長沼「改めまして、ようこそいらっしゃいました。わしは天眼村(あまめむら)の村長をしております、長沼です」
長沼「天眼村は、遥か昔に日本から切り離され孤立した村でしてな」
長沼「村の者みなで協力し、慎ましやかではありますが平和な生活を送っております」
長沼「天眼村には、10年に一度、あなた方のように外部から迷い込む者……『マレビトさん』がおりまして、マレビトさんがいらした翌日に大祭を行う習わしになっております」
長沼「大祭の後はあなた方も村の一員としてご協力いただくことになりますが、それまでの間は自分達の足で村を歩き、村の者達と交流するのがよろしい」
長沼「今から言う人達にはマレビトさんが来たらもてなすよう伝えておりますので、彼らの元を尋ねてみるのが良いでしょう」
そう言って、長沼は口頭で数名の住民の名前と大まかな仕事と住所を述べていく。KPは交流対象の住民一覧を提示すること。
交流対象の住民一覧
鳥居塚 恵(養鶏家)
暁 大輔(鐘撞き)
飯田 つむぎ(食堂)
酒本 健一(酒蔵)
護守 恵美子(書庫番)
ここで紹介しているのは、祭が終われば探索者達に任せたい仕事候補の担当者達。
農家、大工、機織り、鍛冶師、医者など、他の役割を持つ村人もいるが、シナリオ内では単なるモブだ。
長沼への質問:元の場所に帰るには?
長沼「先程も申し上げた通り……天眼村は日本から切り離され孤立した村でしてな」
長沼「皆様の故郷に帰ることは、難しいかと」
長沼への質問:切り離され孤立したとは?(その他村の歴史に関する質問も同様)
長沼「その辺りのことは、説明が難しいもので」
長沼「少なくとも百年以上は前にはこうなっておるようです。歴史を知るのは書庫番の役目で、わしらには知らされておらんのです」
悠「僕のおばあちゃんが書庫番で、僕も将来は書庫番になるんだよ!」
長沼への質問:10年前もマレビトさんは来たのか?
長沼「ええ。前回いらしたマレビトさんもここで暮らしておりますよ」
長沼「(住民一覧提示後の場合)前回のマレビトさんは鳥居塚と暁ですね。似た境遇なら話も弾むでしょう」
長沼への質問:大祭について
長沼「大祭は明日の日暮れ頃からを予定しております」
長沼「大祭と言ってもささやかな祭でして。絶対に参加すべきというものでもございませんので、ご興味があればどうぞ」
長沼への質問:ミコはここの家の子なのか?
長沼「ミコは、まあそうですな、うちに住まわせております」
長沼への質問:その他答えづらい質問や、次のシーンへと進めたい場合
長沼「そちらのお方はこの村に随分とご興味があるようで、嬉しい限りですなあ」
長沼「なればこそ、この老いぼれの話ばかり聞かずに他の者の話も聞いてみると良いでしょう」
村長の説明終了
長沼の話や質問が落ち着いた頃になって、ミコは目を覚まして探索者達の間にちょこんと座る。
長沼「おや珍しい」
長沼「あなた達が気になっているようだ。村を歩く時、良ければミコも連れて行ってやってくれませんか。この子も道案内くらいは出来るでしょう」
ミコ「…………(無言で探索者達がいる方をぼんやりと見ている)」
以降、探索者達はミコと共に村を探索することになる。
探索者達が望むならミコの同行を拒むこともできる。その場合、ミコは村長宅か書庫にいる。
ミコを保護していなかった場合
上記のやり取りは全て悠とミコがいない状態で行われる。
村を探索するために村長宅を出ると、悠に連れられたミコが村長宅に帰ってくるところと鉢合わせる。
そこでミコが探索者達の方に寄って行き、悠の口から同行を頼む形で同様の展開になるだろう。
悠「ミコちゃん、皆さんのことが気に入ってるみたいです。良かったらミコちゃんと一緒にいてくれませんか? 道案内なら出来ると思いますし」
ミコ「…………(無言で探索者達がいる方をぼんやりと見ている)」
07. 1日目の探索について
1日目の探索について
探索は基本的に長沼+交流対象の住民の元を尋ね、話を聞いて情報を集めていくことになる。
大事なこととして、このシナリオで得られる情報の大半はPLが能動的に決めていく必要がある。
少し具体的に言うと「技能ロールに成功したからこの情報が出る」のではなく、「この情報について知りたいとPLが宣言した後に技能ロールを行う」という具合だ。
欲しい情報の指定が無ければ【08. 探索情報まとめ】の中でそのNPCが知っていて不自然ではない情報からランダムで出すこと。
NPCからの情報集めで使用する技能は〈交渉技能〉。
本来であれば交渉技能毎に効果や所要時間が異なるが、本シナリオでは演出が異なるだけで効果や所要時間は同一とする。
KPの好みで交渉技能毎に差をつけても良いが、その場合は時間管理が複雑になることに注意し、交渉技能毎に差があることを事前にPLに伝えておくことを推奨する。
なお、ミコも探索者達に同行するが、彼女が技能ロールを振ることはない。
探索者達が別れて行動する場合、ミコはランダムに選んだグループに同行する。
2日目の探索はミコが同行しないため、1日目の探索は可能な限りミコのRPを挟み印象付けておくと良い。
時間経過について
大まかな目安ではあるが、1日目の探索は〈交渉技能〉による情報収集を「3回」行える。
訪れた場所の数ではなく〈交渉技能〉を振った回数で考えること。
つまり、同じ場所で同一人物に対して3回行った場合も、3回とも違う場所で行った場合も、経過する時間は同じである。
同じNPCに対する同時交渉や分断行動など、同じ時間軸で複数人が〈交渉技能〉を振った場合は「1回」でカウントする。
〈交渉技能〉を使わなくても時間がかかりそうな行動をしていたら時間が経過したと見なす、プッシュ・ロール失敗時の対応として時間を多めに経過させるなど、「〈交渉技能〉を3回使ったかどうか」にこだわらず、探索者の行動に応じて柔軟に対応すると良い。
同じNPCに対する同時交渉について
NPCは複数人から別々の話を同時にされても1つの質問にしか答えられない。
複数人が同じNPCに対して一度に〈交渉技能〉を使用する場合、質問を1つに絞り、代表と補佐に別れて判定を行う。
まずは代表者を決め、代表以外の探索者は補佐として〈交渉技能〉をロールし、補佐の技能成功数に応じて代表の〈交渉技能〉にボーナス・ダイスが付与される。
1日目の探索終了時
1日目の探索が終了すると鐘の音が鳴る。
するとミコの首に首輪を思わせる痣が浮かび、探索者の言葉を無視して村長宅に帰って行く。
もし取り押さえても帰ろうとし続け、いずれ村長宅から迎えがやって来て帰ることになる。
探索者達もまた基本的に村長宅に泊まることになる。
長沼と長沼の妻は米と野菜を中心にした食卓で探索者達をもてなし、酒蔵を訪れていない場合はアラガミという日本酒が振舞われる。
アラガミは米を始めとした最低限の素材で作られた地酒……いわゆる純米酒だ。長沼は魔除けの効果があるとも説明するだろう。
長沼「アラガミとは、酒蔵で作っている地酒ですな。米のいくらかを酒造りに回しておりまして、魔除けの効果があると言われております」
夕食はほとんど調味料を使っていないため、非常に薄味。現代に生きる探索者にとっては物足りないものだ。
アラガミを飲むかどうかは任意。飲んだ場合、口当たりや味がしっかりした濃厚なもので、なかなか美味しい。
長沼は探索者達に村を見て回った感想などを聞き、探索者はそれに答えつつ、夕食の時間は終わる。
アラガミを飲んだかどうかは2日目早朝およびクライマックスに影響する。誰が飲んだかは注意しておくこと。
夕食が終わる頃には日が暮れ、NPC達は眠りにつく。
夜を照らす明かりは空の星明りだけでそれ以外には何も見えない。
探索など到底不可能な状態のため、探索者達もまた眠りにつくことになる。
翌日の処理は【15. 2日目早朝】以降を参照。
08. 探索情報まとめ
NPCが持つ情報について
天眼村が独立した空間となった経緯、ミコが封じているもの、大祭を行う意義など、シナリオ背景や神話生物に関する情報を把握しているのは恵美子のみ。
彼女以外のNPCはこれらの情報を知らず、村に関する認識はおおむね以下の通りになる。
・天眼村が独立した空間となった経緯は不明
・ミコは不思議な力を持つ子で、大祭で行われる「籠替えの儀」で今のミコは死亡し、新たなミコに代替わりする
・大祭を行う意義は「ミコの代替わり」「ストレス解消」「ちょっと豪華な食事」「惰性でやってるだけ」などNPCによって認識が異なる
・宗教的な意義としては「オンコさま」と呼ばれる知恵を授ける神様を楽しませるものらしいが、詳しいことは分からない
・「オンコさま」については書庫番が詳しい話を知っているが、当の書庫番が「村人は知らなくてもいい」と判断しているため深く気にしていない
・豊かな自然、安定した天候、廃棄用の大穴は先人の恵みによるもの。原理は不明
オンコさまについての村人の認識
天眼村にいる知恵を授ける神様。名前の由来や姿形など、詳しいことは書庫番である恵美子しか知らない。
ミコはオンコさまが住まう籠であり、ミコはオンコさまのおかげで不思議な力を使うことが出来る。
小祭および大祭の本来の意義はオンコさまを楽しませ、「籠替えの儀」でミコを代替わりさせ、オンコさまが住まう籠を変えること。
探索情報まとめ
NPCへの〈交渉技能〉で得られる情報のまとめ。
〈交渉技能〉に成功したら、PLが望んだ情報の中から1つをNPCの口から語らせること。
これらの情報を全て得ることは不可能のため、PLは自身が選び取った情報を元にクライマックスでの行動を決めていくことになる。
望む情報の種類が曖昧な場合、その要求に該当する情報の中からランダムに1つ情報が得られる。
もしもこのまとめにない情報を要求された場合、各種設定情報からNPCが知っていそうな範囲で答えたり、技能ロール前に「それについては知らない」と答えさせる。
望む情報と得られる情報の例
天眼村について知りたい | 探索情報まとめ全ての中からランダムで1つ |
---|---|
ミコについて知りたい | ミコに関する情報の中からランダムで1つ |
ミコが籠替えの儀でどうなるのか知りたい | 「ミコが籠替えの儀で死ぬ」という情報で固定 |
ミコに関する情報
ミコの特殊性、タイムリミット(籠替えの儀でミコは死ぬ)、ミコを連れ出す危険性など、クライマックスでの行動・エンディング分岐に関わる重要な情報が多い。
「・」から始まる1行で1つの情報。〈交渉技能〉に成功した場合に出す情報は1つだけであることに注意。
例えば大祭とミコについての情報を渡す際は「大祭の最後、籠替えの儀で~」か「新たなミコは~」のどちらか片方だけ渡すこと。
