No.266, No.265, No.264, No.263, No.262, No.261, No.260[7件]
「地図手に入れたけどこれ何がアタリなんだ……???」になりがちなのでまとめ。
素材系はエオルゼアデータベースへのリンクあり。何が作れるかはそっちで見る。
他の入手手段があるものは非掲載。全部を網羅できてるわけではないので載ってないやつも普通にあると思う。
G1(Lv40/1人/新生エリア)
・アーリマンの涙(家具素材)
・ロータスリーフ(家具素材)
・オーケストリオン譜:ただひとつの道
G2(Lv45/1人/新生エリア)
・オシャレなボタン(家具素材)
・オーケストリオン譜:ただひとつの道
G3(Lv50/1人/新生エリア)
・モルボルの唾液(家具素材)
・ラッシュグラス(家具素材)
・切削油(家具素材)
・タイニーバルブ(ミニオン)
・オーケストリオン譜:ただひとつの道
G4(Lv50/1人/新生エリア)
・耐水綿布(セーラー服・水着、家具素材)
・トンベリ(ミニオン)
・オーケストリオン譜:ただひとつの道
G5(Lv50/8人/新生エリア)
・ドレス生地(スプリングドレス素材)
・チンチラの毛皮(グレイシャル装備、家具素材)
・磨りガラス板(家具素材)
・ブルーバード(ミニオン)
G6(Lv55/1人/蒼天エリア)
・オシャレなボタン(家具素材)
・ラッシュグラス(家具素材)
G7(Lv60/1人/蒼天エリア)
・ファルコナーヘンプ(ファルコナー装備素材)
・アトモスの肉片(ミニオン素材)
・ホイールベアリング(ミニオン素材)
・オシャレなボタン(家具素材)
・ラッシュグラス(家具素材)
G8(Lv60/8人/蒼天エリア/宝物庫アクアポリス)
・サベネアンシルク(サベネアン装備素材)
・サベネアンレザー(サベネアン装備素材)
・オシャレなボタン(家具素材)
・ラッシュグラス(家具素材)
・パイッサ(ミニオン)
・ブルーバード(ミニオン)
・深層の地図(水中に座標がある地図らしい)
G9(Lv70/1人/紅蓮エリア)
・道士布(チャイナ服素材)
・火車の灰(紅蓮のレアFATE攻略で使うらしい)
・招きモーグリ(家具)
G10(Lv70/8人/紅蓮エリア/宝物庫ウズネアカナル)
・ナグサ薄絹(アオザイ素材)
・道士布(チャイナ服素材)
・撥水綿布(レインコート素材)
・アラミゴ織(アラミガンガウン素材)
・ウィスパーファインフリース(冬用コート素材)
・クウェインチュレルレザー(ドレス素材)
・クウェインチュレルクロス(ドレス素材)
・サベネアンカルゼ(サベネアンカルゼ素材)
・火車の灰(紅蓮のレアFATE攻略で使うらしい)
・ナマキン(ミニオン)
・マタンガ(ミニオン)
・ヘッジホッグ(ミニオン)
・カピバラ(ミニオン)
・オーケストリオン譜:運命の交わる街
・オーケストリオン譜:木々のざわめく街
・オーケストリオン譜:潮風の集う街
・オーケストリオン譜:紅の夜明け
・オーケストリオン譜:紅の夜更け
・オーケストリオン譜:父の誇り
・オーケストリオン譜:母の誇り
・深層の地図(水中に座標がある地図らしい)
G11(Lv80/1人/漆黒エリア)
・ステアハイド(ステアハイドシューズ素材)
・極細グラスファイバー(家具素材)
G12(Lv80/8人/漆黒エリア/宝物庫リェー・ギア・ダンジョン)
・フロンティアクロス(フロンティア装備素材)
・カーフレザー(ライダース系装備素材)
・南洋織物(夏服素材)
・ファブリックソフトナー(ダルマスカン装備素材)
・インディゴクロス(夏服素材)
・シェルレザー(コート系素材)
・グラスレザー(グラスレザー装備素材)
・エンチャンテッドエルム(マウント素材)
・ゴールデンビーバー(ミニオン)
・チョコボの筆(エモート)
・霊龍坐像(家具)
・フーアのぬいぐるみ(家具)
