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Last Modified: 2025/09/10(Wed) 20:37:35〔1日前〕 RSS Feed

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CoC「鰯と柊」のネタバレを含みます。



 ホワイトデーである。
 起源は諸説あり、日本をはじめとした一部の地域にしか浸透していない胡散臭い行事ではあるが、ともかくホワイトデーが近いのである。
 八木沼呂々は悩んでいた。
 バレンタインデーでは、寧音から手作りのチョコレートをプレゼントされていた。ホワイトデーを迎えるにあたり、お返しをしないという選択肢はないのだが、何を送ればいいのか皆目見当がつかないのだ。
 三倍返しは流石に誇張された都市伝説だろうが、たとえ一倍、あるいは一倍にちょっと色を付けた程度であろうと、寧音の手作りチョコレートに匹敵するものなど何があるだろうか。
 命を捧げても足りるかどうか危ういが、命はとうの昔に捧げている。全財産をはたいて高価な贈り物をするのもやぶさかではないが、今の呂々の財産は呂々だけのものではない。婚約指輪は寧音のためというより呂々の欲望であるため、プレゼントとするにはあまりにも姑息すぎる。
「どうした呂々、鈴カステラ食べるか」
 当の本人である寧音はウンウン悩んでいる呂々の口にお菓子を突っ込んでくる。誰のせいでこんなに悩む羽目になっていると思っているんだ。

「寧音ちゃんなら何だって喜ぶと思うけどねえ」
「俺もそう思うから困ってるんだが……!!」
 藁にもすがる思いで寿々にこっそり聞いてみてもこれだ。
 そう、おそらく寧音は何を贈っても喜ぶ。だからこそ困るのだ。晩御飯のリクエストで何でもいいと言われるのと同じだ。
 寿々は色々なアイデアを出してくれたが、そのどれもが検討済みのものだった。次第に寿々の表情はうんざりとしてきて、
「じゃあもうさ、同じくらいがんばったらそれでいいじゃん」
 と投げやりな捨て台詞を置いて部屋に戻ってしまった。
 同じくらい頑張る。
 それは確かに、気持ちの伝え方としては悪くないかもしれない。

 そうと決まってからは早かった。
 何をするかを検討し、やることと必要なものを細かくリストアップし、それを元にタイムスケジュールを作り、動画を見てイメージトレーニングを重ね、仕事を前倒しで進めてホワイトデー当日は休暇を取る。
「何か忙しそうだな呂々、ちょっと休憩したらどうだ」
 口元に押し付けられたマシュマロを食べながら、スマートフォンの画面を切り替える。寧音に気付かれないようにするのが一番大変かもしれない。

 ホワイトデー当日は寧音と寿々を送り出し、事前に仕上げていたタイムスケジュールとリストに基づいて買い出しから始まる一連の作業を進めて行く。
 入念に準備をしたおかげで作業はスムーズに進む。やはり何をするにしても事前の準備が重要で、拝掌教にいた頃の情報を聞き出したその日の晩に手を下していた日々は大胆にもほどがあった。あれで上手くいっていたのが奇跡だと思う。
 本日何度目かのクッキーが焼きあがる頃に寿々が小学校から帰ってくる。キッチンから漂う甘い香りに全てを察してにんまりと笑みを浮かべながらくっついてきたので、焼き立てのクッキーを何枚か差し出して口止め料とした。
 数種類のクッキーを焼き、一番シンプルなバタークッキーは複数の型を使って形にバリエーションを付ける。それらをプレゼント用の箱に詰め込めば、それなりに華やかな見た目になった。余ったクッキーも寧音と寿々の手にかかれば容易く消化されるだろう。
 後片付けをし、晩御飯にカレーを作ってキッチンの残り香を誤魔化したあたりで寧音が帰ってきた。我ながら完璧なスケジュールであった。

 金曜の夜は普段よりゆったりとした時間が流れている。
 晩酌でほろ酔いになったまま家事をだらだらとこなし、よさそうな映画がテレビで放送されるなら、呂々と寧音と寿々で並んで座って鑑賞する。金曜日だけは寿々も夜更かしおよび夜間のジュースが許可されていた。
 今日は映画のない日だったので、呂々と寧音は毒にも薬にもならないバラエティ番組を見て、寿々は思う存分ゲームに没頭していた。こういう時、映画の見放題サービスに入れば良かったなと思うこともあるが、結局見ないまま金だけ垂れ流すことにならないかという懸念や、なにやら難しいことができたと自慢してくる寿々の笑顔を見ると、これはこれでとなあなあにしている。
 寧音はテレビに映る芸人のボケにケラケラと笑いながらずっと呂々にくっついている。コマーシャルに入るとしきりに鼻をふんふんと動かして、呂々の服に顔をうずめた。
「今日の呂々はなんだか甘い匂いがする」
 服に染みついた匂いか。それは盲点だった。寧音は目を輝かせて見上げてくるし、寿々は野次馬根性丸出しの顔でニヤニヤしていた。呂々はため息をついてテレビをちらりと見た。コマーシャルはまだまだ続きそうだ。
「寧音に渡したいものがある」
 これが正解なのかどうかわからない。寧音が手間をかけてプレゼントを用意してくれたこと、今もこうして隣にいてくれること、それらについての感謝の気持ちが少しでも伝われば、ただそれだけでよかった。
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FF14自機のSS 暁月6.0までのネタバレあり


「今も昔も故郷を見捨てたクズのくせに、英雄だのなんだのチヤホヤされやがって」
 冒険者をしていると理不尽な罵倒を受けることはままあるが、幼馴染による面と向かっての罵倒は流石に初めての経験だった。
 彼の表情や声音には、悲愴、苦渋、後悔、嫉妬、喪失、色々な感情が刻み込まれているように見える。衣服にはまだらに染みがあり、裾がほつれている。指にはマメができている。角や鱗には細かな傷がたくさんついている。
 私はただただ彼の言葉を聞いていた。それが、今の私にできる唯一のことだからだ。

