ハネモノ 第六話「歌」
「で、どうやって魔力を取り戻すんだ?」
ルピナスは当然の疑問に首を傾げた。海龍からロミの魔力を取り戻し、その後リヒダ・ナミトまで連れていってもらうという形で話がまとまったはいいものの、肝心の取り戻す手段がルピナスには思いつかなかった。
「魔法陣」
とロミは砂浜に短く書き、その横に小さな図形を描いた。ベリスにはその意味が分かるらしく、その図形を見て小さく頷いていた。
「なるほど。それなら上手くやれば取り戻せる」
「ちょ、ちょちょちょ、どういう事? 俺にも教えて」
魔法陣という言葉すら初めて耳にするルピナスには、ロミが描いた図形の意味など全く分からなかった。
「魔法陣というのは、魔力を込めて特殊な図形を描くことで特別な効果を与えるものだ」
「……特別な効果?」
ルピナスが首を傾げていると、ベリスは「そんなことも分からないのか」とため息をついた。
「普通に魔法を使おうとすれば、風や炎や雷を発生させるといった『生み出す』事しかできない。これは分かるか」
「んー……まあ」
今まで生きてきた中で魔法を見たことは何度かあったが、言われてみればそういった事しかされていなかったような気がする。
「魔法陣を使えば、他人の傷を癒したり、魔力を高めたり、その逆で魔力を弱めたり、魔法陣に入った者に『変化』をもたらす事が出来る」
陣を描かなければならないと言う手間がかかるが、普通に魔法を使う上で得られない効果がある。
「って事は、魔力を奪う魔法陣を描いてそこに海龍を誘い込むって寸法?」
ルピナスはロミとベリスが言わんとしていることを理解し、砂浜に描かれた図形がその魔法陣であることを察した。
「そうだ」
ベリスとロミは同時に頷く。
「ただ、あれだけの大物だと相当大きな陣を描く必要がある。しかも海中に設置するとなるとロープ等に魔力を込めなければならない」
ロープはこの村の住民から借りればいい。魔力を込めるのは魔法に秀でたベリスが適任だろう。そして魔法陣を海中に設置するのはロミだ。
「分かった、じゃあロープは俺が調達してくるから、その後のことはベリスちゃんとロミちゃんに任せた」
ルピナスは勢いよく立ち上がり、砂浜を走り出した。
観光客向けの整備された砂浜を通り過ぎ、しばらく海岸沿いを走り続けると、民家が建ち並ぶありふれた漁村の姿が見えてきた。
「ビンゴ」
ルピナスが知る限り、ミミナ村は観光に力を入れた村ではあるが、漁業も行っている村だった。この近辺の海域で穫れる魚は珍しく、クバサの露店でも何度か見かけたことはある。
海岸には何隻かのボートが停泊しており、沖では数人の船乗りが各々のボートに乗り、釣り糸を垂らしていた。
「さて、ロープは、っと……」
海岸に泊められたボートを覗き込むと、使い古されたロープが無造作に置かれていた。他のボートにも同じようにロープが置かれており、ルピナスは躊躇することなく全てのボートからロープを取ってその場を後にした。
魔法陣の形を思い出す限り、ロープ一本だけでは海龍を囲えるほどの大きな魔法陣は描けない。全てのロープを持っていくのは当然のことで、盗んでいくことに罪悪感はなかった。
「これだけあれば十分?」
ルピナスは盗んできたロープをロミの目の前に起き、微笑みかけた。ロミは少しの間ロープを見ながら何かを考えていたが、こくりと頷いた。
「じゃあ、次はこれに魔力を込めればいいんだな」
ベリスはロープに触れ、強度を確認しながら「汚いな」と呟いた。
「魔力を込めるのって、具体的にどうすんの?」