これはミコに関する情報以外でも共通となる。
【ミコの能力について】
・ミコは物資や動物を呼び込んだり村内を瞬間移動したりする。歴代のミコの中には他者を廃人化させた者もいる
【大祭とミコについて】
・大祭の最後、籠替えの儀で今のミコは死亡し新たなミコが生まれる
・新たなミコは最初はごく普通の赤子だが、歩くようになる辺りから不思議な力を見せ始める
【ミコをこのまま生かしておくことによる危険性】
・村に流入してくる物資や動物はミコの成長に合わせて少しずつ大きいものに変化して上限は分からない(=特殊な能力は強力になる)
・一つの例外もなくミコは十歳になれば殺され、それ以上成長した記録はない
【ミコと鐘の関係】
・村の鐘は朝昼晩の3回鳴り、鐘が鳴るとミコは何をしていてもすぐにそれを中断して村長宅まで戻る
生還ルートで有利になる情報
知っておくとクライマックス時の行動の指針や判定の助けになる情報。
【大祭に関する情報】
・祭の時は数名が村を見回ってトラブルの対処に当たることになっている。明日の大祭では鳥居塚、暁、酒本の3人が見回りを担当する
・明日の大祭は、日が暮れたら村長の家の前の広場で好きに過ごして、その後は参加者全員で食堂に行って夕食を食べ、最後に希望者だけで村長の家に戻って「籠替えの儀」を行う
それぞれの情報を取得することによる影響
見回り担当の情報 :クライマックスに入る際の奇襲を予知することが出来る
大祭の大まかなスケジュール:2日目にミコを奪取する場合の行動指針になる
生還に直接関与しない情報
村のシステムや歴史など、探索者が生還できるかどうかには直接関与しない背景情報が多い。
【天眼村に関すること】
・村の人口は厳密に管理されており、病人・老人・村の運営に寄与しない者は優先的に殺される
・口減らしは複数ある養鶏家のうちの一軒が担当しており、現在は鳥居塚が担当している
・大祭が終わると探索者も村人の一員となり、仕事が割り振られる。長沼が交流を勧めた住人は、探索者に割り振る候補の仕事をしている者である
・オンコさまについて(「NPCが持つ情報について」参照)
・天眼村の歴史(「NPCが持つ情報について」参照)
【ミコに関すること】
・ミコの世話係はミコと年が近い者が選ばれ、物心ついた頃からミコと一緒に行動し、ミコが危険な目に遭わないよう注意する
・新しいミコは大祭が行われる際に最も若い者が選ばれる。基本的に乳児が選ばれ、拒否権はない
【特定の時期・探索場所でのみ得られる情報】
・【酒蔵】アラガミは昔からの製法を厳守している。酒造りに不要な手順もあるが、恐らくはそれが魔除けに関係している(詳細な手順は公開されない)
・【2日目】過去に怪物が現れた時のこと(詳細は【16. 2日目の探索について】参照)
09. 探索 - 村長宅
概要
村長の家は村の中心にあり、他の家より一回り大きい。
家の隣には土蔵が建っており、玄関前の広場では木材やロープがいくつか積まれている。
1日目の探索を開始する頃になると、数人の村人が集まってそれらの建材を使ってやぐらを組み立て始めている。
長沼は探索者達の来訪を歓迎し、応接間に案内したりやぐらを組み立てる作業を見たりしながら話をする。
どのような状態で話をするかは、探索者の行動に合わせて不自然ではない形で自由に演出して良い。
また、探索者が望めば土蔵を見ることもできる。
土蔵
土蔵の中は倉庫と座敷牢が木製の格子で区切られている。
ミコが座敷牢の中にいない時は格子戸に鍵がかかっておらず、探索者でも自由に出入りができる。
座敷牢の中には小さな机と座布団と布団だけがあり、食事と睡眠以外は何も出来ないように見える。
長沼に話を聞くと「この座敷牢はミコが住む場所であり、夜や出歩きたくない時はここにいる」と返す。
長沼はそのことに罪悪感を抱いておらず、ミコも嫌悪感は抱いていない。
〈目星〉 ※時間経過なし
壁の一部が隠し扉のようになっており、扉の向こうはトイレになっている。
その気になればミコをここに閉じ込め続けることも可能であり、ミコが人間として扱われていないように感じられる。
情報収集:長沼
大まかな情報については【08. 探索情報まとめ】参照。
【04. NPC】のRP指針や後述するRPサンプルの口調を参考に情報を渡すこと。
また、他のNPCに関して聞かれた場合は、下記の他NPCの印象表を元に答えると良い。
ミコ | 村の維持のために必要な存在。 |
---|---|
鳥居塚 恵 | 前回の大祭で現代社会から来た。口数は少ないが働き者で重宝している。 |
暁 大輔 | 前回の大祭で現代社会から来た。最初は反発していたが今はしっかり働いてくれている。 |
飯田 つむぎ | 次代のミコの母親。今は取り乱していてあまり会話ができないかもしれない。 |
酒本 健一 | 彼が作る酒は美味い。魔除けの効果もあるため飲んでおくと良い。 |
護守 恵美子 | 誰からも距離を置く変わり者。探索者に対しても恐らく冷たくあしらうだろう。 |
護守 悠 | ミコの世話係で恵美子の弟子。礼儀正しく素直な良い子。 |
情報開示のRPサンプル
長沼「ミコについて、ですか。あれは神の力を宿しておりましてな」
長沼「異郷……あなた方の故郷の品や動物を呼び寄せたり、村の中を瞬間移動したり、いろいろな奇跡を起こします」
長沼「歴代のミコの中には村民を廃人にした者もおります。あれと接する時は気を付けた方が良いでしょう」
10. 探索 - 養鶏場
概要
養鶏場は村の端の方にあり、複数ある養鶏場のうちの1つが鳥居塚が担当する養鶏場だ。
民家の隣に屋根と柵があるだけの養鶏場が設けられており、多くの鶏が柵の中をうろついている。
養鶏場の裏、奥の方には黒い木製のテーブルがあり、そのさらに奥の方には大きな穴のようなものも見える。
鳥居塚は餌箱に穀物を流し込んでいるが、探索者に気付くと作業の手を止めてこちらに近付いて挨拶をする。
鳥居塚「……ああ、今回のマレビトか」
鳥居塚「鳥居塚 恵だ。養鶏をしている」
〈知識(ハード)〉 ※時間経過なし。職業が警察官の探索者は難易度がレギュラーに変化
成功者は鳥居塚の顔を知っている。彼は10年前、世間を騒がせた大量殺人鬼だ。
とある悪辣な大学サークルのメンバーを全員殺害し、その後自身の両親も同じように殺害し、警察の捜査もむなしく消息不明となっていた。
当時、彼が大学生であったことを考えると見た目の年齢もつじつまが合う。
鳥居塚が大量殺人鬼であることを指摘する
鳥居塚はさして動揺せず、もし探索者が正義感から指摘したのであれば警告を返す。
鳥居塚「そのことが、今この時、何の関係がある?」
鳥居塚「俺は既にこの村の一員として生きている」
鳥居塚「この村にはこの村の正義がある。お前達の世界の正義を振りかざしても、危険なだけで意味はないぞ」
大量殺人鬼であることが判明したかどうかにかかわらず、鳥居塚は鶏の世話や養鶏場の掃除をしながら探索者達に応対する。
探索者が気にしている様子なら、奥のテーブルは屠殺場であることや、奥にある大きな穴はゴミ捨て場であることを説明する。
屠殺場はテーブルの他には屠殺に必要な道具が並んでいるだけで、これといった情報はない。
ゴミ捨て場
鳥居塚の養鶏場の裏手にある直径3メートルほどの巨大な穴。
生ごみ、廃材、壊れた道具など、あらゆるゴミが捨てられている。
【03. シナリオのコンセプト、背景情報】の「天眼村について」で記載した廃棄用の大穴がこれにあたる。
鳥居塚「生活で発生したあらゆるゴミは最終的にここに捨てることになっている」
鳥居塚「どれほどの深さがあるのかは分からないが、ゴミが溢れたことはない」
鳥居塚「恐らくは、ミコと同じような……村を維持するための得体の知れない機構の一つだろう」
〈目星〉 ※時間経過なし
ゴミの中に人間の腕のようなものを見つける。
★正気度喪失【0/1D3】
人間の腕は数日前に口減らしとして殺害された村人のもの。
鳥居塚に聞いても「人間の死体も使用用途のないゴミであることに変わりはない」と返し、それ以上は深く話さない。
穴の中に入っての調査は不可。この腕に重大な情報はない。
情報収集:鳥居塚
大まかな情報については【08. 探索情報まとめ】参照。
【04. NPC】のRP指針や後述するRPサンプルの口調を参考に情報を渡すこと。
また、他のNPCに関して聞かれた場合は、下記の他NPCの印象表を元に答えると良い。
ミコ | 村の中心とも言える存在で、なくてはならない存在。 |
---|---|
長沼 清 | 自分を認め、最適な仕事を与えてくれた恩人。 |
暁 大輔 | 前回の大祭で現代社会から偶然一緒に来た。臆病だが従順で害のない男。 |
飯田 つむぎ | 次代のミコの母親。大いに取り乱していて、このままだと邪魔になる。 |
酒本 健一 | 気のいい男。やや危ういところもあるが、村を大切に思う気持ちは本物。 |
護守 恵美子 | あまり話したことが無いからよく分からない。ものすごく仕事に真面目な印象はある。 |
護守 悠 | ミコの世話係。ミコと同い年で、彼女が小さい頃からいつも一緒にいる。 |
情報開示のRPサンプル
鳥居塚「ミコには不思議な力がある」
鳥居塚「前回の大祭で新たなミコが生まれた時……最初はごく普通の赤子だった。でも、歩くようになった辺りから不思議な力を見せ始めた」
鳥居塚「昔からここにいる人の話だと、過去のミコもそうだったらしい」
11. 探索 - 鐘撞き場
概要
鐘撞き場は天眼村に三か所あり、暁はそれらの手入れをして定期的に鐘を鳴らしている。
NPCやモブ村人から暁の居場所を聞いて会いに行くことになるだろう。
どの鐘撞き場も木製の簡素な鐘楼に鐘を吊り下げただけの簡単なもので、鐘楼の傍には数体の地蔵が並んでいる。
地蔵の手入れも鐘撞きの仕事であり、時には地蔵を拭いている姿も見かけられるかもしれない。
暁は探索者に会釈や軽い会話はするが、自分から話をすることは少ない。
暁「どうも……。暁と申します」
暁「あの……何の御用ですか? 話せるようなことは何もないですよ……?」
〈目星〉 ※時間経過なし
地蔵の背面を見ると幾何学模様が彫りこまれている。
模様の意味は分からないが、どことなく異様な雰囲気を感じる。
なお、暁に地蔵の模様のことを聞いても「薄気味悪いのは分かるが余計なことを言って村人に嫌われたくない。何も知らない」と返す。
〈考古学または鑑定または歴史〉 ※時間経過なし
鐘はおそらく江戸時代に作成されたもの。
梵鐘(寺で使用される釣鐘)と似た模様が刻まれているが、よく見ると既存の梵鐘とはまるで異なる幾何学模様となっている。
当時の日本から逸脱した文化の産物のような印象を受けるだろう。