・オーケストリオン譜:危険な言葉
・オーケストリオン譜:何処でもない何処か
・オーケストリオン譜:貪欲
G13(Lv90/1人/暁月エリア)
・フォノグラフプレート(家具素材)
G14(Lv90/8人/暁月エリア/宝物庫エキサイトロン)
・エキサイトレザー(ワイルドエンフォーサー装備素材)
・エキサイトファイバー(ヴァーシティ装備素材)
・ハピネスクロス(ハピネス装備素材 某NPCの服)
・エキサイトアイマスク(頭装備)
・ホワイトフリルパラソル(ファッションアクセサリー)
・ピクシーウィング(ファッションアクセサリー)
・煌びやかな羽根(マウント交換)
・ルナテンダー・ロイヤル(ミニオン)
・エキサイティング・ダイナマイト(ミニオン)
・オーケストリオン譜:終の戦
・オーケストリオン譜:震える刃
・オーケストリオン譜:勝利のファンファーレ
G15(Lv90/8人/暁月エリア/宝物庫エルピス・ギュムナシオン祭殿)
・マラコスコットン(パジャマ素材)
・アグノスクロス(サロンサーバー装備素材)
・エキサイト・トニック(マウント交換)
・熱を帯びた角片(マウント交換)
・マメット・フィロス(ミニオン)
・マメット・アイドネウス(ミニオン)
・ミクラ・リッサ(ミニオン)
※G14と同じアイテムも出る?
G16(Lv100/1人/黄金エリア)
・トラル古布(トラル装備素材)
G17(Lv100/8人/黄金エリア/宝物庫セノーテ・ジャジャグラル)
・ヘアカタログ:ソフトツーブロック
・ヘアカタログ:ウェイビーボブ
・スタイルカタログ:キャットアイグラス
・スタイルカタログ:スリムフレームグラス
・ドリーム・オブ・ウェポンチェスト(武器箱)
・コーデュロイ織布(冬服素材)
・マムーナイト(サイエンティスト装備素材)
・リボンパラソル(ファッションアクセサリー)
・トワイライトジェム(マウント交換)
・ローンブレイザー号(ミニオン)
・ハニーサッカー(ミニオン)
・ジャジャグラル・ツリー(家具)
・パイプオブゴールド(家具)
・オーケストリオン譜:暗夜の礫
・オーケストリオン譜:路を拓くもの
・オーケストリオン譜:路を遮るもの
隠された地図G1
G1~G8の宝箱から稀にドロップする。
・ドレス生地(スプリングドレス素材)
・耐水綿布(セーラー服・水着、家具素材)
・ミストシルク(パジャマ素材)
・偏光ガラス板(顔周り装備素材)
・モルボルの唾液(家具素材)
・ナッツイーター(ミニオン)
参考元
https://www.mtgames.jp/contents/FF14-028...
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone...
素材系はエオルゼアデータベースへのリンクあり。何が作れるかはそっちで見る。
他の入手手段があるものは非掲載。全部を網羅できてるわけではないので載ってないやつも普通にあると思う。
G1(Lv40/1人/新生エリア)
・アーリマンの涙(家具素材)
・ロータスリーフ(家具素材)
・オーケストリオン譜:ただひとつの道
G2(Lv45/1人/新生エリア)
・オシャレなボタン(家具素材)
・オーケストリオン譜:ただひとつの道
G3(Lv50/1人/新生エリア)
・モルボルの唾液(家具素材)
・ラッシュグラス(家具素材)
・切削油(家具素材)
・タイニーバルブ(ミニオン)
・オーケストリオン譜:ただひとつの道
G4(Lv50/1人/新生エリア)
・耐水綿布(セーラー服・水着、家具素材)
・トンベリ(ミニオン)
・オーケストリオン譜:ただひとつの道
G5(Lv50/8人/新生エリア)
・ドレス生地(スプリングドレス素材)
・チンチラの毛皮(グレイシャル装備、家具素材)
・磨りガラス板(家具素材)
・ブルーバード(ミニオン)
