DARA*2 Blog

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ヘルガー(こいつら番になっても永遠に求愛してるな)

#落書き #ポケモンZA

🎨絵
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サビ組移籍後のSS
フランスの結婚制度をミアレに反映しています


「式はいつ挙げるんですか」
 予想外の言葉だった。
 その言葉自体は部下や仕事相手から何度も言われていたが、今回は関わりはあるが親しくしていない……それどころか嫌われている人物から発せられたのだ。
 ぽかんとしていると、言葉の主――ピュールは眉間に皺を寄せながらも首を傾げた。とりあえずはお仕着せの回答を返すことにする。
「もうちょい先や。パートナーやなくて結婚の方やろうと思てんねんけど、そうなると色々と手続きがあってな」
「えっ」
 今度はピュールの方がぽかんとした。
「てっきり式だけ挙げるものかと。サビ組ってお役所の手続きできるんですね……? それに、わざわざ結婚の方をするとは」
「オマエ、オレらのことなんやと思てんの。泣く子も黙るサビ組やけどな、警察のお世話になってへんしキッチリ税金も納めてる善良な市民やで」
 結婚を選んだことに驚かれるのはもう慣れた。
 ミアレで正式な婚姻関係を結ぼうとすると煩雑で時間がかかるのだ。そのため、簡単な手続きで婚姻関係と同等の権利が得られるパートナー制度を利用する者は多い。元々は婚姻関係を結べない者のために作られた制度だが、煩雑な手続きを嫌う者もそちらに流れているのが現状だ。
 同等の権利が得られるなら簡単な方がいい。短期間で成り上がった効率の鬼がわざわざ面倒な方を選ぶはずがない。そう思われるのも、まあ無理はない。
「結婚も、一生に一度のことなんやからしっかりしといた方がええやろ。ハルもその方がええって言うてたしな」
「そうですか。ハルさんも合意の上ならボクは何も文句はありません」
 ピュールは納得したように頷く。そこにサビ組やカラスバに対する嫌悪感のようなものは何もなかった。
「ほんまに? オレはリーダーに借金ふっかけて仲間を奪ったのに?」
「ボクはカラスバさんのことはその……苦手ですけど」
 気持ち程度のオブラートに包みつつ間髪入れずに返してくる。エムゼット団の中では大人しい方だがやはり我が強い。
「借金はガイにも問題がありましたし、ハルさんはずっと意思を示していましたから」
「意思?」
「プリズムタワーの時も、異次元ミアレの時も、サビ組を想起させる服装をしていたでしょう。ファッションは世界一分かりやすい自己表現です。まあ、彼女の場合は異次元ミアレ辺りからファッション以外でも分かりやすくなりましたけど」
「露骨にはしゃいでたもんなあ」
「ボクはデザイナーになりたいし、ガイは人助けをしたいし、デウロさんはダンサーになりたい。でも、ハルさんにはそういうのがなかったんです。
 なんでもできるけど、それはできるからしただけ。求められたら応えるけど、自分から求めることはない」
 ピュールの言葉には心当たりがあった。エムゼット団としての活動に加えて見知らぬ人の困りごとには積極的に介入する余暇のない日々。カラスバも余暇が少ない方ではあるが、ハルのそれは異常で、興味を持つきっかけだった。
「そんな彼女が初めてこうしたいという意思を示したのなら、ボクはそれを尊重したい。裁縫道具を捨てるようなマネはしたくない」
 じろりと睨むような視線。
「危ない道だと思いますが、彼女の強さを知っているから信じてあげたいです。ハルさんの……そしてボクたちの信頼を踏みにじるようなマネはしないでくださいね」
「ご忠告どうも。デウロにも似たようなこと言われたし、気ぃつけさせてもらいますわ」
 デウロの時はもっと感情的でいざとなればポケモン大会も辞さない勢いだったが、込められている想いは似たようなものだ。
 これは筋を通すためと散々待たされた成果だ。意思を見せ、信頼を積み重ね、反発を最小限に抑えて目的を達成した。一歩間違えればサビ組とエムゼット団の関係は決裂していただろう。
 カラスバの元に来る、ただそれだけなら簡単なことだ。でも、ハルはそれを良しとせず努力と我慢を重ね、これからミアレに住む者としての覚悟を見せてくれた。その覚悟には応えなくてはならないだろう。
「ボクのスタンスはそういう感じとして。で、式はミアレのスタンダードなタイプの予定ですか?」
「は?」
「サビ組事務所みたいな異国文化を取り入れるならその国の一般的な式について教えてください」
「待ち」
「ああすみません肝心なことを言い忘れていましたボクにドレスとタキシードのデザインをさせてください」
「顔が近いて」
「一流ブランドのオーダーメイドを頼む予定でしょうがボクにやらせてもらえませんか友人としてハルさんに最大限のお祝いを贈らせてください」
「勢いすご」
「技術が心配ですか確かにボクはまだ一流にはなれていませんが新進気鋭の謎のデザイナーとして認知度は上がっています縫製技術もそこらの店には負けません今度サビ組事務所にサンプルを送るので――」

「――というわけでピュールに衣装任せることになったわ」
「ピュールに押し負けるカラスバくんおもろすぎる……生で見たかった……!!」
「笑うな!!」
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ピュールは時々あのめんどくさいオタク圧力で仕事を取ってほしい
畳む