情報収集:暁
大まかな情報については【08. 探索情報まとめ】参照。
【04. NPC】のRP指針や後述するRPサンプルの口調を参考に情報を渡すこと。
また、他のNPCに関して聞かれた場合は、下記の他NPCの印象表を元に答えると良い。
ミコ | 村のために生かされたかわいそうな存在。 |
---|---|
長沼 清 | 村の維持が最優先。分かりやすいけど恐ろしい存在。 |
鳥居塚 恵 | 前回の大祭で現代社会から偶然一緒に来た。彼についてはあまり話したくない。 |
飯田 つむぎ | 置かれた状況を考えるとかわいそうだと思う。 |
酒本 健一 | いい人ではあるが押しが強くて苦手。 |
護守 恵美子 | 鐘の手入れ作業を時々見に来る。無言の圧が強くて苦手。 |
護守 悠 | ミコが元気に過ごせたのは彼のおかげだと思う。 |
情報開示のRPサンプル
暁「……この鐘、太陽の位置を見て朝と昼と夕方に鳴らすんですけど」
暁「そうするとミコの首に痣が浮かんで、必ず村長の家に戻るんです」
暁「何かをしている最中でも絶対にそうなって……なんか、首輪引っ張られて無理矢理戻されてるみたいで、ちょっとかわいそうですよね……」
12. 探索 - 食堂
概要
食堂は村長の家からほど近い場所にある。
炊事場と食事用のスペースがあり、炊事場では多くの調理担当者が作業を分担して食事の用意をしている。
調理担当者たちは忙しく動き回っており話を聞くことは難しいが、食事用のスペースの一角で椅子に座っている女性がいる。
名前を尋ねると飯田つむぎと名乗り、技能判定が絡まない程度のことであれば多少は話をしてくれる。
飯田「……そう……あんた達が……」
飯田「(名前を聞かれた場合のみ)……飯田つむぎ」
食材を効率的に使うため、天眼村では自炊希望者以外は食堂で作られた料理を食べることになっている。
料理は弁当箱に詰めて渡され、食事用のスペースで食べたり自宅に持ち帰って食べたりする。
大半の村人の食事をここで用意しているため、食堂で働く者は多くかなり忙しい仕事である。
……といったことも、探索者が飯田に問いかければ答えるだろう。
情報収集:飯田
大まかな情報については【08. 探索情報まとめ】参照。
【04. NPC】のRP指針や後述するRPサンプルの口調を参考に情報を渡すこと。
また、他のNPCに関して聞かれた場合は、下記の他NPCの印象表を元に答えると良い。
ただし、飯田に対して交渉技能が必要なレベルの深い話を聞こうとすると、彼女は大祭が始まってしまう絶望を意識して錯乱してしまう。
そのため、彼女に対する情報収集には〈精神分析〉または〈交渉技能(ハード)〉が必要になる。
ミコ | 忌まわしい存在。ミコに関する仕組みが無ければこんなことにならなかった。 |
---|---|
長沼 清 | 村のためだからとこちらに寄り添わず淡々と進める冷血漢。 |
鳥居塚 恵 | あの仕事を淡々とこなせるなんておかしい。関わりたくない。 |
暁 大輔 | 鳥居塚と比べたらマシ。あまり印象にない。 |
酒本 健一 | 気にかけて慰めてくれるがそれ以上は何もしてくれない。 |
護守 恵美子 | ロクな仕事もしないくせに偉そうな年寄り。 |
護守 悠 | ミコの世話係。今回も2人いて自分の子が"悠"の側だったらよかった。 |
情報開示のRPサンプル
飯田「ミコ……ミコ! どうして、どうして明日が大祭になるの!!」
飯田「明日が小祭なら……籠替えの儀さえ無ければ……ねえ、どうして来たの!?」
飯田「あんた達が来たから! あんた達のせいで! あたしの子が……次のミコになっちゃう……」
(以降、何かをぶつぶつと呟き続けて探索者のことを無視する)
13. 探索 - 酒蔵
概要
村で唯一の酒蔵。天眼村独自の日本酒「アラガミ」を製造している。
入ってすぐのスペースには人の背丈ほどある大きな酒樽が並んでおり、ほんのりと甘い香りに包まれている。
酒本は探索者を歓迎するが、酒造のための部屋は職人だけ入れる場所だからとその場での会話になる。
また、ミコは匂いを嗅ぐような仕草をして酒蔵には入らない。そのため、酒蔵での情報収集にミコは参加しない。
酒本「……ん? 見ねえ顔だな。例のマレビトさんか?」
酒本「俺は酒本。ここで『アラガミ』っつう酒を造ってる。よろしくな」
ミコが酒蔵を嫌がるのはアラガミの魔除けの力を感じるため。
アラガミの魔除けの力は微弱だが本物。多くの神話生物がその匂いをなんとなく嫌う程度の効力があり、呪文を重ねることで魔除けの力は跳ね上がる。
探索者がアラガミに興味を示すと、酒本は飲み頃になったアラガミを振舞う。これは飲んでも断っても良い。
アラガミは米を始めとした最低限の素材で作られた地酒……いわゆる純米酒だ。酒本は魔除けの効果があるとも説明するだろう。
飲んでみると口当たりや味がしっかりした濃厚なもので、なかなか美味しい。
アラガミを飲んだかどうかは2日目早朝およびクライマックスに影響する。誰が飲んだかは注意しておくこと。
情報収集:酒本
大まかな情報については【08. 探索情報まとめ】参照。
【04. NPC】のRP指針や後述するRPサンプルの口調を参考に情報を渡すこと。
また、他のNPCに関して聞かれた場合は、下記の他NPCの印象表を元に答えると良い。
ミコ | 酒蔵には来ないし自分にも近づいてこない。変な力を持つ薄気味悪いやつ。 |
---|---|
長沼 清 | 村の維持のためによくやってくれている。一番大変な仕事だと思う。 |
鳥居塚 恵 | 外から来たのによく馴染んで村では欠かせない存在になっている。 |
暁 大輔 | 真面目で臆病なやつ。外から来たやつは大体こうだから気にしてない。 |
飯田 つむぎ | かわいそうだし話は聞くが、村で生きるためにはどうしようもないことでもある。 |
護守 恵美子 | 偏屈なばあさん。自分には絶対できない仕事をこなしていて尊敬する。 |
護守 悠 | ミコの世話係。ミコと一番仲がいい。大祭の後も強く生きて欲しい。 |
情報開示のRPサンプル
酒本「この村には時々"外"……あんたらがいた場所の道具や動物が流れ込んでくるんだけどな」
酒本「ミコが大きくなるにつれて、大きい道具や動物が流れ込んでくるようになるんだよ」
酒本「今回はあんたらだろ? ミコとこの現象が関係してるなら、これ以上成長したらどうなるのか……考えるだけでぞっとする」
14. 探索 - 書庫
概要
書庫と生活スペースからなる大きめの家。
軒先では恵美子が掃き掃除をしており、悠は探索者に気付くと駆け寄ってきて歓迎する。
恵美子「(探索者を一瞥して)物好きが来たもんだ」
悠「○○さん! 遊びに来てくれたんですね」
悠「書庫は見せられないんですけど……居間で一休みとかなら大丈夫です!」
書庫を見ることが出来るのは2日目のみ。詳細は【16. 2日目の探索について】参照。
1日目の時点では例え〈交渉技能〉を使っても自動失敗扱いとなるため、NPCとの会話による情報収集のみ可能。
恵美子「確かに書庫にはいろいろあるがね、みだりに見せるもんじゃないんだ。マレビトにも村人にもね」
恵美子「全てを知るのが良いこととは限らない。知識欲もほどほどにしときな」
情報収集:恵美子
大まかな情報については【08. 探索情報まとめ】参照。
【04. NPC】のRP指針や後述するRPサンプルの口調を参考に情報を渡すこと。
また、他のNPCに関して聞かれた場合は、下記の他NPCの印象表を元に答えると良い。
ミコ | 今代のミコ。歴代のミコの中では大人しいタイプ。 |
---|---|
長沼 清 | 村長。村のまとめ役と人口調整を担う。 |
鳥居塚 恵 | 養鶏家。ただの養鶏家は他にもいるが、人口調整の実行役も担っているのは彼だけ。 |
暁 大輔 | 鐘撞き。生活の維持ではなく村そのものの維持のために必要な仕事。 |
飯田 つむぎ | 食堂の働き手。次代のミコの母親。 |
酒本 健一 | 杜氏。彼が作ったアラガミは成人した村人の全員が飲んでいる。 |
護守 悠 | 弟子。次代の書庫番として育てている。 |
情報開示のRPサンプル
恵美子「あんたら、ミコを必要以上に構うのはやめといた方がいいよ」
恵美子「その子は明日の大祭、籠替えの儀で殺される」
恵美子「見目だけはいいから情が移ってるのかもしれないけどね、抱え込むのはお勧めしないよ」
情報収集:悠
大まかな情報については【08. 探索情報まとめ】参照。
【04. NPC】のRP指針や後述するRPサンプルの口調を参考に情報を渡すこと。
また、他のNPCに関して聞かれた場合は、下記の他NPCの印象表を元に答えると良い。
悠は祭で行われることや人口管理のための殺人等はまだ知らず、悠の口から物騒な情報が出てくることはないことに注意する。
ミコ | 世話役として日中は一緒に行動することが多い。大切な友達。 |
---|---|
長沼 清 | 村長。ミコの保護者みたいなもので、ミコに何かあったら村長に報告している。 |
鳥居塚 恵 | 養鶏家。あまり絡んだことがない。ちょっと怖い。 |
暁 大輔 | 鐘の掃除をしている人。暗い人だけど、転んだ時に怪我の手当てをしてくれた。いい人。 |
飯田 つむぎ | 明るいお姉さんだったのに、ここ最近はずっと悲しそうにしている。 |
酒本 健一 | お酒を造っている人。酒臭いのがイヤであまり近付きたくない(※魔除け効果ではなく純粋に匂いが嫌)。 |
護守 恵美子 | おばあちゃん。厳しいけど優しい。 |
情報開示のRPサンプル
悠「ミコちゃんとは赤ちゃんだったころから一緒だったみたいなんですけど」
悠「いっちばん最初の記憶が、ミコちゃんが何もないところから綺麗なボタンを出したことなんです」
悠「おばあちゃんの話だと、今までの『ミコ』も最初はごく普通の赤ちゃんだけど歩けるようになる辺りからそういうことが起こり始めるんだって」
悠「なんか、不思議ですよね。同い年なのになんで僕は『ミコ』じゃないんだろう……?」
15. 2日目早朝
喰らうものとの遭遇
日が昇る頃に長沼は探索者達を起こし、異常を訴えて一緒に外へと向かう。
長沼「皆さん、おやすみのところすみません」
長沼「ですが……何かがおかしいのです」
長沼「静かすぎる。風も、鳥も、虫も、何の音もしない」
長沼「外の様子を見るにしても、わしや妻のような老いぼれだけでは心細い。どうかついてきてくださいませんか」
村長の家の玄関から外に出ると、辺りは異様なほどに冷え込み、霧が立ち込めている。
玄関前の広場の中心では悠とミコがうつぶせに倒れており、その傍らには「喰らうもの」の姿がある。