G6(Lv55/1人/蒼天エリア)
・オシャレなボタン(家具素材)
・ラッシュグラス(家具素材)
G7(Lv60/1人/蒼天エリア)
・ファルコナーヘンプ(ファルコナー装備素材)
・アトモスの肉片(ミニオン素材)
・ホイールベアリング(ミニオン素材)
・オシャレなボタン(家具素材)
・ラッシュグラス(家具素材)
G8(Lv60/8人/蒼天エリア/宝物庫アクアポリス)
・サベネアンシルク(サベネアン装備素材)
・サベネアンレザー(サベネアン装備素材)
・オシャレなボタン(家具素材)
・ラッシュグラス(家具素材)
・パイッサ(ミニオン)
・ブルーバード(ミニオン)
・深層の地図(水中に座標がある地図らしい)
G9(Lv70/1人/紅蓮エリア)
・道士布(チャイナ服素材)
・火車の灰(紅蓮のレアFATE攻略で使うらしい)
・招きモーグリ(家具)
G10(Lv70/8人/紅蓮エリア/宝物庫ウズネアカナル)
・ナグサ薄絹(アオザイ素材)
・道士布(チャイナ服素材)
・撥水綿布(レインコート素材)
・アラミゴ織(アラミガンガウン素材)
・ウィスパーファインフリース(冬用コート素材)
・クウェインチュレルレザー(ドレス素材)
・クウェインチュレルクロス(ドレス素材)
・サベネアンカルゼ(サベネアンカルゼ素材)
・火車の灰(紅蓮のレアFATE攻略で使うらしい)
・ナマキン(ミニオン)
・マタンガ(ミニオン)
・ヘッジホッグ(ミニオン)
・カピバラ(ミニオン)
・オーケストリオン譜:運命の交わる街
・オーケストリオン譜:木々のざわめく街
・オーケストリオン譜:潮風の集う街
・オーケストリオン譜:紅の夜明け
・オーケストリオン譜:紅の夜更け
・オーケストリオン譜:父の誇り
・オーケストリオン譜:母の誇り
・深層の地図(水中に座標がある地図らしい)
G11(Lv80/1人/漆黒エリア)
・ステアハイド(ステアハイドシューズ素材)
・極細グラスファイバー(家具素材)
G12(Lv80/8人/漆黒エリア/宝物庫リェー・ギア・ダンジョン)
・フロンティアクロス(フロンティア装備素材)
・カーフレザー(ライダース系装備素材)
・南洋織物(夏服素材)
・ファブリックソフトナー(ダルマスカン装備素材)
・インディゴクロス(夏服素材)
・シェルレザー(コート系素材)
・グラスレザー(グラスレザー装備素材)
・エンチャンテッドエルム(マウント素材)
・ゴールデンビーバー(ミニオン)
・チョコボの筆(エモート)
・霊龍坐像(家具)
・フーアのぬいぐるみ(家具)
・オーケストリオン譜:危険な言葉
・オーケストリオン譜:何処でもない何処か
・オーケストリオン譜:貪欲
G13(Lv90/1人/暁月エリア)
・フォノグラフプレート(家具素材)
G14(Lv90/8人/暁月エリア/宝物庫エキサイトロン)
・エキサイトレザー(ワイルドエンフォーサー装備素材)
・エキサイトファイバー(ヴァーシティ装備素材)
・ハピネスクロス(ハピネス装備素材 某NPCの服)
・エキサイトアイマスク(頭装備)
・ホワイトフリルパラソル(ファッションアクセサリー)
・ピクシーウィング(ファッションアクセサリー)
・煌びやかな羽根(マウント交換)
・ルナテンダー・ロイヤル(ミニオン)
・エキサイティング・ダイナマイト(ミニオン)
・オーケストリオン譜:終の戦
・オーケストリオン譜:震える刃
・オーケストリオン譜:勝利のファンファーレ
G15(Lv90/8人/暁月エリア/宝物庫エルピス・ギュムナシオン祭殿)
・マラコスコットン(パジャマ素材)
・アグノスクロス(サロンサーバー装備素材)
・エキサイト・トニック(マウント交換)
・熱を帯びた角片(マウント交換)
・マメット・フィロス(ミニオン)
・マメット・アイドネウス(ミニオン)
・ミクラ・リッサ(ミニオン)
※G14と同じアイテムも出る?