 数年ぶりに故郷を訪れたのは、特に深い理由はない。
 帝国軍との争い、竜誌戦争、アラミゴとドマの解放、第一世界の冒険、終末の回避。立て続けに起きていた時代のうねりが収まり、暁も表面上は解散してぽっかりと時間が空いて、ならば様子を見に行こうかと思った程度だ。
 まずはアジムステップに向かい、チョコボに乗って平原を駆け抜け、山を越える。私の故郷はアジムステップの部族間の勢力争いに疲弊した者が拓いたとされるが、真偽は定かではない。エーテライトが設置されていない、する必要もないほどの田舎であることは確かだった。
 そうして久しぶりに訪れた故郷は、生命の気配が失われていた。家屋は倒壊し、地面にはおびただしい量の血痕があり、それでいて吹く風には血肉のにおいはなく乾いていた。貴金属の類は残されていなかったが、住人と野盗のどちらの仕業なのかは分からない。
 幸いにも隣村は無事だった。村人に話を聞いてみると、どうやら私の故郷は終末現象に見舞われて一夜にして壊滅したらしく、数人の生き残りがこの村に逃れてきて移住したのだという。私があの村の出身であることを明かすと、生き残りの一人を連れてきてくれて、それが件の幼馴染だった。

 彼は私より少しだけ年上の隣家の子供で、幼年期特有の有り余ったエネルギーを一緒に発散していた。風邪を引いた時は見舞いに来て、お気に入りのおもちゃを譲ってくれて、叱られて家を飛び出した時は落ち着くまで傍にいてくれた。心優しい兄のような存在であったと思う。
 私が大きくなって出来ることが増えてくると、彼はだんだんと距離を置くようになった。彼が得意げに教えてくれたことをすぐに習得してあっという間に追い越して、やれ天才だともてはやす村人達の影に紛れるようになって、私がどれだけ叱責されていても傍にいてくれることはなくなった。
「行かないでくれ」
 村を抜け出す時は、そう言って引き留めようとしてきた。視線は泳ぎ、頬は赤く、声も尻尾も震えていた。私に向かって手を伸ばしてきたが、私はその手を振り払って村を出た。彼が私にどんな感情を抱いていたのかは知る由もないが、私にとって彼は疎遠になった幼馴染以外の何者でもなかった。

 その幼馴染は今、あの時よりもずいぶんとボロボロになって、お前が諸悪の根源だと言わんばかりに私を罵倒している。
 身近な人が空っぽの怪物と化したこと、身近な人が空っぽの怪物に襲われたこと、故郷を捨てたこと、慣れない場所で身を粉にして働くしかないこと、色々なことが積もり積もって生まれた感情はいかなるものか、私にはわからない。
 それでも、私に対して感情を溢れさせている人がいるならば、感情の奔流が落ち着くまでは傍にいた方がいい。そういうことくらいは学んでいた。
 幼馴染は私をひとしきり罵倒し、泣きじゃくり、生き残ってしまった恐怖と絶望と悔恨を語り、最後には小さな声で謝罪を述べて仕事へと戻って行った。やはり彼が何を思っているのかよく分からないが、いくらか落ち着いたようならまあこれで良かったのだろう。
 私は鞄に入れっぱなしだった布と薬草で新しい服と軟膏をこしらえて、通りがかった村人にこれを幼馴染に渡すよう託して村を後にした。
 同情や謝罪ではない。ただ私が「そうした方がよい」と感じたからそうしただけのことで、なんだかんだで世界を救った時と何ら変わりのない、ごく普通のことだった。

 山を越えてアジムステップに戻ってくると、エスティニアンがナマズオを捕まえて丸焼きにしようとしていた。何をしておられるのですかエスティニアン殿と声を掛けると、彼は渋い顔をしつつもナマズオをあっさり解放した。
「その『エスティニアン殿』呼びと妙な喋りはいつまで続けるんだ」
 もはやこれで馴染んでしまったので、エスティニアン殿においては諦めていただくしかございませんな。

 ナマズオ調理法はシリナが開拓してくれるだろうということで、再会の市に向かいボーズを買った。小高い丘の上で食べると涼しい風が吹いて心地よい。初めて出会った時のヒエンがここにいたのも納得する。
 エスティニアンは次の仕事先がまだ受け入れ準備中で、暇だから東方までぶらりとやって来たらしい。東方に来たのも、リムサ・ロミンサに行ってみたら次の船がクガネ行きだったからという実に適当なものだった。まあ、私も人のことは言えないが。
「相棒は? 何か用事があったのか」
 ボーズを食べながら、つい先ほどあったことを話した。戦後の復興支援の中でよくある話だが、エスティニアンは何故かボーズも食べずに顔を曇らせていた。
「相棒も故郷を失ったのか」
 その言葉で思い至る。原因は違えど、エスティニアンも故郷を失っていた。彼は故郷を滅ぼした竜への復讐のために竜騎士となった。彼にとって故郷とはそうするに足るものなのだろうが、私にとってはそうではない。
 そのことを説明すると、エスティニアンはなんとも複雑な顔をして「そうか」と呟いた。
「強いな」
 エスティニアンの言葉に今度は私が複雑な顔をした。