何の音もしなかった世界に、単調な低音が響く。じっとりと冷え切った空気が辺りを包みこむ。
霧と寒気の世界の中心に、光があった。
それは、絶えずねじれ、不規則に変化する何本もの光の束だ。
数本の光は複雑に枝分かれをしており、何かの葉のようにも、人間の指のようにも見えた。
神聖さすら感じられる"それ"は、人間はおろか、あらゆる動植物と異なる理の存在であった。
★正気度喪失【0/1D6】
正気度喪失後、探索者達と「喰らうもの」の戦闘処理を開始する。
長沼は腰を抜かしそうになりながらも後ずさりをし、戦闘には参加しない。
エネミーデータ:喰らうもの
戦闘に必要な要素のみ記載する。その他詳細は「マレウス・モンストロルム vol.1 クリーチャー編」P.63参照。
ステータス | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
STR | 35 | CON | 70 | SIZ | 170 | DEX | 55 |
APP | - | INT | 70 | POW | 100 | EDU | - |
正気度 | - | 耐久力 | 24 | MP | 20 | 幸運 | - |
db | 0 | ビルド | 3 | MOV | 5(浮遊、飛行) | ||
技能 | |||||||
回避(26) 近接戦闘/格闘(60) 1D6ダメージ 消化(30) 特殊処理 | |||||||
装甲 | |||||||
魔術あるいは炎に基づく攻撃しかダメージを受けない。 |
〈近接戦闘(格闘)〉は一時的に細い四肢を作り出し、それを使って対象をスライスするか薙ぎ払う。
もしくは頭を狙って締め付けようとする。
〈消化〉の攻撃に成功すると、喰らうものは対象の頭を掴んで一時的に作った四肢で頭蓋骨に穴を開ける。この時血は流れず痛みはない。
次のラウンドから喰らうものは対象の脳を消化しはじめ、対象は毎ラウンド【2D10】のINTとPOWを失い、【1D10】の正気度喪失が発生するようになる。この時も痛みはなく、頭蓋骨の中にひりひりとした冷たさを感じる程度だ。
この攻撃により対象のINTまたはPOWが0になった場合、脳が完全に消化されたことになり、完全に死亡する。
〈消化〉から抜け出すには喰らうものとの対抗STRロールに成功しなければならず、失われたPOWは1日1ポイント回復し、INTは再生されることはない。
ターゲットについて
アラガミを飲んだ探索者と飲んでいない探索者が混在している場合、喰らうものはアラガミを飲んでいない探索者を優先して狙う。
全員がアラガミを飲んでいる場合はランダムに狙い、喰らうものが行う全ての判定にペナルティ・ダイスが1個発生する。
1ラウンド目終了時
喰らうものを倒すことは装甲の関係で基本的に不可能である。
1ラウンド目終了時に鳥居塚と恵美子が現れ、鳥居塚はアラガミが入った水筒を投げつけて喰らうものにアラガミをかけ、間髪を入れずに恵美子の声が辺りに響く。
少なくとも日本語ではない言葉が朗々と述べられ、その言葉に応えるように喰らうものの身体は輝きを増し、光の粒子となって消滅し、戦闘は終了する。
鳥居塚と恵美子の行動
鳥居塚が喰らうものにアラガミをまとわせ、恵美子が呪文をかけることで魔除けの力を向上させ、喰らうものを退散させた。
2人は異変に気付き村長の家に向かう途中で偶然居合わせ、鳥居塚は恵美子の指示でアラガミの退散に協力することとなっていた。
戦闘終了後
悠とミコはうつぶせに倒れたままでいる。
悠は頭の辺りから血を流しており、触れるだけで彼が死んでいることが察せられるだろう。
ミコは高熱を出していて意識がなく、長沼と騒ぎを聞いて集まってきた数名の村人の手で土蔵に運ばれる。
鳥居塚は悠の遺体をじっと眺め、恵美子は静かに俯いている。
悠の死体を仰向けにする
仰向けになるよう向きを変えると、両目は失われ、額に空いた穴からは血が流れている。
明らかに異常な死に様であり、背筋を冷たいものが走る。
★正気度喪失【1/1D4】
〈目星〉
悠の両手の指先が血に濡れており、人間の目玉が遺体の傍に転がっている。
このことから、両目は悠自身が抉り抜いたものだと分かる。
自分の手でそうするほどの何かが起こったことを理解するだろう。
★正気度喪失【0/1】
〈医学〉
額の穴の奥には「何もない」ことが分かる。脳そのものが失われている。
先程の怪物の仕業だろうか……?
★正気度喪失【0/1】
現場の状況について
この日の早朝、ミコは最も信頼できる人間である悠に助けを求め、逃げ出す手段として「真実の贈り物」を悠に授けていた。
しかし悠はその情報量に耐えられず、がむしゃらに呪文を唱えて「喰らうもの」を招来する。
そして「喰らうもの」に脳をすすられながら、狂気に耐え切れず自身の目をえぐり取り、死亡した。
ミコは助かりたいという強い意思を出したことにより侵食が進行し、高熱を出した。
悠の遺体の調査が終わると、恵美子は書庫に戻り、鳥居塚は「悠の遺体を処理する」と言って遺体を担いで養鶏場に戻る。
村長宅への軟禁
恵美子や鳥居塚を追おうとしても、ミコを土蔵に運び終えた長沼と取り巻きがやって来て今日は村長宅で過ごすよう提案をしてくる。
長沼「ひとまずは、皆さんご無事でよかった」
長沼「とはいえ怪物がまた現れないと保証は出来ません。マレビトさんに何かあれば大変ですので、今日は我が家でご滞在頂けますかな」
長沼「可能であれば、大祭が終わるまでこの家に滞在して頂きたい。食事は妻が用意しますので」
長沼の言葉に従うと大祭が終わるまでこの家に居続ける、実質的な軟禁状態となる。
これから逃れる場合は〈交渉技能(ハード)〉で長沼を納得させる必要がある。
出口のない村という閉鎖環境では、無理矢理逃げるというのは得策ではない。
〈交渉技能(ハード)〉に成功した場合は【16. 2日目の探索について】に、失敗した場合は【軟禁からの脱出】に移行する。
実際のところ、シナリオ中で「喰らうもの」が現れるのはあの1体のみ。再度遭遇することはない(もちろん、KPの判断によっては悠が複数召喚していたことにして追加で出しても良い)。
だが、長沼を始めとしたNPC達も「喰らうもの」が出現した経緯を把握できておらず、「追加の被害報告がないことから怪物はおそらく1体だけだが、貴重な新しい血&労働力である探索者は保護したい」という考えで軟禁に踏み切った。
軟禁からの脱出
探索者達は村長宅の一室に軟禁される。
窓はなく、机や座椅子、収納スペースには薄い布団がある。
出入り口の襖の向こう側には見張り役と思しき村人がおり、勝手な外出は困難となる。
見張り役を〈交渉技能〉で納得させる、〈近接戦闘(格闘)〉で拘束する、気絶させる等で部屋からの脱出は可能になる。
どんな手段で脱出するかは大喜利に近い。KPはPLの提案を可能な限り採用すると良い。
軟禁は村の総意ではなく長沼の独断で、長沼自身は無理矢理軟禁を続けると信頼を損ねて探索者達が村になじめなくなると考えているため、脱出後に見つかっても連れ戻されることはない。
軟禁状態から脱すると【16. 2日目の探索について】に移行する。
16. 2日目の探索について
2日目の探索について
基本的な流れは【07. 1日目の探索について】と同様。
2日目の探索は〈交渉技能〉による情報収集を「5回」行える。村長宅に軟禁され脱出した場合は「4回」。
情報収集を2回行う程度の時間が経過した辺りで鐘を鳴らし、昼食を食べるシーンを入れるとちょっとした区切りになるだろう。昼食シーンを入れることによる時間経過は発生しない。
NPCから収集できる情報も基本的に1日目と同じ。
2日目特有の反応は下記の通りのため、交渉のやり方に応じてこれらの反応を混ぜ込んでも良い。
全探索個所共通:怪物(=喰らうもの)について
噂が出回るのは早く、早朝に怪物が出たことはNPC全員が認識している。
怪物は過去にも大祭の直前に出現したことがあり、鳥居塚と暁以外は怪物を目撃したことがある。
アラガミと書庫番の呪文を用いるという対処方法は遥か昔から引き継がれ続けていたことで、怪物の出現は珍しいことではあるが有り得ないことではなく、大祭は予定通りに行われる。
2日目探索:村長宅
大祭の準備で村人達への指示出しや物資の確認をしている。
探索者が軟禁状態から脱出していた場合、「困った方たちだ」と笑いつつ改めて捕らえようとはしない。
ミコは土蔵で寝かされており、土蔵の入口には見張りがいる。
ミコと会いたいと訴えても会うことはできないと断ってくるだろう。
土蔵に侵入し、ミコと再会できるのは【17. 2日目夕方~夜】以降になる。
見張り「ああ、マレビトさんか。悪いけどミコには会えないよ」
見張り「朝にあんなことがあっただろ? 何が刺激になるか分からないから、出来るだけそっとしておくんだ」
見張り「なあに、医者が見てるから心配すんなよ。籠替えの儀までは持たせるさ」
2日目探索:養鶏場
鳥居塚は大祭で出す料理のために鶏の屠殺をしている。
ゴミ捨て場に行くと、悠の死体の他に飯田の死体もある。
飯田の死体について鳥居塚に聞くと、大祭の準備に抵抗したため殺したと返すだろう。
悠の死体を捨てていることについて
鳥居塚「この村ではお前達が考えるような葬儀はない。役目を終えたものは何であれ穴に捨てることになっている」
鳥居塚「酷い話だと思うか? だが、これがこの村なりの『葬儀』だ」
飯田について
鳥居塚「昨日の夜、大祭の準備に抵抗したから殺した」
鳥居塚「生かしておけば大祭を妨害してくる可能性もあった。長沼の了承も得ている」
2日目探索:鐘撞き場
1日目と同じく鐘と地蔵の手入れをしている。2日目特有の変化はない。
2日目探索:食堂
飯田の姿はない。大祭の準備で炊事場は非常に忙しく、村人に話しかけても「飯田は今朝から姿は見ていない」と帰ってくる程度で、ロクな情報収集ができない。
話の流れによっては、鶏肉を運びに来た鳥居塚と遭遇して彼に対して情報収集をさせたり、飯田の家に赴いて行方を捜してみても良い。
飯田の家
飯田の家はごく普通の木造家屋。隣接する他の家と比べても特に変わったところはない。
扉を叩いても返事はなく、人の気配はない。
扉には鍵がかかっておらず、縁側からの侵入も容易。
家の中には色々なものが散らかったやや乱雑な空間が広がっている。
〈目星〉 ※時間経過あり
散乱した生活用具や替えの衣服の種類から、この家には成人女性と新生児がいたであろうと見当がつく。
埃をかぶっていないことから、つい最近までここにいたはずだ。
背負い紐など新生児と外出する際に使用する道具もそのまま残されており、少なくとも日常の外出で家を空けているわけではないようだ。