#ポケモンZA

📄読み物
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最近創作界隈でたまに聞くこれってなんやねんのまとめ。
法律の専門家でもないしガッツリ時間をかけて調べたわけでもないので、気になる方はこれを鵜呑みにせず自分で調べてください。


どういう制度?
どう使っていいか分からない著作物を、権利者の許諾を得ることなく国の許可のもと合法的に利用する制度。
令和8年(2026年)4月から施行予定。

「どう使っていいか分からない著作物」の条件
・著作権管理団体に登録されていない(JASRACなど)
・利用ルールや問い合わせ先の記載がない
・権利者に問い合わせをして14日間応答がない

身近な例としては「各種記載のないイラストをSNSにアップして問い合わせを14日間無視した」なんかが該当する。
使っていないアカウントやメールアドレスに連絡が来る可能性もあり、連絡先の更新が頻繁な人ほど引っかかりやすいと思う。

「利用ルールや問い合わせ先の記載がない」については、Web検索等を駆使して探しても作者・利用ルール・問い合わせ先が見つからない場合だけ認められるので、「絵に作者の名前だけ書いててルールも問い合わせも書いてないから勝手に使ってヨシ!」とはならない。作者の名前で検索してルールや連絡手段を探す必要がある。
問い合わせ先として郵送での書面送付、電話、電子メールが挙げられているが、具体的な運用方法の例として挙げられているだけなので、おそらくこれ以外の連絡手段でもOK。


具体的にどういうことが起こる?
その作品を使いたい人が国から裁定を受けて所定の使用料を納めたら、その作品はその人にとって商用利用可の素材と化す。
自分が描いたイラストが他人の電子書籍の挿絵に使われるとか、グッズが作られるとか、そういうことが起こる。
この制度を使わなくても無断使用で同じようなことが起こる可能性はあるが、無断使用と比べてこちらは合法的な行為となる。


どう対策する?
「作品内」と「SNSのプロフィールや個人サイト」の両方に作者・ルール・連絡先を書くのが一番強い。

イラストや写真といった画像の場合は可読性を損なわないように注意すること。
いくらおしゃれに装飾しても第三者が読めなければ意味がない。
小説や詩といった文章の場合、その文章を掲載したページに記載すればよさそう。

めんどくさい? 自分なんかがこんなことするのは自意識過剰で恥ずかしい?
めっっっっっちゃわかる………………。
とはいえこのインターネットとかいうバーチャルスラム街、誰もが自分と同じモラルを持って配慮してくれるようなやさしいせかいでなはいのよね。
誰かにどう使われてもいいなら対策せず今のままで、気になっちゃうなら自分の持ち物に名前書くノリで書いとこう。
私は「自分の作品でそんなん来るわけないけど万が一の時に正当性で殴れる棍棒は用意しとくか」くらいのノリでIDとURLを書いてたし、これからは全部書こうと思ってます。

なお、もしこの制度で自分の作品が望まない使われ方をしていた場合、裁定の取り消しを求めることができる。
なので裁定されたら終わりということはない。
とはいえそういう事務的なやり取りは死ぬほどめんどくさいと思うので、事前に対策しといたほうがアド。
過去の作品に対策することは難しくても、これからの作品は対策して未来の対応コストを抑えていこう。


参考元
文化庁 未管理著作物裁定制度
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuk...

氏名やルールなどの表記例
https://bsky.app/profile/akatsuking926.b...

📦その他
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カラスバと自機の妄想をしたためていたらかなりの枚数が貯まったのでpixivにまとめた。
今後も描きたい時に描くのでこれでスッパリ終わりではないけど、一つの区切りになった。


ヤバいやつがいると発売前から注目されていたカラスバは本編でもヤバかった。
ガチモンのスジモントークで震え上がらせてからの人情派義賊ムーブ全開、垣間見せる主人公への執着、クライマックスでの落下漫才。

乙女ゲーに出てくるヤクザ概念の塊だったな……(メインストーリー振り返っての所感)

この時はまだそこまでのめりこんでなかったんですよ。
カラスバのスクショが飛び抜けて多いしお揃いの眼鏡と10万の靴買って概念コーデしたしカラスバにぶつけたい自機設定こねてみたりとまあその程度だったんですよ。SVのペパーと同じくらいで。ペパーもそんなだったんですか? はい

「ユカリトーナメントでドレスコードの話が出たし概念コーデしたろ笑 執着対象が自分の概念コーデしてきた時のカラスバさんの心境考えるだけでおもろ笑」
↑ノリでこれを漫画にしてみたのが"終わり"だよ。

物事を始めるにあたっての一番のハードルは最初の一歩で、このイベントの時の自機はこう考えてそうだ、カラスバと自機の関係性はこんな感じで、みたいな空白がたくさんあって、なおかつカラ主♀(独自設定特盛)とかいう需要:俺 供給:俺ジャンルは空白を埋められるのは自分しかいない。
――で、これが生まれたってワケ(ポケモンZAタグを指差す)

空白を埋めるための具現化作業はサビ組未来SSで一通り終わって、やれやれあとはDLCネタを好きに描くだけだぜと一息ついたんですよ。
C次元ラッシュ(カラスバ次元ラッシュ)にボコボコにされたんですよ。マジで何だったんですかあれ?
写経がてらいくつか描いて、ふと今まで描いた枚数を数えて思ったんですよ。

これ100枚ちょうどにしてまとめたらよくね?