 幼い頃から私の心は冷えていた。人の表情や仕草から感情を読み取ることはできないし、誰かが傷ついたり死んだりしても悲しくは思えど泣きわめくことはない。誰かの死に涙をこぼしたのは一度だけだと思う。
 困っている人の背を押すのが好きだけど、困っている人に感情移入はしないし必要以上に関わらない。血も涙もないやつが中途半端に関わろうとするなとなじられたこともあった。それは本当にそうだなと思ったので、その人にはそれ以上関わらなかった。
 さしたる強い信念もないのに、暁に在籍していくつもの戦争と死を乗り越えたのはこの気質のお陰だが、これは「強い」とは言えないだろう。色々な感情を乗り越えて竜と和解したエスティニアンの方がよっぽど強い。
 そういうことを言うと、エスティニアンはやはり複雑な顔をしていた。自前のボーズは食べ終えて手持無沙汰になって、眼下に広がる市場の喧騒を見るともなく見た。
「お前は確かに人より鈍いが、完全に冷え切っているわけではないだろう」
 ややあってエスティニアンは口を開き、私が背負っているもの――フォルタン家の紋章が描かれた盾を指差した。
「群れるよりも孤独を好み、誰かを守ることなんてまるで向いていないやつが、その盾を背負って世界の果てまで行って絶望に打ち勝ってみせたんだ」
 まるで向いていないとは失礼な。事実ではあるが。私がむっとしたのに気づいたのか、エスティニアンは怒るな怒るなと笑う。
「お前の心には、熱も、強さも、確かにあるだろうよ」
 そういうものなのだろうか。いまいちピンと来なくて首を傾げていると、エスティニアンは自分のボーズを半分に割って渡してきた。
 私を励まそうとしているのかただ自分の考えを言っているだけなのか、ナマズオを調理しようとするくらい飢えてたのに何故ボーズを半分寄越してきたのか、少し冷めているのになぜ最初のボーズより美味しい気がするのか、何もかもよく分からない。
 きっと私は生涯この調子なのだろう。少し寂しくもあるが、隣に座る人の横顔と眼下に広がる平和な風景を見ていると、まあそれでいいかと思えた。
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CoC「鰯と柊」のネタバレを含みます。


「先輩。俺、どうしても納得いかないことがあるんすよ」
「いつもの下らねえ愚痴なら殴るぞ」
「ほら、ちょっと前にあったじゃないすか。殺人宗教の集団失踪事件」
「あれがどうした」
「千人くらいいっぺんに行方不明になって明らかにヤバいヤマなのに、何であんなすぐに捜査が打ち切られたんすか」
「ウチじゃ手に負えないから専門の部署が持つって話だったろ」
「その専門の部署って何なんすか? 俺も刑事やってそこそこですけど、聞いたことないすよ」
「……お前、本当に社内政治……いや、署内政治か? ともかく内々のことに興味ねえんだなあ……」
「そんなの気にするくらいなら今のヤマを追っかける方がマシっす!」
「いいか、大先輩からひとつだけアドバイスしてやる。明らかにヤバいヤマがあって、専門の部署が持つってなったら、それ以上深入りするな」
「それは……なんか……権力者の陰謀、的な……?」
「多分、そういうのとは違う。世間様にも、同じ警察にも、明らかにしたらマズい何かがあるんだろうよ」
「何でそう言い切れるんすか」
「専門の部署があの事件をどう評価したのか、人伝で聞いた。『たった千人で収まったのは幸運』だとよ」
「…………」
「そういう評価を下せる何かがいて、それと戦う連中がいる。俺達ヒラ刑事には縁のない話で、見て見ぬふりをするしかねえんだ」
「……カッケェ……」
「は?」
「俺も人知れず巨悪と戦う特殊部隊? みたいなのやりてえっす! 部長に言えばいいんすかね?」
「いいわけねえだろ!!」




2人組の刑事が明日もっかい行くぜ! って言ってたけど結局あの後シナリオ上はノータッチだったなということで二次創作で補完。
CoCワールドなら対神話生物課とか絶対あると思うので、そっちが引き継いで世間への隠蔽工作をして、世界崩壊に繋がる危機を食い止めた報酬(あるいは証拠もないし今現在は危険性がなさそうな奴をわざわざしょっぴく暇はない)として余罪を追及せず捜査を打ち切ったのかな……と。
「なんぼなんでも1000人以上の失踪はマスコミ大騒ぎでは!? 刑事来てたしそっちで補完したろ!!」とも言います。

ののちゃん捕まえてないor殺した場合はPC達が警察に追われることになるけど、これは隠蔽工作やる前に世間に明るみに出たからもうサポート対象外ッスね~と見捨てられたんじゃないですかね。
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CoC「鰯と柊」のネタバレを含みます。


八木沼 呂々(やぎぬま ろろ)
23歳/男性/180cm/一人称:俺、二人称:お前
山羊座の男。

不愛想でよく怒り嫌味もこぼすが基本的には世話焼き。
助けを求められたり困っている様子を見れば、文句を言いつつ何だかんだで手伝う。
逆に誰かに助けを求めることはない。抱え込むタイプ。
学はないが頭の回転は速い。身のこなしが軽く力仕事より正確さが求められるような仕事の方が得意。ナイフの扱いがめちゃくちゃ上手い。

物事をあれこれ深く考える方。考えすぎてドツボにはまることもある。
拝掌教の行いは「祈りによる加害者の排除は、相談者にとっては救いだが加害者の周囲には絶望を与えるものであり、極めて恣意的な選別である」と認識しており、万民を救うものではないと理解しつつその救済を肯定している。
幼い頃の自分が祈りで救済されたことは確かであり、祈りを否定することは今ここにいる自分を否定することにもなる。
例え親しい者や自分自身が「加害者」と見なされても排除を選ぶ。祈りが選んだものをこちらが拒否するのは平等ではない。