飯田の身に起きたこと
1日目の夜、鳥居塚と数名の村人が次のミコを確保するため飯田の家を訪れている。
その際に飯田は子供を渡すことに酷く抵抗し、鳥居塚によって殺害され、ゴミ捨て場に捨てられた。
飯田の子供は確保され、籠替えの儀まで安全な場所に隠されており、探索者が飯田の子供を見つけて確保することはできない。
2日目探索:酒蔵
大祭用にアラガミが入った樽を村長宅に届ける作業をしている。
もしもアラガミを飲んでいない探索者がいる場合、魔除けのために飲んでおくと良いと勧めるだろう。
酒本「そういや、あんたらアラガミは飲んだか?」
酒本「怪物も出たって話だろ。魔除けのおまじないってことで飲めるなら飲んでおいた方がいいぜ」
2日目探索:書庫
恵美子の態度は1日目と変わらないが、どことなく元気がない。
〈交渉技能〉に成功すると恵美子はあまり多くを語らずに書庫への扉を開く。
恵美子「年は取りたくないもんだね」
恵美子「中のものを汚したり壊したりするんじゃないよ。村の連中に言うのもダメだ。あんたらだけの秘め事にしな」
ミコの影響で悠を亡くし、恵美子は傷心してやや自棄気味になっている。
1日目は決して見せなかった書庫を〈交渉技能〉で見せるようになったのはそのため。
書庫は締め切られた空間で薄暗い。
紐で綴じられた古い本や掛け軸が収められており、どことなく厳かな雰囲気がある。
調査:村の歴史
〈日本語〉または〈歴史〉 ※時間経過あり
紐綴じの本や掛け軸の絵の内容から、村の歴史を大まかに把握できる。
天眼村の歴史
かつての天眼村は日本の山間に存在する小さな村だった。
外部との交流は少なく、村人達は互いに助け合いながら自給自足の生活を送っていた。
村人達は「恩光様(おんこうさま)」と呼ばれる存在を崇めており、巫女は恩光様に祈りを捧げ、信仰の見返りとして過去と未来を見通す力を得ていた。
神通力を得た巫女は各地の権力者に仕えて外の物品を入手する、貴重な働き手だったようだ。
しかしある時信仰を誤り、恩光様はお怒りになり、村人を……いや、日本を滅するべく降臨した。
村人達は恩光様を天眼村ごと隔離し、村が続く限り恩光様を鎮め続ける仕組みを作り上げた。
歴史書の最後のページは、こう結ばれている。
――恩光様を解き放ってはならない。天眼村の維持はそれすなわち祖国の維持である。
これはあくまで当時の天眼村の村人から見た歴史である。
村人からすると「聖なる光」として招来されたダオロスは日本を滅ぼすべく現れた存在だが、地球にとどまり続けた実際の理由は背景情報にある通り不明だ。
調査:ミコについて
〈図書館〉 ※時間経過あり
新しい紙と古い紙が混在した紙束を見つける。
中身を確認すると、新しい紙の方はミコについて書かれているようで、大まかに要約すると以下の通りだ。
ミコについて
要という意味でも、扉を守るという意味でも、ミコはこの村の鍵となる存在だ。
知識の継承者は新たなミコが会話可能になった時点で枷をかけなければならない。
この時、必ず鐘の傍にある地蔵を楔とすること。あれらはこの村で最も長く在り続けているものであり、地蔵は動力源、鐘は枷の起動の役割を果たすよう仕組まれている。
枷をかけること自体は他の村人に知られても良いが、知識そのものをみだりに継承してはならない。
村を守る術は使い手次第で村を滅ぼす術に転ずることを心に刻め。
古い紙の方は時代劇で見るような崩した字体の文章が長々と書かれている。
恐らく「枷をかける」手段について書かれているのだろう。
〈日本語(ハード)〉 ※時間経過あり、〈図書館〉成功者または情報共有を受けた探索者のみ可
古い紙に書かれた内容を理解できる。
この技能ロールに成功した探索者は「帰属意識の支配」の呪文を習得し、正気度喪失が発生する。
★正気度喪失【1/1D6】
なお、この結果を他の探索者に共有して呪文を習得させることは不可。あくまで技能ロールに成功した探索者のみ習得可能。
帰属意識の支配(「精神的従属(ルールブックP.249)」の亜種)
コスト :1POW、3D3マジック・ポイント
必要時間:3ラウンド
術者は血管に人の血液が流れるどんな存在にも命令することができる。
犠牲者は術者が指定した場所や組織が自分の居場所だと認識し、何があろうとそこに帰るようになる。
犠牲者が呪文の内容を理解し同意している場合、術者が呪文を詠唱し居場所を告げた時点で効果を発揮する。
そうでない場合、術者は犠牲者との対抗POWロールに勝利しなければならない。
呪文のコストは、一時的な支配であればマジック・ポイントの消費のみで良く、この場合効果は3日間持続する。
永続的な支配であればマジック・ポイントに加えて1POWを消費し、居場所の要となるものを3つ指定しなければならない。
要となるものは物品でも生物でも良い。形のない概念的なものは要として指定できない。
要がある限り呪文の効果は維持されるが、全ての要が破壊または殺害された時点で既存の呪文の効果は失われる。
〈図書館〉情報の紙の新旧
新しい紙の方は恵美子が書いたもの。
とりわけ大事だが取り扱いが難しい情報のため、確実に引継ぎが行えるよう現代の言葉で意義を記している。
17. 2日目夕方~夜
2日目探索の終わり
2日目の探索時間が終わったタイミングで辺りは夕方に鳴り、鐘が鳴る。
大祭が始まり、探索者達は今まで得た情報を元にどう動くかを決めていく必要がある。
大まかな分岐としては下記の3ルートに別れる。
・村長宅に向かわず他の行動をする
・村長宅に向かい、大祭に参加しない
・村長宅に向かい、大祭に参加する
また、大祭は大まかに下記の流れで行われる。
・村長宅の広場で酒を飲みながら雑談をしたり、持ち寄った楽器を演奏したりと好きに過ごす
・日が暮れると長沼の声掛けで食堂に行って夕食を食べる
・夕食後、長沼と「籠替えの儀」の参加希望者は村長宅に戻って「籠替えの儀」を行う
探索者が何らかの行動をする度に時間が経過し、大祭は進行していく。
探索にて大祭のスケジュールを把握している場合は人の流れを見て大祭がどの段階なのか把握できるが、スケジュールを把握していない場合は人の流れを見てもどこに向かって何をするのかは分からない。
〈聞き耳〉で村人達の雑談を盗み聞いて判断材料を得ることは出来るかもしれないが、確証は得られない。
このシーンはPLの提案で進行する要素が非常に大きい。
シナリオに書かれていない行動も積極的に採用し、行動に見合った技能ロールを提示し進行していくことを推奨する。
なお、日が暮れてからの明かりは「自分の手元・足元を照らせる程度の光量」は探索者・NPCともに無条件に確保できているものとする。
村長宅に向かわず他の行動をする場合
KPは探索者の希望に応じた処理をしながら時間を経過させ、大祭を進行させていく。
地蔵の破壊を行う場合
「帰属意識の支配」の無力化のために地蔵の破壊を行う場合、時間帯が日暮れ前の時は〈アイデア〉をロールする。
〈アイデア〉
大祭が始まっているとはいえ、周囲を見ると仕事や散歩をしている村人の姿がちらほらと見受けられる。
地蔵を壊すといった村人に咎められる行動は、運が悪ければ見つかってしまい騒ぎになるだろう。
日暮れ前の時点で地蔵を破壊する場合は〈グループ幸運(ハード)〉を行い、これに成功した場合は村人に見つかることなく地蔵を破壊できる。
日暮れ後に破壊を試みる場合、人通りは大幅に減少するがゼロにはならない。破壊に必要な判定は〈グループ幸運〉または〈任意の戦闘技能〉に変化する。前者は村人に見つかるかどうか、後者は迅速に破壊し村人に見つかる前に闇の中に身を隠せるかどうかのイメージ。
1回の判定で壊せる地蔵は1か所だけ。鐘撞き場は三か所にあるため、全ての地蔵を破壊する場合はこの判定に3回成功する必要がある。
なお、地蔵の破壊とは倒して壊す程度で良く、砕く等の特殊な道具が必要なレベルの破壊は不要。
判定に失敗した場合、地蔵を破壊すると同時に村人に見つかってしまう。
村人は事態を伝えるために他の村人の下に走り、天眼村全体で「探索者は地蔵を破壊するモラルに問題のある要注意人物である」という共通認識がなされる。
以降、村人達から身を隠すために技能ロールが追加で発生したり難易度が上昇したり、非常に不利な状況に置かれるだろう。
天眼村全体で探索者が警戒された場合
この状態で村人達に発見された場合、探索者達は捕縛され村長宅の一室に監禁される。
村人達の人数は多く、戦闘や〈DEX〉判定での逃走は不可とするが、KPの判断によってはこれらの判定で難を逃れても良い。
ミコに接触せず大祭が終わった場合
監禁される、あるいは大祭が終わるまでミコに接触しなかった場合、【ED4:儀式が完遂され、ミコが死亡する】へ移行する。
村長宅に向かい、大祭に参加しない場合
ミコに接触して救出するための最善のルートになる。
村長宅に正面から入ると即座に村人に発見され「村長宅に向かい、大祭に参加する場合」に移行するため、村長宅には裏手から近づいて様子を伺うことになる。
また、日暮れ前は広場に多くの村人が集まっており、土蔵に近づくとその時点で村人に発見され「村長宅に向かい、大祭に参加する場合」に移行する。
ミコがいる土蔵への侵入が可能になるのは、日が暮れて祭りの参加者達が食堂に行った時のみ。
しかしどの時間帯であっても、土蔵の入口と村長宅の玄関には見張りがそれぞれ1人ずついる。
探索者達は村長宅の玄関にいる見張りに気付かれることなく、土蔵の入口にいる見張りを排除する必要がある。
村長宅の玄関と土蔵の入口はやや距離があり、多少の会話や行動であれば村長宅の玄関にいる見張りに気付かれることはない。
見張りをどのようにして排除するかは、PLの提案を元にKPが適切な技能ロールを提案する形で進行する。
例を1つ挙げると、1人が〈交渉技能〉で土蔵の門番の気を引き、もう1人が〈戦闘技能〉で奇襲を行いマヌーバーで拘束して無力化する事は可能。
サンプルデータ:村人
ステータス | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
STR | 50 | CON | 50 | SIZ | 65 | DEX | 50 |
APP | 50 | INT | 65 | POW | 50 | EDU | 65 |
正気度 | 50 | 耐久力 | 11 | MP | 10 | 幸運 | 50 |
db | ±0 | ビルド | 0 | MOV | 7 | ||
技能 ※〈アイデア〉〈知識〉以外は50音順で記載 | |||||||