「……口で説明するのは難しいな」
ベリスはそう呟き、ゆったりとした手つきでロープを撫で始めた。ベリスが撫でた部分は心なしか輝いており、魔力が込められたのだとルピナスは察することが出来た。ベリスの表情は真剣で、そんな顔も愛らしいと思うと同時に邪魔をしてはいけないと感じた。
「…………」
ルピナスはそれ以上口を挟むことなく、黙ってベリスの作業をする姿に見とれていた。ロミも同じ事を感じているのか、じっとベリスの手元を眺めた。
ベリスの作業はつつがなく進み、ルピナスとロミがぼうっとしている間に全てのロープがベリスの手元を滑った。
「これで終わりだ」
ベリスの呟きを聞いてルピナスはロープを手に取り、その触感を確かめた。一見すると何の変哲もないロープなのだが、何かが違うことはルピナスでも感じられた。
「これで十分だろう」
「すっげえ。流石俺のベリスちゃん」
「俺の、って何だ。調子に乗るな」
ベリスはルピナスの頭をぽかりと叩き、ロミの方に顔を向けた。
「それじゃあロミ、このロープを使って海中に魔法陣を設置してくれるか?」
ロミはこくりと頷き、ロープを持ってざぶんと海の中に潜っていった。
「……さて、これでロミちゃんが魔法陣を設置して、その上に海龍が来るように上手く誘導すれば万事解決ってわけだな」
「そうだ。上手く行くと良いが……」
どこか心配そうにしているベリスに対し、ルピナスは歯を見せて笑いかけた。
「大丈夫だって。いざという時は俺が死ぬ気で海龍から魔力を取り戻してやるから」
「大した魔法も使えないくせに馬鹿なことを言うな」
ベリスはルピナスの足を容赦なく踏みつけた。馬鹿を諫めるための踏みつけなのだろうが、ルピナスにとっては褒美でしかなかった。
* * *
その頃、ロミはミミナ村の海岸からほど近い海底でロープを手に泳ぎ回っていた。海龍を恐れてか、辺りに魚の姿はなく、海は静かだった。
「…………」
魔法陣は歪んでいるとその効力が大幅に少なくなってしまう。出来ることならば時間をかけてじっくりと描いていきたいが、いつ海龍が来るか分からないこの状況でそんな事は言っていられない。素早く、正確に。ロミはこまめに陣の形を確認しながらも慌ただしく海中を泳ぎ回った。
海の異変に気づいたのは、魔法陣が後一息で完成する頃だった。微かにピリピリとした雰囲気が漂い、海のずっと奥に小さな黒い影が見えた。あれは何だろう、とロミが思っている間にも黒い影はみるみるうちに大きくなり、その姿がはっきりとロミの瞳に映った。
(……海龍……!)
このペースだと魔法陣が完成する前にここまでたどり着いてしまう。ロミは一旦ロープを海底に置き、全速力でルピナスとベリスがいる浜辺に向かって泳いだ。
ざぶん、と大きな波音を立てて海面から顔を出すと、ルピナスとベリスは驚いたような顔を浮かべた。ロミは半身を砂浜に上げて「海龍が来る」と文字を書いた。
「ロミ、魔法陣は完成したか?」
ベリスが厳しい顔をしながら問いかけてきたため、ロミは素直に首を横に振った。
「そうか……それじゃあ俺が海龍を引きつけるから、その間に魔法陣を完成させてくれ」
ルピナスは肩を回し、古いオールを軽く振った。ロミが海底に行く前にはなかったものだが、海底にいる間にどこからか調達してきたのだろう。わざわざそんなものを用意しているとは、ルピナスはこんな事態になることを予測していたのだろうか。ロミには分からないが、ただただルピナスの姿に頼もしさを感じた。
「私も一緒に海龍を引きつけよう」