G16(Lv100/1人/黄金エリア)
・トラル古布(トラル装備素材)
G17(Lv100/8人/黄金エリア/宝物庫セノーテ・ジャジャグラル)
・ヘアカタログ:ソフトツーブロック
・ヘアカタログ:ウェイビーボブ
・スタイルカタログ:キャットアイグラス
・スタイルカタログ:スリムフレームグラス
・ドリーム・オブ・ウェポンチェスト(武器箱)
・コーデュロイ織布(冬服素材)
・マムーナイト(サイエンティスト装備素材)
・リボンパラソル(ファッションアクセサリー)
・トワイライトジェム(マウント交換)
・ローンブレイザー号(ミニオン)
・ハニーサッカー(ミニオン)
・ジャジャグラル・ツリー(家具)
・パイプオブゴールド(家具)
・オーケストリオン譜:暗夜の礫
・オーケストリオン譜:路を拓くもの
・オーケストリオン譜:路を遮るもの
隠された地図G1
G1~G8の宝箱から稀にドロップする。
・ドレス生地(スプリングドレス素材)
・耐水綿布(セーラー服・水着、家具素材)
・ミストシルク(パジャマ素材)
・偏光ガラス板(顔周り装備素材)
・モルボルの唾液(家具素材)
・ナッツイーター(ミニオン)
参考元
https://www.mtgames.jp/contents/FF14-028...
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone...
FF14自機のSS 暁月6.0までのネタバレあり
「今も昔も故郷を見捨てたクズのくせに、英雄だのなんだのチヤホヤされやがって」
冒険者をしていると理不尽な罵倒を受けることはままあるが、幼馴染による面と向かっての罵倒は流石に初めての経験だった。
彼の表情や声音には、悲愴、苦渋、後悔、嫉妬、喪失、色々な感情が刻み込まれているように見える。衣服にはまだらに染みがあり、裾がほつれている。指にはマメができている。角や鱗には細かな傷がたくさんついている。
私はただただ彼の言葉を聞いていた。それが、今の私にできる唯一のことだからだ。
数年ぶりに故郷を訪れたのは、特に深い理由はない。
帝国軍との争い、竜誌戦争、アラミゴとドマの解放、第一世界の冒険、終末の回避。立て続けに起きていた時代のうねりが収まり、暁も表面上は解散してぽっかりと時間が空いて、ならば様子を見に行こうかと思った程度だ。
まずはアジムステップに向かい、チョコボに乗って平原を駆け抜け、山を越える。私の故郷はアジムステップの部族間の勢力争いに疲弊した者が拓いたとされるが、真偽は定かではない。エーテライトが設置されていない、する必要もないほどの田舎であることは確かだった。
そうして久しぶりに訪れた故郷は、生命の気配が失われていた。家屋は倒壊し、地面にはおびただしい量の血痕があり、それでいて吹く風には血肉のにおいはなく乾いていた。貴金属の類は残されていなかったが、住人と野盗のどちらの仕業なのかは分からない。
幸いにも隣村は無事だった。村人に話を聞いてみると、どうやら私の故郷は終末現象に見舞われて一夜にして壊滅したらしく、数人の生き残りがこの村に逃れてきて移住したのだという。私があの村の出身であることを明かすと、生き残りの一人を連れてきてくれて、それが件の幼馴染だった。
彼は私より少しだけ年上の隣家の子供で、幼年期特有の有り余ったエネルギーを一緒に発散していた。風邪を引いた時は見舞いに来て、お気に入りのおもちゃを譲ってくれて、叱られて家を飛び出した時は落ち着くまで傍にいてくれた。心優しい兄のような存在であったと思う。
私が大きくなって出来ることが増えてくると、彼はだんだんと距離を置くようになった。彼が得意げに教えてくれたことをすぐに習得してあっという間に追い越して、やれ天才だともてはやす村人達の影に紛れるようになって、私がどれだけ叱責されていても傍にいてくれることはなくなった。
「行かないでくれ」
村を抜け出す時は、そう言って引き留めようとしてきた。視線は泳ぎ、頬は赤く、声も尻尾も震えていた。私に向かって手を伸ばしてきたが、私はその手を振り払って村を出た。彼が私にどんな感情を抱いていたのかは知る由もないが、私にとって彼は疎遠になった幼馴染以外の何者でもなかった。
その幼馴染は今、あの時よりもずいぶんとボロボロになって、お前が諸悪の根源だと言わんばかりに私を罵倒している。