何がいいんですか?(正気の自分)
何かいいだろうが(正気の自分をビンタする)

はい。なのでまあ。

描いたよね。
概要とか各パートの表紙とかあるから厳密には100枚じゃないけど描いたよね。
でもDLCネタを一通り描いた時点であと数枚描けばいけるラインだったからちょうどいい読みだったんじゃないでしょうか。

そんな感じに、空白埋めから始まりノリでゴールテープ決めたカラスバと自機シリーズでした。


めちゃくちゃ漫画描くタイプの発散はン年ぶり2回目だけど、しみじみ思う。
コンスタントに漫画描いてる人ってすげえな……
私はね? ニトロ積んでロケットスタートして鉄は熱いうちに打ての勢いで突っ走りましたけどね?
そんなもんずっとできるわけがないし普段から漫画描いてる人はマジですごい。

↓ロケットスタート粗製濫造でも得られた学び↓
・いろんな向きの顔を描くので右向き苦手とか言ってる場合じゃない
・色々なポーズの上半身〜全身を描くのでバランス苦手とか言ってる場合じゃない
・カラスバさんの髪型なに???
・コマ割りな~んも分からん とりあえず横に3分割して縦は流れで
・雑でも背景を描くとそれっぽくなる
・カラスバさんの髪型なに???
・背景をサボるとすぐにCoC白い部屋クローズドになる グレーで塗るなりグラデ入れるなり集中線入れるなりエフェクト盛るなりでごまかせ
・効果音の入れ方マジで分からん
・カラスバさんの髪型なに???

普段から丁寧にやってる人はこれを高濃度でやってるわけだからすごい。
スケベな漫画を描くとごまかしが効かないから画力が上がるってのも説得力ありすぎる。

余談ですが初めてめちゃくちゃ漫画を描くタイプの発散をしたキャラも目頭にしわ(蒙古ひだ?)がありました。
そんなピンポイントで要素かぶることある?


ではここからはカラスバと自機の話をします。
「強さの裏に脆さを持つ人達が、互いに相手の強さを尊重して脆さを愛おしむ対等な関係性」「2人とも純粋な愛情だけでなくドロドロの嫉妬や独占欲もありクソ重い情念をぶつけ合う仲」っていいよね。おわり。おわるには早すぎるだろうが。

キャラメイク可能なゲームは興が乗れば設定を盛ることがあって、それはだいたい公式設定やゲーム内での行動と矛盾しない形で余白を埋めていくことになる。
ポケモンZAの主人公の公式設定。ミアレに旅行に来た。おわり。

でっけ〜〜〜〜〜〜自由帳だなあおい!!!!!!

そんなデカい自由帳だからムショ帰りとか元プラズマ団とか好き勝手言われるんですよ分かってるのか。
ゲームを進めると大人も子供も平等に容赦なく煽るし、体格は大人寄りで補導じゃなくて職務質問されるからあの世界では大人扱いっぽいし、それはそれとしてカラスバとかいうヤバいのも出てくるし。
じゃあ……もう……組むか。カラスバと組み合わせたら好みの味になるやつ。

で、あんな感じになりました。違うんです聞いてください。

・カラスバはツッコミ属性のド攻め。うちのカラスバに攻めすぎて受けとかほざいた奴はセゾン運河でコイキングの餌になる
・精神的、社会的にどちらかに依存するような上下関係はなくあくまで対等な関係性がいい
・カラスバは自機に重い感情がありそうだから、同じくらい重い感情持たせて相殺するか 相殺とは?
・自機からの重い感情……過去を似せるとカラスバの過去話が苦労エピソードのはずがマウントからの嫉妬に派生! うまい! テーレッテレー!
・飄々とした何考えてるか分からない強い女の行動原理が恋する乙女そのもので心の奥底は人の優しさに不慣れな幼女っていいよね
・秩序善の正義の味方じゃなくて、成り行きで英雄行動しちゃっただけの善性のカケラもない人間やりた〜い
・夜明けのハッピーエンド教信者なので過去はしんどく未来は救われてあれ

聞いたところで10割趣味じゃねえか。うるせえ創作活動なんて趣味の塊だろうが。

実際に↑の要素をいっぱい描いてるかというとそうでもないと思うけど、そこに至るまでの過程というか日常パートがあってこそのイチャつきじゃないですか。
AメロBメロがあってこそのサビであって、付き合ってないだけのカップルみたいなじゃれ合いをしてからのガチカップルが輝くんですよ。
イチャつきを描くのが恥ずかしいだけでは? はいその通りです。


私が創作活動をする原理は、作ること自体の楽しさ以外は「目に見える形に残しといたら後々見返した時に楽しいよね」みたいなドングリ埋めるリスが混ざってる程度で、他人の目とか世間に広く届けることとかあまり考えてない自分本位なものです。ネット上で活動してる以上承認欲求はあるけどそれはプラスアルファ程度のものというか。デザートであって主食ではない。
なのでドングリ埋めたことを言っても積極的な宣伝活動はせず、カラスバと自機シリーズも細々と壁打ち活動を続ける感じでした。
そんな感じでもいつもいいね付けてくれる人がいたり、カラスバと自機に言及してくれる人がいたり、沼スイミングの様子を見てくれる人がいたりで、一緒にドングリ食べてくれる人がいるのはやはりよいものですね。ありがとうございます。デザートおいしい。
でもこれに味を占めて他人に焦点を当て始めると速攻で病むからあくまで自分本位でいような!!(クソザコメンタルの自戒)

#日記

📦その他
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https://www.pixiv.net/artworks/140844605

