DARA*2 Blog

Last Modified: 2026/02/14(Sat) 19:49:28〔1日前〕 RSS Feed

No.371

サビ組移籍後のSS
フランスの結婚制度をミアレに反映しています


「式はいつ挙げるんですか」
 予想外の言葉だった。
 その言葉自体は部下や仕事相手から何度も言われていたが、今回は関わりはあるが親しくしていない……それどころか嫌われている人物から発せられたのだ。
 ぽかんとしていると、言葉の主――ピュールは眉間に皺を寄せながらも首を傾げた。とりあえずはお仕着せの回答を返すことにする。
「もうちょい先や。パートナーやなくて結婚の方やろうと思てんねんけど、そうなると色々と手続きがあってな」
「えっ」
 今度はピュールの方がぽかんとした。
「てっきり式だけ挙げるものかと。サビ組ってお役所の手続きできるんですね……? それに、わざわざ結婚の方をするとは」
「オマエ、オレらのことなんやと思てんの。泣く子も黙るサビ組やけどな、警察のお世話になってへんしキッチリ税金も納めてる善良な市民やで」
 結婚を選んだことに驚かれるのはもう慣れた。
 ミアレで正式な婚姻関係を結ぼうとすると煩雑で時間がかかるのだ。そのため、簡単な手続きで婚姻関係と同等の権利が得られるパートナー制度を利用する者は多い。元々は婚姻関係を結べない者のために作られた制度だが、煩雑な手続きを嫌う者もそちらに流れているのが現状だ。
 同等の権利が得られるなら簡単な方がいい。短期間で成り上がった効率の鬼がわざわざ面倒な方を選ぶはずがない。そう思われるのも、まあ無理はない。
「結婚も、一生に一度のことなんやからしっかりしといた方がええやろ。ハルもその方がええって言うてたしな」
「そうですか。ハルさんも合意の上ならボクは何も文句はありません」
 ピュールは納得したように頷く。そこにサビ組やカラスバに対する嫌悪感のようなものは何もなかった。
「ほんまに? オレはリーダーに借金ふっかけて仲間を奪ったのに?」
「ボクはカラスバさんのことはその……苦手ですけど」
 気持ち程度のオブラートに包みつつ間髪入れずに返してくる。エムゼット団の中では大人しい方だがやはり我が強い。
「借金はガイにも問題がありましたし、ハルさんはずっと意思を示していましたから」
「意思?」
「プリズムタワーの時も、異次元ミアレの時も、サビ組を想起させる服装をしていたでしょう。ファッションは世界一分かりやすい自己表現です。まあ、彼女の場合は異次元ミアレ辺りからファッション以外でも分かりやすくなりましたけど」
「露骨にはしゃいでたもんなあ」
「ボクはデザイナーになりたいし、ガイは人助けをしたいし、デウロさんはダンサーになりたい。でも、ハルさんにはそういうのがなかったんです。
 なんでもできるけど、それはできるからしただけ。求められたら応えるけど、自分から求めることはない」
 ピュールの言葉には心当たりがあった。エムゼット団としての活動に加えて見知らぬ人の困りごとには積極的に介入する余暇のない日々。カラスバも余暇が少ない方ではあるが、ハルのそれは異常で、興味を持つきっかけだった。
「そんな彼女が初めてこうしたいという意思を示したのなら、ボクはそれを尊重したい。裁縫道具を捨てるようなマネはしたくない」
 じろりと睨むような視線。
「危ない道だと思いますが、彼女の強さを知っているから信じてあげたいです。ハルさんの……そしてボクたちの信頼を踏みにじるようなマネはしないでくださいね」
「ご忠告どうも。デウロにも似たようなこと言われたし、気ぃつけさせてもらいますわ」
 デウロの時はもっと感情的でいざとなればポケモン大会も辞さない勢いだったが、込められている想いは似たようなものだ。
 これは筋を通すためと散々待たされた成果だ。意思を見せ、信頼を積み重ね、反発を最小限に抑えて目的を達成した。一歩間違えればサビ組とエムゼット団の関係は決裂していただろう。
 カラスバの元に来る、ただそれだけなら簡単なことだ。でも、ハルはそれを良しとせず努力と我慢を重ね、これからミアレに住む者としての覚悟を見せてくれた。その覚悟には応えなくてはならないだろう。
「ボクのスタンスはそういう感じとして。で、式はミアレのスタンダードなタイプの予定ですか?」
「は?」
「サビ組事務所みたいな異国文化を取り入れるならその国の一般的な式について教えてください」
「待ち」
「ああすみません肝心なことを言い忘れていましたボクにドレスとタキシードのデザインをさせてください」
「顔が近いて」
「一流ブランドのオーダーメイドを頼む予定でしょうがボクにやらせてもらえませんか友人としてハルさんに最大限のお祝いを贈らせてください」
「勢いすご」
「技術が心配ですか確かにボクはまだ一流にはなれていませんが新進気鋭の謎のデザイナーとして認知度は上がっています縫製技術もそこらの店には負けません今度サビ組事務所にサンプルを送るので――」

「――というわけでピュールに衣装任せることになったわ」
「ピュールに押し負けるカラスバくんおもろすぎる……生で見たかった……!!」
「笑うな!!」
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ピュールは時々あのめんどくさいオタク圧力で仕事を取ってほしい
畳む


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