身近な人が空っぽの怪物と化したこと、身近な人が空っぽの怪物に襲われたこと、故郷を捨てたこと、慣れない場所で身を粉にして働くしかないこと、色々なことが積もり積もって生まれた感情はいかなるものか、私にはわからない。
それでも、私に対して感情を溢れさせている人がいるならば、感情の奔流が落ち着くまでは傍にいた方がいい。そういうことくらいは学んでいた。
幼馴染は私をひとしきり罵倒し、泣きじゃくり、生き残ってしまった恐怖と絶望と悔恨を語り、最後には小さな声で謝罪を述べて仕事へと戻って行った。やはり彼が何を思っているのかよく分からないが、いくらか落ち着いたようならまあこれで良かったのだろう。
私は鞄に入れっぱなしだった布と薬草で新しい服と軟膏をこしらえて、通りがかった村人にこれを幼馴染に渡すよう託して村を後にした。
同情や謝罪ではない。ただ私が「そうした方がよい」と感じたからそうしただけのことで、なんだかんだで世界を救った時と何ら変わりのない、ごく普通のことだった。
山を越えてアジムステップに戻ってくると、エスティニアンがナマズオを捕まえて丸焼きにしようとしていた。何をしておられるのですかエスティニアン殿と声を掛けると、彼は渋い顔をしつつもナマズオをあっさり解放した。
「その『エスティニアン殿』呼びと妙な喋りはいつまで続けるんだ」
もはやこれで馴染んでしまったので、エスティニアン殿においては諦めていただくしかございませんな。
ナマズオ調理法はシリナが開拓してくれるだろうということで、再会の市に向かいボーズを買った。小高い丘の上で食べると涼しい風が吹いて心地よい。初めて出会った時のヒエンがここにいたのも納得する。
エスティニアンは次の仕事先がまだ受け入れ準備中で、暇だから東方までぶらりとやって来たらしい。東方に来たのも、リムサ・ロミンサに行ってみたら次の船がクガネ行きだったからという実に適当なものだった。まあ、私も人のことは言えないが。
「相棒は? 何か用事があったのか」
ボーズを食べながら、つい先ほどあったことを話した。戦後の復興支援の中でよくある話だが、エスティニアンは何故かボーズも食べずに顔を曇らせていた。
「相棒も故郷を失ったのか」
その言葉で思い至る。原因は違えど、エスティニアンも故郷を失っていた。彼は故郷を滅ぼした竜への復讐のために竜騎士となった。彼にとって故郷とはそうするに足るものなのだろうが、私にとってはそうではない。
そのことを説明すると、エスティニアンはなんとも複雑な顔をして「そうか」と呟いた。
「強いな」
エスティニアンの言葉に今度は私が複雑な顔をした。
幼い頃から私の心は冷えていた。人の表情や仕草から感情を読み取ることはできないし、誰かが傷ついたり死んだりしても悲しくは思えど泣きわめくことはない。誰かの死に涙をこぼしたのは一度だけだと思う。
困っている人の背を押すのが好きだけど、困っている人に感情移入はしないし必要以上に関わらない。血も涙もないやつが中途半端に関わろうとするなとなじられたこともあった。それは本当にそうだなと思ったので、その人にはそれ以上関わらなかった。
さしたる強い信念もないのに、暁に在籍していくつもの戦争と死を乗り越えたのはこの気質のお陰だが、これは「強い」とは言えないだろう。色々な感情を乗り越えて竜と和解したエスティニアンの方がよっぽど強い。
そういうことを言うと、エスティニアンはやはり複雑な顔をしていた。自前のボーズは食べ終えて手持無沙汰になって、眼下に広がる市場の喧騒を見るともなく見た。
「お前は確かに人より鈍いが、完全に冷え切っているわけではないだろう」
ややあってエスティニアンは口を開き、私が背負っているもの――フォルタン家の紋章が描かれた盾を指差した。
「群れるよりも孤独を好み、誰かを守ることなんてまるで向いていないやつが、その盾を背負って世界の果てまで行って絶望に打ち勝ってみせたんだ」
まるで向いていないとは失礼な。事実ではあるが。私がむっとしたのに気づいたのか、エスティニアンは怒るな怒るなと笑う。
「お前の心には、熱も、強さも、確かにあるだろうよ」
そういうものなのだろうか。いまいちピンと来なくて首を傾げていると、エスティニアンは自分のボーズを半分に割って渡してきた。