ブログに上げてたやつを時系列順に並べてpixivに上げました
書き下ろしのような気の利いたものはないです

#落書き #ポケモンZA

🎨絵
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サビ組移籍後のSS


 硬く冷たい床の感触で目が覚めた。呼吸ができて、全身に不快感があって、それらを正しく認識する能力が無事であることに安堵する。
 身を起こそうとして失敗する。両手両足が縛られていた。残念ながら後ろ手に縛られているためできることは少ない。不自由なのはそれくらいで、目隠しも猿轡もなく服も着たままだ。スマホロトムや各種武装は奪われているだろうが、その程度で済ませているのは良心的だ。
 ぐるりと視線を巡らせる。無機質な蛍光灯がコンクリート打ちっぱなしの殺風景な部屋を照らしていた。扉は一枚だけで窓はない。部屋には何も置かれておらず、強いて言うなら天井の隅に監視カメラがあるのと床の隅に小さな排水溝があるくらいだ。掃除のしやすさにおいては天下一品の部屋である。
 観察を終えてやることもないので、それからは監視カメラをじっと見つめていた。

 しばらくすると乱暴な足音が聞こえて扉が開いた。ギラギラとした服がよく似合う巨躯の男が冷たい眼差しでこちらをを見下ろしている。
「こんばんは、ミアレの救世主様。いや、今はサビ組の飼い犬だったかな?」
「どうせなら猛犬とか忠犬とか呼んでほしいですね」
 男の眉間に深いしわが刻まれる。どうやら回答がお気に召さないらしい。
「俺達は総出でお前を捕まえた。ここはサビ組も知らない場所で、お前がどれだけ泣き叫ぼうが助けが来ることはない」
「いい大人が寄ってたかってか弱い女性に眠気と麻痺と拘束系の技を連打するの、トレーナーとしても人間としても最高にみっともなかったですよ」
「裏社会でお前をか弱い女性扱いする奴はいねえよ」
 男はしゃがんで私の顎を掴んで持ち上げた。カラスバに掴まれた時と比べるとずいぶんと乱暴な持ち方だ。
「ま、こうなってしまったらか弱い女性か。おまけにサビ組の戦力は大幅に落ちて人質としてもこの上ない価値を持つ」
 男は手を離し、扉の方に目配せをする。部下と思しき男がぞろぞろと入ってきて、殺風景な部屋はずいぶんと賑やかになった。
「命は奪わないが、心は壊させてもらう」
 部下の一人が私の肩を掴んで仰向けに寝かせる。他の部下はいろいろな道具を持ち込んだり、ビデオカメラをこちらに向けてきたりしている。
「ミアレの救世主ご本人出演のビデオともなるとさぞかしいい値段になるだろう。一石二鳥だと思わないか?」
 フリルタイがほどかれ、シャツのボタンに指がかかる。身をよじって抵抗しても簡単に押さえつけられる。やはり肉体的な有利不利は覆しようがない。
「始める前にインタビューといこう。お前が理性を持って話せるのはこれが最後だが、何か言いたいことは?」
 第一ボタンが外されて、第二ボタンも外されようとしている。
 一対多。覆しようのない有利不利。助けは来ない。客観的に見れば絶望的な状況の中で、私は口角を釣り上げた。
「やるなら徹底的にやれってママから教わりませんでした?」
 シャツの下から、薄緑の平べったい小さな生物がひょっこりと顔を出した。

「は……?」
 シャツを脱がそうとしていた部下がぽかんとしている間にも、小さな生物はひょこひょこと顔を出して集まっていく。
「止めろ!」
 男の声が響くと同時に小さな生物は集まり形を変える。
「ジガルデ、しんそく」
 指示を出した瞬間に部下が吹き飛ぶ。小さな犬の姿をしたそのポケモンは、矢継ぎ早に出す指示を忠実に実行し、反撃する暇も与えず周囲を制圧した。
 ジガルデに手足の拘束を噛み切ってもらい、立ち上がる。節々が痛いが動けないほどではない。幸いにも部下が持ち込んだ道具の中にロープがあったのでそれを使って部下も男を縛っていく。全員呼吸はしていて、意識があるのは男だけだった。
「クソッ……そんなポケモンがいるなんて、聞いてない……」
「そりゃあ、奥の手ですからね」
 ジガルデは秩序の監視者だ。今は私のそばにいてくれるが、サビ組の活動に駆り出すのは違うだろうと思い、いざという時にしか頼らないようにしていた。その「いざという時」まで追い込んだのだから大した奴らだと褒めるべきだろうか。
「この子はセルの数に応じて姿を変える特性があって、全体の一割ほどでこの姿になります」
「…………。残りの九割はどこに」
「察しが良くて助かります。あなた達に襲われた時、どう見ても不利だからジガルデに頼んで一割を私の服の中に潜ませて、残りの九割で目印を残してもらいました」
 遠くからかすかな物音がした。物音は絶えず響き、少しずつ大きくなる。男の顔から次第に血の気が引いていく。
「私を狙ったのが運の尽きでしたね。怒ったカラスバさんはとっても怖いし、あなたがどれだけ泣き叫ぼうが助けが来ることはありません」