社会常識や倫理を理解はしても共感はしない。それらは目的を果たすための障害あるいは駒でしかない。
殺人に対する忌避感すらないが「自分の行いが何をもたらすのか理解した上で実行すること」に強いこだわりがある。
加害者の排除の手段として殺人を行い、目的が不明瞭な殺人は行わない。大量殺人鬼だが無差別殺人鬼ではない。
もしも寧音と出会わず愛と信仰を得られなかった場合も、何らかの思想を深めた末に大量殺人を犯す。呂々がそういう気質なのは、寧音との出会いに左右されない天性のもの(あるいは寧音と出会う前の幼少期に変質したもの)。

寧音に対しては幼馴染として接する一方で深い信仰心がある。
寧音に救われたその日から自分の命は彼女のためにあり、彼女の助けとなるべく手を汚し、彼女が死ねと言うならその場で己の首にナイフを突き立てる。
信仰心の他に恋愛感情や性欲や独占欲も持ち合わせていて内心はものすごく混沌としている。
しかし自分のそんな情欲を見せて寧音を穢して傷つけることは本意ではないため、徹底して隠している。

その想いの一端は、寧音が神の力を失いただの人間に戻った際に告げられた。
信仰心は失われたが、愛情とラベリングするにはあまりにも混沌とした感情は健在であり、今も世界=寧音である。
女遊びの経験がない上に深く考える癖もあり、恋人らしいコミュニケーションは凄まじく下手。手間取ったりフリーズしたりやりすぎたりする。

シナリオ終了後は福祉関係(貧困や虐待等に苦しむ人を何らかの形で支援する系)の仕事に就く。
傷ついた人がこれ以上追いつめられないようにして、安寧を得る手助けをする。
教団が消えて新しく仕事を探さなければならなくなった時、同じような目的を持った仕事がしたいと思った。
加護(物理)は許されるはずも実行する気もなく、常識的な対応はずっとずっと回りくどくて上手くいかないことも多い。
それでも、あの時自分が感じた救いを誰かにもたらすことは、無駄ではないと感じている。

教団での加護(物理)は寧音を守るために必要な行為であり、反省も後悔もしていない。
いま加護(物理)をしないのは、寧音を守るためにそこまでする必要がないからしないだけ。
もしも寧音を脅かす者が現れて、常識的な対応ではどうしようもない場合、ためらいなく加護(物理)を実行する。
今までもこれからも悪人であることは変わらない。
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ふんわり考えてたやつのまとめ 使う予定は特にない


インキュバス/サキュバス
魔族の一種。外見が雄であればインキュバス、雌であればサキュバスと呼ばれるが、あくまで外見だけであり生物としての雌雄は持たない。
肉体のない魂だけでの活動も可能で、魂の保護および「狩り」のために魔法で肉体を構築する。
主食は生物の生命力。獲物にとって魅力的な姿になり、性的な行為を利用して獲物の体液や長時間の接触を通じて生命力を奪うことが多い。
魂だけの活動が可能であり、生命力を主食とすることから、分類としてはゴースト系にあたる。

彼らに襲われて死に至る可能性は低いが、未熟なインキュバス/サキュバスによる生命力の過剰吸収、
快楽に溺れて依存した末の生命力の枯渇といった直接的な危険のほか、
魔族と性的な関係を持つことによる人間関係の悪化、魅力的な同族の姿を取ることによる警戒心の低下など、副次的な危険性も持つ。

肉体構築術および魅了術に長ける一方で、戦闘行為そのものは苦手。
そもそも彼らには戦闘訓練を積む文化がなく、有事の際は逃亡するか魔力に飽かせた力業で抵抗する。
魅了術への対策を行い注意深く対処すれば比較的容易に無力化できる。
しかし上述の通りゴースト系に分類される存在のため、完全に討伐するには肉体を破壊した上で対ゴースト用の攻撃が必要になる。
……というように、直接的な危険性が低いわりに討伐には多くの下準備が必要なため、討伐の優先度は低い。

インキュバス/サキュバスの生殖は、己の魂と伴侶の魂を混ぜ合わせて新たな器を作成し、そこに新たな魂を迎え入れることにより子を成す。
哺乳類の場合は受精卵という肉の器を作成して新たな魂を迎え入れて子を成しているが、仕組みとしてはそれと同じである。
伴侶は同族以外でも良いが、魂だけの活動が不可能な生命はこの生殖行為により確実に死亡する。
インキュバス/サキュバスも己の魂を削る命懸けの行為であるため、生殖の頻度は少なく、真に心を通わせた者とだけ生殖行為を行う。
「狩り」の影響で性に奔放なイメージを持たれているが、子を成すことにかけては極めて慎重でロマンチストである。

なお、インキュバス/サキュバスは人間に近い姿を取るイメージが強いが、その生態上、人間以外の動物の肉体を構築し「狩り」を行うことも可能であると推測されている。
しかし彼らが構築する肉体は非常に精巧であり、人間以外の生物になりすましたインキュバス/サキュバスの発見例はない。
これが「なりすました姿を見破ることができていないだけで存在する」のか「人間だけをターゲットにしている」のかは不明。


リリ
世界各地を放浪するサキュバス。
真面目で猪突猛進で世間知らず。簡単に騙されあらゆる罠に引っ掛かる。
サキュバスの「狩り」には消極的で、限界まで我慢した末にドカ食いする悪癖がある。
どれほどひどい目に遭おうとも必ず生還し、大変な目に遭ったなあとあまり引きずらずに立ち直る。
運の良さと精神力が尋常ではなく高い。精神力に関しては単なるアホと言っても差し支えはない。

母親は非常に強大なサキュバス。父親はただの人間でリリが生まれる際に他界している。
いわゆる箱入り娘で豪勢な屋敷で何不自由なく育ってきたが、インキュバス/サキュバスの在り方を学ぶにつれて
「わざわざ肉体を危険に晒さなくても食事を取る術があるのでは?」と疑問に思うようになり、
自宅での調べ物には限界があったため「じゃあ外に行くか!」とその場の勢いで家を出た。