私を励まそうとしているのかただ自分の考えを言っているだけなのか、ナマズオを調理しようとするくらい飢えてたのに何故ボーズを半分寄越してきたのか、少し冷めているのになぜ最初のボーズより美味しい気がするのか、何もかもよく分からない。
きっと私は生涯この調子なのだろう。少し寂しくもあるが、隣に座る人の横顔と眼下に広がる平和な風景を見ていると、まあそれでいいかと思えた。
畳む
「今も昔も故郷を見捨てたクズのくせに、英雄だのなんだのチヤホヤされやがって」
冒険者をしていると理不尽な罵倒を受けることはままあるが、幼馴染による面と向かっての罵倒は流石に初めての経験だった。
彼の表情や声音には、悲愴、苦渋、後悔、嫉妬、喪失、色々な感情が刻み込まれているように見える。衣服にはまだらに染みがあり、裾がほつれている。指にはマメができている。角や鱗には細かな傷がたくさんついている。
私はただただ彼の言葉を聞いていた。それが、今の私にできる唯一のことだからだ。
数年ぶりに故郷を訪れたのは、特に深い理由はない。
帝国軍との争い、竜誌戦争、アラミゴとドマの解放、第一世界の冒険、終末の回避。立て続けに起きていた時代のうねりが収まり、暁も表面上は解散してぽっかりと時間が空いて、ならば様子を見に行こうかと思った程度だ。
まずはアジムステップに向かい、チョコボに乗って平原を駆け抜け、山を越える。私の故郷はアジムステップの部族間の勢力争いに疲弊した者が拓いたとされるが、真偽は定かではない。エーテライトが設置されていない、する必要もないほどの田舎であることは確かだった。
そうして久しぶりに訪れた故郷は、生命の気配が失われていた。家屋は倒壊し、地面にはおびただしい量の血痕があり、それでいて吹く風には血肉のにおいはなく乾いていた。貴金属の類は残されていなかったが、住人と野盗のどちらの仕業なのかは分からない。
幸いにも隣村は無事だった。村人に話を聞いてみると、どうやら私の故郷は終末現象に見舞われて一夜にして壊滅したらしく、数人の生き残りがこの村に逃れてきて移住したのだという。私があの村の出身であることを明かすと、生き残りの一人を連れてきてくれて、それが件の幼馴染だった。
彼は私より少しだけ年上の隣家の子供で、幼年期特有の有り余ったエネルギーを一緒に発散していた。風邪を引いた時は見舞いに来て、お気に入りのおもちゃを譲ってくれて、叱られて家を飛び出した時は落ち着くまで傍にいてくれた。心優しい兄のような存在であったと思う。
私が大きくなって出来ることが増えてくると、彼はだんだんと距離を置くようになった。彼が得意げに教えてくれたことをすぐに習得してあっという間に追い越して、やれ天才だともてはやす村人達の影に紛れるようになって、私がどれだけ叱責されていても傍にいてくれることはなくなった。
「行かないでくれ」
村を抜け出す時は、そう言って引き留めようとしてきた。視線は泳ぎ、頬は赤く、声も尻尾も震えていた。私に向かって手を伸ばしてきたが、私はその手を振り払って村を出た。彼が私にどんな感情を抱いていたのかは知る由もないが、私にとって彼は疎遠になった幼馴染以外の何者でもなかった。
その幼馴染は今、あの時よりもずいぶんとボロボロになって、お前が諸悪の根源だと言わんばかりに私を罵倒している。
身近な人が空っぽの怪物と化したこと、身近な人が空っぽの怪物に襲われたこと、故郷を捨てたこと、慣れない場所で身を粉にして働くしかないこと、色々なことが積もり積もって生まれた感情はいかなるものか、私にはわからない。
それでも、私に対して感情を溢れさせている人がいるならば、感情の奔流が落ち着くまでは傍にいた方がいい。そういうことくらいは学んでいた。
幼馴染は私をひとしきり罵倒し、泣きじゃくり、生き残ってしまった恐怖と絶望と悔恨を語り、最後には小さな声で謝罪を述べて仕事へと戻って行った。やはり彼が何を思っているのかよく分からないが、いくらか落ち着いたようならまあこれで良かったのだろう。
私は鞄に入れっぱなしだった布と薬草で新しい服と軟膏をこしらえて、通りがかった村人にこれを幼馴染に渡すよう託して村を後にした。
同情や謝罪ではない。ただ私が「そうした方がよい」と感じたからそうしただけのことで、なんだかんだで世界を救った時と何ら変わりのない、ごく普通のことだった。