 サビ組による組織の制圧は極めて迅速だった。カラスバとジプソが部下を引き連れ、おまけにカラスバは怒り心頭という、攻撃に振り切った編成ならさもありなんだ。
 私を襲おうとしていた男達も連れ出され、入れ違いになるようにカラスバが部屋に飛び込んでくる。視線だけで人を殺せそうな形相が、私と目が合うだけでふっと和らいだ。
「怪我してへんか」
「この通り、傷一つなく」
 軽く腕を広げて無事をアピールすると、間髪入れずに抱きしめられた。息苦しくなるくらい強く、その腕はかすかに震えていた。
「このっ……アホ……! 路地裏に一人で行ったらアカンって何回言うたらわかんねん……」
「カラスバさんの過保護。今回はちょっとツイてなかっただけですよ」
「ちょっとツイてなかっただけ?」
 カラスバの声が冷ややかなものになる。やばい、間違えた。
「逆やろ。あんな甘い連中に捕まったのはめちゃくちゃツイてる」
 抱きしめる力はますます強くなる。周囲の部下に視線で助けを求めても、肩をすくめられるだけだ。
「ボディチェックなり裸で転がすなりでジガルデのことがバレてたらどうなる。寝てる間に始められたらどうなる。ビデオ撮影やなくてライブ配信やったらどうなる。薬漬けにされたらどうなる。逃げないよう切り落としたり目を潰したりされたらどうなる。そもそも殺されてまう可能性もある」
「それは……はい……おっしゃる通りで……」
「いくらミアレの救世主で最高のトレーナーでも、一人の人間や。油断したら『そういうこと』が普通に起こる業界なんやから、もうちょい慎重になり」
「はい……ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした……」
「ま、ずーっと尻尾掴めんかった連中のアジトが割れて一網打尽にできたのはよかったわ」
 拘束が少し緩くなり、頭を撫でられる。柔らかな微笑みにつられて私も笑みを浮かべてしまう。
「ほな明日から一ヶ月は事務所で内勤、出かける時はオレが同行な」
 あ、全然怒ってますねすみません。

 余談ではあるが、この件は噂に尾ひれがついて「わざと誘拐されて潜入してたった一匹のポケモンで組織を壊滅させたヤバい女」として恐れられるようになってしまい、困る私をよそにカラスバは「アホのやらかしが武勇伝になっとるやんけ!」と大ウケしていた。

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ポケスペのブルーみたいな戦法を取る女
畳む


#ポケモンZA

📄読み物
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2026年1月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

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(サンボマスターの画像)

#落書き #ポケモンZA

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オンとオフの温度差で整う

#落書き #ポケモンZA

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ポケットモンスター サラッとおしまいを突きつける女/ネチネチ追い詰めておしまいを分からせてくる男

#落書き #ポケモンZA

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動物のお医者さんいいよね

#落書き #ポケモンZA

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10周年の100振配布とかいう狂った企画に釣られて始めた刀剣乱舞が1年続いた。
狂った企画に釣られて行動しがちな気質ではあるけど、これは色々な要因が重なったと思う。

・メギド72が完結してスマホでやる毎日やるゲームがなくなった
・新しいのは複雑で濃密なゲームよりかは盆栽に近いやつがいい
・刀剣乱舞は前から南海先生が気になっていたものの、いつ来るかわからん南海先生イベントに備えて始めるほどのモチベはなかった
・100振配布の中に南海先生がいた

というわけで最初から100振いる上に近侍が南海先生という事件性しかない本丸でした。
TLを見るととんでも速度で周回している審神者が多いけど、目玉報酬を1回貰う程度ならそれほど周回しなくてもいいのが気楽でいいですね。
ガチャ必須の人権キャラがいないから好きに編成できるのもいい。
(丙子椒林剣の唯一無二の強さとか乱舞10に出来る子が有利ではとか、多少の有利不利はあるけどね)


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極にしてレベルが高めの人達。
極短刀を中心にしつつ南海先生と肥前君も連れて行っている感じ。

イベントの最高難度をおおむね周回できるくらいにはなったので、今後ものんびり盆栽していきたいですね。

#日記

📦その他
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20260123201356-admin.png
指輪を見せびらかすために手袋も外している

#落書き #ポケモンZA

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20260121200503-admin.png
それはそれとして監視映像は実用性があるので保存した

#落書き #ポケモンZA

🎨絵
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DLCネタ サイドミッション200要素含む

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彼にも事情があり悪意がないのは理解したけど、だからと言って今までのこと全てを水に流せるほど良い子でも優しくもない、が自機の結論でした

#落書き #ポケモンZA

🎨絵
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DLCネタ サイドミッション153要素含む

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現実ハル「なんか……よく分かんないけど気が楽になったような……!?」
ユカリ様「まあ! わたくしとのバトルをそんなに楽しんでいただいているのですね! さあもう一戦!」
現実ハル「ヒィ~~~~~~~」

#落書き #ポケモンZA

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DLCネタ エンディング付近

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このあと仮眠どころかガチ寝されてハルの脚は死んだ

#落書き #ポケモンZA

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結局どのタイミングで装備更新するのがええねんの覚え書き。


レベリング中
レベルキャップに到達していない間の装備は、適正レベルのIDで落ちる装備と今の装備でILを比較して判断する。
適正レベルのIDで落ちる装備が今の装備よりILが10くらい高かったら更新時期。
更新しなかったら詰む……ということはないが、まあ火力が高い方が日々のルーレットもスムーズに進むだろうし更新しといた方がいい。
基本的に詩学装備を交換して装備 → 適正レベルのIDで落ちる装備がILで勝つようになって来たら更新 → レベルが10の倍数になったら詩学装備に更新……という具合になると思う。