アイデア(65) 知識(65) 回避(25) 近接戦闘/格闘(50) ※近接戦闘/格闘の各種データは「小さい棍棒」を適用する |
戦闘処理が発生した場合は上記のデータを使用する。
このルートにおける戦闘では、1ラウンド目終了時に村長宅の玄関側の見張りが事態に気付き、即座に救援を呼び始める。
こうなると探索者は多数の村人に取り押さえられ監禁されてしまい【ED4:儀式が完遂され、ミコが死亡する】に移行する。
土蔵への侵入後
ミコは座敷牢の中で布団に入っている。
探索者が声をかけても起きる気配はなく、確認してみるとミコは高熱を出して寝込んでいる。
ミコを救出する場合、誰かがミコを背負っていくことになる。
ミコを背負う探索者は身体を動かす全ての判定にペナルティー・ダイスが1個付与されることを説明し、誰がミコを背負うか確認すること。
ミコを背負って村長の家から離れたあたりで、見回り担当が探索者達を発見し、【18. 逃避行】に移行する。
村長宅に向かい、大祭に参加する場合
村長宅に向かうと長沼や他の村人達に温かく出迎えられる。
一度大祭に参加すると長沼達と一緒に行動することになり、離脱はほぼ不可能となる。
別行動をしたいと主張すると、長沼は本当にそれでいいのかと念押しし、それでも別行動を希望すると村人達に捕縛され村長宅の一室に監禁され【ED4:儀式が完遂され、ミコが死亡する】に移行する。
長沼「好きに見て回りたいお気持ちは分かりますが、今は大祭のさなかです」
長沼「何かあってはあなた達にとっても村にとってもよくない。どうか、考え直して頂けませんか」
長沼「(別行動を希望した場合)……そうですか。では、申し訳ありませんが大祭が終わるまでの間は大人しくしていただくしかありますまい」
長沼達から離脱したい場合、誰か1人が囮役として〈交渉技能〉または〈人々の気を引くに足る技能〉で長沼や村人達の気を引き、その間に他の探索者が〈グループ幸運〉を行い、成功した場合は囮役以外の探索者は長沼達の集団からの離脱に成功する。
離脱に成功した探索者は誰にも見つかっていない状態に戻るため、どう行動するかを改めて決めていくことになる。
18. 逃避行
見回りとの遭遇
村長の家から出たあたりで、暁と酒本が探索者を呼び止める。
酒本「マレビトさんじゃないか。こんなところで何を?」
暁「ずいぶんな大荷物ですけど……何を運んでいるんですか」
それを聞いて足を止めても止めなくても、2人の声に意識が向いた瞬間にもう1人の見回り役である鳥居塚がランダムに選んだ1人に奇襲攻撃を仕掛ける。
探索パートで「大祭の見回り役が鳥居塚、暁、酒本の三人である」という情報を得ている場合、〈聞き耳〉か〈目星〉に成功すれば鳥居塚の奇襲を予期できる。
予期が出来るか出来ないかによる処理の違いは奇襲(ルールブックP.103)参照。
奇襲処理終了後、チェイスを開始する。
チェイス

チェイスの地理的な構成
チェイスのコースはループ構成。出口のない村の中を逃げ回るイメージ。
数字の小さい方から大きい方へと進んで行く。ハザードやバリアーをまたがない範囲なら逆方向への移動も可能。
ハザードは2か所、バリアーは1か所、場所と内容をランダムに設定する。
場所は1D10を振って出た目に応じて11~20から次のマスの間となり、内容は下記のハザード決定表とバリアー決定表を振って決める。
ハザード決定表 | |
---|---|
1 | 低い柵。〈跳躍〉または〈登攀〉または〈DEX〉を使う。 |
2 | ぬかるんだ沼。〈STR〉を使う。 |
3 | 廃屋の中を通り抜ける。〈回避〉を使う。 |
4 | 入り組んだ民家の密集地。〈回避〉を使う。 |
5 | 村人が路上でたむろしている。〈目星〉または〈ナビゲート〉で避ける。 ※追跡者はこのハザードに自動成功 |
6 | 村人が物陰から不意打ちをする。〈回避〉で避ける。 ※追跡者はこのハザードに自動成功 |
バリアー決定表 | |
---|---|
1 | 高い柵。〈跳躍〉または〈登攀〉または〈DEX〉を使うほか、耐久力5を0にすることでも突破可能。 その場合、バリアーは失われ大量の木片がハザードとなる。〈跳躍〉または〈目星〉で突破可能。 |
2 | 用水路。〈跳躍〉または〈DEX〉を使う。 |
3 | 迷いそうな道なき道。〈目星〉または〈ナビゲート〉を使う。 ※追跡者はこのバリアーに自動成功 |
例えばハザードの場所決めの1D10を振って5、内容決めの1D6を振って3が出た場合、15から16に移動する際に廃屋の中を通り抜ける必要がある。
また、12、16、20のマスに到達すると鐘撞き場が見えてくる。
PLが地蔵の破壊を提案した場合、移動アクションを1消費し〈何らかの戦闘技能〉に成功することで地蔵を破壊できる。
チェイスの終了条件
下記のいずれかを満たすことでチェイスは終了する。
・追跡者全員を意識不明または死亡状態にする
・追跡者がミコを抱えた探索者を見失った状態で、PLがチェイスの終了を宣言する
・追跡者がミコを奪取する
「探索者を見失う」の条件は「探索者の行動」を参照。
2つ目の条件でチェイスを終了させた時、追跡者に見つかった状態の探索者がいた場合、その探索者は追跡者に捕まったものとして扱う。
捕まった探索者は他の村人に引き渡され、救出は不可能となる。
追跡者の行動
追跡者は鳥居塚、暁、酒本の三人。全員ミコの確保を最優先し、状況に応じて連携も行う。
追跡者はミコを抱えた探索者と同じマスに到達すると〈近接戦闘(格闘)〉で探索者を攻撃する。
ミコを抱えた探索者が意識不明に陥ると、ミコは近くの地面に投げ出される。
同じマスにいるキャラクターが1ラウンドで使える移動アクションを全て消費することでミコを奪取することが出来る。
つまり、移動アクションを1消費して攻撃し探索者を意識不明にした者がそのラウンドで即座にミコを奪取することはできない。
追跡者がミコを奪取した時点でチェイスは終了する。
騒ぎを聞きつけた村人達が集まってきて探索者は取り押さえられ監禁されてしまい【ED4:儀式が完遂され、ミコが死亡する】に移行する。
探索者の行動
隠れるを宣言することでその場に隠れることができる。〈隠密〉ロールは不要。
追跡者はその時点で距離に応じた難易度で〈目星〉ロールを行い、追跡者全員が失敗すると隠れた探索者を見失う。
2マス以内 | 自動成功 |
---|---|
3マス | 〈目星〉 |
4マス | 〈目星(ハード)〉 |
5マス | 〈目星(イクストリーム)〉 |
6マス以上 | 〈目星(クリティカル)〉 |
隠れた探索者はチェイスから離脱するが、マスを移動する、声を出すなどの行動を行うと、隠れることを放棄したと見なし、チェイスに再び参加する。
チェイス開始時にPLに説明しておくこと
チェイスの仕様をどこまで説明するかはKP次第だが、少なくとも以下の点は説明しておくとPL側も行動指針が立てやすくなると思われる。
・チェイスはループ構成であり、ハザードやバリアーをまたがない範囲なら逆方向への移動も可能
・ハザードとバリアーは場所と内容をランダムに設定する
・チェイスの終了条件
・探索者が隠れる際の処理の内容
チェイス終了後
ミコを連れて逃げ延びることに成功した探索者は、ひとまず森の中に身を潜めて落ち着くことが出来る。
このタイミングでミコも意識を取り戻す。
「帰属意識の支配」の無力化について
この時点で地蔵を破壊しておらず、PLが地蔵の破壊を望んだ場合、〈グループ幸運〉または〈任意の戦闘技能〉に成功した場合は村人に見つかることなく地蔵を破壊できる。
1回の判定で壊せる地蔵は1か所だけ。鐘撞き場は三か所にあるため、全ての地蔵を破壊する場合はこの判定に3回成功する必要がある。
判定に失敗した場合、地蔵を破壊すると同時に村人に見つかってしまう。
その場は森の中に逃げ込むことで捕まることなく身を隠せるが、それ以上の地蔵の破壊は不可能になる。
もしも地蔵の破壊が完了していない状態で「帰属意識の支配」を習得している探索者が存在する場合、その探索者は〈アイデア〉をロールする。
〈アイデア〉
現在、ミコは天眼村に帰るよう「帰属意識の支配」の呪文がかけられている。
この状態では現代社会に帰れるようにしてもらうことは恐らく困難だが、探索者や探索者が持つ物品など、現代社会に馴染みのあるものを使って「帰属意識の支配」を上書きすれば、ミコは現代社会に帰ろうとするのではないだろうか。
「帰属意識の支配」の上書きを試す場合、ミコに内容を説明して同意を得ると対抗POWロールは不要でコスト消費だけで呪文の行使に成功する。
帰路の確保
意識を取り戻したミコに対して事情を説明し、現代社会への帰り道を作ってほしいと願うと、ミコは小さく頷く。
すると森の奥から風が吹き、そちらに向かうと人一人通るのがやっとの小さな洞窟が現れている。
ここでエンディングは以下のパターンで分岐する。
「帰属意識の支配」を無効化または上書きしている | 「ミコの願い」に移行 |
---|---|
「帰属意識の支配」が有効なままである | 【ED5:支配が有効なまま天眼村から出ようとする】に移行 |
ミコの願い
地蔵の破壊による無効化、あるいは呪文の上書きに成功していると、洞窟に入る前にミコが探索者に縋りついて助けを求める。
この時助けを求める相手はアラガミを飲んでいない探索者を優先し、飲んでいない者が複数いる場合や全員がアラガミを飲んでいる場合はその中からランダムに選ぶ。
ミコ「……逃げ、たい」
ミコ「……かみ、さま……かえす……」
ミコ「そとで……てつだって……でも……ユウ……」
ミコの言葉にある「ユウ」を聞いて、あなた達はあの死を思い出す。
両目が失われ、額に穴を開けた護守悠の遺体を。
外に出たら手伝ってほしい。それはミコの本心だ。しかし、それと同時に迷いもあるようだ。
ミコは目を閉じて肩で息をする。その手が白く輝いて、○○(助けを求めた探索者)に向かって伸ばされている。
この手を取れば「手伝う」ことに同意したことになるだろう。
しかし、「そとでてつだって」という言葉から、手伝っても手伝わなくても、あなた達を外に出すという目的は果たされる。
○○(助けを求めた探索者)。
あなたは、ミコの手を取るだろうか?
ミコの手を取ると、その探索者は「真実の贈り物」を受ける。
あなたはミコの手を取った。
視界が白に染まり、あなたの周りには、ミコも、誰の姿もない。
地面の有無すら不明瞭な空間は、一定のリズムでゆるやかにほのかに明滅を繰り返す。
まず、あなたはこれが"生きている"と知った。
次に、あなたは歴史を、化学を、数学を、生物学を、天文学を、物理学を、心理学を、
全てを、
全てを?
