不思議の国のショゴス (2014/06/28 - 2014/07/05)

事件の背景
事の発端は、とある真面目な医者と、その家族から。
真面目な医者「望月 雄二(もちづき ゆうじ)」はある現実に絶望していた。
それは、現代医学に精通した彼でも治せない病気が存在する事だ。
そして、その病気の患者こそ、彼の娘「紫苑(しおん)」と、彼の妻「貴恵(たかえ)」。

紫苑が4歳のころ、貴恵は病気により死亡。
そして、その6年後…紫苑に遺伝していた病気が、その牙を剥いた。
愛する妻を奪われ、娘さえも失いかけた雄二は、現実に絶望する。

そんな彼に目をつけたのが、「這いよる混沌」ニャルラトテップ。
外なる神のメッセンジャーである彼は、その任務の合間に、人間を破滅に追い込む娯楽を愉しんでいたのだ。

ニャルラトテップは雄二に接触し、ある計画を企てる。
それは、「雄二の行動で紫苑を殺害する」こと。

「ショゴスを召喚し、治療法を聞き出せば娘を救える」。
神話的存在に畏怖しながらも、雄二はその提案に乗ってしまう。
そして、二人とも…ニャルラトテップの計画通りに、命を落とす事となってしまった。

事件の現場
そして、事件の当日。
念のために使用人を屋敷から避難させ、屋敷から動けない娘に微笑みかけ。
望月雄二は屋敷の一室で、「ショゴスの召喚」を行った。

しかし、その呪文には大きな罠が隠されていた。
この呪文に成功すれば、確かにショゴスを喚び出す事が出来る。
が、その代償として、術者は全てのMPを支払わなければならなかったのだ。
力を使い果たし気絶した雄二は、召喚したショゴスに襲われ命を落とす。
そして、紫苑も。

2階の自室にて、押し寄せるショゴスに対し恐怖した彼女は、その場で発狂。
恐怖から逃れるために暖炉の中に飛び込んで、そのまま命を落とした。

事件の展開
その後、屋敷の近くの地下洞窟に棲みついたショゴスは、欲望のままに周囲の生物を喰らう。
その中には、神話生物「クトーニアン」すらも含まれていた。ショゴスは彼を喰らい、消化してその知識を奪う。
かくして「人間をおびき寄せる(参照:p.276)」呪文を学んだショゴスは、地下を通して各地に「門」を創造。
そこを通る事で、自身の体の真上に着地…手軽に人間を捕食出来るように仕向けたのだ。

…が、あまり成果は上がらなかった。
懐疑心の強い現代人は、目の前に浮かんだ「大きめにカットされたダイヤ」を不審がり、近寄らない。
そこでショゴスは、「欲望」よりも「好奇心」にアプローチする方法を考えだした。
「現実ではありえなく」「好奇心をそそり」「危険性も感じられない」。
その3つの条件を満たした「新たなエサ」こそが、「メイド服を着たウサギ」の幻覚。
かつて捕食した望月紫苑の記憶から生みだした、1つの成果だった。
この幻覚は、日常に退屈した現代人の心に通用し、彼らをショゴスの元へと導かせた。
そしてショゴスは、安定した食糧供給手段を確保する事が出来たのだった。

…しかし、そこで話は終わらない。
不可思議な方法により、死後、記憶に干渉された紫苑。
それが引き金になったのか…ショゴスに消化される最中の、意識の混濁とした人間は悪夢を見るようになる。
それが、紫苑の記憶から生まれた「不思議の国」。

不運な探索者は「ウサギ」を追いかけ、ショゴスの真上に落下。
強烈なショックからショゴスの事を忘れ、そのまま悪夢の世界へと囚われてしまう。
探索者は、悪夢から逃れ、同時にショゴスを倒さなければ生還する事は出来ない。

＜パキパキと、砂時計の全体がヒビに覆われるに従い、紫苑の体が透けていく。
紫苑は探索者達に向けて「ありがとう」と言って笑ってから、そして
砂時計の割れる音が探索者全員の耳に響く。
その音が聞こえた後、紫苑の方を見ると
紫苑の体は、消滅