一応マケボで高IL装備を購入することもできるけど、他の同レベル帯の装備と比べて飛びぬけて強いというわけでもなく、少しレベルが上がればすぐ使わなくなることを考えると購入する必要性は薄い。
装備更新の時はコンサポなりフェイスなりで装備総取り周回する。時間はかかるけどレベリングも兼ねられるし。

ギャザクラはレベル10刻みでスクリップ交換装備に変えて行けばいいと思う。
細かな装備更新よりお得意様取引なり他の手段なりでさっさとレベルを上げてしまうのが大正義。


レベルカンスト後
最新まで追いついて7.xとか小数点以下の細かいパッチを追いかけるようになった段階。
戦闘職の装備については、入手手段別に以下の種類がある。

・AF装備(武器/防具)
たぶんx.0のシナリオ終盤で貰える。x.0はとりあえずこれでクリアして他の装備に更新していく。

・ID装備(防具/アクセ)
パッチで追加されたID産装備。他のもっといい装備が揃うまでのつなぎ。

・Nレイド装備(防具/アクセ)
N難易度のレイド報酬で交換できる装備。

・アライアンスレイド装備(防具)
アライアンスレイドで取れる装備。ロット勝負&取得週制限がキツめで一式揃えるのは大変。

・トークン装備(武器/防具/アクセ)※強化可能
詩学装備の最新版。週制限があるのでちまちま集めていく。
武器はトークンに加えてNレイド4層で貰えるアイテムが必要。
RE装備への強化は零式報酬・モブハントの戦利品・アライアンスレイド報酬のいずれかが必要。

・ウェポン作成(武器)※強化可能
ゲロルトが活躍するやつ。手間はかかるが最終的に最もILが高い武器が完成する。

・新式装備(武器/防具/アクセ)※強化可能
クラフター職で作れる。禁断できるすごいやつ。零式の早期攻略で使われている印象。
RE装備への強化はトークンが必要。

・高難度報酬
極、零式、絶コンテンツの報酬。
極と絶は武器のみ、零式は武器/防具/アクセがもらえる。高難度だけあって一番強い。

・その他
黄金におけるピルグリム・トラバースとか、そのほかのコンテンツでもいろいろ手に入る。
この辺は書いていったらキリがないので省略。

上記の中から自分のプレイスタイルに合わせて装備交換をしていくことになる。
高難度をやらない場合はおそらく武器はウェポン作成、防具とアクセはトークン装備に落ち着いていくと思われる。


・結局どれくらい更新すればいい?
ILは高ければ高いほどいい……とはいえ、パッチごとに最新に追いつくのは結構大変。
とりあえず↓をやればメインジョブ+サブジョブ1~2種くらいはN難易度に出せるレベルになると思う。
高難度のことは知らないしネットの海にめっちゃ書かれてると思うので調べてください。

・エキスパートルーレットでトークンと最新ID装備を集める
・Nレイドを毎週やって装備を集める(特に4層はトークン装備の武器交換に必要なものも貰える)


・禁断は必要?
最新の零式に挑戦したいなら必要だと思う。
めちゃくちゃギルが飛ぶので行く予定がないならやらなくていい。


・ギャザクラの装備更新
ギャザクラの装備は「スクリップで交換できる装備」「クラフター職で製作できる装備(新式装備)」の2種。
戦闘職の新式装備を作りたい、もしくは最新のギャザクラ用コンテンツの高難易度レシピで遊びたいのであれば新式装備を作った方がよい。そうでないならスクリップ装備が実装されるのを待って交換した方が楽。
こっちも禁断はめちゃくちゃギルが飛ぶので禁断必須の何かを作る予定がないならやらなくていい。
ただ、有志が作ってくれるマクロは大体禁断前提なので、有志マクロユーザーは禁断必須になるのかもしれない。


・戦闘職、ギャザクラの新式装備ってどのタイミングで出る?
x.1:ギャザクラの新式装備①
x.2:戦闘職の新式装備①
x.3:ギャザクラの新式装備②
x.4:戦闘職の新式装備②

ギャザクラの新式装備を作る→次のパッチではその新式装備を付けて戦闘職の新式装備を作る という流れ。

🎮ゲーム,💎FF14
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DLCネタ エンディング付近

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あの電話のカラスバさんめちゃくちゃ嬉しそうでかわいいよね

#落書き #ポケモンZA

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似た境遇だから余計に眩しく見える

#落書き #ポケモンZA

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お互いIRIS OUTできると思う

#落書き #ポケモンZA

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DLCネタ サイドミッション153要素含む

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ぶりっこしたら思った以上に効いた

#落書き #ポケモンZA

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2025年12月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

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来年もよろしくお願いします

#落書き

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DLCネタ

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3徹目

#落書き #ポケモンZA

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DLCネタ

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本音と建前が詳しく言ってるかどうかの違いしかない

#落書き #ポケモンZA

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DLCネタ

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カラスバ「てかドレス着せてディナー連れてったり、結構レディ扱いしてるけど気付かへんもんなんやな」
ジプソ「テーブルマナー実践とか建前付けるからそっちに印象持っていかれてるのでは?」

#落書き #ポケモンZA

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フォロワー「カラスバさんは結構アクセサリーとか「舐められんように」って買ってくれるが指輪だけ凄く焦らして「どうせならここに。待っとけ」って薬指見せてくる話とか ありませんか?」
ぼく「あります」