山を越えてアジムステップに戻ってくると、エスティニアンがナマズオを捕まえて丸焼きにしようとしていた。何をしておられるのですかエスティニアン殿と声を掛けると、彼は渋い顔をしつつもナマズオをあっさり解放した。
「その『エスティニアン殿』呼びと妙な喋りはいつまで続けるんだ」
もはやこれで馴染んでしまったので、エスティニアン殿においては諦めていただくしかございませんな。
ナマズオ調理法はシリナが開拓してくれるだろうということで、再会の市に向かいボーズを買った。小高い丘の上で食べると涼しい風が吹いて心地よい。初めて出会った時のヒエンがここにいたのも納得する。
エスティニアンは次の仕事先がまだ受け入れ準備中で、暇だから東方までぶらりとやって来たらしい。東方に来たのも、リムサ・ロミンサに行ってみたら次の船がクガネ行きだったからという実に適当なものだった。まあ、私も人のことは言えないが。
「相棒は? 何か用事があったのか」
ボーズを食べながら、つい先ほどあったことを話した。戦後の復興支援の中でよくある話だが、エスティニアンは何故かボーズも食べずに顔を曇らせていた。
「相棒も故郷を失ったのか」
その言葉で思い至る。原因は違えど、エスティニアンも故郷を失っていた。彼は故郷を滅ぼした竜への復讐のために竜騎士となった。彼にとって故郷とはそうするに足るものなのだろうが、私にとってはそうではない。
そのことを説明すると、エスティニアンはなんとも複雑な顔をして「そうか」と呟いた。
「強いな」
エスティニアンの言葉に今度は私が複雑な顔をした。
幼い頃から私の心は冷えていた。人の表情や仕草から感情を読み取ることはできないし、誰かが傷ついたり死んだりしても悲しくは思えど泣きわめくことはない。誰かの死に涙をこぼしたのは一度だけだと思う。
困っている人の背を押すのが好きだけど、困っている人に感情移入はしないし必要以上に関わらない。血も涙もないやつが中途半端に関わろうとするなとなじられたこともあった。それは本当にそうだなと思ったので、その人にはそれ以上関わらなかった。
さしたる強い信念もないのに、暁に在籍していくつもの戦争と死を乗り越えたのはこの気質のお陰だが、これは「強い」とは言えないだろう。色々な感情を乗り越えて竜と和解したエスティニアンの方がよっぽど強い。
そういうことを言うと、エスティニアンはやはり複雑な顔をしていた。自前のボーズは食べ終えて手持無沙汰になって、眼下に広がる市場の喧騒を見るともなく見た。
「お前は確かに人より鈍いが、完全に冷え切っているわけではないだろう」
ややあってエスティニアンは口を開き、私が背負っているもの――フォルタン家の紋章が描かれた盾を指差した。
「群れるよりも孤独を好み、誰かを守ることなんてまるで向いていないやつが、その盾を背負って世界の果てまで行って絶望に打ち勝ってみせたんだ」
まるで向いていないとは失礼な。事実ではあるが。私がむっとしたのに気づいたのか、エスティニアンは怒るな怒るなと笑う。
「お前の心には、熱も、強さも、確かにあるだろうよ」
そういうものなのだろうか。いまいちピンと来なくて首を傾げていると、エスティニアンは自分のボーズを半分に割って渡してきた。
私を励まそうとしているのかただ自分の考えを言っているだけなのか、ナマズオを調理しようとするくらい飢えてたのに何故ボーズを半分寄越してきたのか、少し冷めているのになぜ最初のボーズより美味しい気がするのか、何もかもよく分からない。
きっと私は生涯この調子なのだろう。少し寂しくもあるが、隣に座る人の横顔と眼下に広がる平和な風景を見ていると、まあそれでいいかと思えた。
畳む
CoC「鰯と柊」のネタバレを含みます。
「先輩。俺、どうしても納得いかないことがあるんすよ」
「いつもの下らねえ愚痴なら殴るぞ」
「ほら、ちょっと前にあったじゃないすか。殺人宗教の集団失踪事件」
「あれがどうした」
「千人くらいいっぺんに行方不明になって明らかにヤバいヤマなのに、何であんなすぐに捜査が打ち切られたんすか」
「ウチじゃ手に負えないから専門の部署が持つって話だったろ」
「その専門の部署って何なんすか? 俺も刑事やってそこそこですけど、聞いたことないすよ」
「……お前、本当に社内政治……いや、署内政治か? ともかく内々のことに興味ねえんだなあ……」