…………しなかった。

＜匠は家電に違和感を感じ、観察をしました。
するとコンセントには電気が通っていない。しかし、家電はきちんと作動している。＞

＜診療所へ向かうと、そこには白衣を着た犬のぬいぐるみがいた。
「やあやあ、此処に患者が来るなんて珍しいねェ！何処か怪我とかしたのかい？」
と、言いながらぱたぱたと探索者達の方へと近付いてきた。＞

・医薬品・治療道具で応急手当・医学に+20の補正（救命士セットと同等扱い）
・松葉杖・車椅子使用で、砂時計ロールで足まで症状の起きた探索者のDEXを元の半分まで戻せる。

松葉杖、車椅子に対して≪目星≫もしくは≪アイデア≫した場合、
＜他のものに比べ、これらの道具は精密な作りだと感じた。＞

「あぁ、それはだね……

犬のぬいぐるみの言葉をかき消す様に、ガラスが割れる音がした。
目を向ければ、彼の白衣に入っていた砂時計が割れているのが見えた。

「そんな事はどうでもいいだろう。幸せなら他に何も考える必要なんてない。」

先程までとは犬の態度ががらりと変わり、淡々と言葉を返した。

＜この部屋はリビングのようだ。
落ち着いた色をした柔らかそうなソファやガラスのテーブル、観葉植物があった。＞

＜この呪文を詠唱する場合、精神力を全て使い果たしてしまう事に注意しなければならない。
もし、それをカバーする手段を持たずに召喚を行えば、ショゴスを制御することが出来ないからだ。＞

不思議の国の住人(ぬいぐるみ)　自我の無い人形

見た目はただのぬいぐるみ。
だが、関節は動くし、人と会話をする事も出来る。
しかし彼らは意思を持たず、自我も持たない。
聞かれたことには正直に答えるが、その他については一切答えない。
彼らがこの世界について知っているのは、「ここにいれば幸せ」程度の事のみである。

【紫苑】（4歳）
STR:34　CON:26　SIZ:04 INT:11
POW:08　DEX:08　APP:15 EDU:01
SAN:03　H P:15　D B:1d6

※再生能力：1ラウンドにHPを1回復する。

※EDUは6までは1週間に1ずつ上昇。
それ以降は、INT*2に成功+SAN-1で【ショゴス】が吸収した知識を思い出してEDU+1

半ショゴス化する事で蘇生した「望月紫苑」
身体は矢部さんの片足分の肉と、それと同量のショゴス組織（ショゴスに溜まっていた死体の養分とかも含む）。
精神面は鷹チャンのSANを幾らかと、ショゴスの中に残っていた「望月紫苑」の断片。あとショゴス。

記憶は殆ど喪失しているが、探索者達の事は「好ましい人間」であると覚えてる。
知性を持ったショゴスと紫苑の精神が混ざり合っている。
そのため獰猛なショゴスの本能は、暗示を使わずとも無意識に紫苑の理性が抑えているだろう。
あとは人間性をしっかり教育してあげれば、ちょっと力が強かったり再生能力あるだけの女の子かな！

紫苑の傍で≪ショゴスの退散≫の呪文を唱えると、彼女も南極にある＜古のものたち＞が眠る都市へと送られる。
洞窟にいた時はまだ馴染んでいなかったので分離出来たが、今はもう肉体がショゴス組織と馴染んでいるからだ。

…呪文を唱えた○○は、気を失います。
そしてもう、誰も呪文を唱えれる人はいません。

気絶している皆さんを
玉蟲色の悪夢が
飲みこみまし　た　　　。

皆さんの体は　徐々に　徐々に　ショゴスの中で　消化されていくでしょう。
腹が満たされたショゴスは満足げにその玉蟲色の、不定形な体を洞窟内に広げます。

…そしてショゴスはまた空腹になれば、地上へメイド服を着たウサギの幻影を出すでしょう。
皆さんと同じ様に、ウサギに誘われた人間を捕食するために。

目が醒めると、そこはどこかの民家だった。
君たちは、それに違和感を覚えなかった。
自分の体にも、違和感を覚えなかった。
ぬいぐるみの腕、ぬいぐるみの足。砂の落ちきった砂時計。
根拠の無い多幸感が全身に満ちていた。
うつろな目をした彼女が、君たちの前にいた。
無感情な笑顔で、彼女は笑った。

はっぴい　えんど

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【不思議の国のショゴス】　：　作者：古閑未善様
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