#落書き #ポケモンZA

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これが俺の答えや

#落書き #ポケモンZA

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サビ組移籍後・XX年後のSS


 ビルとビルの合間から差し込む夕陽が顔にかかる。眼前には雑居ビルが並び、眼下には仕事中と思しきビジネスマンの姿がある。窓の向こうに広がるいつもの景色に目を細め、カラスバはブラインドを下ろした。
 窓のない堅牢な屋敷でもなければ、目の前に広場がある大通りの好立地でもない。路地裏の雑居ビルの一室に収まるくらいの小さな組織。かつてのサビ組を知る者が見れば落ちぶれたものだと笑うだろう。
 振り向くとそこには二人の人間がいた。右腕と呼ぶに相応しい相棒と、生涯を共にすると決めた伴侶。他に部下はおらず、この三人で組織を運営できていた。
 机の上に置いていた一枚の紙を取る。ジプソが受け持っていた仕事の報告書で、机の上に他の書類はない。
「この案件も無事に終了。サビ組の最後の仕事として花丸に植木鉢付けたるわ」
「ありがとうございます。……本当に、これで終わりなのですね」
 ジプソの声も表情もあからさまに寂しそうだ。鋼の男が聞いて呆れる。
「これ以上続けてもしゃあない。これでも粘った方やろ」
「最近はほとんど開店休業でしたからねえ。カンコドールも真っ青」
「あったなあ、そんなカフェ」
 ハルの方は軽口を叩く余裕がある。この女はいつもこの調子だから当たり前と言えば当たり前だが。
「この後も退去の手続きとか色々あるけど、サビ組はこれでしまいや。オレはもうちょいやることあるから、二人は先に帰り」
 名残惜しそうな二人を事務所から追い出し、安価なビジネスチェアに腰掛けた。

 路地裏で糊口をしのいだ。フラダリと出会い支援金で商売を始めた。ジプソが率いるチームに目をつけられた。逃げ回っていたらチームのボスの座を譲られた。手下が増えてそれらしい名前が欲しいとなりサビ組を名乗り始めた。
 フラダリが自分達を始めとした多くの人達を不用な人間と断じて処分しようとした。
 何者かによって事件は収束し、ミアレに激動の時代が訪れた。
 野生ポケモンの増加。クエーサー社の介入。悪化する景気と治安。増長する悪党。フラダリの真意は読めないままだが、ミアレが荒れていくのを黙って見ているわけにはいかなかった。
 激動の時代に乗って裏社会の一大勢力として成り上がった。事件から五年が経過する頃には、行政の手が届かない社会の暗部で活躍する組織として安定した地位を得ていた。
 ミアレが抱える問題を解決するために最強のメガシンカ使いが必要だと聞いてZAロワイヤルに参加した。その過程で面白い女を見つけた。釣り針を引っ掛けてみたら、それが釣り針であると分かった上で食いついてきた。
 ハルをサビ組に招き入れた後も、ミアレが抱える問題は山積みで忙しい日々が続いた。しかし法整備が進み治安が改善されるにつれて、徹夜の頻度は減り抗争で怪我をすることもなくなっていった。それに合わせて部下には真っ当な転職先をあてがい、組織は徐々に縮小していった。
 そして今、最後の仕事を終えた。

 無我夢中で走り続けた人生だった。随分と無茶もしたが、人にも運にも恵まれた。
 机の引き出しからクリアファイルを取り出した。退去手続きの指示書き、ポケットマネーの処遇、ジプソとハルそれぞれに充てた手紙。全てに目を通し、内容に問題がないことを確認した。
 スーツの内ポケットから一丁の拳銃を抜いた。この鉄の重さを感じるのも、これで最後だ。
 かつて抗争で死にかけた時のことを思い出す。ジプソは冷静さを保ちサビ組を守っていたが、ハルは取り乱して使い物にならなかったという。あの時以上につらい思いをさせることに罪悪感はあるが、だからといって自分のような人間がのうのうと生き延びていいはずがない。
 ミアレはもうカラスバを必要としていない。
 ならば、今が清算の時だ。
 銃口を口内に突っ込み、引き金を引いた。