当初は母親も心配して使い魔を方々に派遣したが、リリの限界まで我慢してからのドカ食い生活を知って
「限界まで己を追い込んでからの鍛錬! なんて厳しい修行をしているのかしら……あの子は強くなるわ……!」
と勘違いして放任モードに移った。母親もアホであった。

しかし実際のところ、限界まで我慢してサキュバスとしての能力を無意識に全力行使して獲物を集める行為は効率の良いレベル上げでもあった。
(一般的なレベル上げが雑魚狩りとすれば、リリのレベル上げはメタルスライム狩りのようなもの)
リリの魅了術は日々強力になっているが、本人はそのことに全く気付いていない。

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メインストーリー進めてこういうやつだろうなと考えてたやつのまとめ。自分だけが楽しいシステム。

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アウラ族の女性。アウラ女性の中では色々と大きい方(身長・尾の長さ・胸囲MAX)。
口数が少ないお人よし。困っている人を見かけたらとりあえず声をかける(サブクエ全消化)。
色白でおとなしそうな見た目だが、突拍子もないことを口走ったり目を離したらどこかに行ってたりで全く大人しくない。図太くてメンタルが強い。
誰にでも優しいけど特定の誰かに肩入れすることはない根無し草。だいたいの行動はノリ。
頼まれごとをノリで引き受けてたらあれよあれよと英雄になってしまった。
大変なことになってしまったなあと思いつつ、自由にできるならまあいいかと今日もあちこちフラフラしている。
良心はあっても倫理はない。進んで悪事は行わないが必要なら殺しすらするし引きずらない。中立属性。

スペックとしてはマルチラウンダー。
戦闘職はタンク・ヒーラー・DPS (メレー/レンジ/キャス各種)それぞれそれなりに使い、製作・採集職は全種類をそれなりにこなす。
吟遊詩人の誇張話をはじめとした難しそうな話題に付き合う気はない(高難度コンテンツは行かない)。
よく使うのはナイト>ヴァイパー>召喚士>機工士>竜騎士あたり。ヒーラーはちょっと苦手。


★以下もっと細かい話&黄金までのネタバレ含む


エオルゼアのどこかにあるアウラ族だけが暮らす田舎村出身。
幼い頃からマルチラウンダーぶりを見せており、成長するにつれて周りに頼られることが多くなった。
お人よしな性格も相まってどんな頼み事も引き受けてきたが、やがてあらゆる仕事を押し付けられ些細なことで叱責されるようになり、精神を壊す……ことはなく、「これ以上村のみんなと関わったら誰も幸せにならないな」と判断して出奔。
一介の冒険者としてウルダハに向かい、暁の血盟と出会うことになる。三都市の中でウルダハを選んだのはノリ。

そういうこともあって「特定の誰かに深く依存する・されること」を忌避し、家族なり恋人なり親友なりの深い関係を作ることに抵抗がある。
アリゼーとラハの憧憬ぶりは危ないなあと思っているし、ウクラマトのことはラマチではなくウクラマトと呼び続ける。
一方的に慕われたり憧れられたりするのは好きにしたらいいけど、行動や感情を強制されると「嫌だが?」と断固拒否の姿勢を見せる。

元々は英雄になり得ない人柄だったが、オルシュファンとの離別は大きな転機だった。
オルシュファンのことは最大の窮地を救ってくれた恩人と認識していたが、彼の死後「仇を打ちたい」と口に出し、それに対するアイメリク卿の言葉を受けて彼に好意を抱いていたことを自覚した。
その後はオルシュファンへの好意を特に表に出すことはなかったが、彼の信念と最期の言葉は今も大事に抱えている。
「民と友を守る騎士であれ」「悲しい顔は似合わない」。それが今の彼女にとっての祝福なのか呪いなのかは彼女自身にもわからない。
なお、この出来事が無ければ、おそらくアラミゴ・ドマ奪還の途中で自分にかかる期待の大きさを危険視して離脱していた。

誰かと恋仲になるとしたら一番可能性があるのはエスティニアン。
比較的感性が近い根無し草で、こちらを持ち上げず肩を並べる相棒として接して、オルシュファンへの想いに一定の理解がある。
心の椅子のクッションはオルシュファンが座っていた形にへこんだままだけど、エスティニアンならその横に新しい椅子を並べることができると思う。


NPC雑感
アルフィノ:薪プロ。難しいことはとりあえずアルフィノ先生に投げたらいいと思っている。
アリゼー:ヒカセン強火担その1。憧れる要素あるか? と思いつつ好きにさせている。
サンクレッド:メンター。おもしれ一男だったのに保護者枠で落ち着いてしまって少し寂しい。
ウリエンジェ:幼女。サンクレッドの落ち着きに反比例しておもしれ一男と化して嬉しい。
ヤ・シュトラ:頼りになるけど迂闊にボケに走れない怖い人。でもそこに選択肢があればボケに走ってしばかれている。
タタル:研究・戦闘以外の全てを担う暁の裏番長。彼女に逆らってはいけない。
クルル:アルフィノ先生を尻に敷く女傑。まっすぐ善良で癖のない強い人。
グ・ラハ・ティア:ヒカセン強火担その2。成人男性がその仕草をするのは薄い本されても文句は言えないぞと心配している。
エスティニアン:竜騎士クエからの蒼天でしれっと出てきた時から爆裂おもしれ一男。暁で一番目が離せない面白コンテンツ。