「そんなの気にするくらいなら今のヤマを追っかける方がマシっす!」
「いいか、大先輩からひとつだけアドバイスしてやる。明らかにヤバいヤマがあって、専門の部署が持つってなったら、それ以上深入りするな」
「それは……なんか……権力者の陰謀、的な……?」
「多分、そういうのとは違う。世間様にも、同じ警察にも、明らかにしたらマズい何かがあるんだろうよ」
「何でそう言い切れるんすか」
「専門の部署があの事件をどう評価したのか、人伝で聞いた。『たった千人で収まったのは幸運』だとよ」
「…………」
「そういう評価を下せる何かがいて、それと戦う連中がいる。俺達ヒラ刑事には縁のない話で、見て見ぬふりをするしかねえんだ」
「……カッケェ……」
「は?」
「俺も人知れず巨悪と戦う特殊部隊? みたいなのやりてえっす! 部長に言えばいいんすかね?」
「いいわけねえだろ!!」
2人組の刑事が明日もっかい行くぜ! って言ってたけど結局あの後シナリオ上はノータッチだったなということで二次創作で補完。
CoCワールドなら対神話生物課とか絶対あると思うので、そっちが引き継いで世間への隠蔽工作をして、世界崩壊に繋がる危機を食い止めた報酬(あるいは証拠もないし今現在は危険性がなさそうな奴をわざわざしょっぴく暇はない)として余罪を追及せず捜査を打ち切ったのかな……と。
「なんぼなんでも1000人以上の失踪はマスコミ大騒ぎでは!? 刑事来てたしそっちで補完したろ!!」とも言います。
ののちゃん捕まえてないor殺した場合はPC達が警察に追われることになるけど、これは隠蔽工作やる前に世間に明るみに出たからもうサポート対象外ッスね~と見捨てられたんじゃないですかね。
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「先輩。俺、どうしても納得いかないことがあるんすよ」
「いつもの下らねえ愚痴なら殴るぞ」
「ほら、ちょっと前にあったじゃないすか。殺人宗教の集団失踪事件」
「あれがどうした」
「千人くらいいっぺんに行方不明になって明らかにヤバいヤマなのに、何であんなすぐに捜査が打ち切られたんすか」
「ウチじゃ手に負えないから専門の部署が持つって話だったろ」
「その専門の部署って何なんすか? 俺も刑事やってそこそこですけど、聞いたことないすよ」
「……お前、本当に社内政治……いや、署内政治か? ともかく内々のことに興味ねえんだなあ……」
「そんなの気にするくらいなら今のヤマを追っかける方がマシっす!」
「いいか、大先輩からひとつだけアドバイスしてやる。明らかにヤバいヤマがあって、専門の部署が持つってなったら、それ以上深入りするな」
「それは……なんか……権力者の陰謀、的な……?」
「多分、そういうのとは違う。世間様にも、同じ警察にも、明らかにしたらマズい何かがあるんだろうよ」
「何でそう言い切れるんすか」
「専門の部署があの事件をどう評価したのか、人伝で聞いた。『たった千人で収まったのは幸運』だとよ」
「…………」
「そういう評価を下せる何かがいて、それと戦う連中がいる。俺達ヒラ刑事には縁のない話で、見て見ぬふりをするしかねえんだ」
「……カッケェ……」
「は?」
「俺も人知れず巨悪と戦う特殊部隊? みたいなのやりてえっす! 部長に言えばいいんすかね?」
「いいわけねえだろ!!」
2人組の刑事が明日もっかい行くぜ! って言ってたけど結局あの後シナリオ上はノータッチだったなということで二次創作で補完。
CoCワールドなら対神話生物課とか絶対あると思うので、そっちが引き継いで世間への隠蔽工作をして、世界崩壊に繋がる危機を食い止めた報酬(あるいは証拠もないし今現在は危険性がなさそうな奴をわざわざしょっぴく暇はない)として余罪を追及せず捜査を打ち切ったのかな……と。
「なんぼなんでも1000人以上の失踪はマスコミ大騒ぎでは!? 刑事来てたしそっちで補完したろ!!」とも言います。
ののちゃん捕まえてないor殺した場合はPC達が警察に追われることになるけど、これは隠蔽工作やる前に世間に明るみに出たからもうサポート対象外ッスね~と見捨てられたんじゃないですかね。
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