ベリスもルピナスの隣に立ち、大きく翼を羽ばたかせた。ルピナスはそんなベリスに何か言いたそうな顔をしていたが、
「ベリスちゃんは一度決めたら言うこと聞かないもんな」
と呟いて苦笑した。
「ま、そういうことだからロミちゃんは魔法陣を描いて、完成したら出来るだけ大きい水飛沫をあげて合図してくれ」
ルピナスはロミに対して歯を見せて笑い、ロミは頷いて海の中に戻っていった。
魔法陣を描いた場所に戻る中、ロミの心の中には古いオールを持って立つルピナスの姿が焼き付いていた。
* * *
ロミの一報を受けて間もなく、ルピナスとベリスがいる浜辺にもピリピリとした雰囲気が漂い始めた。
「……さて、こっちの方に誘導するか」
「どうやって誘導するんだ」
ルピナスは懐から一つの袋を取り出した。それほど大きな袋ではないが、魚の匂いがぷんぷんと漂って来る。
「さっきオールを取りに行ったとき、ついでに露店から失敬してきた」
食用の魚のようだがやけに生臭く、これを海中に放り投げればその匂いにつられて海龍がこっちにやって来るはずだ、とルピナスは続けた。
「なるほど。じゃあさっさと投げろ」
「言われずともやるってば、お嬢様」
ルピナスはおどけた台詞を言いながら、魚が詰まった袋を海に向かって放り投げた。袋はぽちゃんと可愛らしい音を立てて海の中に消え、それほど時間が経たないうちに波がざわざわと騒ぎ始めた。
「来るぞ」
ルピナスがそう呟くとほぼ同時に海面が大きな水飛沫をあげ、海龍が姿を現した。左目にはルピナスとベリスがつけた傷跡があり、船を沈めてロミから魔力を奪った海龍に間違いなかった。
海龍はきょろきょろと辺りを見回し、再び海中に戻ろうとしたが、ルピナスはすかさず手近な石を掴んで投げた。石の大きさや距離を考えるとどう見てもダメージは与えられないが、海龍の気を引くことは出来る。案の定、小石が当たった海龍はこちらの方を向き、ルピナスとベリスの存在に気づいた。
二人の存在に気づくなり、海龍は獰猛な咆哮とともにざぶんと海に潜った。そして波をかき分けて二人の元に猛然と進み、あっと言う間に海龍は砂浜の上に半身を上陸させた。船で相対した時は気づかなかったが、海龍には小さな前足があり、それがしっかりと砂浜を踏みしめていた。
「改めてみると……大きいな」
ベリスは海龍を見上げてぽかんと口を開け、数歩後ろに下がった。
「捕まったら一口で食われそうだよな」
ルピナスは古いオールをくるりと回し、口笛を吹いた。その音で海龍はルピナスの方を向き、ぐるぐるとうなり声をあげた。
「ベリスちゃん、俺が囮になって時間を稼ぐから、その間にロミちゃんの合図が来るかここで見ておいてくれ」
「分かった」
その返事を聞くなり、ルピナスは海龍から背を向けて逃げ出した。海龍は迷わずその後を追い、長い体をくねらせて砂浜をばたばたと走り出した。やはり地上で暮らせる体型ではないためか砂浜を走る速度は遅く、ルピナスなら悠々と逃げ切れそうだった。
「……見ているだけというのも暇だな」
囮を引き受けたのはルピナスだから、下手に手を出して海龍の怒りを買うのは良くないだろう。ならば、とベリスはおもむろに砂浜に図形を描き始めた。
思ったよりも海龍の地上での動きは遅く、全力で逃げるまでもなく適当な距離を稼ぐことが出来ていた。誰も巻き込まないようにルピナスは人気のない荒れた砂浜を走り続け、海龍はそれを追いかけ続けていた。
「……そろそろか」