 乾いた破裂音が鳴った。

 目の前で紙吹雪が舞っていた。安っぽい金銀のテープが頭にかかる。拳銃は沈黙している。
「ほら! やっぱりケジメつけようとしたじゃないですか! 賭けは私の勝ちです!」
「わたくしも同じことに賭けていたのですから勝ちも負けもないでしょう」
 どやどやと二人が上がり込んでくる。その手にはクラッカーがあった。
「……おい、オマエら」
「なんですかこれ。店じまいの指示書きと、遺産の取り決めと……ラブレターですよジプソさん! 私宛とジプソさん宛で一通ずつ!」
「ほほう。それは是非とも拝読しなければ」
「アホ! 拝読すな!」
 抵抗むなしく手紙は奪い取られた。
「……オレがどうするか、分かっとったんか」
 カラスバの問いかけに、ジプソとハルは顔を見合わせてから頷いた。
「当たり前ではないですか。わたくし達とカラスバ様は何年の付き合いになると思っているんですか」
「今回は止められたけど、オレは諦めが悪いってのも分かってんのか?」
「分かってますけど、分からないこともあります」
 ハルが禅問答のようなことを言い出した。目を細めて睨みつけると、怯む様子もなく続きを話し始めた。
「カラスバさんのことだから、今まで悪いことをしてきたから命で償おうとするだろうってのは予測できます。
 でも、そもそも悪いことをしたから死ぬってのが分かりません。悪い人は生きちゃいけないんですか? それじゃあ私もジプソさんもダメじゃないですか」
「人を騙して殺して傷つけてきた悪党がのうのうと生きるのは間違うてるやろ。それに、ハルもジプソもオレの指示で動いてただけや。因果応報を受ける悪党はオレだけでええ」
「善人がひどい目に遭って死んで悪人が幸せに生きるのが間違ってるって言うなら、この世は昔からずっとずっと間違ってますよ。
 善人だろうが悪人だろうが生き死には等しい。因果応報なんて存在しない。何が正しくて何が悪いか、悪いことにどんなリスクや罰があるかなんて、その地に住む人にとって都合のいいエゴに過ぎません。
 誰もが等しく持つものを、ミアレのエゴなんかに惑わされて自ら捨てようとしないでください」
 ハルは机に片膝を乗せて身を乗り出し、カラスバの胸倉を掴んだ。ジプソは止める様子もなく見守っている。
「どうせなら私のエゴに惑わされてくださいよ」
「オマエのエゴ?」
「カラスバさんは私だけの男です。私の宝物です。私の許可なく死んでしまうなんて、許しません」
 胸倉を掴む手は少し震えている。まっすぐな眼差しがカラスバを射抜く。
 どこまでも我儘な女だ。ふは、と息を吐いて、カラスバは両手を軽く挙げた。
「降参、降参。昔、ハルの居場所になったるし世界一の幸せ者にしたるって約束したもんな。それ放り投げたらあかんわ」
「分かればよろしい」
「カラスバ様……!」
 ハルは胸倉を掴む手を離して柔らかく微笑み、ジプソはおんおんと男泣きし始めた。頼もしい鋼の男が見る影もない。

「あーあ! 誰かさんのせいで死に損ねたしこれからどないしよ! 今更カタギの仕事なんかやりたないしなー!」
「カラスバ様はもう十分働かれましたよ」
「本当に仕事人間ですよねえ。お金はいっぱいあるんですから、残りの人生遊んで暮らしましょうよ」
「遊べって言われてもなあ」
 ミアレでできる遊びは大体経験済みだ。遊び放題と言われてもいまいち食指が動かない。
 気乗りしないカラスバを見てか、ハルは「じゃあこうしましょう」とどこか得意げに人差し指を立てた。
「ハネムーンに連れて行ってください」
「ハネムーン」
 知識はあっても縁がないと思っていた言葉だ。ミアレを守る者として長期間の外出は御法度だったし、ハルもそれを承知の上でサビ組に来てくれた。
 だが、ミアレはもうカラスバを必要としていない。カラスバを縛るものは何もない。
「ああ……確かに、そらええわ」
「その後はミアレでのんびり過ごして、たまに遠出とかしちゃって、今までできなかったことを三人で一緒にしましょうよ」
「……わたくしもご一緒してよろしいので?」
「当たり前じゃないですか。あ、もちろんハネムーンはお留守番してもらいますけど」
 ヒヨクシティでのんびりリゾート、思い切ってカロス一周旅行、もっと思い切って他の地方に行ってみる。ハルとジプソの間でぽんぽんと旅行の案が出され、とんとん拍子に話が進んでいく。
「カラスバさんはどうでしょう? 普通の旅行がイマイチなら私の故郷で成り上がり治安改善チャレンジもできますよ。あそこ、相変わらずゴミカスみたいですし」
「この歳でもっかい成り上がるとかいらんいらん。普通のやつでオマエらの好きにしたらええ」
 ひらひらと手を振ると、ハルとジプソは今後の話に花を咲かせ始めた。
 あれだけ沢山の悪事を働いて、裁かれることなく絵に描いたような平和な余生を過ごす。悪党の勝ち逃げで、因果応報など存在しない。
 ジプソと激論を交わす女の横顔を見る。欲しいもののためなら法も倫理も利用して、善も悪も平等で、犯した罪に後悔すらしない。清々しいほどまっすぐで美しい顔をしていた。
(オレも悪党やけど、コイツの方がよっぽど悪党やったな)

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サビ組って社会のはみ出し者が集まってカラスバの指揮下で何でも屋をやってる組織で、「はみ出し者の受け入れ先」かつ「行政の手が回らない緊急の事案への対応による治安維持」がこなせるから、ミアレの平和を脅かさない限りは色々と黙認されてるんだろうなと思う。
なので諸々の整備が進んで公的機関がそれらの仕事をこなせるようになれば、サビ組ははみ出し者が集まった危険な集団と見なされて今まで黙認されてたことも黙認されなくなる。

その時流をうまく読み取って軟着陸できるかどうかがサビ組の大きな分岐だろうなと思ってて、うちの時空では需要減に応じて規模を縮小してひっそりとフェードアウトして忘れられていく感じであってほしいので書きました。
ハルが仕事を巻き取ってカラスバに未来のことを考える余裕が生まれた&ボスの立場に縛られすぎないよう適度に毒抜きされてたから規模縮小に踏み切れて、もしハルがいなければ規模縮小ルートに行けるかどうかは運次第……みたいな感じに影響しててほしい。
畳む


#ポケモンZA

📄読み物
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サビ組は絶対クリスマスマーケットで屋台を出してるし、来年の約束をするのはBIG LOVEだと思います

#落書き #ポケモンZA

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