知識の洪水にオーバーフローを起こしたあなたの脳は、宇宙を認識した。
アルデバラン星の名状し難きものは、遠き地にありながらずっと近くに存在し様々な姿で人間を堕落させる。
3億5000万年前に星の落とし子と共に来訪した神は、海底都市ルルイエで星辰正しき刻まで夢を見る。
実在の宇宙と暗黒の狭間に棲まう全にして一なるもの。この世ならざる色の球でできた泡立つ塊。
宇宙の創造から在る暗黒の太陽は神々の楽団を子守唄に微睡み、目覚めと共に宇宙は終焉を迎える。
あなたは知った。知ってしまった。
この国は、この星は、この宇宙は、おぞましき神々が跋扈し、まばたきをした次の瞬間に終焉を迎えてもおかしくない世界であることを。
あなたが今まで認識していた現実は、ヴェールに覆われていた甘美な幻想であった。
★正気度喪失【1D10/1D100】
探索者の正気度が0になった場合は1D100をロールし、60以下の場合はその探索者はダオロスの分体となる。
ダオロスの分体となった探索者が即座に活動を開始し他の探索者に向けて「真実の贈り物」を与えるかどうかはKPの任意。
活動するにしろしないにしろ、ダオロスの分体となった探索者が元に戻ることはなく、ロストになる。
正気度が残った場合は【聖なる光の退散】を習得するチャンスが発生する。
アラガミを飲んでいない探索者は無条件で習得し、アラガミを飲んでいた場合は〈POW〉ロールに、ダオロスの分体から「真実の贈り物」を受け取った場合はアラガミの飲用の有無に関わらず〈幸運(イクストリーム)〉ロールに成功する必要がある。
聖なる光の退散
コスト:14マジック・ポイント
聖なる光を退散させるための道を開く。
この時点での退散の確率は5%だが、追加で1マジック・ポイントを支払う毎に5%ずつ増加する。
他の探索者がマジック・ポイントを支払うことも可能。
また、マジック・ポイントを全て消費した上で耐久力を1消費することで1マジック・ポイントを得られる(ルールブックP.172参照)。
習得難易度の差について
「真実の贈り物」を受け取った探索者は数多の知識を受け取っているが、この時点で正しく理解し扱える知識は非常に限られている。
ミコは「真実の贈り物」を与える際に「聖なる光の退散」を扱えるように知識を伝達しており、魔除けの効果があるアラガミを服用しているかどうかで伝達の難易度が異なってくる。
ダオロスの分体はそのような調整を行っていないため、呪文習得の難易度は非常に高い。
他の探索者も知識の習得を望んだ場合、ミコは嫌がるそぶりを見せるが〈交渉技能〉に成功することで知識の習得に応じる。
ミコの願いに関する処理を終えると、エンディングは以下のパターンで分岐する。
【聖なる光の退散】を習得した状態でミコと共に帰る | 【ED1:ミコと共に元の世界に帰り、聖なる光の退散を行う】に移行 |
---|---|
【聖なる光の退散】を習得していない状態でミコと共に帰る | 【ED3:ミコと共に元の世界に帰る】に移行 |
ミコを残して帰る | 【ED2:ミコを村に残して元の世界に帰る】に移行 |
19. エンディング
ED1:ミコと共に元の世界に帰り、聖なる光の退散を行う
あなた達は三者三様の明かりを手に洞窟を進む。
じっとりと冷えた空気。それぞれの明かり以外は何も見えない暗闇。
岩壁に手をついてじりじりと進んでいく。幸いにも洞窟の中は一本道のようだ。
そうして洞窟を進むと、暗闇に慣れた目に柔らかな陽光が差し込み、思わず目を閉じた。
一陣の風が吹いて葉擦れの音が大きく響き、土の香りがふわりと漂う。
ゆっくりと目を開けると、そこは深い森の中だった。
見覚えがあるような、ないような。山道から外れた森の中などあなた達には見分けがつかない。
歩き出したあなた達を止めるように、ミコが○○(ミコを抱えている、あるいはミコの傍にいる探索者)の服をきつく握りしめる。
ミコ「ッ…………だめ、……くる……」
ミコの息が荒くなり、全身が輝きを帯びる。皮膚に光のヒビが入る。
ひび割れは見る間に広がって行く。今この場で神を還さなければ、ミコの身体は取り返しのつかないことになるだろう。
探索者は【聖なる光の退散】を行使することになる。
呪文コストである14マジック・ポイントに追加で19マジック・ポイントを支払えば目標値は100となるが、自動成功ではなく100が出ればファンブルとなる。
退散に失敗した場合は【ED3:ミコと共に元の世界に帰る】に移行する。
成功した場合はミコは生存し、涙をこぼしながら探索者達に何度も感謝の言葉を告げるだろう。
○○(呪文を行使する探索者)は、膨大な知識の中から掴み取った唯一つの呪文をがむしゃらに唱える。
○○も、△△も、××も(マジック・ポイントを支払った探索者を列記)、全身から気力が抜けるような感覚があった。
あなたが呪文を唱え終わると、ミコの身体から光の粒子が抜け落ちていく。
ミコの全身に渡っていたひび割れも閉じ、ミコはその場にへたり込んだ。
ミコ「……あ……」
ミコ「……いきてる……(息を吸って、吐いて、あなた達を見上げる)」
ミコ「喋れる……なんでも、言える……」
ミコはそう言って、ぽろぽろと涙をこぼし、小さな笑顔を浮かべた。
この後のミコの処遇は探索者達にゆだねられる。
特に希望が無ければ施設に預けられることになるだろう。
「真実の贈り物」を得た探索者は、毎晩悪夢を見て真実の知識を少しずつ理解し【1D6】の正気度ポイントを失うことになる。
そのまま精神を溶かして行く場合は1D100を振り、出目が60以下なら近い未来にダオロスの分体になってしまう。
それを避けるには視力を失うしかない。
この辺りの説明はミコが行い、探索者が望むなら魔術により探索者は痛みなく盲目となる。
盲目となった探索者はゲームデータ的には生還しているが、視力を失ったため継続は非常に難しくなるだろう。
あなた達はミコを連れ、天眼村から日本への帰還を果たした。
二日間の遭難の末に自力で生還した者として扱われ、天眼村のことを話したとしても信じる者はいないだろう。
日が経つにつれてあれは悪い夢だったように思えるが、ミコの存在があれは現実だったのだと証明していた。
彼女は今ここにいる。
それは、あの村を縛っていた大いなる存在が在るべき場所に還ったということを示している。
あなた達の勇気ある行動が、数百年間続いて来た呪いを断ち切ったのだ。
ここがヴェールに覆われた世界であることを知っていても知らなくても、あなた達の人生はこれからも続く。
上記の描写が終わった後、鳥居塚が生存している場合は「追加描写:ミコが村から消えた場合」、死亡している場合は「追加描写:ミコが村から消えた場合(鳥居塚死亡時)」を流してシナリオは終了する。
ED2:ミコを村に残して元の世界に帰る
あなた達は三者三様の明かりを手に洞窟を進む。
じっとりと冷えた空気。それぞれの明かり以外は何も見えない暗闇。
岩壁に手をついてじりじりと進んでいく。幸いにも洞窟の中は一本道のようだ。
そうして洞窟を進むと、暗闇に慣れた目に柔らかな陽光が差し込み、思わず目を閉じた。
一陣の風が吹いて葉擦れの音が大きく響き、土の香りがふわりと漂う。
ゆっくりと目を開けると、そこは深い森の中だった。
見覚えがあるような、ないような。山道から外れた森の中などあなた達には見分けがつかない。
ただ、空気は違っていた。元の世界に戻ってきたのだという確証が、あなた達にはあった。
ミコを犠牲にし、探索者は生還する。
自分達を慕っていた少女を見捨てたことによる罪悪感、この平和は非常に不安定なものであるという真実を知り、探索者は今までのような平穏な気持ちで日々を過ごすことは出来なくなるだろう。
あなた達はミコを残して、天眼村から日本への帰還を果たした。
二日間の遭難の末に自力で生還した者として扱われ、天眼村のことを話したとしても信じる者はいないだろう。
あれは悪い夢だったのだと思いたいが、あなたの記憶からは決して消えなかった。
あなた達を信じて道を切り開いたミコは、恐らくあの後で村人たちの手によって殺された。
あの村ではこれからも子供が犠牲になり続ける。
そしてそれは、歴代のミコに宿る"何か"のために必要な犠牲であった。
現代の倫理にそぐわない行いであっても、もはやあなた達に出来ることはない。
習慣、あるいは惰性で続く祭事で、あの村の……ひいてはこの世界の平穏が保たれている。
綱渡りの平穏の中で、あなた達の人生はこれからも続く。
ED3:ミコと共に元の世界に帰る
あなた達は三者三様の明かりを手に洞窟を進む。
じっとりと冷えた空気。それぞれの明かり以外は何も見えない暗闇。
岩壁に手をついてじりじりと進んでいく。幸いにも洞窟の中は一本道のようだ。
そうして洞窟を進むと、暗闇に慣れた目に柔らかな陽光が差し込み、思わず目を閉じた。
一陣の風が吹いて葉擦れの音が大きく響き、土の香りがふわりと漂う。
ゆっくりと目を開けると、そこは深い森の中だった。
見覚えがあるような、ないような。山道から外れた森の中などあなた達には見分けがつかない。
歩き出したあなた達を止めるように、ミコが○○(ミコを抱えている、あるいはミコの傍にいる探索者)の服をきつく握りしめる。
ミコ「ッ…………だめ、……くる……」
ミコの全身が白く輝く。
目を見開き涙をこぼすその姿にヒビが入り、一言も発することができないまま、ミコの身体は破裂した。
血肉の代わりに飛び散ったのは、視界を覆う程の真っ白な輝き。
遠くから見れば、天から降りてくる澄んだ一筋の光の束。
そのただ中にいるあなた達から見れば、視界一面の彩り豊かな光彩。
聖なる光は、無垢なる揺籃から放たれた。
★正気度喪失【1D6/1D10】
あなた達の視界一面に彩り豊かな光彩が広がる。
地面の有無すら不明瞭な空間は、一定のリズムでゆるやかにほのかに明滅を繰り返す。
まず、あなたはこれが"生きている"と知った。
次に、あなたは歴史を、化学を、数学を、生物学を、天文学を、物理学を、心理学を、
全てを、
全てを?