ヒルディブランド:一般人として見てくれる数少ない友達。人を傷つけない優しく紳士的な在り方……俺が護ってやるからな……。
ナシュ:苦手なタイプの天然。ヒルディの助手ならこれくらいじゃないとダメなんだろうなと思いつつ好きにさせている。

ウクラマト:悪い奴ではないし幸せであればいいなと思うけど、それはそれとしてグイグイ距離詰めてくるとこがちょっと苦手。
エレンヴィル:めちゃくちゃに振り回された時のリアクションがおもしれ一男。美形すぎてオーラが常にキラキラしている。

オルシュファン:一番辛い時にそばにいてくれた人。死ぬべきではなかった人。英雄への道を歩ませた人。それはそれとして変態だと思う。



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アルキスと二十日さん宅バラマンドさんのSS


 シャンデリア、肉、酒、宝飾品、香辛料、笑い声、魚、香水、楽団。
 人間と情報の洪水の渦中にあって、その人の周りだけぽっかりと空洞のようになっていた。髪を整え礼服を身に纏っているが、血と消毒薬と火薬の匂いを漂わせている。贅の限りを尽くした立食パーティーではなく、戦場に生きる人だ。
「こんばんは。バラマンド様とお見受けします」
 彼――バラマンドはこちらをちらりと見て、すぐに視線を外した。
「ボクはアルキスと申します。ハルオラの外交官を務めておりまして、バラマンド様にお会いしたいと思っておりました」
「酒も飲めねぇガキが外交官とは、ハルオラの未来は安泰だな」
「はい。ハルオラの……いいえ、もっとたくさんの未来のためにボクはここにいます」
 アルキスがにこりと微笑むと、バラマンドはふんとため息をついてシャンパンをあおった。それに合わせてアルキスも炭酸水を一口飲む。ハルオラのものと比べて随分と炭酸が強い。
「で、話は何だ。ただおしゃべりするために来たんじゃないだろう」
「ボク個人としてはそれでもいいんですけどね」
 一歩、距離を詰めて声を落とす。笑い声とアップテンポな曲に満ちた空間の中で、バラマンド以外の誰の耳にも届かない。
「近いうちに、世の中が大きく乱れます」
 怪訝そうに目を細めるバラマンドに対して、アルキスは先程までと全く同じ微笑を浮かべながら生ハムが乗った小さなパンを食べた。むやみに塩辛い。
「もしそうなっても、ハルオラとバハマリアは仲良くしませんか? 軍事的にも経済的にもお互いを攻撃することはせず、支え合うのが一番だと思うんですよ」
「まるでデカい戦争が起こるみたいな言い方だな」
「まるで、ではないですよ」
 ハルオラは今、隣国との小さな揉め事を抱えている。どちらかというと隣国に非があるが、政治的、経済的な思惑が絡まり、なかなか解決せずにこじれ続けている。あれが火種になる。火種にしてみせる。
 バラマンドは串焼きの肉を齧りながら目を伏せた。アルキスが見上げるとちょうど目が合うくらいだが、視線が合うことはない。
「バハマリアじゃ、マフィアを潰すためにそのマフィアや敵対するマフィアと『仲良く』するのはザラにあってな。最後はどうなると思う」
「その言い方だと、お友達ではなくなるのでしょうね」
「分かってんじゃねえか。最後は全員ブタ箱行きだ」
 バラマンドはぐっと身をかがめた。嗅ぐだけで頭がくらくらするような、強い酒の匂いがする。
「アルキスって言ったか? 二つ聞かせてもらおうか」
「はい」
「何故俺にその話をした? バハマリアは友達ごっこに付き合うようなお人好しな国だと思っているのか?」
 値踏みするような視線。ハルオラであってもバハマリアであっても、投げかけられる視線は変わらない。
「まず、そちらの大統領にはボクよりもっと上の者が話を通すでしょう。ボクがバラマンド様に声をかけたのは、アナタはいつかバハマリアに欠かせない存在になると思ったからです」
「何故そう思った」
「いくつもの戦場に行って生きて帰ってきて、個人の強さだけではなく人を率いて動かす冷静さもある。『戦いに勝つ力』がずば抜けて高い。バハマリアに来るにあたって沢山勉強する中で、声をかけるならアナタしかいないと結論付けました」
 若造であるアルキスが話しかけることを許された人間の中には、バラマンドより高い地位の者も存在する。
 しかし、今は良くても数年後はどうなる?
 バハマリアとは長い付き合いになる。ならば、この陰謀と闘争が渦巻くバハマリアを生き抜く力を持つ者と親交を深めるべきだろう。
「友達ごっこの方は、本当に友達になれとは言いません。でも、面倒事は起こさないと約束できたら互いの負担は減るじゃないですか。それに仲違いをしないということは、世の中が乱れてもハルオラはそちらの資源が、バハマリアはこちらの食料品が手に入りやすい。利のある関係だと思いますよ」
「利のある関係だとしても、最後はよくてブタ箱行きだろう」
「まさか。ボクは最後までバハマリアと手を取りたい。でも、そう言って信じて頂けるわけがないので、こう言い換えましょう」
 バラマンドの目をまっすぐに見る。
「バハマリアは、ハルオラに負けるほど弱い国ではないでしょう?」
 数秒の沈黙。
 それを破るように、バラマンドがぶはっと噴き出した。
「……ハッ。そりゃそうだ」
 バラマンドの周りから重苦しい空気が消えた。「ちょっと待ってろ」と言ってその場から離れて、少ししてから両手に大ぶりのタコスを手に戻ってきた。
「ほらよ」
 片方のタコスをぶっきらぼうに渡される。手に取ってみるとずしりと重く、ほんの少しの野菜と牛肉の小さなサイコロステーキがこれでもかと詰まっていて、真っ赤なソースがふんだんにかかっていた。
「ありがとうございます。頂きます」
 アルキスが端からかじり始めた一方で、バラマンドは大きな口を開けてがぶりと食らいつく。細かな野菜がこぼれ落ちることも厭わない豪快な食べっぷりは、彼がまるで違う文化の育ちであることを示していた。
 アルキスは己のペースを崩さず野菜をこぼさないように慎重に食べ進めていたが、ソースがたっぷりかかった肉を口にして動きが止まった。その様子を見てバラマンドはニヤニヤと笑っている。
「……あ、あの……」
「何だ、バハマリア自慢の料理がまずくて食えたもんじゃないってか」
 アルキスは小さく何度も首を横に振った。
「美味しい、です、けど」
 炭酸水を飲む。刺激が強くて口の中がまるで休まらない。
「ぼ、ボクには辛味が強すぎて……」
「だろうなあ!」
 バラマンドはゲラゲラと笑いながらアルキスの肩を何度も叩いた。同じソースがかかっていたはずなのに、彼の手から既にタコスは消えていた。
「これからバハマリアと対等に付き合うつもりなら、これを笑顔で食えるようになるんだな」
「精進します……」