走り出してからの時間を考え、あまりあの場所から離れすぎてはいけないとルピナスはくるりと方向を変え、来た道を戻り始めた。海龍を避けるように大きく距離をとり、全速力を出して一気に海龍の頭とすれ違った。海龍もそれにつられて方向を変えようとするが、長い体が仇となって方向を変えることにすらもたもたと時間がかかった。
「やーいやーい胴長短足!」
軽快な足取りで駆けていくルピナスにはそんな挑発をするほどの余裕があった。ひたすらに駆け抜け、あっという間に元いた場所へ帰ってきた。
「ベリスちゃん、合図はあった?」
「まだだ」
荒れた息を整えながら、ルピナスは海面をじっと見た。もうそろそろ魔法陣が完成していいような気がするが、海龍が入るほどの魔法陣となるとルピナスが考えるよりも時間がかかるものなのだろうか。
「まいったな」
ルピナスはちらりと後ろを見た。少し距離が開いているとは言え、海龍がルピナスに向かってまっすぐ来ている。
「ルピナス、もう少し時間稼ぎするならそこの魔法陣を踏んでおけ」
「魔法陣?」
ベリスが指差す先には、なにやら複雑な模様が描かれた魔法陣があった。ルピナスがそれに足を踏み入れてみると、その模様から光が沸き上がり、ルピナスの体を包んだ。
「な、な、な、何これ」
ルピナスは自分の体を包む光をきょろきょろとせわしなく観察するが、触れようとする前に光はルピナスの体に染み込んで消えた。
「ベリスちゃん、これ何――」
ベリスに問いかける前に海龍の咆哮がびりびりと地面を揺るがした。魔法陣に驚いている間にも海龍は距離を詰めており、最早ルピナスの眼前に迫っていた。
「う、わ」
海龍は大きな口を開け、素早くルピナスに噛みつこうと襲いかかってきた。その素早さにルピナスは考えを巡らせることなく反射的に跳んだ。すると普段よりも数段高くルピナスは宙に跳んでいた。
「えっ」
人間が跳べる高さの限界を軽く突破しており、驚くと同時にこれが魔法陣の効果だと察することが出来た。体が軽く、今ならどんな動きでも出来そうな気がする。
空中でルピナスは古いオールを握りしめ、狙いを定め直して大口を開けた海龍の口の中に向けてそのオールを投げた。オールは海龍の喉に突き刺さり、海龍は悲痛な悲鳴を上げた。怯んでいる間にルピナスは砂浜に着地し、海面に大きな水飛沫が上がるのを視界の端で確認した。
「よし」
ロミの合図だ。後は海龍を海中の魔法陣へ誘導すれば――と考えたところでルピナスの思考が止まった。
「…………」
「……ルピナス?」
海龍の巻き添えを食らわないよう少し遠くにいたベリスは、ルピナスの様子がおかしい事に気づいて首を傾げた。
「……どうやって魔法陣に誘導しよう」
時間を稼ぐことばかり考えていて、肝心な事を忘れていた。今、海龍はルピナスに対して怒りの矛先を向けており、どれだけ海中に行くように誘導してもすぐにルピナスのところに戻ってきてしまうだろう。
これはまずい、と考えを巡らせている間にも海龍は体勢を立て直し、ルピナスに再び突進してきた。
「うわわわわ」
ルピナスは横に跳んでそれをかわすが、海龍は尻尾を振ってルピナスをなぎ払おうとした。反射的に高く跳んでそれを避けるが、その間にも海龍は体の大部分をこちらに向け、再び大きな口を開けた。オールを使ってしまった今、ルピナスに武器という武器はなく、なすすべなく海龍の口の中に落ちていってしまいそうだった。
「やべ」
腰にロープはあるが、それを使って塞げるほどの小さな口ではない。迫り来る口から濃厚な死の匂いを感じ取り、ルピナスは背筋が凍った。
――死にたくない。