知識の洪水にオーバーフローを起こしたあなたの脳は、宇宙を認識した。
アルデバラン星の名状し難きものは、遠き地にありながらずっと近くに存在し様々な姿で人間を堕落させる。
3億5000万年前に星の落とし子と共に来訪した神は、海底都市ルルイエで星辰正しき刻まで夢を見る。
実在の宇宙と暗黒の狭間に棲まう全にして一なるもの。この世ならざる色の球でできた泡立つ塊。
宇宙の創造から在る暗黒の太陽は神々の楽団を子守唄に微睡み、目覚めと共に宇宙は終焉を迎える。
あなたは知った。知ってしまった。
この国は、この星は、この宇宙は、おぞましき神々が跋扈し、まばたきをした次の瞬間に終焉を迎えてもおかしくない世界であることを。
あなたが今まで認識していた現実は、ヴェールに覆われていた甘美な幻想であった。
★正気度喪失【1D10/1D100】
探索者の正気度が0になった場合は1D100をロールし、60以下の場合はその探索者はダオロスの分体となる。
一時的狂気あるいは不定の狂気になった場合、狂気の発作は「狂信者化」で固定される。
どの神格の狂信者となるかは1D10をロールしてランダムに決めるか、PLの好きな神格を選んでも良い。
探索者は毎夜その神格の悪夢を見るようになり、神を呼ぶための活動に終始する。
真実を知る探索者は、いずれ神の招来に成功し世界を滅ぼすだろう。
信仰対象表(内容はKPの好みで変更しても良い) | |
---|---|
1 | アザトース |
2 | ヨグ=ソトース |
3 | ハスター |
4 | クトゥルフ |
5 | ニャルラトテップ |
6 | シュブ=ニグラス |
7 | サイサロス(=シノーソグリス) |
8 | シアエガ |
9 | ガタノソア |
10 | キーザ |
狂気に陥らなかった探索者は、毎晩悪夢を見て真実の知識を少しずつ理解し【1D6】の正気度ポイントを失うことになり、それを避けるには自ら目を切り裂き盲目となるしかないことが分かる。
〈POW(ハード)〉に成功すると任意のタイミングでそれを行い狂気から逃れることはできるが、他の探索者が狂信者となった場合はその活動を止めることはできず、世界の滅びを迎えることになる。
判定に失敗した場合は狂人となり果てる。1D100を振り、出目が60以下なら近い未来にダオロスの分体になり、61以上なら狂信者となるだろう。
こうして、聖なる光は現代に放たれた。
それが自然に消えるのか、知識ある者によって在るべき場所に還されるのか、あなた達には知る由もない。
ヴェールを失い真実を知ったあなた達は、悪夢と狂気に満ちた世界を生きるために新たな信仰を得た。
あなた達はミコにかけられた呪文を解き、天眼村からの脱出を果たすほどに優秀な人間だ。
その優秀さは信仰に捧げられ――あなた達が呼び出した神の手で世界が終わる日まで、あなた達の人生は続く。
このエンディングに至った探索者は、狂信者となり世界を滅ぼすか、ダオロスの分体になり果てるか、盲目となる。
全員が盲目となった場合は世界の滅びは回避されるかもしれないが、いずれにせよ継続は非常に困難になるだろう。
上記の描写が終わった後、鳥居塚が生存している場合は「追加描写:ミコが村から消えた場合」、死亡している場合は「追加描写:ミコが村から消えた場合(鳥居塚死亡時)」を流してシナリオは終了する。
ED4:儀式が完遂され、ミコが死亡する
「籠替えの儀」が完了し、赤子が新たなミコとなり、探索者が元の世界に帰る手段は失われる。
ミコは成長と共に不思議な力を発揮するようになるが、探索者には仕事が割り振られ、脱出のために行動することも難しくなる。
幾度も繰り返されるおぞましい儀式を眺めながら、探索者は残りの生涯を過ごすことになるだろう。
こうして儀式は完遂された。
十年に一度の祭りを終えた村人達の間に歓喜や熱狂はなく、ねぎらいの言葉を投げ合い雑談に興じたり帰宅したりするだけだった。
翌日、あなた達は長沼の采配で仕事が割り振られる。
別の仕事を望めばある程度は融通されるが、仕事を断るという選択肢はない。
村の規範を乱す者は排除され、村の規範に従う者は質素で平穏な生活に慣らされてゆく。
幾度も繰り返されるおぞましい儀式と共に、あなた達の人生はこれからも続く。
ED5:支配が有効なまま天眼村から出ようとする
あなた達は三者三様の明かりを手に洞窟を進む。
じっとりと冷えた空気。それぞれの明かり以外は何も見えない暗闇。
岩壁に手をついてじりじりと進んでいく。幸いにも洞窟の中は一本道のようだ。
そうして洞窟を進むと、洞窟を通り抜けるように一陣の風が吹いて土の香りがふわりと漂う。
出口の方から鐘の音が響く。
ミコの首筋に痣が浮かぶが、あなた達にそれを視認することはできなかった。
洞窟を抜け、遠くに見える明かりのある方に進むと――そこは村長の家だった。
長沼「おお、皆様。ミコを連れてお戻りいただけたようで何よりです」
長沼「こういうことをするマレビトさんはよくいらっしゃる。咎めなどいたしませんよ」
ミコは長沼と村人達に奪われて「籠替えの儀」が完了し、赤子が新たなミコとなり、探索者が元の世界に帰る手段は失われる。
ミコは成長と共に不思議な力を発揮するようになるが、探索者には仕事が割り振られ、脱出のために行動することも難しくなる。
幾度も繰り返されるおぞましい儀式を眺めながら、探索者は残りの生涯を過ごすことになるだろう。
こうして儀式は完遂された。
十年に一度の祭りを終えた村人達の間に歓喜や熱狂はなく、ねぎらいの言葉を投げ合い雑談に興じたり帰宅したりするだけだった。
翌日、あなた達は長沼の采配で仕事が割り振られる。
別の仕事を望めばある程度は融通されるが、仕事を断るという選択肢はない。
村の規範を乱す者は排除され、村の規範に従う者は質素で平穏な生活に慣らされてゆく。
幾度も繰り返されるおぞましい儀式と共に、あなた達の人生はこれからも続く。
ED6:儀式が完遂される前にミコを殺害する
シナリオ上でこの分岐についての記載は特にないが、PLの提案によりミコが殺害された場合はこのエンディングに到達する。
ミコの全身が白く輝く。
魂を失った肉体にヒビが入り、陶磁器が壊れるような音と共に破裂した。
血肉の代わりに飛び散ったのは、視界を覆う程の真っ白な輝き。
遠くから見れば、天から降りてくる澄んだ一筋の光の束。
そのただ中にいるあなた達から見れば、視界一面の彩り豊かな光彩。
聖なる光は、無垢なる揺籃から放たれた。
★正気度喪失【1D6/1D10】
あなた達の視界一面に彩り豊かな光彩が広がる。
地面の有無すら不明瞭な空間は、一定のリズムでゆるやかにほのかに明滅を繰り返す。
まず、あなたはこれが"生きている"と知った。
次に、あなたは歴史を、化学を、数学を、生物学を、天文学を、物理学を、心理学を、
全てを、
全てを?
知識の洪水にオーバーフローを起こしたあなたの脳は、宇宙を認識した。
アルデバラン星の名状し難きものは、遠き地にありながらずっと近くに存在し様々な姿で人間を堕落させる。
3億5000万年前に星の落とし子と共に来訪した神は、海底都市ルルイエで星辰正しき刻まで夢を見る。
実在の宇宙と暗黒の狭間に棲まう全にして一なるもの。この世ならざる色の球でできた泡立つ塊。
宇宙の創造から在る暗黒の太陽は神々の楽団を子守唄に微睡み、目覚めと共に宇宙は終焉を迎える。
あなたは知った。知ってしまった。
この国は、この星は、この宇宙は、おぞましき神々が跋扈し、まばたきをした次の瞬間に終焉を迎えてもおかしくない世界であることを。
あなたが今まで認識していた現実は、ヴェールに覆われていた甘美な幻想であった。
★正気度喪失【1D10/1D100】
聖なる光は、あなた達だけでなく天眼村に住む全ての人々を平等に包み込む。
それは、管理と節制で成り立っていた村を滅ぼすには十分すぎる契機だった。
狂気に堕ちた者はその衝動のままに、正気を保ってしまった者は目の前で起こる狂乱を理解したままに、その生涯を閉じてゆくだろう。
追加描写:ミコが村から消えた場合
ED1やED3など、ミコが天眼村からいなくなって籠替えの儀が行えなくなった場合に発生。
鳥居塚は村を存続する意味を失ったと判断し、村人を全員殺害し、最後に自害する。
もしも天眼村に残された探索者がいた場合、その探索者も殺害される。
天眼村の特色はミコという存在と、大祭で行われる籠替えの儀だ。
ミコを失い籠替えの儀を続ける意義を失った天眼村は、もはや存在価値がない。
無駄なものは処分する。
それは、鳥居塚が日本でも天眼村でも行ってきたことだ。
だから、そうした。
飲食物に毒を混ぜる。深夜に家に忍び込む。猜疑心を煽って同士討ちさせる。
命綱を握り合った相互監視で成り立っていた村は、一人が命綱を手放すと簡単に崩壊する。
あっという間に村は死の匂いに満ちて、ゴミ捨て場は人間の死体で埋まった。
誰もいなくなった村で自然だけは豊かに残るのだろうか。
それとも、管理されなくなった結果として緩やかに滅びてゆくのだろうか。
鳥居塚「まあ、そんなことはどちらでもいいか」
人間の死体の山の頂上で、鳥居塚は毒入りの酒を一息に飲んだ。
追加描写:ミコが村から消えた場合(鳥居塚死亡時)
ED1やED3など、ミコが天眼村からいなくなって籠替えの儀が行えなくなり、鳥居塚も死亡している場合に発生。
恵美子は村を存続する意味を失ったと判断し、真実を告げ、村は崩壊してゆく。
もしも天眼村に残された探索者がいた場合、その探索者も崩壊の中で死んでいく。
天眼村は神を封じるための場所だ。
ミコ、そして彼女の中にいた神を失った天眼村は、もはや存在価値がない。
真実を告げ、この村を終わらせる。
そこに、息子夫婦や二人の孫を奪った村に対する復讐心がなかったかと言うと、嘘になる。
真実を知ってからも、村は今まで通りの営みを続けた。
しかし、歯車は徐々に狂って行く。
仕事の手を止める者は増え、些細なことから争いが始まる。
食事の種類が減り、新しい衣服は作られず、家屋は徐々に痛んでゆく。
そして、とある言い争いをきっかけに村人達は恐慌状態に陥り、村は死の匂いに満ちて、ゴミ捨て場は人間の死体で埋まった。
誰もいなくなった村で自然だけは豊かに残るのだろうか。
それとも、管理されなくなった結果として緩やかに滅びてゆくのだろうか。
その答えを知る者は、誰もいない。
20. 報酬
報酬
生還
条件 | ED1またはED2到達 |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 1D10の正気度ポイント回復 |
ミコからの祝福
条件 | ED1到達 |
---|---|
対象 | 全員 |
内容 | 1D10の幸運ポイント獲得 |
遭遇した超自然の存在
「喰らうもの」は全員、「聖なる光」は真実の贈り物を受けた探索者のみ対象となる。
21. 利用規約・更新履歴
利用規約
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参考書籍
サンディ・ピーターセンほか(2019).『新クトゥルフ神話TRPG ルールブック』.株式会社KADOKAWA.
マイク・メイソンほか(2021).『新クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム Vol.1 クリーチャー編』.株式会社KADOKAWA.
マイク・メイソンほか(2021).『新クトゥルフ神話TRPG マレウス・モンストロルム Vol.2 神格編』.株式会社KADOKAWA.
連絡先
製作 | ミナカミ |
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HP | https://dara.sakura.ne.jp/ |
minakamiryu■infoseek.jp |
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更新履歴
2023/12/28 | 「03.背景」にシナリオに含まれる要素を追加 |
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2023/11/01 | 「03. シナリオのコンセプト、背景情報」に「難易度調整について」を追加 |
2023/09/04 | 公開 |