――それからしばらくして、アルキスの言葉通り戦争が始まり、ハルオラとバハマリアの不可侵条約が締結された。
 長く続く灰の時代の始まりであった。

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山岸さんと女体化波止場のSS 本編とはマジで何のかかわりもない


 パチンコに行くと言って家を出て三日経った。
 もちろん三日間ずっとパチンコをしていたわけではない。最初の数時間だけだ。ほどよく金を溶かして帰ろうかと思ったが、それと同時に、帰ったらダメだとも思った。
 出前が多いけどたまに簡単な夕食が作られて、布団は柔らかくて、きれいなバスタブがあって、温かくて、胡散臭いが優しい手付きで触れてくる男がいる、あの部屋。
 あいつとは安っぽいエロマンガのような出会い方をした。恋人ではなく、そういうことをする知人でしかなかった。そのはずだった。

 どこからおかしくなったのか思い返すと、久々に再会したあいつが部屋の鍵を強引に握らせてきたところからだ。
 知人を自分の部屋に住まわせて、あいつ自身は他の女の家に行って、たまに帰ってきて食事をしたり再放送の古いドラマを見たりする。「そういうこと」どころか、触れることすらしてこなかった。
 果たしてこれは知人に対してすることなのだろうか。少しずつ分からなくなってきて、部屋で過ごす時間が増えて、こちらが手を握れば握り返すようになって、もう一度「そういうこと」をしたのはこの家出の前の日だ。
 あれは、何だったんだ?
 前と同じことをしたはずなのに、何もかもが違っていた。触れる肌は熱くて、指が這うと電流が走ったようになって、ただただ声を上げることしかできなくて、ぐちゃぐちゃになって、抱きしめられると安心して。
 もう一度あれを経験したら、戻れなくなる。だから、帰ったらダメだ。

 本当に帰ったらダメだと思うなら、さっさと遠くに行ってしまえばいい。
 なのに、あの部屋から歩いて行ける小さな公園にいる。いつ来ても人気のない忘れ去られた公園だ。
 三日間。積極的に探さないと見つからないような場所ばかりうろつきながら、自分の気持ちとこれからのことを考えた。
 あいつは何でもないことのように「好きやで」と言う。
 あれは、どういう意味なのだろうか。
 本心からの言葉なのか、繋ぎとめるための鎖なのか、誰にでも注ぐ言葉なのか。それが分からないまま流されてしまうのは良くないし、このまま離れられるような強い意思はないし、薄い想いでもなくなってしまった。
 だから、あいつが探しに来るかどうか、探しに来た場合はどんな言葉をかけてくるかで自分の気持ちの置き場所を考えなければいけない。
 もう何日か待って、探しに来ないならそれでおしまい。お互いのことは単なる一時の暇つぶしだった、それだけのことになる。
 探しに来たのなら、第一声は何なのだろうか。そこは分からないが、もしも連れて帰ろうとするのなら、伝えなければならない。
 自分は期待に応えようとしても一時の欲に流されて裏切ってしまう、怠惰でどうしようもない、どれだけ大事にされても応えきれない、大事にする価値のない人間であることを。
 それを知った上で本気で来るのなら、それでいい。いつかの未来であいつが傷ついたらそれを良しとしたあいつが悪いし、甘い嘘で遊ぶなら傷つくのは己一人だけのよくあることだ。

 ブランコに座る。きいきいと耳障りな音が鳴る。葉が落ちた木々は寒々しく、吐く息は白い。日は少しずつ傾いていた。
 今日の寝場所を探しに行こう。
 ブランコから降りてざくざくと土を踏みしめる。公園の外からはかつかつとアスファルトを軽快に蹴る音。
 そこには、一番会いたくて、一番会いたくない男の姿があった。

 * * *

 手を繋いで人気のない道路を歩く。
 全てを吐露して、お前の気持ちを少しだけ聞いて、差し出された手を自然に取った。こちらは涙でぐしゃぐしゃなのに、お前はいつも通りの胡散臭い笑みを浮かべていて、ずるいと思った。
 またどっか行ってまうんかと思った、首輪つけたろかな、とお前はいつもの調子で言う。
 お前の言葉は本気なのか冗談なのか分からない。どっちなのかを探るのはもう面倒くさい。本気なら未来のお前が傷ついて、冗談なら未来の自分が傷つくだけだ。
 ため息をついて、お前の顔を見ないように、自分の顔を見られないように、俯いて一言だけ返した。
「もうついてる」

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CoC「蹂躙するは我が手にて」参加時に作ったA国ことハルオラの設定まとめ