懇願にも似た感情を胸に、ルピナスは海龍の口を凝視した。喉の奥には刺さったオールが見える――と理解した瞬間、海龍の顔面を鋭い雷が襲った。それと同時にルピナスの周りで強風が吹き、それにあおられてルピナスは海龍の真上ではなく真横に着地した。
「君は実に世話が焼ける」
ベリスが右手に風を、左手に雷をまといながらぶつぶつと呟いた。
「囮をやると決めたなら完璧にこなせ。私にこんな手間をかけさせるな」
「悪い。ベリスちゃん、今度こそ後は俺に――」
「あれ、クソガキ共こんなとこで何してんの」
俺に任せろ、と言い切る前に聞き覚えのある声が水を差した。
ちょうど海龍の真後ろに、ラジは立っていた。どういうわけかラジの足下には大量の猫が群れており、肩や頭にも猫が乗っていた。どう見てもこの状況に似つかわしくない姿に、ルピナスとベリスは揃って眉をひそめた。
「大きなお魚さんと遊んでんの?」
そんな二人の様子はお構いなしにラジはさくさくと海龍のそばに歩み寄り、ふうっ、と紫煙を吐いた。ゆるゆると広がる紫煙が海龍の鼻のあたりに到達すると、海龍は不機嫌な唸り声をあげてラジの方に体を向けた。
「あらま、煮ても焼いてもまずそうなお顔」
「おいおっさん、ふざけてる暇があったら逃げとけよ」
ルピナスの忠告をラジは無視し、煙草を海龍の目の前で挑発的に揺らした。
「お魚さん、やけに不機嫌そうだけどこの煙草の臭いがそんなに嫌い?」
海龍はぐるぐると唸り、ラジはそれに動じることなく懐から煙草の箱を取り出した。
「そんなお魚さんにはご褒美をあげましょうねえ」
ラジは煙草の箱にマッチで火をつけ、大量の紫煙が漂ってきたところでその煙草の箱を海に向かって放り投げた。ぼちゃんと音を立てて海に沈むと同時に、海龍は鳴き声をあげて海中へ突っ込んでいった。
「……えええ……」
意外なほどあっさりと海中に戻った海龍を見ながらルピナスは気の抜けた声を上げた。
「…………」
ベリスが複雑な顔をする中、海中から光の柱が上がった。海龍の悲鳴も辺りに響いたが、光の柱が収まると悲鳴も収まった。
「……ロミちゃん大丈夫かな……」
しんと静まった海をじっと見ていると、ぽちゃんと小さな水音をたててロミが姿を現した。ロミはルピナス達の姿をちらりと見て笑顔を浮かべたが、すぐに真面目な顔に戻って海面を見据えた。
ロミの視線の先で波がざわつき、大きな水飛沫をたてて海龍が海中から姿を現した。見るからに不機嫌そうな海龍は、ロミを見てぐるぐると威嚇している。ロミはそんな海龍を見ながら深く息を吸い、歌い始めた。
柔らかで安心感のある歌声だった。古い言葉で歌詞の意味は分からないが聴いていて不思議と心が落ち着いた。それは海龍にとっても同じ事のようで、獰猛な顔が次第に落ち着いた表情に変わっていった。歌い終わる頃にはすっかり大人しい表情になっており、とぷんと大人しい音を立てて海の中へ戻っていった。
「ロミちゃんすげえ……」
笑顔を浮かべてルピナス達の元に泳いでくるロミの姿を眺めながら、ルピナスは惚けたようなため息をついた。
「見事な歌声だったな」
ベリスも微笑みを浮かべており、先ほどのロミの歌を小さく口ずさみ、
「人魚か……まだガキだし美味しくいただけるのは十年後ぐらいか……」
ラジはどこか残念そうな表情をしていた。
「……美味しくいただく? 人魚の肉を食うような趣味があるのか」
「あー、お子ちゃまには分かんねえ表現か。よしよしじっくりしっかり教えてやろう」
「うっわ、最低な大人だな!」
にやにやと卑猥な笑みを浮かべるラジを、ルピナスは手加減せず蹴った。ラジの体にまとわりついていた猫がそれに驚いてばらばらと逃げていった。