概要
・国名
ハルオラ。
一般的にはHarolaと記載されるが、古来からの伝統的な綴りはArola。

・標語
平和は法と義務の上にあり

・人口
多い


歴史
遥か昔の小国から始まり、周辺諸国との数多の戦の末に誕生した。
小国であった時代の王の血は連綿と続いており、今も元首として特別な立ち位置にいる。
戦国時代の話は戦記物として根強い人気を誇る。


地理
・山・川・海等
ほぼ平野と川。起伏が少なく国土はかなり広い。

・気候
温暖で程よい雨量。過ごしやすい。環境ガチャSSR。

・地域区分・都市
学役の程度に応じて区分けされている。
首都は近代的だが、区のレベルが落ちると発展度合いも落ちる。
なお、首都であっても娯楽は少なめ。


政治
法制度
不定期に行われるテストの成績と得意分野で住む場所と仕事を強制的に決定する学役(がくえき)社会。
元首以外の全ての人民が対象であり、家族が離れ離れに暮らすのはごく当然のこと。
学役社会を維持するため、公正な判断と不正を防ぐための法整備が絶えず行われている。

元首
建国の祖の血を引く者。
政治に関する権限はなく、外交カードと国民の人気取りの傀儡。

体制
立憲君主制。
建国の祖の一族を元首とし、実質的な行政権は議会が握る。


治安
良い(学役による居住地の指定により似た価値観の者が集まりやすい&犯罪行為が通りづらい)


産業
経済
経済大国ではないが浮き沈みの少ない優等生。
薄利多売が基本。食料品や何かしらの材料・部品など、素材系がメイン。
労働時間が厳しく規制されているため、薄利多売と言えど限度はある。
完全週休2日&1日6時間労働&残業絶対許さないシステム構築済。

農林水産業
農林水産業に最も力を入れており、自国民は余裕で養える。
外国への輸出も盛ん。他国の庶民の生活基盤をまあまあ握ってそう。

鉄工業
資源があまり採れないので輸入頼り。
製造工程の自動化と大量生産に長けており、ネジなどの部品を作らせると品質・数量ともにめちゃくちゃ強い。


文化
被服
機能性重視。仕事の時は支給された制服を着る。
外交時は外国の様式に合わせてちゃんと装飾とか付けたフォーマルな格好をする。
この布とか紐とか何でつけるんですか? 無駄では?


家庭の味は超時短メシ、レストランはアホほど手間をかけた料理。1か100かしかない。
レストランの味につられて移住すると家庭の味に絶望する。

建築
あらゆる建築物が国が定めた都市計画に基づいて建てられており、碁盤目状に区切られた中に似たような見た目のビルが建ち並ぶ。
住宅地は集合住宅が多く一軒家はレア。首都近郊の一軒家に長年住み続けられる人はSSR。

宗教
信仰に制限はなく、信仰の有無も含めてさまざま。
元首の一族は日々の生活を配信したり各区を訪れたりしており、多くの国民から「盆正月に会う仲のいい親戚」くらいの好かれ方をしている。ある意味これが宗教。

芸術・音楽
芸術理論・音楽理論に基づいて緻密な計算の元に作られたものを好む。
ハイコンテクストすぎて国外の人が聞くと前衛的すぎることもある。


教育
学校制度
小学校入学頃~成人まで通う学校が各区にある。
入学を機に母親の元を離れ、その後は学役に応じて居住区が変わり転校を繰り返す。

スポーツ
国民性「健康維持できる程度でいいんじゃない?」
スポーツ選手という枠は一応あるけど激レア。


より細かな話
国について
不定期に学力検査と適性検査を行い、その結果に応じて住む場所と仕事を強制的に決定する学役(がくえき)社会。
個人単位で住所と仕事が管理されるため、家族は離れ離れに暮らす。子供は母親の下で育つが、学校入学を機に親元を離れる。
無理なくこなせる仕事を割り振られ、他国と比べて労働時間も短く、妥当な賃金が貰えるため、生活のために仕事をするタイプと相性がいい。
他国の貧富の差が1~100なら、ハルオラは30~70くらい。バラつきが少ない。

「それぞれが出来る仕事をして平和な社会を維持しましょうね、報酬に差はあるけど仕事ができるなら最低限の生活は保障するよ」が基本路線。
「仕事ができること」が生活保障の最低ライン。高齢者、重度の障害持ち、社会不適合者など、仕事ができない者に対する社会保障は一切ない。
資産があればあらゆる費用を全額自己負担することで生活を続けられるが、資産が底を尽きた時点で安楽死施設へ連れて行かれる。
仕事を失うと大体の人は資産が尽きるまでの短い隠居生活を送り、資産に余裕がある人はそれを機に海外に移住することが多い。
住む場所と仕事で強烈な規制はあるが、それ以外の規制はゆるい。言論弾圧もなく海外への移住も自由。

長所
・超が付くほどの実力主義。どんな生まれでも知識と技量があればどこまでも上り詰めることができる
・仕事の量と質が安定している。上を目指さず今の地位で過ごす場合は最強の環境
・治安は非常に良好
・農林水産業に力を入れており、食料自給率は100%超え。その他日用品も多くは自国生産で安く買える

短所
・超が付くほどの実力主義。コネや温情が一切通用せず、どれだけ努力しようと才能が無ければたどり着けない領域がある
・仕事の量と質が安定している=労働量に制限があるので、成果物の量は一定ラインで頭打ちになる。何らかのトラブル時も24時間シフトが組まれていない非インフラ系は対応が遅くなりがち
・休日に会えるとはいえ、家族は離れ離れに暮らす。孤独耐性が低い者には厳しい環境で、不倫・離婚・再婚率が高い
・仕事適正の有無で社会保障に天と地の差がある

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